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FBI美術犯罪班のジェイソン・ウエスト捜査官が主人公の、殺しのアートシリーズ4冊目。
前巻の終わりがとんでもなく恐怖だったため、ちょっとドキドキしながら4冊目を読み始めました。
こちらはこちらで違う意味でひやりとしました。
3巻で二人がいかにも恋人らしい様子で過ごし、感慨深くもあったのですが、本書では真正面に対峙し対話をする場面が描かれます。
ジェイソンが規律違反とすれすれのこと(いや、違反だよな)を自覚しつつ行い、酒の勢いもあって書類を読んでほしいという形でサムに打ち明ける。
そのあとのサムの冷ややかな態度と二人の気持ちの行き違いがとても良かったです。
「俺を巻き込んだ」という言葉。この言い方と発想がジェイソンを傷つけ、二人の間に溝が出来るのですが、危機でもありつつ、ある意味ますます恋人同士らしくなったとも言えました。
206ページから210ページのこの一連のやりとり。「どの部分が理解できないのか言ってみろ」「どの部分が初耳なのか言ってみろ」と理詰めで押していくサムがかっこいい。(でも自分がやられたらいやだな)
ここに描かれていないサムの葛藤がとても気になります。ジェイソンについてのどれほどの感情とこれまで培ってきたキャリアと理性とが彼を苛んだのか。SSでもいいのでつぶさに描いてほしかったです。結論としては、そうかそうきたかーと唸るものでしたが、プロセスを知りたかった。想像に難くないですが、読みたい。
本書のラストシーンも良かったです。ぐぐぐっと来ました。家で読んでいたらきっと声出してました(笑)
4冊の中で本書が一番好きです。
フェルメールのことも勉強になります。おすすめ。
サムの登場シーンが少なく、特に中盤どうにも萌えたりないからシリーズで初めて神評価をつけないでおこうかとすら思ったのに、終盤畳み掛けるように心を抉ってくるからホントどうしたもんかと。前と次を繋げるための巻という感じでしたね。
個人的にはジェイソンの行動はまったくもってダメだし、解雇相当だと思います。そしてそういう登場人物の理解不能な行動が出てくる話はおおかた気に入らないんですけど、この件に関しては「ジェイソンならやっちゃうだろうな〜こういうところあるよな〜」って下地が1〜3巻で出来ているので納得してしまう。そしてサムが知ったときそうくるだろうと思っていたけれど、まさか最後サムから歩み寄るとは。分かりにくいけど、否、前半でも相当甘い人になってはいたのだけれど、サムがかなり沼落ちしているんだなとようやく理解。
それにしてもジェイソンちゃんのお転婆ぶりには困ったもんだよ。
シリーズ四作目。ガッツリ美術犯罪捜査のお話。正直あまり興味を惹かれない分野だが、ジェイソンの絵画への傾倒ぶりが伝わってくるおかげか、楽しくすらすら読めた。
サムとジェイソンのカプは導入から甘々で、あまりのサービスっぷり(?)に後半どんな落とし穴があるのかとヒヤヒヤしてしまった。あんなに渋み強めだったサムがストレートに愛を囁いている……どうしたサム!?とそわそわとニヤニヤを同時に体感した。
事件はジェイソン自身がとある縛りの中で捜査している。私情を入れまくっていたが、今までの感情論に基づく私情とは重みが違ってるので、それなりの論理性はあって良かった。(今までは根拠なくそんな人じゃないっていう勘を事実のように扱って進めたりしてたので)
だがそれはサムとの関係に亀裂を生むことになる。拒絶するサムの反応を特別酷いとは思わないが、ジェイソンが仕事でこういう頼り方をするのはそれなりの覚悟の上な気がするので、ショックなのも分かる。
で、突進したジェイソンが危険な目に遭いながら事件は解決し、改めてサムとの対話へ。
毎回思うがジェイソンの中のサム像が面白すぎる。いまだにサムの感情に疑問を持つのに、ちょっと人間らしさを見たら驚いていて、自分の恋人をどんな人間だと思ってるんだろうと笑ってしまう。恐怖を見せるサムはありえないっておいおい……ジェイソンもサムに負けない鈍さを持ってると思う。
今作は別れ話で終わりかと思いきや、即追いかけてくるサム。びっくり。あのサムが。さらに弱々しく口説きまくるサムにびっくり。
それに対するジェイソンの答え、最後の一行がもう……!ひぃぃぃってなった。この一言で神作品になってしまった。ジョシュ・ラニヨン作品は終わり方がクセになるものが多いなあ。
次は最終巻かな?早く読みたい。
ラニヨンさんのお話なんだけど「どうもそりが合わねぇ……」と思ってきたこの『殺しのアート』シリーズ。
今回は良かった!
ラスト3ページが!
鋼鉄で出来たかの様な心の鎧に僅かにできた恋というヒビ。
受けが別れを決意することで、その亀裂は一気に押し広げられ、鎧そのものが音を立てて崩壊してしまうの。
ラニヨンさんの『まるで機械人間の様な攻め』が、恋する相手を失いたくないと気づくこの瞬間が好きだーっ!!
確かこのシリーズは5巻で完結だった様な気が……
ってことは次巻では『でろでろのサム・ケネディ』が見られるんじゃなかろうか?
期待してしまうなぁ。
いやー良い!そして続きが気になる!!
シリーズ第4作。フェルメールの幻の作品の盗難をめぐる事件です。
こちらの展開も勿論面白いのですが本作の見所はなんといってもサムとジェイソンの関係。
ジェイソンは優秀なFBIの捜査官で、情熱とプライドと信念を持って仕事に生きていますが、青臭いところもある男。その青臭さも彼の魅力ではあるのですが、本作では青臭さ故に、FBIのルールに抵触する行動をとってしまいます。
他方サムは自己の規律に基づいて生きる男。自分にも他人にも厳しく接し、仕事に血道をあげ、FBIでの地位を獲得してきました。
そういう男にとって、愛しいジェイソンの行動は自分の戒律にも反する上、自己の地位さえ脅かしかねない許し難い行い。
二人の関係はどうなってしまうのか!?
というのが物語の大きなポイントになっています。
サムは分別盛り46歳。
私生活を犠牲にして仕事に、そして信念に生き、長いキャリアで築いた地位と自己の戒律が当然にあるわけで、それが今回ジェイソンへの愛によって試されるわけです。
ここの葛藤が堪らない。若造やいい加減な男には出せない、岩のように堅い男ならではの苦悩と色気が滲み出ています。
物語自体はジェイソン視点で進むので彼の苦悩も読みどころ。
こう書くと揉め事だけ?って思われるかもですが、問題が生じる前の、甘いラブシーンもちゃんとあります。
強面、鉄の男、氷の男サムのジェイソンにだけ向けられる優しさがいやー甘い。これもみどころ。(だからこそ後の葛藤に読み応えがあるわけですよ!)
同僚たちに恋人関係と知られている中での二人は、出張先とはいえちょっとオフィスラブっぽい趣きもあったりして。
他方で、サム狙いの可愛い系ハンサム君(しかも優秀そうだし!)が登場しちゃったりもして、この存在がまたチクチクジェイソンを刺激していたりするんです。
その上、前巻でジェイソンを襲った犯人についても不穏な情報が入ったりして、シリーズの最後に向けて、読み応えたっぷり!
凄く緊張感が高まる作品でした。続きが気になる!!