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やっぱり絵がいい(毎回言う)。
扉絵、背景、構図、太めの線、コマ割り…全部いい上に、ページ上でかっこよく構成されているから全ページ見惚れるかっこよさ。
表題作の終わり方が、最初読んだ時、腑に落ちなくて、2度目じっくり読んでやっとわかりました。
ヴィットーリオは最初から無自覚に?ジーノが好きだったのね。
それで脅迫されていても、用心せず、ジーノを困らせた。
ヴィットーリオはアルマンドを気に入っていて、挑発して関係を持つけど、それは一度だけ。
ヴィットーリオが言うように、本当に映画好き仲間だった模様。
つまり、これも無自覚に?(ジーノを想定して)男同士のセックスを試してみたかった。
故に、友情だと思っていたジーノに恋愛感情があって、恋愛ぽくなりそうだったアルマンドが友情だった。といえオチなんですね。
だから、表紙のヴィットーリオの背後にいる人物が後ろ姿なんだな(相手をアルマンドと思わせるミスリード)
テーブルを挟んで対峙するヴィットーリオとジーノのコマがめちゃくちゃかっこいい。
そして、その後の見開きの無言の2人。
からのヴィットーリオの「少し失敗したかな」
ジーノ「許す」
↑この5ページが本作の肝かと。
それくらいかっこいいし、見せ場。
ヴィットーリオの、それが精一杯の非を認めるセリフなんやね、と笑えるしw
その一言で許すジーノも、ほんとよく友だちやってるね、と笑ってしまったw
その光景をこっそり見ていたファウストもww
いい関係性だなぁ。
「クマとインテリ」の2人が仲良く続いているようでほっこり。
ファウストがしっかり者の弟を誇らしく思い、可愛がるのいいですね(よくある出来のいい弟に嫉妬するとかじめじめしていなくてw)
他の短編もどれもよかった。
ひとくせあったり、小粋だぅたり、いろんな脳を使う読み方ができて楽しいです(と言いながら、そんなに脳を使えていないんですけどw)
「クマとインテリ」の続編です。tatuaggioは「Gad Sfortunato」に続きます。イタリアのシリーズは「アルとネーリ〜」に続きます。
続編といっても未読でも楽しめる内容ではありますが、ブルーノ(カメラマン)とファースト(議員 前首相)の関係性が続いているところを見られたり、萌が増幅するので既読をお勧め。
ジーノ(ファーストの弟 メディア王)とヴィットーリオ(表紙 教授)の関係性がいいですね。恋愛を描くばかりではなく、友情も描く。友情の描き方が絶妙。たっぷりとページを使って目線で会話する二人がセクシーで、たまらなく可愛い。覗くファーストももちろん可愛いし、それを写真に撮るブルーノも可愛い。可愛くて愛しい。人と関わり合うことって悪くないな〜と思う。
この一冊は恋愛以外の関係も深く描いていますね。友情、兄弟、親子…上司と部下。第一秘書くんもキュート
◆LA SCORTA 〜 amato amaro(表題作)
経済学専門の教授と、彼のボディガードを頼まれ知り合うこととなったアルマンド。教授は自分が脅迫されているという状況にも一切物怖じすることなく、論文を書き続けたり、挑発的な発言をしたりして、彼を心配する周囲を度々怒らせます。それでも彼がその態度を改めることはなくて。私は学者というのはこれくらい豪胆でいいと思います。誰かに何かを言われたからって意見を変えたり止めたりするのでは、専門分野を極めた意味がないですから。
そして、これほど危なっかしいからこそ、彼に好意を持つ人達はなんとか彼を繋ぎ止めようと必死になるんだとも思うんです。穏やかで物静かで、でもどことなく胡乱げで相手が虜にならざるを得ない視線を向ける教授。無意識のようにも見えるし、意識的にやっているようにも見える。罪な人、とはまさに彼みたいな人のことを言うんじゃないでしょうか。ジーノと視線だけでたっぷり会話するページが印象に残っています。basso先生のタッチによって、そういう教授の魅力がさらに強調されていたように思います。
◆differenza
