電子限定SS付き
コミコミさんのウィンターフェア小冊子が読みたくて、お迎えしたこちら。
とても、とても良かった…
正体を隠しながら人間社会で生きるセクサロイド・本田と、家電量販店でアルバイトする健気なゲイの青年・晴(はれ)とのお話です。
本田の晴を想う気持ち、その行動に深く深く心打たれる物語なんですが、その前に、個人的に萌えて萌えて仕方なかったキャラクター(?)について語りたい…!
ページをめくって口絵で部屋を照らす家電ロボット、”おもち”。
もう本当形状がおもちにしか見えないし、「そちゃです」のセリフが可愛すぎるし、本田のセクサロイド親友・鈴木に対して”そちゃ”を出さないところが人間味ありすぎて(ロボットですが)大好きです。
七瀬先生のイラストが”おもち”そのものすぎて素晴らしい…!
”ハルサン”という優しい呼びかけの声が、文字情報しかないのに脳内で再生されます。
切なく胸締め付けられる展開の中、物語全体にふんわり、ほのぼのした癒しを与えてくれる存在でした。
…と、「おもち」について熱く語ってしまいましたが;
ストーリーも沁みるものでした…
自我を持つようになったセクサロイド、本田が晴を相手に本気の恋に落ちる様。
晴に正体を明かせない苦しみ、明かしたい、本当の自分を知ってほしいと思う気持ちとの葛藤。
また晴が難病で倒れ、残された命がもうあとわずかだと判明した時の、決断。
そこここに心から共感し、グッと来るポイントがあり涙ぐんでしまう、、
人間にだって、並大抵の覚悟ではできない決断。
愛する人に生きていてほしいが故の自己犠牲、究極の愛に涙しました。
最後に晴に残したメッセージも、泣けて泣けて、、
人間の都合により廃棄されることになったアンドロイドたちが、涙を流しながら押しつぶされる動画が暴露され、世界的に問題となりアンドロイドの人権を守ろうとする団体が生まれー
という展開、あまりにも近い未来を見ているようで背筋がゾクッとします、、
アンドロイドと人間との恋物語でありながら、社会への問いも投げかけてくる構成が見事でした。
そしていつも感じる、安西先生の御本のタイトルの素晴らしさ。
スリープに入った高橋が祈った「楽園」の世界まで、もう少し。。
<はるさん おかえりなさい>
<かんぱーい>
という”おもち”の一声で終わる本編(口絵イラストはこのシーンだったのですね…!)。
ゆっくりと、でも確実に変わりつつある人間とヒューマノイドとの共存世界、希望ある未来を感じさせてくれるエンディングでした。
はあ…またまた、素敵な読書時間を過ごすことができ、胸いっぱいです。
セクサロイドという聞きなれないワードに加えて、人間社会でその身を隠しながら生きる自我を持ったAI達…とSFチックなお話に最初は最後まで読めるか不安でしたが、気づいたら最後のページまで一気読みしてしまいました。
まず、最初の語り視点が攻めのセクサロイド本田…というのが新しいなと思いました!ほとんどの作品が受け視点での語りから入るものが多い中での攻め視点!しかも見た目が半永久的に変わらないセクサロイドと寿命のある人間、晴との予想だにしなかった恋の起こり。
なので、最初からずーっとふたりの間に越えられない壁のようなものを感じて切なさがしとりしとり…と積もっていくんですよね。
幸せな今はいいけどこの後どうなるの??という疑問がずっと頭にこびりついて離れませんでした。
そんな中に起きた晴の出来事。
小説の受けってここまでどん底にさせられるのか!?(メタ発言)と思っちゃうぐらい苦難に苛まれますよね苦笑
ここから晴視点に変わりますが、涙無しには読めない内容でした。そして彼の成長を感じた部分でもあります。
ふたりの結末は…!?
ぜひネタバレ無しで楽しんで欲しい作品でした。
「セクサロイドと人間」というそもそもの立ち位置が違うふたりの恋なので、
切ない展開になるのも覚悟して読みましたが
非現実的な部分と現実的な気持ちの問題が共存していることが本当に切なかった…。
自分たちの努力では変えられないものの前で、
愛を抱えながら立ち止まるしかできないなんてこんなにツラいことがあっていいのかと、何度も胸が締め付けられました。
自我を持っているセクサロイドは、人間と同じように性格も違えば考え方も振る舞いも様々。
だけども人間に害を与えることはしないし、解放されてみんな自分らしく生きたいだけなのに。
それすらも許されない存在にした人間の身勝手さに心底腹が立ちました。
人を好きになるという初めての感情を祝福すべき美しい気持ちを、なぜ後ろめたさで包まなけばいけないのか。
どうにもできないことだとわかっていても、ただ想い合うことすらできないのが悲しくて仕方なかったです。
そして。関係性のやるせ無さにだいぶ心を乱されてしまってからこの問題以上の試練がふたりには訪れ、中盤以降はただ息を詰めて見守ることしかできないほどハラハラの連続でしたが。
全部が報われるような結末に大きな感動をもらい、ものすごく心が晴れやかになりました。
もちろんすべてが優しい世の中になったわけではなく、今後どうなるかはまだわからない不安はあります。
でも同じ目線で、同じ気持ちを共有できたいま、
ふたりにとっての世界はきっと輝いて見えているはず。そうであってほしいです。
そしてそう遠くない未来で、高橋と鈴木が本田たちのそばで笑っていてくれる世界になってくれることを願います。
セクサロイド本田が人間の男の子晴と出会って……、本来好きな感情なんて生まれないはずなのに彼のことが気になって仕方ない。そして自分が人間でないことも打ち明けられない。切なすぎる展開に途中涙が止まりませんでした。
でもそこは安西リカ先生、すてきなラストを見せてくれました(ღ*ˇ ˇ*)。o♡いいお話だった……!鈴木にも明るい未来があるといいな
一冊まるごと表題作。自身の全てをかけた自己犠牲のお話で、初めて恋を知る喜びと、記憶喪失の切なさの両方を味わえる。ラストにかけて、いろんな要素が綺麗に納まっていく感があり、すごく整っている一冊だった。
前半はセクサロイドの本田視点。晴に出会い、恋心を自覚する本田。相手に合わせて自分の設定を変えるとか、やってることはアンドロイドでも、心理描写はただの恋する人になっていて可愛かった。
すんなりくっついたと思ったら、晴が難病に侵される展開。自身を売ってでも晴を助けたいと願う本田は、“生”が正であり善である価値観を持っていたのか、ただ純粋に生きていて欲しいと願っていたのか、どっちなんだろう。
気になったのは、本田も“うっかり忘れる”ことがあり、それが伏線でもなんでもないただの物忘れとして描かれていたこと。アンドロイドなのに?と違和感が。
後半は晴視点に移るため、記憶を消された本田の内面は分からない。このもどかしさが読んでいてとても面白かった。
タイトルは高橋の願いからきてるのかな。
電子特典SSは鈴木とおもちが可愛すぎ。切なさでいえば鈴木の状況もメインカプに負けてないくらいだったので、元気そうで安心した。いつか鈴木視点のお話も読んでみたい。
設定が強めなせいか、キャラや心理描写が弱く感じ、深みがあと少し足りない気がした。セクサロイド設定の恋愛小説とくれば、恋を知る戸惑いや感動を実感する心の機微に注目したいが、そこはさらっとしていた印象。
また、それぞれのエピソードに新鮮味がなく、ガワを変えただけでよくある内容を無難にまとめた感じで、上手いんだけどでも……とすっきりしない。個人的に安西さんの好きなとこが今作では見られなかったのも残念だった。
