• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作気難しい王子に捧げる寓話

オズワルド・メルシア
エセルの元小姓で今は子爵,27歳
エセル
ルスキニア王国の王太子,21歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「薔薇の聖痕」を持つ王子は、伝説の英雄王の生まれ変わり──。国中の期待を背負って甘やかされ、すっかり我儘で怠惰な暴君に育ったエセル。王宮内で孤立する彼の唯一の味方は、かつての小姓で、若き子爵のオズワルドだけ。宰相の地位を狙う野心家は、政務の傍ら日参しては甘い言葉を囁いてくれる。そんな睦言にしか耳を貸さないエセルの前に、ある日預言者のような謎めいた老人が現れて!?

作品情報

作品名
気難しい王子に捧げる寓話
著者
小中大豆 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010576
4.7

(282)

(231)

萌々

(34)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
39
得点
1321
評価数
282
平均
4.7 / 5
神率
81.9%

レビュー投稿数39

印象がぐるんぐるん変わっていく

構造としては回帰モノと似たようなお話。凄惨な未来を視た主人公が、生き方を変えていく。メイン二人の印象がぐるんぐるん変わっていき、感情に振り回されながら読んだ。とても面白かった。

エセルは冒頭から酷い態度で、これはドン底に落とされる主人公、と思った。その落とされ方が人為的な攻撃とかでなく、自分自身の未来の姿なのが良い。自分に怒りを向けるしかない状況で、急激な成長を遂げる。

そんなエセルの変化についていけないオズワルドは、いつまでも表面しか見ようとしない。エセルの想い人として見るとモヤモヤするが、エセルのそばにマルジンがついたことで、仕事面でエセルはオズワルドを抜かしていきそうな気配が見え、まあいいかとなった。追う者と追われる者が逆転しそうだし。

オズワルドが取り繕うのを止めてからは、国の立て直しの話になり、楽しく読んだ。それにしてもまさかマルジンが恋していたなんて。BLなのでエセルとオズワルドがくっつくのは見えている、こんなに良い人が失恋確定か、と辛かった。

細かなエピソードは回帰・転生系(男女モノ)でよく見た内容。小中さんて組み立てが本当に上手く器用だと思う。既視感があっても楽しめる。現状を変えるための計画が論理戦っぽかったのは好みの展開。結局は物理的な排除で終わったが。

その後のBLは、オズワルドが甘々になっていて驚いた。途中で描かれていた、深い憎悪と共にある執着と恋慕といった狂気をエセルの前でも見せて欲しかったかな。

電子限定の短編は、二人がくっついた翌朝の様子をマルジン視点で綴ったもの。二人のつやつやぶりに笑いつつ、胸の痛みを耐えるマルジンに泣く。この短編めちゃくちゃ好き。

0

高評価通り!

いやぁ、面白かったです!!
それぞれの人間模様と変化と成長と、
ふたりが心を通わせていく様が
じっくりと書かれていて文句なしのハピエン!
一回きりのエッ描写が大変貴重で最高でございました。
BLだしエッチは重要だけど、少なくても問題無し!って思えるくらいお話自体が面白かったです。
そこそこ長いけど、ラブ以外の政治の話は完結にまとめられているので中弛みもなし。
ダメダメ過ぎ王太子が真実を知り人が変わったようになって、オズワルドへの態度が健気でかわいくて
きゅんきゅんしました。
全貌がわかった上で再読したいです。

2

BLを超えた大作

小中先生の中で一番好きな作品。
攻めキャラが腹黒くて、主人公のことを嫌っていたところからスタートするのが面白い。主人公も健気だが、ちゃんと王子としての役割と割り切って攻めと接しているところが、女々しくない受けでとても良かったです。もっと長く読んでいたかった…と思うくらい名作です。

1

寓話を読んだような感覚

 両親から愛されなかった我儘王子の人生やり直しストーリー。
 魔法使い系の人物に悲惨な未来や死に際の光景を見せられ、それを回避するために心を入れ替える、という設定は、死に戻りとほぼ同じ。
 王子のエセルは唯一の心の拠り所だった元近習のオズワルドが、本心では自分を嫌っていて、出世のために自分を利用していただけだと知り、一度は彼への好意を捨てようとします。

 攻めも受けも、こういう生い立ちでこういう環境にいてこんな経験をすれば、こんな人物になる、という人物の描き方がすごく納得がいって、モヤモヤせずに読むことができました。

 その分、BL的な萌えは薄めでした。
 オズワルドが置かれた環境だけ見て甘ったれ王子を嫌悪する気持ちもわかるし、何人も愛人を作りながら王子の好意を利用してのし上がろうとする彼に攻めとしての魅力を感じないから、王子の切なさにも共感できない。
 オズワルドのエセルへの感情は、「愛憎相半ばする」という感じなのかなと思います。
 最後はエセルをかばって刺されたりして、献身ぶりがうかがえました。

 これだけこじれて、反省と人としての成長を経てハッピーエンドに着地させるストーリー展開は、さすがだと思います。
 このお話自体が寓話を読んだような感覚でした。

2

不思議度合がちょうど良い

エセルの使用人たちへの仕打は本当ひどくて(なんなの?こいつ)て思うんだけど、内心で止めてもらいたがっていたり、後悔していたりと気難し屋としてはなんかやや小者感があって、なんかそれこそ寓話で言ったら最後ボロボロになるワガママ姫みたいな振る舞いなんだけれど、彼は王太子だから、姫じゃないから、そんな感じなのは国にとっては激ヤバなのよね

祖父ら七侯と、大好きなオズワルドに国を任せっきりになるハズだったけれど、不思議な出会いによって啓示を受けてちゃんとした王にならなくちゃいけないと急に頑張っちゃう
見せられた内容からあのように変わるってのは、やっぱり初めから愚鈍ではないし情のある人だったんだと思う
オズワルドも野心があるけれど、それは政治を正しく行いたいだけで、私利私欲とは違うみたいだし、やっぱり2人はバラとイラクサの運命
だけど、ジワジワと王と王太子をダメにするって、過程がすごい怖い
死んでも誰も悲しまないような人物になり果ててから死ぬんだもん
甘やかし教育から遠ざけることで愛されない人間を育て上げるってのも怖い

奮起するのが遅すぎず、始めてから取ったどの行動も間違えなかったエセル、頑張った!偉かった!

この作者さんのお話は不思議の度合がちょうどよく、難しくないのに強引すぎでもないので、自分で理解や発見をしたような気にもさせてくれつつ面白く読めた

3

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP