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冷酷な覇王の予期せぬ溺愛

reikoku na haou no yokisenu dekiai

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表題作冷酷な覇王の予期せぬ溺愛

タールグ・マト・カイリアーク,26歳,カリアプト帝国の皇帝
レオナ=ナジク・ユクステール,24歳,ユクステール王国の第二王子

あらすじ

愛を不要と考える冷酷な覇王×心優しい王子

王子でありながら侮られ、帝国に人質として送られたレオナ。若き覇王・タールグは、王族らしくない彼が、わざと愚鈍を装っているのではと疑いを抱く。多くの裏切りを経験し、他人を信じることができなくなっていたのだ。レオナの真意を探るため、篭絡せんとタールグは甘い言葉で彼に迫る。一方レオナは、役に立ちたいと始めた品種改良を「偉大な仕事だ」と認められ、急速にタールグに惹かれていた。偽りのないレオナの純真さは、氷のように凝ったタールグの心を溶かし…?

作品情報

作品名
冷酷な覇王の予期せぬ溺愛
著者
佐竹笙 
イラスト
森原八鹿 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784041129050
4.3

(84)

(46)

萌々

(24)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
15
得点
358
評価数
84
平均
4.3 / 5
神率
54.8%

レビュー投稿数15

冷酷皇帝の初恋❤︎トスッと萌えの矢が刺さりました

面白かった〜!佐竹笙先生の作品、3作目。

どの作品も骨太で、広げた風呂敷をしっかり回収してくださる安定感があって。
もちろん萌え要素もいっぱいです(*´艸`*)

今作は、冷酷王 × 人質に送られた隣国の”愚鈍”王子のカップリング。
自分を見つめる王子の目に恋の色を確信して、「そうだ俺に惚れさせちまえばいいんだ!」とニヤリとし、ふふふん♪としてる皇帝、タールグ。

まさか自分が”落とされる”ことになるとも知らずにね…( ̄∀ ̄)

王子ですが、愚鈍なわけではなく、いわゆるディスレクシア、学習障害の一つなのでしょうね。
聞いて覚えることはできるけれど、文字や文章を正しく読むことができない。

でも特に農作物のことに詳しくて、砂糖大根の種を輿入れの贈り物として持ってきて、品種改良して皇帝の国でも育てたい、と。(皇帝の側近たちに失笑されるシーン、むかーっ!ですよ。(# ゚Д゚))
健気で勉強熱心で、素敵な心の持ち主です。

そんな王子、レオナと交流するうちに、少しずつ心を奪われていくタールグ。
恋に落ちたタールグがそれを自覚し、無意識に心の中の想いが口に出ちゃってるいくつかのシーン、笑った〜〜

自分の名前をレオナに呼ばせる発音練習シーンも、めちゃめちゃ笑ったし萌えました…❤︎
「タールグ(=”狼という意味)」って(レオナにとっては外国語だから)うまく発音できなくて、「タールク」=”餅”になっちゃうんです。
もち!って呼んでるの想像したら、なんかちょっとツボに入ってしまいぐふふふ…ってなりました笑

特にグッときたのは…

一つが、タールグが国を子どもに例え、自分の子どもを共に支えていってほしい、と乞うシーン。胸熱シーンでした✨

そして自分的にも一つ響いたのが、
「僕は役に立たない」と自分の無力さを嘆くレオナに、「人には向き不向きがある」とタールグが語りかけるシーンです。

自分も、あれがない、これがない、もしこういう才能があったなら…なんていまだに「ないものねだり」してしまうところがあるので、この台詞は刺さった。。

”ありのままの自分”を認めるって、なかなかできないけれど。
「そのままの君がいい」って言ってくれる人がいたら、心救われる✨

二人の心の距離がどうやって近づいていくのか!?というラブ面でのハラハラに、国家間の策略・陰謀が絡み、読み応えのある一冊でした・:*+.

