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表題作魔王様の清らかなおつき合い

峰守重次,IT企業に勤務するサラリーマン,30歳
三城悠真,ゲイバーの店員,24歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

確かに「お友達から」とは言ったけど手も握らないなんて見掛け倒しかよ!!

ヤクザ顔負けの眼光で、高級スーツを身に纏う男から深夜に呼び出し!! しかも愛を告白されてしまった――!? ゲイバー店員の悠真(ゆうま)を待っていたのは、「魔王」と呼ばれるほどコワモテな常連客・峰守(みねもり)だ。「お…お友達からお願いします!」恐怖のあまり遠回しにお断りしたつもりが、まさかの快諾!! 何か裏があるはずだとデートに赴くけれど、行先は動物園や映画館など、健全な場所ばかりで!?

作品情報

作品名
魔王様の清らかなおつき合い
著者
海野幸 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010569
4

(74)

(24)

萌々

(32)

(13)

中立

(5)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
15
得点
292
評価数
74
平均
4 / 5
神率
32.4%

レビュー投稿数15

No Title

 攻めから告白された受けが「友達からなら」と言ったせいで、攻めが一切そういう雰囲気を出してこなくて焦れる。
 デート先も動物園だったり映画館だったり、そして夜になる前に解散。夕飯に誘って酒を一緒に飲んでも、ホテルに連れられることはない。受けが遠回しに「攻めの家に行きたい」と言っても「散らかってるから無理」と断られて撃沈。
 告白してきたのは攻めなのに、受けの方が追いかけてる。なんなら受けが距離を詰めようとすると攻めに躱される……みたいな、ミイラ取りがミイラに状態のカプです。
 今までの恋人はみんな「思ってたのと違う」って受けを振っていく。でも攻めだけはそんなこと思わなくて、って話です。
 身長が高くて強面の攻めが、お酒弱くてカシスオレンジを飲んでいたり動物好きというギャップに、心の中で「可愛い可愛い」悶えてる受けが可愛い!

 なんだかんだあって、ついに友達から恋人へ昇格瞬間の雰囲気のエロさ! セックスしてないのにエロい!
 付き合って直ぐに難題が降りかかって、すれ違い状態になる。
 相談に乗ってくれるヨシミママと圭介が良い人。

 余談ですが、途中で出てきた唐揚げ専門居酒屋にすっごく行ってみたい。チーズとトマトソースのかかったイタリアン唐揚げ、マスタードとケチャップがかかったアメリカン唐揚げ、麻婆豆腐がかかった中華唐揚げ……この唐揚げ屋が現実にも欲しい。

0

とっても素敵なおつき合い

海野先生は、ひとつのテーマにとらわれず本当に幅広い作風で数多くの作品を書かれている稀有な作家さんだと思うのです。
その中でも、日常の中にあるありふれた物事をBLの中に落とし込みながら丁寧に掘り下げている、こういったテイストのお話が1番好きかもしれないなと感じた1作でした。

「女性は甘いお酒が好き」だとか、「男性はシトラス系の香りが好きだろう」だとか、世間一般に蔓延る謎の決めつけやイメージってありませんか?
金髪から黒髪にした途端に道行く人からぶつかられることが多くなったり、身長の高さや低さだったり…外見の印象で人から態度を変えられた経験はないですか?私はあります。

魔王のような強面で誤解をされやすい峰守と、性格とは異なる柔らかすぎる印象を持たれやすい悠真。
タイトル通り、外見的なイメージから誤解をされやすい2人が清らかなお付き合いをしていく。
きっと怖い人に違いない。きっと優しいに違いない。
こちらの作品は、まさにその無意識の決めつけや分類、己の認識とは異なる他者からの評価という居心地の悪い息苦しさなど、非常にリアルなテーマを扱った作品でした。

