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表題作彼と彼との家族のカタチ

是永湊,ネット通販会社社長,32歳
宇垣条(ジョー・津田),両親亡きあと祖母に引き取られた青年,20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「一瞬でもいい『特別』でいたい」育ての両親を事故で亡くし、妹と遺された宇垣条は、祖母を頼り日本にやってきた。さっぱりして気持ちいいほどの祖母と、彼女にプロポーズしてくる謎の男性・是永との不思議な生活がはじまる。居場所を与えられて、是永からの「愛しい」と感じる戯れに、求められたいと願うけど、真実を伝えられず、彼が望んでいる「無垢」な相手を演じてしまう条。後悔すると分かっていても、その腕を手離せなくて…。血が繋がらなくても一緒に過ごす、幸せのカタチ。

作品情報

作品名
彼と彼との家族のカタチ
著者
火崎勇 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
カクテルキス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784866694610
3.5

(10)

(1)

萌々

(4)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
34
評価数
10
平均
3.5 / 5
神率
10%

レビュー投稿数5

Foster Care 

紹介文が、ちゃんとした日本語になっていない、意味不明。
・・この本は、紹介文で損をしているんじゃないかと思った

「家族」のありかた・・について問いかける、深い内容のBのLだった

発売日 ‏ : ‎ 2022/1/18 と、最近の作品なのに、unlimitedに出ていた本。
・・広告代わりの自信作なのかな、と思って読む。

unlimitedで読んだ限りだけど、
火崎先生の作品は、TLのほうが軽い読み切り型が多い。

---
養父母の事故死から物語が始まって、条の回想という形で経緯解説を挟みいれる、
凄く上手な構成で、解説部分が邪魔になってない。
徐々に明らかになる、条の過去。
静かな文調なのは、主人公の条が、生きる夢を持っていないから。

血がつながっていなくても、想いがあれば、血縁以上の信頼関係を構築できる、
テーマは、「血が繋がらなくても一緒に過ごす、幸せのカタチ」
登場人物の夫々が、欠けた家庭事情を持っていて、
「自分の居場所」と「受け入れてくれる人」を求めている、という設定。

--
●宇垣条:20才。養子。(ジョー津田)
生き地獄から宇垣に救いだされる。実親の虐待は熾烈、義務教育も受けていない。
アルバイト先で見かけた宇垣が、Foster Careを申請、保護して養子に。
養父母が事故死、父の同僚弁護士ロバート・カトウが事後処理を行い、
みゆを守るために日本へ同行する。

飛行機事故でみゆの両親=条の養父母は死亡。
●宇垣:弁護士。15年前、大学在学中に留学、そのまま永住申請。
●宇垣の妻:日系アメリカ人。
 、
●みゆ:5才。宇垣の子。両親の死を理解できない。
 
●宇垣勝子:70代 みゆの祖母。元タツミ芸者、
夫を早く亡くした人。軽度の肺気胸の持病持ちで、飛行機に乗れない。
達観した人生観を持っている。

●是永湊:32歳 通販会社社長
父は有名な芸術家。物は与えても愛が無い。
両親はネグレクト、中学生の頃、湊を放置してフランスへ渡航
勝子の老後の面倒をみたくて、家族になるために結婚を希望。

★番外編SS
みゆのキャラ弁を作る条。
是永の、お弁当への郷愁。ウインナーのたこ。
・・家庭愛に飢えた是永は、ウインナーに大喜び。

1

受けの過去が過酷。

受けの過去が予想以上にキツかったわ……。

攻めは当初、受けを引き取ってもらった祖母に「プロポーズしてくる男」という謎の登場の仕方なんですね。
超熟女好きなのか?と思いきや、そこには予想外の想いがあって……。

