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『深窓のオメガ王子と奴隷の王』に登場したラブラブカップル、穏和な騎士アラリックと美しい人質リンツェットのお話です。
スピンオフですが二人の出会いのお話なので、こちらから読み始めても全く問題ありません。ただ巻末SSにはロランやキリルも出てきて、前作のお話の裏側も覗かせてもらえるので、合わせて読まれるとより楽しいかもしれません(*^^*)
以下、ネタバレありのあらすじです。
フォンター君主国第一王子のリンツェットは、生まれつき左右の目の色が違う「片青眼」として不吉がられ、森の奥の離宮に幽閉されて育ちます。
美しい顔を布で隠して暮らすリンツェットにとって、義弟からの手紙だけが心の支えでした。
孤独な時が流れ、24歳になったリンツェットは強国ダウラートの人質となることを乞われます。止めようとする義弟を前にオメガの発情期が始まってしまい、襲われかけたところをダウラートの騎士、アラリックに助けられて…というお話です。
前半は切ない場面も多く、幽閉されている幼いリンツェットがすごく健気なんです。
周りから少しずつ大切な人が去っていき王宮から冷遇されても、小さな楽しみを見つけて誇り高く生きているので、早く幸せになってほしいと願わずにいられませんでした。
あらすじだけ読むと重そうに見えるかもしれませんが、義弟であるゲルハルトの手紙が生意気で可愛くてクスッとしてしまったり、父である国王とも最後に少しだけ心を通わせたりするので、救いがあり、ストーリーに引き込まれます。
また、ひとりぼっちで寂しい思いをした分だけアラリックが登場してからの楽しさと甘さが一層輝いてみえました!
リンツェットの顔を覆い隠す布をはずしてくれるシーンが、繊細でとても良いんです。
アラリックは誰とも違う言い方で瞳の呪いは迷信だと信じさせてくれ、リンツェットがずっと我慢してきたものが溢れだす瞬間にじーんとしました。
アラリックの言葉にはいつも笑顔が滲んでいて、思わずクスッとしてしまいます。なんでも歌にする才能があり、リンツェットと出会えたことの喜びや、周りの従者が美しい恋人に懸想しないよう牽制する珍妙な歌を披露してくれるのですが…この歌のタイトルに何度噴き出したことか…!
歌は作中で度々登場して、その全てが「そうくるか!」と思わず笑ってしまうものばかりで、作者さまの素晴らしい言葉のセンスに感動しました。
アラリックは運命の番である美しく優しいリンツェットを崇拝して、細々と世話をやいてくれます。…ただHシーンではちょっと様子が変わってくるのが最高なんです。
どこまでも紳士で、言葉もとても優しいのですが、行為のあちこちにそこはかとないプチS感が漂っている気が…。
美を愛でていることが結果的に視姦になっているというか、丁寧な愛撫を施しながら、リンツェットが我慢できずに求めてくるのを待っているような気もして、天然なのか確信犯なのかわからない絶妙な攻め感にそわそわするんです…!!
リンツェットはというと、意図的に焦らされているかもなんて微塵も思わず、恥ずかしいのに身体が勝手に快感を伝えてしまい、初々しくも大変色っぽいです。
プチS疑惑のアラリックにリンツェットがそそのかされるたび、なんだかドキドキしてしまいました。それでもやっぱり甘々で幸せもいっぱいという、個人的には神ベッドシーンでした。
そしてこのシーンではさらなる見所があります。Hの途中で予期せぬ中断があるんです。
それはリンツェットの可愛すぎる世間知らずからくるもので、アラリックもいつもの洒脱な話術をかなぐり捨て、慌ててフォローする事態に…この「比喩の招いた誤解」はかなり面白いのでぜひご一読いただきたいです…!
前半の幽閉生活から、幸せで楽しい恋愛シーンに移っていくにつれて、リンツェットの表情がどんどん柔らかくなり、時々恥ずかしそうにアラリックに甘えているのがものすごく可愛くて満たされます。
アラリックも溺愛を全く隠さず、どんな愛情表現でもリンツェットが心から嬉しそうに笑っているので、本当に相性の良いカップルだな…と感じました。
焼きもちから喧嘩してしまう場面もありますが、最後までずっと甘々で幸せです!