口数は少なく目付きは鋭い。威圧感を与えてしまう大きな体躯に、纏う服は黒ばかり。
確かに峰守という人は、世間一般的には怖い人なのかもと思われてしまいそうな人なんですよ。
今作の受けである悠真もそう思っていたところからスタートするわけで。
ただ、このお友達付き合いをする内に印象がどんどん変化していく様がとても初々しいやらかわいらしいやらで仕方がないんです。
峰守という人のギャップにやられること間違いなし。
こんな攻め、愛おしいったらないですよ。

と、2人の焦ったいほどに初々しいお友達お付き合いの中の、なんてことはない食べ物ひとつだったり、作中のあちこちにテーマに沿った小さな仕掛けがさり気なく施されているものですから、悠真視点で楽しく読んでいる内に自然と自分の中にもハッとする気付きがあるんです。
気が付けばいつの間にか海野マジックにかかってしまっているなんて体験が出来たのも面白かったですね。

恋の行方が性急さとは真逆だったのも好みで、すっかり2人のことが好きになってしまいました。
作品全体の雰囲気はコミカルかつかわいらしいもので、笑いありギャップあり萌えありの軽めの読み口で読みやすいです。
けれど、それだけではない深みと優しさがある素敵な作品でした。

0

魔王様は近所にいて欲しい

ギャップ萌。まさにその言葉がふさわしい!
受けの悠真が峰山に対してギャップ萌してしまい、好きになっちゃうとこは王道なんですが、このお話は逆もそうなんですよね〜。

峰山の方も最初は明かされませんが、天使のような接客でプロを感じたり、見た目の可愛さではないところに一目惚れしちゃう。

読んでる方は、じれったい二人なんですが、悠真の「こんな自分を知ったら幻滅されそう」という思いから、なかなか関係を進められなかったりするのはいじらしい。
そして、必死で抑えてた峰山のぞっこん度合いが凄い。実はとても重い愛情で素敵♪

軽く読めて、エロ少なめ、BL的王道なので初心者でも入りやすいストーリです。

0

ギャップがあるから恋に落ちる

方や天使、方や魔王と言われてしまう外見と内面のギャップに悩み
自分をさらけ出したいと思いつつも相手の理想に沿うべきか手探りで気持ちを育てる二人のお話

特に強面な攻め様が持つギャップが普通でリアルでやりすぎないところが良かったです
この2人外見と中身を交換したら外見の印象と中身が一致すると言うことだったのかもしれません
でもギャップは人間は恋に落とするファクターなのでこれでいい気がします

自分が求められている姿から逸脱してしまうことが怖いと思いながらもそんな自分を抜け出したいと思っている受ちゃんが
攻め様と出会い変わっていく
攻め様も密かに抱える自分のコンプレックスを受けちゃんが受け止めてくれて前向きになる
出会うことでお互いの関係だけでなくお互いの人生も豊かにできる関係なら最高かな
外見や性格など自分のコンプレックスを相手の存在が受け止めてくれる心地よさもあって読んでてにこにことなるお話でした

0

めっちゃ好みでした

タイトル(と表紙も)で誤解していて、あらすじ読んだら現代ものかい!と早速読みました。すごい好みで大満足でした。
タイプとしては、「悪い男には裏がある」に近い気がします(こっちも大好き)。

あー、こういう本をたくさん読みたい…
こういう話がたくさんある世界線に行きたい…
(異世界物に食傷ぎみなのにこの希望を書くという矛盾よ)

海野さんの話って毎回ちょっとした謎というか秘密というか、読者にも伏せられてる事柄があったりするのですが、いつも外し気味な自分が今回は見事に当たって嬉しかったです!(皆さんはもしかして簡単に思い当たっているのかもしれないですけどもw)

3

外野がうるさい

ゲイバーの常連客である峰守(攻め)に、こっそりつけられた仇名は「魔王」。
この人がいわゆるギャップ萌えのお手本みたいなんですよねー。

ヤクザの若頭かというコワモテなのに、動物大好き、甘いもの大好き、お酒はあまり飲めないみたいな。
知れば知るほど、きゅきゅーんときちゃうようなタイプ。
なので、もっともっと攻めを堪能させて欲しかったなぁというのが正直な感想。