家族に恵まれていなかった人たちが集まって、「家族」となるというお話で、読後感は良かったです。

あらすじにもある「一瞬でもいい「特別」でいたい」と願う受けの条の気持ちが切なくて、グッときました。

ーーー
地雷避けのために書いておきます。
受けは、幼い頃からヤク中の親にウリをさせられていました……。



0

大切な人と共にいるために

今回はネット通販会社の社長と
妹ともに祖母に引き取られた青年のお話です。 

家族に恵まれなかった受様と攻様が新たな家族をなるまで。

受様はロサンゼルスに住む20才の青年でしたが
両親が飛行機事故で亡くなって5才の妹と残されます。

受様は勤めをしているわけでもなく
1人では何もわからない状態でしたが
父の同僚の力を借りて妹とともに
日本に住む父方の祖母の元へと向かいます。

初めて会った祖母は着物の似合う細身の美人ながら
言葉使いがきつく怖い人なのかと思われましたが
どうやら素っ気ない言動は照れ隠しのようで

受様と妹の祖母宅で新しい生活を始めるのですが
なんと祖母にはかなり年下の求婚者がいたのです。
この求婚者こそ今回の攻めになります♪

攻様は祖母宅の隣に住む32才、
ネット通販会社のイケメン社長です。

攻様は出張から戻った足で祖母宅にやってくると
玄関を開けた受様に「今日こそ結婚してくれ」と
薔薇の花束を差し出してきたのですよ Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

攻様の行動を祖母は「くだらない」と
一蹴して夕飯の席に招くので2人にとっては
日常茶飯事らしく見えますが

果たして祖母に求婚する攻様の真意とは!?

両親の死で日本にやってきた受様と
受様を引き取った祖母に求婚している攻様の
恋物語になります♪

火崎先生はいつも片視点で物語を書かれるので
視点者が相手の言動が読めない事で
読者が視点者と一緒にグルグル、ハラハラできて
大好きな作家さんです。

今回は久しぶりの新作でしたが
タイトルとあらすじとカバーイラストのイメージが
イマイチ噛み合っていなような感じがして
どんなお話なのかとワクワクで読み始めました。

受様視点で進むのですが
受様の言動が微妙におかしいというか、
ちょっと普通と違う違和感を感じました。

それはアメリカ人として生き
初めて日本にやってきたからなのか
と思っていたのですが、さにあらず!!

徐々に受様の過去が見えてきて
それを知った攻様の過去が明かされていき
攻様が受様の祖母に求婚した理由も明かされていきます。

心に傷を負い、自分は欠けた人間だと自覚し
他人とは違うと感じながら生きなければならない辛さに
胸がつまりました。

受様は似た傷を持つ攻様に徐々に惹かれていくのですが
実は受様には秘密があってすんなりとはまとまらず
どうなるの事かとハラハラが止まりませんでした。

2人が共にある事で幸せを掴める結末を迎えて
良かったです。

0

ゔーん

火崎先生の過去作「好きなら一緒」「好きなら一緒 にっ」辺りまでは好きで良く読んでいたのですが、いつの頃からか遠ざかってしまいました。最近は何となくピンと来ない作品が多いんです。

でも小説Chara vol.44 2021年 7月号に載ってた「やり直すなら素敵な恋を」がとても面白かったのですが、他レーベルだしまだ書籍化してないのが残念です。

ここ最近不憫受の作品を立て続けに読んでいたのですが、どうも受の思考回路が好きになれない作品ばかりで、こちらの作品の条の事も好きになれませんでした。アメリカ育ちだからあんな物言いなのでしょうか?不幸な生い立ちと言うよりは、アメリカ人だから明け透けな感じに見受けられました。アメリカ人だって色んなタイプが居るのにと、まずそこが引っ掛かりを覚えました。

そして条が是永に惹かれて好きになってしまう要素は沢山ありましたが、是永がそこまで条に惹かれる理由がとても弱かったと思いました。
作中では是永の口からちゃんと条に伝えられているんですけど…。