巻末SSでは「深窓のオメガ王子と奴隷の王」のロランとキリルも登場してくれます。
二人も運命の番でありながらなかなかうまくいかず、アラリックとリンツェットが陰ながら応援する様子を楽しませていただきました。
ロラン、不器用ながらものすごく頑張っていたんですね…!!リンツェットの前だとロランがとても素直に恋に懊悩していて、さらに前作が好きになりました。
また、アラリックの誕生日にリンツェットがたくさんのプレゼントを贈るシーンもあって、盛りだくさんな内容です。
小林典雅先生の小説に登場する贈り物は、素朴でありながらハッと目を引くものが多い気がします。今回も全てリンツェットの手作りで、一つ一つに込められた想いや、出来上がるまでの時間、もらった相手の喜びなどがぎゅっと詰め込まれている素敵なプレゼントでした。もちろんアラリックは感激して歌っていました(笑)
切なさも面白さもときめきもあって、何度も読み返したくなる一冊でした。
幸せなお話を書いてくださった先生に、心から感謝をお伝えしたいです。
長文で失礼いたしました。
ネタバレします。
もとい。
このお話の場合『ネタ』というのは、アラリックの余白を許さない饒舌ぶりとリンツェットの無邪気さを際立たせる世間知らずぶりなんだと思うんです。『物語のすじを楽しむ』というよりは、その二つが巻き起こす『枝葉を楽しむ』種類のお話ではないかと。
だとするとネタバレは出来ませんよね。
だって全部読まないと『枝葉の楽しさ・可笑しさ・可愛らしさ、そして萌え』はわからないので。
なので、あらすじを紹介します。
『因習によって幽閉されて来た第一王子が、戦を回避するために大国の人質になったが故に、彼を溺愛する騎士と出会いバカップルになりました。あと、豚の睾丸』
いや、ほんと。これだけだと思うんですよ(褒めてる)。
でもこのお話には典雅さんのエキスがギュッと詰まってる。
だから、私の様な典雅さんファンには堪らない。
なんたって『恋の奴隷』だもんなぁ。
溺愛が不穏な方向に行っちゃうお話も嫌いではないんですけれど、でも、読むのに体力がいりますよね。今の様な世の中だと、余計そう思う。
でも、アラリックは『リンツェットを称える変な歌詞の歌』を延々と歌ってくれるという明るい逸脱ぶり。
そして、周りがそんな彼にドン引いているのに「私のためにありがとう」と素直に好意を受け取ってくれるリンツェット。その数秒後には豚の睾丸について考えちゃうかもしれないんですけどね、でも上品。
これですよ、これ。
これが典雅さんのお話なんですよ。
光がさすようです。
蛇足
笠井画伯によって描かれた、激しく美しいリンツェットが「豚の睾丸」について思いを巡らせたり、その単語を口にする絵面を想像すると、更に可笑しいです。
前作の「深窓のオメガ王子と奴隷の王」で、脇役ながら濃ゆいバカップルぶりを見せつけてくれていたお二人の馴れ初め話ということで楽しみにしていました。
私はいわゆる「トチ狂ってる攻め(受けを好きすぎておかしなことになってる・なってしまった攻め)」っていうのが大好物で、小林典雅さんの作品はその出現率が高いと思っているのですが、今回も期待を裏切りませんでした!
アラリック、あんたは相当おかしい!(褒めてる)
タイトル通り「恋の奴隷」なんだけど、前作のロランが恋の苦しみに囚われた奴隷なら、アラリックは尻尾振りながら自ら奴隷志願して嬉々としてるみたいな。
で、奴隷になった喜びを延々と歌う、みたいな。
歌のセンスが珍妙すぎて笑えます。
「26歳の誕生日が幸せすぎて死んだらどうしよう」
「いますぐ全裸になって身ぐるみお捧げいたしますとも」
とか、なんなの、それ!私も聴きたい。(でもせいぜい三番までで結構です)
お付きのジェレマイアから鬱陶しい歌だと呆れられている一方で、リンツェットはリンツェットで永遠に聴いていたいとか、あんたらやっぱりバカップルだー!
まだキリルに出会う前のロランからは「これほどおかしくなるというのなら、運命の番になど出会えなくて結構だ」と言われてる始末。
前半は、目の色のせいで不吉な子とされて疎まれるリンツェットが可哀想でしたが、でも「深窓のオメガ王子〜」で既に幸せになってる姿を知っているので安心して読めました。
そして「恋の奴隷がまたひとり」は、これを読んでから前作を読み返すと、さらに萌える仕様になっていてありがたい〜!!