ただし主人公は受けの悠真で、どちらかと彼が抱えている葛藤とかに主体が置かれているので、単純にギャップ萌えを堪能するような作品ではないんですよね。
ギャップ萌えも、あくまで物語を構成する要素の一つでしかないというか。

海野さんの作品を読んでると、色んな要素が一つ一つパズルのピースのようになってて、終わりのほうでパチンパチンとはまっていくような感覚を覚えます。

例えば、「天使のような容貌を持つ悠真が元カレに頭突きくらわせた場面」という最初に登場したピースが、最後のほうで「目撃」というピースと組み合わさって、おぉそういう絵になったかぁ!みたいな。

なかなか面白かったけど、読み返すかなぁというと微妙……
というのも、ゲイバーのママや店員が、ひたすら峰守の外見のみで判断してる様子にイラァっとしてしまって。
「街角で見かけたおっかない男」程度なら、臓器売買組織の売人かもしれない?!と心配するのはわかるんですよ。

だけど、峰守は常連客。
そりゃ顔は怖いけど他の客に絡んだ事もないし、素行の悪さが垣間見えたりしたことなんかなくて、お行儀よくただただ静かに飲んでるだけの優良客ですよ。
なのに、あそこまで不審者扱いしなくても良くない?

峰守の素がわかりつつある悠真が「そんな人じゃないんだよー」と言っても、「騙されてるかもしれないわよ!」みたいな事をしつこく言ってて、コイツら接客業のくせして全然見る目ないなーと思ってしまいました。


1

遠回りな恋

コメディっぽくて笑える所もありながら、悠真の心情には切なさを感じる事もあり面白かった。
この2人は似た者同士だと感じました。今までの経験から傷ついた事がいっぱいあるけど、2人が出会って、この2人だから勇気を持って前に進めるのかなぁと。言葉が足りなくて、好きだからかっこつけてしまって遠回りしたけど、そんな所も可愛い2人。やっとで結ばれた時は拍手。遠回りした分めちゃくちゃ幸せになれそう✧*。
周りを固めるヨシミや圭介も味があって良い。
海野先生の作品は初めて拝読しましたが、表現が個性的で豊かで読んでいて楽しかった。小椋先生のイラストも優しくて可愛かった♡

3

真面目に恋愛してます

ゲイバーでアルバイトしている見た目天使な主人公と、そこに通う目つきの悪いコワモテ客の清らかラブストーリー。こういうお話、ホッとします笑

作者様の笑いのセンスがところどころに発揮されていて、フスフスと笑いながら読み進めました。ところが一皮むくと、ドッカンドッカン会場を沸かすような一大エンターテインメントとは真逆を行くといいますか、キャラクターの心情変化をじっくりと追っていくタイプの、とても真面目なお話だったなぁと読後にあらためて思った次第。

テーマとしては、人って見かけによらないよね〜っていう、けっこう無自覚に陥りがちな偏見を切り口にしたもの。見た目や雰囲気だけでその人をジャッジしまうのって、ジャッジする側がそれまでの人生で知りうる経験則でしか判断できてないってことでもある。だから、お互いに思っていること(しかも、本音)を伝え、うちとけていくことで見えてくる相手の意外性にときめいたり、おおーっ!て感激したりできると嬉しいし、それまで決めつけてしまっていたことで死角になっていた世界の一隅が照らされる発見や楽しみがあります。頭ではわかっていてもなかなか自覚できなかったりするので、物語を読んだりすることであらためて気づかせてもらえるんですよね。

悠真と一緒に峰守のキャラを探るのが楽しかったです。読みながら、キャラも、キャラの向こうに透けて見える作者様のことも、絶対裏切らないだろうと信じてはいるんですよ。いるんですけど、ヨシミさんと圭介がまたやいのやいのと妙なアドバイスをしてくるもので、そこでえっ、もしや?なんて疑ってしまいました笑

