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表題作隷属の定理

乃木映爾,40歳,大人気の画家,嗜虐的な性格
瀬戸佳槻,30歳,式見のマネージャー,被虐的な性癖を持つ

あらすじ

式見への想いを抱える瀬戸は、ある画家と出会う。瀬戸は男に全裸モデルをさせられ、嗜虐的に抱かれるが……? 「兄弟の定理」「天使の定理」から続くシリーズ最終作!! オール書き下ろし。

作品情報

作品名
隷属の定理
著者
沙野風結子 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
兄弟の定理
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525575
4.5

(39)

(26)

萌々

(9)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
175
評価数
39
平均
4.5 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数9

瀬戸の「心の穴」を埋める人

前作で、嫉妬と正義感から、式見が溺れる相手を消そうとした瀬戸。
式見に恋人ができて天使から地上の人となり、崇拝する対象を失う。

虚しさを抱える瀬戸に、破れ鍋に綴蓋的な恋人ができる。・・良かったね。

以下、私の要点マトメ。

乃木映爾:40歳,
大人気の画家, 観察眼が鋭い。
嗜虐性のはけ口として瀬戸に目をつける

瀬戸佳槻:30歳,元子役 M気質。
母の為に9才から枕営業で役を得てきた事への自己嫌悪で体調不良
式見の助言を受け転職、救われる
式見のマネージャーとなり、式見を天使と崇める,
式見の仕事を取りに行き、乃木に絡まれ、嗜虐の歓喜に震える。

0

式見はすごいです。

天使の定理の主人公だった式見のマネージャーが、今回の主人公(瀬戸)です。
萌えポイントは、食料の口移してすね。
瀬戸が幸せになってよかったです。
式見のその後の、幸せぶりも読めて良かったです。

2

これもBLなのか

兄弟の定理は未読ですが、天使の定理は読んでいます。
天使の定理を読んだ時にも同じことを思ったんですが、確かにBL要素はあるし、男性同士のエロが重要なキーになっているんんですけど、それが主題じゃ無く式見槐という人物が主軸になっているストーリーなのだなと。

沙野風結子さんの世界観が壮大で、目が回りながら読んだっていうのが正直なところです。読んだ後にはぁ〜っ、ほぅ〜っ、と酸欠になる感じ(笑)

乃木と瀬戸の二人は同じすぎて破滅の道へと進んでいたのでしょうね。式見が介入することで、一度離れた二人。長野の廃村になってしまった、かつて暮らしていた土地で瀬戸と再会するところから、再度始まる二人。
その過程を経たからこそ、羽化出来たのかも知れないなと思うわけです。
そのままだったら、きっと瀬戸は5人目になってたよね。

後書きにありましたけど、瀬戸は乃木のマネージメントをするようになるのかな。きっとそれが良い。
そして確かに山内君のことは心配です(苦笑)

笠井あゆみさんのイラストがこんなに合うというのも素晴らしい。
なんとも言えない読後感をもたらしてくれるBL作品ってあまり無いので、記憶に残る作品になりました。

2

さすが沙野先生!

式見3部作終了しましたね。今回も式見が大活躍してたし、何なら神々しいとまで思ってしまいました。そして、沙野先生の文章力の見事さが光る作品となっていたと思います。

今作にはチラッと「兄弟の定理」のCPが登場するのと、「天使の定理」の式見と貞野が重要な役回りをしているので2作は読んでおいた方が良いと思いました。

さて、今回の乃木と瀬戸ですが嗜虐性と被虐性をそれぞれ持ち、一見するととてもお似合いのCPに思えるんですが、どうしても破滅に向かってるとしか思えなくて、この2人が行き着く結末を沙野先生はどう料理して行くのかと興味津々で読み進めました。

乃木の抱えてる苦しみは終盤まで明らかにならないので乃木の瀬戸を救いたい気持ちは伝わって来るのに、破滅に向かってるとしか読めなくて期待したり不安になったりと気持ちがグラグラ揺れてしまうんです。

乃木に依存する瀬戸の異変に気が付いて動き出す式見がまた素晴らしいの一言でした。
初対面で乃木を圧倒する式見に敗北を認める乃木、息詰まる対決にページを捲る手が止まりませんでした。

3部作を通して書かれているのは破壊と再生なんです。人間の業を見事に書き切ってると思いました。

再生にあたる終盤の乃木の故郷での話が凄く素敵でした。この季節にピッタリ合ってて、乃木と瀬戸の思いがやっと噛み合うんです。
読後感も良く、ここまで読み進めて良かったと思いました。




『チェンジリング』の方も先生が書き続けていらっしゃって、何処かで発表して下さるそうなので楽しみに待ちたいと思います♡

6

定理の総決算

作家買い。というか、前2作読んでるので、読まないでいられるかいっ!というわけで感想です。

ちなみに、前2作(兄弟の定理、天使の定理)を履修後に読んだ方がいいと思います。なぜというに、この独特の世界観は3作揃って完成形という印象をうけたので。そういう意味では(?)神評価でもいいのかなーとか思いつつ、すみません、作家様の熱量に自分の熱量が追いつかなかったような…。ある程度のBL読みとしての熱意(?)を求められる作品じゃなかろうか…?と悩んでしまいました。

式見槐・3部作のフィナーレにふさわしい、全能の天使・式見を崇拝するマネージャー・瀬戸編。シリーズに共通してる気がするんですけど、全身全霊で相手に対峙する緊張感満載のソリッドなラブストーリーでした。被虐受さんの気質の原因も発露もわかりやすいのですが、お相手の乃木の嗜虐性を受に見合うくらいのものとして感じられなかったというか、受がすごすぎて薄まっただけなのか…。この二人の甘さのないエロがね、毎度死と隣り合わせの”真剣”勝負みたいでハラハラしました。

攻様が画家ということで、ハメ描きの描写にはいろいろ撃ち抜かれました。”描くことが性的な動き”!!接合部を動かさずに、ひたすらペンを動かし、描き描かれながら達するふたりのハイレベルな行為に、しばし暑さを忘れました。。。そして、散々の爛れた行為の果てに、純愛・ベーシックなおせっせに至るという展開が新鮮でした。いつも読者に新たな官能の可能性を示してくれるエロ、その鮮度の高さは、さすがの沙野先生です!

裏テーマは作品のモデルとして瀬戸が着せられるアレなんですけど(粘膜部分だけ解放してるという粋なアレ)、あとがき読むまで、勝手に”裏テーマ:粘膜”かな~と予想してましたw。受に攻の体液をコーティングしたまま眠るプレイとか、何かにつけ舌絡めがち(好きだ!)という印象が強かったので。しかも、このアレの場面は流れからなんとなく唐突に思えたのですが、最後の最後に”あ、それだったか!”と意表をつかれました。

基本的に式見ファンな私(でもあんまり貞野が好きじゃないw)は、式見と要斗とか式見と瀬戸とか、そういう組み合わせもよかったな~とか平凡な妄想しちゃったりするんですが、そんなもんではない!非凡な三CP三様があって、彼らが織りなすシリーズ全体としての完成度の高さは特筆すべきかなと思いました。あとなんといっても、挿絵/笠井先生が正解中の正解ですよね。(ちょっと他の組み合わせは考えられない!)

おまけのSSは”カルテット”。はいタイトルの通りです。希望としては、全員が達するところまで読みたかったです。

6

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