• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作CANIS-THE SPEAKER- 4

サミュエル・マーフィー(サム)(※リバ)
財務長官
ハロルド(ハル)
元警官でマフィアのボス(※リバ)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

孤児院が過去に人身売買に関わっていた証拠を掴むため、
コミュニティ支援プログラムの“仕組み”を知る人物らに
次々接触していくノブ・ハル・サム。
目的完遂の駒として狙われたのは、
リョウの友人、チェイスだった。
腕利きのハッカー“ERT”でもあるチェイスを使い、
阿佐美主催のオークションサイトに潜入した
サムが目にしたものは…。

【収録作品】
chapter.18~22
描き下ろし

作品情報

作品名
CANIS-THE SPEAKER- 4
著者
ZAKK 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
シリーズ
CANIS Dear Mr.rain
発売日
電子発売日
ISBN
9784801978539
4.7

(44)

(37)

萌々

(5)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
208
評価数
44
平均
4.7 / 5
神率
84.1%

レビュー投稿数10

堂々、完結!

『CANIS-THE SPEAKER-』の4巻目にして完結編。
1巻はノブ、2巻はハル。そして3巻目はサム。のイラストが表紙を飾りましたが、4巻目は一体誰のイラストが…?と楽しみにしていた今巻の表紙。

いやー。
さすがZAKK先生。
想像をはるかに超える素敵表紙で悶絶しました。表も裏も、めちゃめちゃじっくり拝見しました。個人的には沓名さんとリョウも描かれていて嬉しかった。

ということでレビューを。




慈善団体として名高い孤児院・MRCH。
が、その実態は児童売買の斡旋の場だった。
MRCHで共に育ったハル、サム、そしてノブ。大人になってもずっと一緒にいよう。

そう誓っていた三人を襲ったのは、児童売買のターゲットになったノブが連れさられるという悲劇。ノブが連れ去られ、けれどハルとサムはノブを見つけることにすべてを捧げていて―。

とにかく、ストーリーが壮大です。
子どもを連れ去り、そこで子どもに対して行われた非道な行為。
1巻から、ダークでシリアスな展開をみせ、しかもそれががっつり描かれていくという人によっては地雷になりえる作品です。今のこのご時世に、これだけダークなバックボーンに挑んだZAKK先生に敬意を払いたい。

1巻から3巻までの3冊で、彼ら三人の絆の深さ、彼らが絶望に突き落とされたとき、そして、そこから彼らが這い上がりノブ奪還に奮闘するさま、がじっくり描かれてきましたが、今巻でいよいよその決着がつくことになりました。

マネーゲームとそれに絡んだ攻防戦、マフィア、そして日本のヤクザの世界を巻き込んだ心理戦、FBIやCIAといった警察組織とのやり取り。そういったものがきちんと描かれていて、描かれ過ぎていて、1度読んだだけでは理解ができないほどの奥行きのある内容です。

が、あら不思議。
一度理解できるようになると、そこから見えてくる男同士の闘いがめちゃめちゃ面白い。人を殺めるとか流血とか普通に描かれていますので、苦手な方は注意が必要かもしれません。

騙し、人の裏をかき、ハル達3人は、彼らの想いを成就させることができるのかー。

甘々で優しくほのぼのなお話が読みたいときには回れ右。
痛い話は気分じゃない。そういう方にも不向きな作品です。

が。
ハル、ノブ、そしてサム。
彼らのお互いを想う気持ちは一片のゆるぎもない。そこに、萌えしか感じない。
二転三転しつつ、騙し、騙されないよう3人の力を駆使しつつ闘う男たちの姿がとにかくカッコいい。

彼らは名前も、素性も、その時々で使い分けますが、お互いを呼ぶときは愛称を使う。けれど、そうではない相手には、愛称で呼ばれることを拒む。まるで自分の「なか」に触れていいのは、他の二人だけなのだというかのように。

彼らは三人で一つ。
誰が欠けても、成り立たない。
恋愛とか恋とか。
そんな生ぬるい言葉では言い表せない深い絆に、どうしようもなく萌えました。
今巻では濡れ場はサムとハルの二人の行為が描かれていますが、リバかな?と思う描写もあり、そのガチンコな濡れ場がカッコよかった。性欲とか欲情といった風ではなく、身体を繋げずにはいられない。そんな感じ。

そして、笑顔も。
彼らは彼ら以外の人の前では張り付けたような笑みを浮かべていますが、一転、三人だけになるとめっちゃ良い笑顔で笑い合うんですよね。闘いの時に身に着けていた鎧を、信頼できる相手の時にだけ脱ぐような。

その描き方が秀逸すぎて、もうさすがとしか言いようがない。

読み終えたとき、え、これで完結?