小椋ムク先生のイラストもたくさんあって嬉しかったです。動物入りのパターンはめちゃくちゃ可愛いいし、最後の一枚は色っぽいしでとっても楽しませていただきました。

キャラ文庫のBLは根が真面目なのか?みんな真剣にラブしちゃってませんか?個人的にはなるべく変わらないで欲しい路線ですし、そこがレーベルカラーの好きなところなんですけどね。

4

表情

先生買い。「この表紙のぶすくれた表情最高、絶対好きなパターン」と思って購入しました。想定通りでした。楽しい。あとちょっとインパクト大な何かがあれば嬉しかったんだけどなと思うので萌にしました。本編240Pほど+あとがき。海野先生の既刊お好きな方でしたら安心しておススメします。

イベント企画会社に就職したんだけど上手くいかず退職、ゲイバーでアルバイトをしている悠真(ゆうま)。色白でお目々くりくり、唇は桜色で、ビジュアルは天使な悠真、あれこれお付き合いするものの、見かけと違うという理由で長続きしません。ある日店で「魔王」と呼ばれているおっかない男から「店が終わったら会いたい、公園で待ってる」と言われ・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ヨシミ(店のママ♂)、圭介(店のアルバイト)、受けの元カレぐらいかな。ヨシミママも圭介もほんといい人。

++攻め受けについて

攻めはまじで怖い。ヤさんかと思ったぐらい、モノクロ挿絵も怖い。ビジュアルでは怖すぎて、惚れるところは無し。かっこいいんだけどなあ。中身はいたって全うなくそ真面目人間とでも言えばよいのか?「お仕事しっかりできます」な、超優良物件です。この後、もうちょっと柔らかい雰囲気を出せるようになったら、男が惚れこむ男になると想像されます。

受けはビジュアル天使であるが故に受ける周りからの期待値と、ほんとの自分とのギャップの扱いにやや苦戦しておられた方。彼氏が目の前で別の男を口説き始めたのを見て痴話げんかになり、頭突きかましてしまうような男前な方でした。

受けの方のギャップは笑うという感じではないのですが、攻めの方のギャップはとにかく面白かったでした。誰がこんないかつい男がデートで動物園に連れていってくれて、小動物撫でて喜ぶと思います?前半おかしくて、笑いこらえるのが大変でした・・。

攻め・受け・お話、3つともなんとなく想定されたもので、楽しく読むことが出来ました。とにかくギャップがあるお話が好きという方でしたら楽しく読めるのではと思います。

2

正反対な2人の恋

今回はIT企業勤務会社員とゲイバーのアルバイトのお話です。 

受様がお友達から始めた攻様と恋人になるまで。

受様は小柄で優し気な顔立ちで天使と呼ばれますが
実際は奥手でも純情でもありません。

大手イベント会社で就職するも
受様の見た目で判断した先輩社員の偏見とやっかみで
2年目で辞表を出す事になります。

1月前から気のいいゲイバーのママのところで
アルバイトをしながら就活中ですが
2週間前のクリスマスには浮気をした恋人と
別れたところです。

そんな受様ですが最近よく来るある男性客に
「店が終わってから会えないか」と言われて
愕然としてしまいます。

この客こそが今回の攻様です♪

攻様はがっちりした強面の男で
最低限な言葉しか喋らず、横柄な響きは有りませんが
一介のサラリーマンとは思えず、
秘かに"魔王"というあだ名で呼ばれています。

受様は呼び出しを無視することは出来ましたが
行かずに因縁を付けられたらと恐ろしく
嫌々向かった受様を待ち受けていたのは
攻様からの告白だったのです!!

しかも攻様は本気で緊張していて
受様は普通に断ってもよさそうにも思いますが
反撃される疑念は捨てられません。

受様は迷った挙句に「お友達から」と
遠回しなお断りの常套句を口にするのですが
攻様には「改めてお友達からよろしくお願いします」
と言われてしまうのですよ(笑)

果たして受様は攻様と友達のままで終われるのか!?