双子の兄パオロと弟マウロ。パオロは女性との結婚を控え、マウロは同性の恋人がいます。父親にも昔から弟より期待され、一見真っ当に生きてきたようにも見えるパオロ。でも、マウロだけは彼の秘密を知っている。父親は本当に見間違えたのか? 分かっていてもそれだけは受け入れたくなかったのか。見た目はまったく同じなのに、兄弟で歩んだ道が180度異なってしまったことにやりきれない思いになりました。
「クマとインテリ」のスピンオフ的な続編短編集。
「LA SCORTA ラ・スコールタ」
ボディガードと脅迫されている経済学者。
イタリア人って、色んな美辞麗句を駆使して口説いて…っていう勝手なイメージあったけど、この2人は大事なことほど口にしない。
「Gino e Vittorio ジーノとヴィットーリオ」
ジーノは「クマとインテリ」のインテリ・ファウストの弟のメディア王。ヴィットーリオは↑の経済学者。
ヴィットーリオは脅迫されていたのに放送で挑発したためにジーノの出版社に爆弾が仕掛けられて…
2人とも意地っ張りだけど、今回ばかりはヴィットーリオが謝る。すっごくわかりづらいけど。
「amato amaro アマート・アマーロ」
付かず離れずのボディガードと経済学者。恋の告白も全くわかりづらい。
ここは旅先なんです。それに対して、なかなか困ってくれない つまらん。この2人の恋は苦い味。
「bandoliera バンドリエラ」
憲兵さんのショルダーバッグ型の弾薬入れのことかな。
元憲兵の初老男性と、現役憲兵の若い男性。2人は同居している。
おじさんの方は口は悪いんだけど、心ではかまってほしいの。
「differenza ディッフェレンツァ」
双子もの。
片方の結婚パーティに、もう片方が男の恋人を連れて出席する。
2人の父親はアンチゲイなのだけど、ゲイの方のマウロがゲイバレしたきっかけは…
「tatuaggio タトゥアッジィオ」
タトゥーを入れにガッドのスタジオにやってきた男。
日本の文化が好きすぎて日本に行ってしまった恋人を思い出しながら、ガッドの腕に入っている「和」の漢字にしようかな、と考え始める。
外国人の入れてる意味不明の漢字タトゥーはあんまり好きじゃないけど、ガッドのトライバルとのバランスはカッコいい!
「partita パルティータ」
サッカーを見てたらTVが壊れた。ふと窓の外、隣の棟の部屋で同じ試合。そちらの住民はTVを窓に寄せてくれます。あら、ご親切。
「GELATERIA DI MARCELLO ジェラテリーア・ディ・マルチェッロ」
「クマとインテリ」に収録の短編、の続編。
あのジェラート好きの3人が登場。それぞれに災難が降りかかります。
それを癒してくれるのが、マルチェッロの作る最高のジェラートなのです。
「カッラーロの秘書」
ファウストの秘書は、ファウストの小さな娘・アンナのお守りも仕事のうち。
こまっしゃくれたアンナは、ジェラテリーアのマルチェッロに女性扱いしてもらってご満悦。
隣ではマルチェッロの小さな息子が女心を扱うアドバイスをくれます。(←後に男と結婚するアノ息子ね)
甘さ少な目のスタイリッシュな話が多い印象。特にボディガードと経済学者の恋はかなり苦い。そして双子の明かされない秘密も…
「クマとインテリ」の続編というか、登場人物が重なる「amato amaro」。
前作の政治家ファウストの弟メディア王ジーノにからんだ物語が3編、
ファウストの秘書が主役の話が1編。
さらにジェラート店の息子や常連客3人の話と、読み切り短編が4編。
なんで久しぶりにこのシリーズを読んだかというと、表紙のヴットーリオ氏の絵が
おや?私の好きな某小説の某H.S.氏のイメージと似てる?と思ったもので…
V氏は喫煙者だし結構違うけれど、年齢は40代でとんとんだし、どっちも魅力的な男。
「クマとインテリ」より更により抑制が利いた感じで、濡れ場は少ないですが、
心情が浮かび上がる描写が、とてもいい。
私はなんと言っても表紙のヴットーリオの面倒くさい性格が気に入っているのですが
ファウストお兄ちゃんが、出てくる度にはっちゃけて面白いキャラになってくのもいい。
双子の話「differenza」の痛みは、いかにもbasso(=オノナツメ)さんらしい味わい。
ところでこのタイトル、「苦い恋人」くらいの意味だと思うんですが
舞台を考えると、Giuliano Amatoとなんか関係があるのかな?モデルとか(笑)?