1

焦れと萌えが交互に

作家様買いです。
帝国の若き皇帝と、その人質となった何も期待をされないまま育った他国の第二王子の組み合わせの今作。
ファンタジー作ですが、文章も話運びも本当にお上手なので混乱することもなく作品の世界観に入り込めるかなと思います。

人をあまり信用することが出来ず、愛を知らずに生きてきた若き皇帝・タールグ。
頭の回転が速く、冷静に物事を見聞きし判断をする…と、人々の上に立って一国を治める皇帝としてはかなり有能な人ではあるものの、心の奥底でやや孤独を抱えてもいるちょっぴり難しい人でもあります。
そんな彼が、他国から人質として帝国へとやって来た王子・レオナと出逢ってしまう。
とあることから自国内では「愚かな王子」と下に見られることに慣れてしまっていて、自然と卑屈な考えに陥りがちな自信のなさを持っているけれど、その一方で素直すぎるほど素直で嘘がつけないレオナ。
自分よりも他人のために一生懸命な人です。けれど決して鼻につくタイプではないんですよね。
なんだか2人ともが良い味付けのキャラクターでして…とっても良かった。

何がどうなってタイトルにもあるような予期せぬ溺愛になっていくのか?
それはもう、両視点で語られていく物語を追いながらぜひ!2人の関係と気持ちの変化をじっくりと楽しんでいただきたい…!焦れと萌えが交互にやって来ます。
不器用な2人と国を絡めたストーリー展開に、読みながらもだもだしたりムズムズしたり、ほのぼのとしたり、時にはハラハラしたりと、今作もとても面白い作品です。
甘すぎず辛すぎないちょうど良いバランスで読みやすいので、230Pがあっという間でした。

そして、佐竹先生ならではの独特の言葉選びと比喩表現が好きです。
読んでいて、これをそう表現するのか〜!と佐竹先生の語彙の豊富さに唸りました。素敵です。
欲を言うのなら後半部分をもう少しだけゆっくりと読みたかったなと思い、今回は神寄りのこちらの評価で。

特定書店限定の書き下ろしSSがどれも糖度が高くかわいらしいお話でしたので、もし機会があればそちらも一緒にぜひ。

1

権力争いの中で翻弄される出来損ない王子


誰も信じられない孤独な王と愛すべきぼんくら王子


不可侵条約を結んだため、人質交換という形で嫁いでくる妹姫の代わりに隣国に送られることになったレオナ(受け)は国教が禁じている同性愛で公開裁判になった愚かな王子だと言われています。
幼い頃より愚かだと貶められていたレオナは多くの国を併合し近親者までも暗殺処刑してきた冷酷王タールグ(攻め)を見て恐れ慄きます。
対して、タールグはレオナが本当に愚かなのかの判断がつかないため、周りに間者を多く潜ませ、同性愛ということなので従者と通じさせて支配しようと画策します。

字が読めず、空気も読めず、言葉の裏を読むことも出来ないレオナは愚かな王子と言われていますが、おそらく今で言うディスレクシアと思われ、王族で且つ第二王子という王位継承の高い地位にいたからこそ愚かだと判断されただけで、だからこそ陥れられるのですが、決して愚かなわけではなく生まれが違えば全く別の判断だったかもしれません。

タールグは幼い頃より人質として他国に送られ、父王に見捨てられた過去を持ち、裏切られることが当然と考え裏切ったら容赦せず、いかに反対勢力を作らせないかということに苦心しながら政情の安定を図っています。
レオナがどういう人物かを判断するため、こちらサイドにつかせるため色仕掛けをさせるよう指示するのです。

両視点で話が進むので、政局の行方も2人の距離の縮み具合も
その時の2人の考えも読み手によくわかるように出来ています。


タールグの警戒は全くの不要なもので、レオナは民の安寧のみが願いです。
そのため、誰も裏切らないし、戦争にも賛成しない。
為政者としては失格かもしれませんが、裏切りに疲れていたタールグにとって、彼の無垢な心はタールグを溶かします。
実際、レオナを落とすように言われていた侍従や護衛たちは早々にレオナ信者になっています。
レオナを落として自分に有利にしようと思っていたタールグがレオナが何も意図していないのに勝手に色々憶測しては右往左往しているのがおかしいやら微笑ましいやら、読んでいて楽しいです。

最終的に収まるところに収まったのですが、レオナが蚊帳の外に置かれていることもあり、レオナの父王が死んだのは本当に病死なのかとか裏切ったタールグに懸想していた国土開発大臣はどうなったのかとか、気になることは多々ありますが、ふたりが安寧の時を迎えることができてよかった


