イラスト付き
一人で子育てする「シア」。
4歳の実子が「ミラン」。
色々な事情が重なって、なるはずのなかった王となってしまった「ヴィス」。
好きな人に迷惑が掛からないように、と2人で暮らすシアとミランが健気。
そして、このミランがとってもとっても良い子で可愛い!
途中まではちょっぴり切なくもあり、
でも、この元気で天真爛漫なミランや周りで支える人々によって、ほのぼのモード。
獅子王の「ヴィス」と再会してからは、少しのドキドキはありますが、
とても穏やかに読めます。
痛い系や怖い系がニガテな人には、ぴったりかもしれません。
人族の多い国から獣人族の多い国に移住してきた人族のシア(受け)はひっそりと獅子族の息子ミランを育てていました。
獣人族にあって人族にはないとされている第二の性が発現し、予期せぬ発情期によって子供を身籠もってしまったシアは子供の父親の祖国に渡ってきたのでした。
が、相手の立場慮り連絡を取るのをやめ、偶然知り合った人々に助けられ生まれてきたミランを慈しんでいます。
このままささやかながら幸せに暮らせたら思っていた矢先、偶然立ち寄った百貨店で再会してしまいます。獣人族の現国王・ヴィスラン(攻め)に。
2人はどうやって出会い、思い合い、離れ離れになったのか。
3人は家族になることができるのか。
シアもヴィスランも波瀾万丈な半生を送ってきて幸せになってほしいと思う2人でした。
特にシアは知り合いの1人もいない国に身重の身体でやってくるなんて、人との関わりを極力避けていたシアからすれば本当に勇気のいることだったと思います。ヴィスランとの日々や我が子への愛の重さがあればこそ。
そんなシアには幸運なことに力を貸してくれるアルファの友人や周りの人たちがたくさんいて、大変だけども比較的幸せな日々を送っていましたが、国王の重責に今までの王族の醜聞を払拭すべく奮闘しなければない上、行方不明のシアを探し続けるヴィスランは大変な日々だったでしょう。
家族のことで大変だったからこそこの2人には幸せな家族になれてよかったです。
それにしても、ヴィスランにだけ発情するなんてまさに運命ですね。
他にもそんな人族がいるのでしょうか。
人族が殆どのシアの祖国ではそういう症例はあまり愛かもしれないけど、ヴィスランの国なら他にもあってもおかしくない。でもすごく奇跡的な出会いなんでしょうね。
人族の男性の妊娠という有り得ない状況のシアに親身になってくれた大学の後輩兄弟と外国にやってきて全く身寄りのないシアの面倒を見てくれたエリヤに村の皆。シアの周りにはいい人ばかりでとても心穏やかに読める(学生時代はちょっと大変だったけど)お話でした。
オメガが苦手なエリヤにもいい人が現れるといいですね。
イラストがとても美しいです。柔らかい金色の髪に金色の目のヴィスランと真っ直ぐな黒髪で華奢なシア。体格差も良いです。
私は獅子の耳に注目した事がなかったんですが、ライオンならネコ科だし、猫や虎と変わらないんじゃない?って思ってましたが、違うんですね!(表紙の絵に注目です)ライオンの耳って形が愛らしいって思ってしまいます。
ヴィスランは王族アルファで大きな体躯、何かあっても動じない見た目なのに、シアに対して耳や尻尾では心の中がそのまま表現されてしまい、ちょっとしたシアの言動で色々な耳の動きがあるのが可愛いです。
身分差から、なかなかヴィスランの思いを受け入れられないシア、そんなシアに我慢強くシアのやりたい事を尊重してあげながら離れたくないと思うヴィスラン。
攻めも受けも我慢強く、健気です。シア目線で語られるヴィスランの耳と尻尾に注目して読んで欲しいです。
電子書籍で購入。
作家買い。
小中先生の新作ということでワクワクとしながら手に取りました。
ごめんなさい、「中立」評価です。
私にはあいませんでした。
ちっとも、萌えられず。
ストーリーは別に地雷もなく、むしろ、小中先生のオメガバースは大好き。
ですが、今回の作品は、なんだか違いました。
なんというか説明が難しいのですが、描きたいエピソードがいくつかあって、それを繋げましたって感じがしてしまいました。
登場人物の人となり、そのような考え、行動に至る理由を裏付けるためにそのエピソードが存在するのだと思うのです。
それが、今回は繋がりがなくバラバラに感じました。
まるで別の人のように一貫性がないように感じました。
例えば冒頭の受けの人柄と回想での思考回路や行動、そして途中、クライマックスの思考回路と行動。
うまく繋がりません。違和感があります。
発情の時の受けの行動も、当て馬オメガのことをあんなふうに思って攻めの護衛までしていたのにそんな思考回路でそんな行動にでるのかな?と違和感です。
事後の行動も???ですし、その後の展開はお約束で、でもすんなりとエンド、、、ですし。
攻めの行動も???ですし。
うーん。。。
私が細かいところを気にしすぎなのかもしれませんが、一度、?となると萌えられません。
この作者様はいつも丁寧で、この伏線がここに繋がるのか!と読者を唸らせるてくださるので、今回はより一層、残念に感じました。
単に、私が今回の登場人物の心情を掴みきれなかっただけかもしれませんが。
みずかねりょうさんの素敵なイラストと、とっても良いお話でした。
ヴィスがシアに対して強引に行かないところが新鮮でした。
てっきりヴィスは5年間何も知らず祖国で王様をやってるのかと思っていたら…。
ずっとシアを探し続け見つけたときのために父への説得と、王宮にシアのための研究室まで作ってて。
シアは王様になったヴィスに婚約者がいると新聞で知り、ヴィスに会いにはるばる来たのは浅はかだったと後悔して。色んな人達の助けを借りてミランを産み研究を続けて。
学生時代の甘酸っぱさ、嵐のような初めての交わり、言い出せなかった言葉。
再会後のヴィスの申し出や、シアのための根回し。お互いが相手のためだけの性。
正直寮で発情期にヴィスが知らないオメガに襲われたと思いながらも交わり、逃げ出した時には絶望しかけましたが、こんなふうにつながって本当に良かったです。
シアは親友だと思ってたけど、実際はほとんど恋人だったよね?
孤独な二人が家族となり、家族も増えて幸せそうで、読んでるこちらもほっこりします。
獅子王でアルファなのに、プロポーズも弱気で。だけど一つずつシアの不安を解決していって。良い夫だなあ。
ミランもとっても賢くて可愛くて。うちの甥っ子と同じ年で余計可愛かったです。