と思いました。
彼らがしたかったのは復讐ではなかったのだと。
ノブが売られ、受け続けてきた哀しい過去を昇華し、そして、かつて三人が誓い合った「いつまでも三人一緒にいる」という願いを叶えたかったのだと。

なので最後は非常にほこほこした終わり方です。
今までのシリアスさは一体どこへ…?という感じ。
でも、それが良い。

最高過ぎるシリーズでした。
まさか年下ワンコ攻め×帽子屋さん、のお話が、こんな壮大なお話につながるとは思いませんでした。沓名さんとリョウの二人もちょびっとだけ登場しています。リョウとハルの間の会話がまた良かった!

シリーズ完結で寂しい限りですが、完全なる「終わり」という終わり方もしていない気がします。またいつか、彼らに再会できることを願って。

三人に手を貸してくれる協力者さんたちの存在も素晴らしく、どこまでも萌えと面白さしか詰まっていない、そんな作品でした。

18

伏線とミスリードとフェイク情報の配置

「CANIS-THE SPEAKER」は、読み終わった後、すぐ友と語り合いたくなる本です。そうしないと、頭の中で組み上げたパズルが、「あ、崩れそう…」。友と語らって、「あの伏線はどうなったと思った?」「あの謎は解消された? どこで?」と、確認し合いたいです。残念ながら、私の腐友は、遙か遠方。無念です。
今回最終巻4巻が出て、やっとすべての謎が回収できるのか? なにしろこれまでの3巻を経ても、彼らサム・ハル・ノブの、落としどころが、目指すものが、まったくわかりません。他の謎が、いやむしろ増えた感さえありました。
4巻は、購入してまずさらりと一読、それから最初の「-Dear Mr.Rain-」から7冊全部読みました。私の読み取りは合っているでしょうか。取りこぼしはないか。いまいち自信がありません。
なにしろ、サムが財務長官への就任が決まったシーンは、2番目の巻「-Dear Hatter- (#1)」の、沓名の部屋のテレビ画面に、というくらいの情報の散らばり具合が恐ろしいのです。1コマも見逃せません。





ここから、ネタバレになります。しかし、私の解釈は間違っているかもしれないので、誤読で、ネタバレにならないかもしれません。

まずはちょっと整理。
メアリー・ロスとメアリー・ロス孤児院出身の優秀な子どもたちを広告塔にして、B&B社のコミュニティ支援プログラムに、恵まれない子どもたちを救う寄付を世間に呼びかける。このコミュニティ支援プログラムの寄付を通して、4つのNYマフィアと日本の貫田組が、様々な闇取引で得た収入の、資金洗浄をしていた。また、事業の一端として、アジアを拠点とした、児童の人身売買網を展開。その児童たちの供給元の一端(他の孤児院でも行われていた可能性がある)を、メアリー・ロス孤児院が担っていた。
ふう… 彼らの敵の概要はこんな感じかな。
3巻は、B&B社のエドワーズ兄弟の始末を、4人のマフィアのボスに委ねた、ところで終わりました。
この作品の難しいところの一つは、はっきり「〇〇は死んだ」と語ってくれないところです。状況的に「これは殺されるな」と判断して、物語を読み進めねばなりません。うっかり「実は生きていた」もあり得ます。今回のマッケンジーがいい例。
このように、ZAKK先生が意図的に張り巡らせた読者へのミスリードと、登場人物たちが、心情表現なしに(!)発するフェイク情報が、作品には溢れています。
そして、これは緻密な情報戦の物語なのだ、と気づかされます。
エドワーズ兄弟に続き、4人のマフィアを片付け、あとは、メアリー・ロスと阿左美が残されました。
阿左美とは、彼がネットのマーケットに提示した世界の闇取引情報(もちろん、阿左美が介在したすべてではないだろう)を、残らず買い取ることで、3人は阿左美の顧客となりました。
そして、残ったメアリー・ロスの首に、サム・ハル・ノブの3人は、いつでも引き絞れる絞首台の縄をかけたのでした。当時のメアリー・ロス孤児院の帳簿という縄を。
彼女は、いつ暴露されるかもわからないことに怯えながら、コミュニティ支援プログラムという犯罪の生き残った孤高の犯罪者との罪業を背負って、「世界的な慈善家」を演じ続ける、生き地獄の道を歩み続けることになったのではないでしょうか。
サムが、阿左美から買い取った闇取引情報に自分を紐づけたフェイクニュースを、世間に広め経済界を混乱に導き、3人は4巻の表紙絵の如く雑踏に紛れて消えます。
なぜ、サムが消える前に、自分の会社NNCMのコミュニティ・ファンドの投資先を、メアリー・ロス財団にしたのかが、私にはまだ謎です。
ドプンと作品世界に没入して、頭の中で再度パズルを組み合わせてみたくなった時、私はまたこの7冊を続けて読むでしょう。すごい作品です。
ところで、ラストの直前に、彼らはどんな斬新なプレイをしたのでしょうか? 知りたくてたまりません。彼らは3Pですが、リバなんでしょうかね。
ZAKK先生の次回作が、楽しみでなりません。