見た目と中味にギャップのある受様と攻様の
ドタバタラブコメディになります♪

まずカバーイラストからして
"魔王"だろう攻様がかなりあやしく描かれていて
どんなお話だろうとワクワクで読み始めました。

受様は小柄で童顔ゆえに純な天使と思われがちですが
浮気した彼氏と乱闘騒ぎを起こすほど
軟でも純でもありません。

対する攻様は強面の顔と雰囲気から
ヤクザの幹部か裏社会の人間かと思われるほど
堅気には見えませんが

強面の自分がどう思われているか知っていて
そんな状況の中でも自分らしくあろうとし
他人もありのままに受け入れようとする
懐の広い人なのです。

受様とのデートでも攻様は周りを気遣いながらも
自分の気持ちに正直に行動していて
受様が何をしてもそのまま受け止めてくれます。

受様は素のままの自分を受け止めてくれる攻様に
徐々に惹かれていくのですが、
そうすると攻様が受様に手を出さない事に加えて
自分の事をあまり話さない事が気になりだします。

どうして何もしないのだろう?
どうして自宅に招いてくれないのだろう?

そんな受様のぐるぐると
受様自身もまた見た目の印象をぬぐい切れず
攻様を信じきれなくなっていく展開にハラハラしつつ
2人が結ばれるまでとても楽しく読ませて頂きました。

人は見た目が全てではないけれど
見た目にもその人の心が現れるのだからと
否定をしない考え方が素敵だなと思いました。

小椋先生のイラストも物語世界にぴったりで
とても良かったです (^-^)

2

見た目じゃわからないもの。

海野先生と小椋ムク先生のイラスト。
とても楽しみにしていました。

受け様は、ゲイバーでバイト中の悠真。
可愛らしく天使のような見た目から、侮られたりナメられたり。
恋愛では、大人しそう純情そう、という勝手な理想を持たれた挙げ句、イメージと違う、とフラレたりと、苦々しい思いをしてきた。

攻め様は、ゲイバーの客で、強面で長躯、寡黙な上いつも黒尽くめの格好なので、スタッフの中で『魔王』という渾名をつけられている峰岸。

峰岸から告白され、断ったら何をされるか、という気持ちから“友達から”と返事をしてしまった悠真。
週末に会う約束をして連れて行かれたのは動物園。
魔王な強面の峰岸が、モルモットをそっと抱いたり、強面の自分を知っていて周囲に気を遣っているのを知って、好感度が上がる悠真。
健全な時間に解散となり、峰岸が本当に友達から始めているのに、複雑な気持ちになってしまう。
地団駄を踏みそうな悠真に、笑っちゃいました(^.^)

自分の見た目を気にして、就活に消極的な悠真に、君の見た目は武器にもなる、と背中を押す峰岸。
確かに、短所は長所ともなりますものね。

このままじゃ友達のままだ、とジレジレした挙げ句、悠真がやっと告白しようって時に、元カレが。
峰岸が、ビシッと言ってやったのが、めっちゃスッキリでかっこよかった(≧▽≦)
惚れ直すわ~。

素の自分をさらすのは、見た目とのギャップがあるほど、勇気がいるものなのでしょうね。
見た目通りを期待されて、勝手にイメージと違うってガッカリされたり、そのギャップにきゅんとなったり。

相変わらず、海野先生の書かれる2人にきゅんとなり、我が身を振り返ってみたり。
とても楽しく読ませて頂きました( ´∀`)


イラストは、小椋ムク先生。
口絵の表はコミカルだけど、めくった裏はきゅんでした(^.^)
峰岸の魔王な表情、優しい表情、とってもいい(≧∇≦)b
電話シーンの悠真も可愛くて好きです。