途中で飽きてしまって苦痛に感じてしまいました。例え悲惨な生い立ちであろうと、ずっと後ろ向きな考えの持ち主の話は萌えられません。

ほぼ中立ですが是永が最後に頑張っていたのと、祖母の勝子さんがとにかく気持ちの良い人だったので萌にしました。

火崎先生は元気のある受の作品に魅力があると思います。

それこそ、あとがきの2人がくっ付いた後の先生の妄想?的な話の方が面白そうでした。
「家族」がテーマなのでしょうがないと思いますが、暗くて重い話からこの内容に切り替わってたらもっと面白かったかなと思います。

1

王道のストーリーではあるが

あらすじと金さんの描かれた優しい表紙に釣られて購入。
ほのぼので温かなストーリーをイメージして手に取りましたが、良い意味でその予想を裏切られる、心にジーンと染み入るお話でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







アメリカに住む20歳の条は、飛行機事故で両親を喪ってしまう。
20歳ではあるもののまだ5歳の妹・みゆを伴いこれからどうしようかと思い悩むが、弁護士だった父親の友人から、日本にいる父方の祖母のもとに身を寄せることを提案される。両親を亡くしたばかりの妹のことを考え日本に行くことを決意する条たっだが―。

さすがベテラン作家さま、というべきか。
序盤から伏線の張り方が凄い。

視点はずっと条で描かれていますが、「宇垣(条の性は「宇垣」です)の両親」という書き方がされてるんですね。なんでそんな書き方?と思うわけですが。

条と両親の関係は?

と不思議に感じるのですが、そこにさらに「?」と思う出来事が起こります。
祖母・勝子に求愛している男性・是永の存在。勝子さんは綺麗な女性ではありますが、それでも条たちの祖母なんです。それなりのお年を召している女性。

が、そんな彼女に32歳のイケメンでお金持ちの是永がプロポーズしている。

んー。
どういうこと?

とか思いつつ読み進めました。

条と是永。
年も、環境も異なりますが、彼らは親からの愛情に恵まれなかった、という共通点がある。二人の子どもの時の境遇はまさに劣悪で、特に条はもう可哀想で可哀想で…。そして、その「過去」が、今もまた、条を縛ってしまう。心に枷を嵌めてしまう。

このストーリー展開が素晴らしく秀逸です。

条の子ども時代は哀しいものですが、けれどストーリーとしてはシリアスに振り切った作品ではありません。勝子さんがとにかく男前。カッコいいです。彼女の男気にぐいぐい引っ張られていく展開であることがまず一つの要因かと思います。

そして何より、是永さんの条への愛情が透けて見えているからかも。
自分と同じように薄幸な子ども時代を過ごした条への思いが、少しずつ変化していく様が手に取る様にわかる。

はじめは「条」という青年の素性が分からず、勝子さんに危害を加えることがないだろうかという警戒心。
そこから薄幸すぎた少年への憐憫の情、少しずつ心通わせていくうちに見えてくる条の強く逞しく、そして優しい心根を知り。
それが愛情に変わっていく。

そんな是永さんの感情の機微の描き方が素晴らしいです。

一方で、条視点で描かれているお話なので、条の感情は読者に提示された状態で描かれています。が、彼がどうしても隠したかったこと、が露呈していく様が可哀想で…。自分を愛し、受け入れてくれる人がいること、その場所。子どもなら当たり前のように両親から与えられているその場所を、求めて必死に踏ん張る条が健気で可愛くって、応援したくなる。

今作品は、タイトルにもついているように「家族」という言葉がメインにあるお話です。家族って何だろう、血の繋がりって何だろう。普通って何?

そんな問いを、読者に投げかけている、そんな1冊でした。

薄幸で健気な受けちゃんが、スパダリな攻めさんに愛され幸せを手に入れる。
まさに王道のストーリーですが、攻めさんにも欠けた「何か」があり、それゆえにありきたりなストーリーではなく奥行きのあるお話になっていたように思います。

3

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