1

意外に面白かった

表紙の絵の色合いも絵も、しゅみじゃないけど、セールだったので購入、
予想が外れて、おもしろい・・文章が大人です。


レオナ:24才。
男色を認めないユクステール国の第二王子。
文字の読み書きが苦手。(多分、ディスレクシア障害)
侍従とのキスがばれて、継承権を下げられネグレクト。
父王に見限られて、カリアプトに人質として出される。
植物の交配研究が趣味。持参したのは、砂糖ダイコンの種。

タールグ:26才 六か国をまとめて、カリアプトを大国にした覇王。
包容力と統治能力が高い王。

レオナの紹介があまりにも惨めで哀れ。
父王に見限られて やっと運が拓けていく。

1

傲慢発 混乱経由 最終着地点溺愛

人は裏切る物と信じ生きる王ターグルの元へ人質として送られてきた王子レオナは文字も読めなかった。
互いが互いを生まれ変わらせ互いの存在で育っていく。
ひとでなしが愛に出会い人になるお話でした。
今作は混乱経由最終着地点溺愛。
受けちゃんはいわゆる現代日本の発達障害にあたる子なのかも知れませんが
何かができないってことがそこまで大事なことなのかとも思わされました。
何より愛を前に混乱する賢い攻めの愚さは切なく最高でした。

1

2人の心の変化を丁寧に描いたお話

この作家様のお話には間違いがないのです…!

帝国の王タールグと、不可侵条約を結んだ国から人質として帝国へ入国した王子レオナ。
タールグはその生い立ちから策略に長けて、裏を読み疑り深い。レオナの事も疑って、色仕掛け用の付き人を置き、家臣から行動を報告させてその真意を読み取ろうと仕掛けます。

人質の王子レオナは、文字が読めず(正確には認識が出来ない)愚鈍な王子として母国で侮られてきた。付き人から口づけされたところを見られ、糾弾され国内を放浪してきた経緯を持っている。自分に自信がなく、レオナにある事を認めてもらっただけで好きになってしまうのです。
農作業が得意で、タールグの命で付いた従者達を交えてほのぼのとティータイムや農作業をしている様子に癒されます。

そんな2人がお互い影響し合って変わっていく姿にきゅんとします。レオナの母国のゴタゴタや、国同士の策略と顛末、レオナの愚鈍という評価の本当のところは…などなど、お話としても恋の部分も非常に楽しい!


頭の良いタールグが自分の気持ちには鈍いのでモダモダさせられたり、純粋なレオナの発言や、タールグへの呼び方の変化(ここの部分可愛いので是非読んでほしい!)に萌えたり、レオナの母国との緊迫した関係にハラハラしたり…。
2人だけでなくレオナの弟王子や、従者や護衛兵、大臣…魅力的な人たちがたくさん出てきます。特にレオナの従者と護衛兵!色仕掛け用として支えさせたとあって挿絵の姿がめちゃくちゃカッコいい!

ちなみに電子版特典で、タールグが非常に浮かれまくってて、心の声が漏れまくり。本編との差もあって笑ってしまうくらいタールグもレオナも可愛くて甘くて良かったです笑

物語に浸りたい人にオススメしたいです!

8

運命の2人

読み始め、レオナの過去や人質である現在の状況に同情。そんな中でも正直で自分のできる事に懸命に向き合う姿は健気だし実は強いのでは?と。
話が進むにつれタールグの孤独が辛くなった。皇帝として完璧であらねばならない、悲惨な過去もあり誰にも心を許せないのはしんどい。
そんな2人が出会って影響し合って悩み苦しむ姿は胸が痛かった。これまでの自分を覆すような感覚だったのでは。
様々な事が起こる中で愛している事に気付き、信頼し、愛を伝える2人に感動。自分になかったものを認めた勇気にも拍手。自分の柱となる人に出会えて良かった。
SSのレオナ溺愛で舞い上がるタールグも最高でした!レオナ大好きすぎてテンションがおかしい。そんなタールグを笑顔で受け入れるレオナも可愛いし、幸せいっぱいで良かったです。
とても面白かった!