7

二人の天使

ゲイバーで働く悠真と、そのお店のお客さんの峰守との恋愛と二人の成長のお話。
タイトルに「魔王様」ってありますが、本物の魔王様は出て来ない、現代物のお話です。

悠真は可愛い天使のような見た目のせいで
純真そう、大人しそうと勝手に思われて、ナメられたり下に見られたり幻想を抱かれがち。
実際は気が強くはっきりした性格なのに。
そのことで恋愛や仕事がうまくいかず、恋人と別れ仕事を辞めてしまった時に、ヨシミさん(バーのママ)に手を差しのべられ
ゲイバーで働いています。

峰守は背が高く大柄で、目つきが鋭く寡黙な無表情な男。いつも黒い服を着ていることもあり、悠真のお店のスタッフから陰で「魔王」という渾名で呼ばれています。

峰守から突然の告白を受け、断りきれず友達からと返事をした悠真。
そこから二人の交流が始まるのですが、最初のデートから峰守のギャップが!
動物が大好きで、優しい紳士。全然ガツガツしてないし!
挿し絵の峰守さん、とっても癒し系で良いです!
デートをする度に見た目と全然違う峰守を知って好きが止まらなくなる悠真。

峰守さんを好きになったことで、自分の気持ちに気づきもう一度仕事を頑張ろうと思えた悠真。
そんな悠真を見て峰守も一歩前に進もうと決意します。

また、何故悠真がこんなに人の目を気にしてしまっていたのか。
自分自身の気付きや過去と向き合うことができるように。

恋愛だけじゃなく、心の変化や深いところまで描かれていて
それでいて重くならずに読みごたえがあるのに読みやすいお話でした。

成長した二人が、ほんとの気持ちを話すところとか、念願の初エッチとか、めっちゃ可愛いし好きです。
絵がお話とすごく合っていて、それも良かったです。

8

こんなん惚れるわ!

本当に海野さんは色んなお話を作られ引き出しが多くて、毎回ジーンと来てさすがですね!

勝手に持たれるイメージにがんじがらめになったり、なにくそ!と反発したり、本当の自分を知られるのが怖かったり、見てほしかったり。気がついたら自分も相手を見た目のイメージで考えちゃってたり。

全編悠真視点です。
峰守が悠真がバイトしてるゲイバーに通うようになって、その服装や目つきや体格から魔王とあだ名を付けられ。そこはちょっとひどくない?と思ったけど。

なんというか悠真視点なので峰守が何を考えてるかわからないのですが、峰守のしてることや言ってることは至極普通で自然体なんですよね。むしろ口数が少ないけど、良いこと言ってるし。
悠真が勝手に振り回されて。

誠実で紳士的でお酒に弱くて小動物と甘い物が好きな峰守。悠真と一緒にかわいい!と思いました。
峰守もその見た目で苦労してきたんですね。
特に父と似てることで。

気持ちが通じてもキス以上が進まない。しかも峰守はもうすぐ大阪に転勤になると言うし。電話は毎日しなくていいとも。

また悠真が一人でグルグル考えちゃったり、バーのママやバイト仲間に色々言われて真に受けちゃって、峰守を疑ってしまって。

いざ悠真がぶつかって打ち明ければ、峰守は不安にさせた自分が悪いとすべて明かして。
恥ずかしがるポイントがそこかよっ!ですが。

悠真が初めて迫った人は重い男らしい。いやいや、そんなん美味しいじゃん!
キスもエッチもわお!で。
本当の峰守は恋人に甘い言葉を惜しまず伝える、悠真がライバルを牽制したくなるイイ男でした。

小椋さんのイラストもとっても良かったです。
一冊にいっぱい詰まって読み応えもあり、考えさせられるお話でした。

4

みんな、ありのままの自分を受け入れて欲しいんだよね

天使のように愛らしい受けと、100人くらい殺ってそうな強面の攻め。
作者さんがおっしゃるには「人は見かけによらないってお話」になるそうです。

これ、本当にその一言で内容を説明出来ちゃうお話なんですよ。
天使のような可愛らしい見た目の受けですが、頭突きで相手の後頭部をカチ割っちゃうような「大人しい」とは対極な性格だし、逆に魔王と呼ばれるほどの強面ながら、小動物や甘いもの好きな優しい性格の攻め。