11

非常に難解、だが疑いようない神作品

複雑に絡み合う組織と思惑、正直4巻理解できてません。私には難解すぎる!そんな状態でレビュー書いて申し訳ないのですが、とにかく多くの人に読んでほしい一心で書いてます。実写映画を超える骨太ストーリーでこれをなぜBL誌に掲載したの?と正直思う反面、複雑さが理解できなくても全体的にBL漫画ぽくなくても根底に流れるのはハル、サム、ノブ3人の愛でやはりBLなのかなとも思います。3人で1人感がすごかった、そんなセックスシーンがバリバリ描かれているわけじゃないけどラブシーンもすごい。セックスいうより医療行為のように見える。すごい。最後コアとなる情報を得てからのことが本当分からないんだけど(ごめん)とにかく3人は暗いところから抜け出して最初に戻れたってことはその表情からわかりました。特に罪悪感に苛まれ続けたサム、苦しかったなあ。私には複雑すぎるストーリーだったけど出会えて本当によかったと思える真の神作品だと思います。絵も異常なほど上手い、ほぼ実写?
実写化に1μも興味がないというか、BLの実写は嫌だな、って思うタイプなのですが、これは海外キャストでネフリなどの資金が潤沢なところで実写化して欲しいです。

7

1人が3人に。3人が1人に。

 このシリーズの完結を見届けられて、本当に嬉しいです。忘れられない作品となりました。最終巻だからといって3人のBL的な絡みが増えたりすることはなく、今まで同様大国を舞台にした静かな情報心理戦が繰り広げられます。普通なら萌えが足りん!と不満に思うところですが、このシリーズに限ってはそんな風に思えませんでした。なぜなら3人の目線、口元の綻び方、台詞の言い回しから想像できる声音から常に、他2人への愛、信頼、彼らと一心同体であることへの歓びを感じ取ることができたからです。ZAKK先生の描き方は稀有で、BL界の宝だと思いました。

 メアリー・ロスと数十年ぶりに対面する展開、痺れました。彼女にとっては皮肉にも、サム1人が意志を伝える状況もあの時と同じで。当時はサムが最も優秀で弁が立つからだった。でも今は違う。ハルもノブもサムと同じ人間だから、サム1人が話すだけで十分なんですね。ノブを見た彼女は何を思ったでしょうか。驚き、恐れ、後悔、罪悪感。少なからず過ぎったでしょう。しかし何の感慨も見せないノブの平坦な瞳を見て、きっと彼の人生に己が寄り添える余地は1ミリも残されていないことを悟ったんじゃないでしょうか。彼女の罪の振り返りに一言も耳を貸さなかった3人の毅然とした態度がとても印象的でした。彼女は残りの人生を、じっくり自分と向き合って過ごす必要があるでしょう。他人に吐き出してわずかでも気持ちを楽に、罪に赦しを、なんて許されるはずがありませんね。

 3人は一体何を目的に、これほどの闘いをやり遂げたのか。メアリー・ロスに再び3人が集結したことを突きつけ、罪を認めさせること? 人身売買を助長した罪人たちに鉄槌を下すこと? 今いる子供たちを守るため、孤児院を支援すること? それらはあくまで副次的なもので、結局真の目的は、いつまでもこの3人で笑い合える暮らしを手に入れる、ただそれだけだったんだと思います。ノブさえ健全に卒業させてもらえていたら、もっと早く、お互いもっと平凡な人物として叶えられたはずだった。あの日、そんな未来を壊されてから、細やかな夢を現実にするため3人は危険な橋を何十年も渡り続けた。とても尋常な精神力ではないように思えるけれど、やっぱり他2人が一緒なら何でもできる気がして、突っ走れたんだろうな。各々の他2人への愛の重さがどこをとっても同じなのも、彼らの関係性で好きな所です。性欲からでなく、愛から行為に至るBLも素敵じゃないでしょうか。

3

ついに完結

しっかりしたサスペンスストーリーと、しびれるような男3人の愛を描いたこのシリーズもついに完結の巻を迎えました。
寂しいような、ほっとしたような。。

作者さんが後書き(おしゃれ)で書いておられましたが、しんどかったと。。
これだけの骨太漫画を描かれるのは大変だったのだなあとしのばれました。

それぞれの思いはあれど、ついに黒幕にたどり着くシーンは緊張感がありました。
ただ、悪者だと思っていた人達が意外な顔を見せて、ちょっと拍子抜けした部分はありました。

それでも、ラスト、どの二人の関係をとっても強く揺るがない愛、そして3人でこそ成り立つのかもしれない不思議な絆を感じることが出来て。良かった。
大満足のシリーズでした。

0

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP