【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
戸田環紀先生の作品を読むのは「君の瞳に愛をささやく」に次いで2冊目になります。
今作はファンタジー色が強い作品だったと思いました。特に終盤です。
まずイラストが大好きな円之屋穂積先生だったのと、あらすじの「予言通りマックスと同じ紋様を持つ女性が現れ」で私の性癖に突き刺さって来たのです。
これ絶対に切ない展開だろうと確信しました。そして確かにそれを裏切らない展開でした。
切ない展開ながらもマックスとミランの出会いの様子やマックスのミランへの執着から、彼等が本当はどんな関係かを読者が嗅ぎ取れる様になってるのがとても秀逸でした。
ではあらすじにあったあの女性は何なのか?は、これも全く想像した通りでした。
それならどうしてマックスは彼女を番だと思ってしまったのかは、後に種明かしがされてなるほどと思ったのです。
ミランにマックスと同じ紋様が無いのに、ミランを思うマックスの気持ちに萌えたし、嫉妬に駆られながらもマックスを一途に思い護ろうとするミランにも萌えました。
じゃあどうして神評価じゃなくて、萌2に留まってしまったのか…それは黒幕のマックスに対する怒りがこじ付けに思えてしまったからです。
最後まで誰が黒幕か?誰もが裏切り者に思えて最後まで飽きずに読めました。
でもその為に黒幕の存在が取って付けたように思えてしょうがありませんでした。
人狼達の世界。
第二王子の攻めと騎士の受け。
幼い頃に王子と知らずに出会い親交を深めて、真実を知ってからは臣下として忠誠を尽くしてきた関係。
お互いに立場をわきまえていて主従としての距離感がもどかしい。
受けの忠誠が健気で一途で素敵だった。
攻めを守るのが受けの役目だとわかっていても守りたいし、庇ってしまう攻めの苦悩のシーンも良かった。
あと受けが大怪我をする度に傍らで手を握って泣いている攻めも萌える。
初めて出会った幼い二人が思わず耳と尻尾を出しちゃうエピソードも可愛かった。
ストーリーも面白かった。
人々の暮らしが発展して、国同士の争いが生まれて
大きな戦争を終えた後の話で、攻めは平和的な終戦の立役者なんだけど
その戦争がもたらした様々な被害が回り回って攻めを苦しめる結果になっていく展開が印象的だった。
戸田さんはブラジル在住のBL小説家です。前回のアーティスト×ディーラー(車の)のお話がとても良かったので、いつか南米の異国情緒あふれるリアルな作品を書いて頂きたいなと勝手に思ってます。
今回はガラリと変わって、獣人の王族×近衛騎士の話。ファンタジーで主従関係+幼馴染みでもあったということで様々な萌えが詰まってます。現王の第二位継承者の攻めが性悪な第一位継承者の兄サイドからたびたび命を狙われる設定で兄の回し者の裏切り者は誰か?というのがファンタジーだけど途中からのサスペンス要素になります。
人狼ものは妊娠設定がなければ嫌いではないですが、今回はラスト以外ではあまり設定が生かされてないというか人狼である必要性をあまり感じなかったので、もう少しシンプルに受けの切ない片想い+中世欧風ファンタジー&ミステリーでもよかったかな?と思います。
受けは挿絵も美しくエロく、攻めに守られるより攻めを守りたいという強い美形タイプなのが良かったです。攻めはカッコいいですが、最初は予言?に従って女性の番と生活を共にして(体の関係はない)受けを傷つけていたのが罪だなあと思いました。
まだ作品数は少ないのでこれからが楽しみな作家様です。
人狼の王国の第二王子マックス×近衛騎士団副団長ミラン。幼い頃からマックスに憧れ恋い慕いながら騎士として命を懸けて彼を守るミランが健気。幸せを願うも彼に運命のつがいが見つかってからの葛藤は辛かった。特にマックスが運命のつがいを庇う所はミランの虚しさが伝わり涙。王位継承権争いが激化しミランとマックスが仲違いしてもおかしくない状況でも、ミランを守ろうとするマックスはずっとミランを運命のつがいと信じていたのかも。マックスを信じ抜くミランと2人の絆に感動。ミランが運命のつがいになる為に強い愛が必須だったんだと思う。互いに愛を貫いた2人に拍手。あと正義は人によって違うと実感。人を傷つけず、安心して音楽を楽しめる国を2人なら作れると思う。ハラハラしたけど、ロマンチックな2人にときめきました♡
あら、神評価がお初だわ。
私、このお話は読んでいてかなり手に汗握ったんだけどなぁ。
だってサスペンス感が半端ないんですもの。
今作を読んで、戸田さんの持ち味は『ドキドキハラハラさせること』なのではないかと思った次第。ファンタジーとオメガバースという『あまり得意ではないもののダブル攻撃』的なお話だったのにも関わらず、盛り上がった盛り上がった。
こういうのも吊り橋効果って言うのかしら?
出版社あらすじに書いていない部分を捕捉すれば、マックスが暗殺されそうになること、彼が大事にしている者たちが命を狙われること。
後半のドラマを引っ張るのは『その犯人は誰か(動機は何か)』ということと『マックスの運命のつがいは現れるのか(ミランなの?違うの?)』ということ。
このふたつ、どちらも簡単に見当がつかないのです。
大どんでん返しが次から次へと襲って来て先が読めないというタイプのお話ではありません。ラストに至る半端ない緊迫感をね、絶えさせないように引き釣り続けるお話なんだと思うんです。
緻密なの。
最終盤(大団円エッチになだれ込む部分ね)まで、緊迫した空気を楽しみました。