6

皇帝と王子の予期せぬ恋物語

今回はカリアプト帝国の冷酷な皇帝と
ユクステール王国の愚鈍な第二王子のお話です。 

愚鈍な男色家と噂された受様が
人質として向かった帝国で攻様の愛する伴侶となるまで。

受様は王国の第二王子として生れますが
文字が読めないなど知能に問題があるとされた上に
国教に背いて同性の付き人と情を通じたと咎められ
王位継承権から最も遠い地位にいます。

母の異なる第一王子に何かと疎まれているために
カリアプト帝国との不可侵条約により
皇帝の妹姫が王国に、受様が帝国に赴くことになります。

受様との別れを悲しんでくれたのは
同母の第三王子だけで受様は簡易な手荷物だけで
帝国に送られる事となります。

そんな受様に帝国の若き皇帝である攻様は
何不自由ない暮らしを約束してくれ
通訳と2人の付き人をあてがってくれますが

それは受様の生活ぶりを観察し、その質を知るための
監視役でもあったのです。

攻様は受様がやってくる前にその人となりを
全て調査済みですが、どこまでが真実はわかりません。

彼の置かれた状況を考えればこちらを油断させるため
あえて低い評価を流されていたのではと
間諜である疑いは消せません。

果たして敵国の人質となった受様に待つ未来とは!?

腹違いの兄王子に冷遇され続ける受様と
疎まれ続けた父王を弑して皇帝となった攻様の
派遣争いが絡んだ王宮物語となります♪

佐竹先生の作品は毎回
小気味よいほどのこちらの予想を裏切るというか
想像した通りの展開で進まなくてハラハラ&ワクワクで
1年ぶりとなる本作もとっても面白かったです。

本作は受視点と攻視点で進むために
読者にはそれぞれの過去や状況、思惑が知れますが
相手側には見えません。

受様は発達障害の学習障害のために
愚鈍と見下されて育つのですが
異母兄にはそんな受様ですら脅威であり
策略を持ってその地位まで追われてしまいます。

そんな育ちをしたが故に受様の自己肯定力は低く、
周りの目に配慮しながら行動するのですが
そんな受様の行動が攻様の疑惑を深めていきます。

攻様は受様の年には皇帝として国を治めていましたが
父王とその妃、妹にまで命を狙われた過去があり
策略や陰謀は日常茶飯事で基本的に人を信じきれないので
受様という人間が掴み切れずにいるのです。

受様がぐるぐるする展開はマストでも
攻様がグルグルする展開は珍しいし
その対比がとても上手にお話を盛り上げていき

ハピエンはお約束とは思っていても
ドキドキ&ワクワクが止まりませんでした。

本編はちょっ甘さが少ないと思いますが
書店特典にて2話、KADOKAWAカクヨミニに2話、
先生のプライベッターにて1話読めますので
ぜひこちらもチェックしてみてください (^-^)v

9

タールグの変化に注目!

佐竹笙先生の作品を読むのは「有翼の騎士の一途な求愛」に次いで2作目になります。
前のレビューでもお勧めしますと書いてたんですが、こちらも凄く良くて評価が高いのに納得しました。

とにかく凄く面白いです。レオナとタールグの両視点で書かれているので、何が起きてるのかお互いにどんな事を思っているのかが分かって、時には萌えて時には焦ったく感じてページを捲る手が止まりませんでした。

文章力に構成力も素晴らしく、場面転換が自然で全体的にスッキリしているんです。それでいて気になるところは余すところ無く書かれてて、上手いなあと唸りながら読みました。
まだデビューして数年なのにとても実力のある作家さまだと思いました。

しかもルビー文庫の薄さ(すいませんw)で、ここまで書けるなんて凄いです。実は違う作家さまのレビューでルビー文庫の薄さを嘆いてしまったので、佐竹笙先生が全てルビー文庫だという事に驚愕でした。でもやはりルビー文庫がもっと厚ければ、この作品もレオナの弟が国を治めてからの事とかもっと深掘り出来たと思うとやはり惜しいと感じてしまいました。KADOKAWAさん何とかして下さい!