こう、攻めから告白された主人公がですね、その迫力に恐れをなして「とりあえず友達からお願いします」と遠回しに断った。
しかし攻めは「いいのか?」と素直に喜んだ挙げ句、デートに誘ってくる。
そこでデートを重ねるものの、見た目からは想像出来ない、彼の優しく不器用で誠実な姿を知る。
やがて主人公は攻めを本当に好きなるんですが、何故か一向に手を出して来ない彼にヤキモキしてしまうー・・・。

えーと、こちら、めちゃくちゃ可愛いお話なんですよね。
や、ヤクザの幹部みたいな峰守(攻め)がですね、デートと言えばまるで中学生みたいな健全な場所に行き、甘いケーキを食べ、主人公に体験させたいと小動物との触れ合いコーナーに連れ行く。
そして、お酒を飲みにいけば、頼むのがカシスオレンジ。
こう、あまりのギャップに主人公じゃなくともキュンキュンが止まらないと言いますか。

また、最初こそ断りきれずに仕方なく付き合い始めた悠真(受け)。
おそるおそるデートに臨んでいたのに、いつしか逆に「何故、手を出してこない!?」と、ヤキモキしてるのに笑えちゃうと言うか。
こう、海野作品と言うと、攻めが受けに振り回されてる印象が強いんですけど、今回は逆なんですよね。
完全に、受けが攻めに振り回されてる。
振り回されてるんですけど、そんなジリジリ進む二人の初々しい恋模様が、甘酸っぱいわ可愛いわで、ひたすら萌えまくっちゃうんですよ。
萌えまくちゃうんですけど、実はそれだけじゃ無くて、とても深みがあるし優しいお話でもある所が素敵でして。

えーと、主人公である悠真ですが、しつこいですが天使のような見た目なのです。
で、その見た目にあった大人しくて優しい性格を演じている。
本当は結構ハッキリしたタイプでありながら。
イメージと違うと言われてしまうから。

何だろうな。
人ってどうしても見た目のイメージに引きずられてしまうと思うんですよ。
主人公しかり、攻めしかり。
主人公の場合は特に、幼い時分に母親からその「イメージの強要」をされてしまった。
それ故に、ありのままの自分を出せずについつい「物静かで優しい自分」を演じてしまう。
こう、根底に、本当の自分は受け入れてもらえないと言う恐怖があるんですよね。
多分。

ただ峰守ですが、てか世間が勝手に当てはめるイメージに苦労してきた彼だからこそ、ありのままの悠真を受け止めるんですよね。
カクテルじゃなく日本酒が好きだと分かれば、驚くんじゃなく日本酒を頼めば良かったと言い出してな具合で。
このね、見た目で勝手に決めつけるんじゃなく、そのままの主人公を受けとめてくれる、彼のなんの気負いも無い自然な言動がめちゃくちゃ素敵で。
読んでて、すごく胸があたたかくなるんですよ。

またこれ、オチでの萌え爆発が海野作品の醍醐味だと思うんですけど、今回も素晴らしくて。
や、悠真ですが、店員として接した時の「物静かで優しい」自分に峰守は惚れたと思ってるんですよ。
だからこそ、恋人同士でありながら手を全然出してこない彼に対して、自分から誘う事など出来なかった。
あ~もう、こいつらいい年して焦れる!と読んでたんですよ。
えーと、悠真のトラウマが分かるだけに、ちょっぴり切ない心地なんかになりながら。

が、これ、オチで分かった真相に、もう萌え転がっちゃって。
いやもう、そうだよ!
峰守、そんな薄っぺらい男じゃないよ!!
めちゃくちゃ見る目のあるいい男なんだよ!!!と。