表情に乏しく何を考えているかわかりにくかったロランの不器用さ、弱気だったあの頃を知る事ができるんですよね。
なんて美味しいSSなんだ!!
シリーズ化してほしいなぁと思います。
ロランカプとアラリックカプに子供が産まれて、子育てする様子も読みたいし、義弟も悪い子じゃないので幸せになってほしいです。
何これめっちゃ好き。
私の好きなおとぎ話要素強めのストーリーでした。
生まれつき両目の色が違うことで忌まわしき者として、フォンター国の第一王子の身でありながら遠い離宮で隔離した生活を送るリンツェット。不安定な政情から、人質として後ろ盾のダウラート国に行くことになります。
フォンター国は迷信の信仰が強く、左右の眼の色が違う「片青眼」を忌み嫌っています。リンツェットは片青眼を持ち産まれてきたので、産まれた時から不遇な生活を強いられていて本当に可哀想です。リンツェットは味方であった母親を早くに亡くし、幼い頃からの側付きの使用人たちとも引き裂かれます。唯一慕ってくれていた母違いの弟のゲルハルトがいますが、彼は時期国王の身なので簡単に会うことも叶いません。
そんな中、大国であるラウダート国の後ろ盾を得る条件として人質をラウダートに送らなければならなくなったのですが、リンツェットに白羽の矢が立ちます。今までリンツェットを幽閉してきて、都合の良い時だけ王族としてその身を差し出せとは…これってどうなのよって感じですが、もしやラウダート国で可愛がられて幸せになっちゃう感じ?と期待を寄せました。
当たったーーーー。
ラウダート国の近衛隊長アラリックと「運命の番」として出会います。弟のゲルハルトに襲われた所を助けられ、その時にお互いを運命の番として認識しその日に発情、セックスします。すごい急展開。人質として、またアラリックの番としてラウダート国に行くリンツェットですが、ラウダート国には片青眼の迷信がないので、偏見なく暮らすことが出来ます。もう幸せフラグしかないですね。人質だけど、母国での扱いが酷かっただけにラウダート国ではそれはもう幸せな生活しかありません。
国王もめちゃくちゃ良い人。アラリックとはラブラブ。薬草の知識を活かして香水作ったり草花を育てたりなんかして、リンツェットは充実した毎日を送っています。有能なアラリックは王の側近でもありますが、変な即興曲を作る才能があって、この作品中でもおかしなタイトルを付けた曲を披露するシーンが多々あります。クスッと笑えちゃうので、この作品を面白くする良いスパイスになっています。
不遇な生活を送っていたリンツェットですが、アラリックとの出会いとラウダートでの生活は本当に幸せそうで良かった。文句なしのハッピーエンドです。アラリックがリンツェットのことを好きすぎて、ちょっとバカっぽいんですがそれもまた良いんですよね。リンツェットもリンツェットで世間知らずなせいか、アラリックのエロ比喩をストレートに受け取って意味が通じてないのも可愛いです。
もうとにかくハピエンだし楽しい作品なんです!もう少し欲を言えば、挿絵がもうちょっと欲しかったかなって感じです。後半2シーンのみで、前半と中盤は無かったので寂しい感じがしました。他のキャラの姿も見てみたかったです。
結局ラウダートに来て初めての発情でリンツェットが身籠ったのかどうか気になりましたが…その他ストーリーの内容は大変満足しました。高評価も納得です。
あとがきにもあるように、安心して読めるオメガバース物です。
前半はリンツェットがとても可哀想で、どうなっちゃうの〜?と全く先が予想できませんでした。
しかし!アラリックの登場でお話のトーンがガラリと変わります。
そういえばオメガバース物だったなと思い出しました。
リンツェットも大変魅力的な儚く美しく清い人物なのですが、なんといってもアラリック!すごいよ君!
もうアラリックの登場からは会話が怒涛のように交わされ、リンツェットの孤独な24年が嘘のように賑やかになります。
美しい騎士なのに口を開けば、リンツェットを褒め称え愛を乞い楽しい比喩で笑わせてくれます。
一夜で全てがひっくり返ったような幸せな未来が待ってるような出会いです。
もうアラリックが話上手で、歌わずにいられない男でとっても愉快です。リンツェットに愛と笑い声を与えてくれた、ちょっと三枚目?な最高の攻めです。
短編には、ロランとキリルのために二人はこんなことをしていたんだなあ。
アラリックが愉快すぎて最高だし、そんな彼に出会ってすっかり明るく快活になったリンツェットも良かったです。
豚の睾丸!