なんかね、ありのままの自分を受け入れて欲しいと願いながら、自分自身が、相手をありのまま受け入れられてないって、よくある事なんじゃないかなぁと。
周囲が勝手に期待する自分に苦しんできた悠真。
でも悠真自身も、実は勝手にイメージした姿を相手に期待していた。
主人公がですね、そこの部分に自分から気付いて行動を起こすのに、めちゃくちゃ感動しちゃって。
こう、可愛いだけじゃなく、本当に深くて素敵な作品なんですよ。
海野先生の良さが前面に出た。
また、そんなあたたかくて深みのあるストーリーに、小椋先生の優しいイラストがベストマッチしていて。
ああ、めっちゃ心に響いて幸せな気持ちにさせてくれる、すごくすごくいい話ーーーー!と。

ちなみにですね、前述通りジレジレのスレ違いをしてるせいで、二人が本当に結ばれるのは最後です。
ここでのエッチシーンに思わず吹いちゃって。
ようやく何の憂いもなく、エッチに臨む二人。
こう、ローションだのゴムだのを枕の下に仕込んであった峰守と、「やる気満々じゃないですか」「君は違ったか?」と妙に真面目にやってるのがツボに入っちゃって。
仲が良いのは素晴らしい事だ。

9

めちゃめちゃ可愛らしいストーリー。

タイトルについた「魔王様」の言葉から、もしかしてファンタジーもの?と思いつつ手に取りましたが、現代日本が舞台のお話。海野作品は懐の広い大人な攻めさん、が多い気がしますが、今作品庫そのイメージを損なうことのない大人な攻めさんが登場するお話でした。





悠真は現在ゲイバーで店員として働く可愛らしい青年。
24歳だがその年に見られることはまずなく、可愛らしい風貌から儚く優しい性格だと人から見られるが、中身は豪胆な青年だ。

そんな彼は、ある日働いているバーで一人の常連客に仕事が終わったら話がしたい、と声をかけられる。その客は見た目が強面で、バーのスタッフたちから「魔王」というあだ名がついている男性だった。断る機会を失ってしまった悠真は、仕方がなく指定された公園に赴くが―?

というお話。

魔王、もといその常連客の峰守さんは、実際に話をしてみるとそのビジュアルからは予想外ともいえる可愛らしい内面を持つ男性だった。動物が好きで、甘いものが好きで、そして優しくて。そんな峰守さんに少しずつ惹かれていく悠真だったが、峰守さんはなかなか手を出してこない。そんな峰守さんの本音を知りたくてあの手この手で迫る悠真だったが…。

可愛らしいビジュアルとは裏腹に豪胆な中身の悠真。
強面で魔王というあだ名がつくほどのお顔をしているのに中身はめっちゃキュートな峰守さん。

見た目と中身のギャップに悩む男性たちの恋のお話。

視点は悠真で、なので読者は悠真の感情によって読み進める形になりますが、悠真の目を通して見えてくる峰守という男性がめっちゃ可愛いの。強面のビジュアルと相反するように可愛いもの好き、ってBLでは珍しくないストーリー展開ですが、そのギャップだけではなくって、峰守さんは本当の意味でも大人の男性なんですね。強く、優しい。

悠真は自身の見た目と中身のギャップに悩んでいますが、その本当の意味に気づくことになるのは、紛れもなく峰守さんの存在あってのことだったなあ、と。自分を好きになることができて本当に良かった。

ベースとしては非常にコミカルなんですね。
峰守さんの見た目の怖さだったり、その見た目に相反するような可愛らしさと誠実さだったり、二人のちょっと噛み合わないやり取りだったり、非常にほのぼのなお話なのですが、そのほのぼのでコミカルな中に、きちんと己と向き合うことの難しさとか、本当の意味で大人になっていく過程が描かれているので、コミカルなだけではないし、切ないだけでもない、非常にバランスのいい作品でした。

で、小椋さんの挿絵が可愛い!
今作品の持つ世界観にぴったりで、萌え度は確実に上がりました。

7

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