さて作品についてですがこちらタールグがレオナと出会ったことで、人間らしい感情とか幸せに目覚めて行く過程が凄く良いのです。レオナの人タラシ的才能が周りの護衛や侍従たちだけではなくて、凍り付いたタールグの心まで溶かすのですよ。
 
個人的にはレオナの性格の良さにちょっとイラッとしてしまいましたが、そこさえタールグは魅力的に思えて惚れ込んでるんですからかなりの溺愛です。
最初は冷酷で冷たい攻めが最後には受けの為に命を投げ出す覚悟で愛するってお話が大好物なので、凄く楽しんで読む事が出来ました。

まだ佐竹笙先生の作品は2作しか読んで無いので、時間がある時には過去作も読んでみたいと思いました。これから注目して行きたい作家さまです。次回作も必ず購入したいと思いました。

7

本編とおまけSSの温度差

作者様買いです。ファンタジーの世界観とキャラ設定がいつも丁寧で、無理のない(でも抜群に面白い)展開が好きで、今作も購入。

私の求めていた冷酷攻めはこれであった…!攻めのタールグは受けのレオナに惹かれるまでは本当に冷酷なんです。為政者として必要なことだけど、まぁ疑り深い。それがボロボロと崩れる様にある種の快感があります。絆され攻め最高!

今で言う学習障害のあるレオナの世界はぐちゃぐちゃで常に混乱の中にいたけれど、タールグに会うことで世界の中心が定まり生きやすくなる。
そしてタールグは冷酷に、冷静に、人を信じず物事を断じていたのに、レオナとの交流で自分を振り返り、世界がぐちゃぐちゃになります。
この対比も良かったです。依存ではなくお互いに影響しあうところが。キャラクターの特性が上手く噛み合ってストーリー展開に説得力と深みを持たせていました。

本編、とても面白かったです。
そして電子おまけSS、タールグのキャラがデロデロに崩壊しています。シリアスな本編とのギャップにどうしたどうした?とニヤニヤしながら読みました。おまけの醍醐味ですね。下ネタで頭の中桃色な攻めに笑いました。

不遇で健気だけど芯のある受けと、受けに会うまで愛を知らなかった冷酷攻めが、お互いに振り回されるお話が好きな方、お勧めです。

12

攻めの不器用さ必死さが面白かった。

面白かった。
愚鈍だと侮られてきた王子受けと、隣の大帝国の王様攻め。

人質としてやってきた受けがどんどん周りを懐柔していくから愚鈍な振りでこちらを油断させようとしているのでは???と疑いまくって監視しているうちにミイラ取りがなんとやらな話。

受けはディスレクシアと恐らく視覚過敏の影響で文章を読むのが苦手で、視覚情報が多い場所(カラフルで豪華な王宮とか)が苦手。あと言葉の裏を読んだりするのも苦手だし、纏まらない話をグワーッと話し続けちゃったりするタイプの子。

攻めは家族に裏切られて、苦しい生活の中で皇帝に成り上がった人だから他人を信用できない。受けのことでも直ぐに疑心暗鬼になってしまう。だけど受けの素直さや素朴さに惹かれていくことは止められなくて拗らせちゃう。勝手に疑って空回っている攻めが面白かった。

受けに本当に裏切られることが怖くて、いっそさっさと裏切らせて正体を暴いてやる!と重要な会議とかに連れ回して試し行動をする攻めが痛々しかった。でも肝心の受けは会議中に睡魔と戦ってるしでズッコケそうになる。他にもケンカ後に受けに目を逸らされてショックを受けてたら、変装で着てた護衛兵の制服がかっこよくて照れてただけとかシリアスな中で受けのほのぼのした空気に癒される。

受けも攻めに好意を抱いているものの、こんなに近くにいなくていい、遠くから眺めるだけで十分、眩しすぎるとか思っている心情が推しに対するオタクみたいで笑った。

最後、殺伐とした世界で生きてきた攻めが、受けが生きている長閑で素朴な世界に俺を入れてくれと言うシーンがとても印象的で好きだった。

9

ジャイアン?

佐竹先生だったので購入。先にお伝えします。私はコミコミさんが付けてるSSペーパー、めっちゃ好きでした!(私は爆笑したが、深い愛を感じる人もいると思う)お馬鹿な私は本編はちょっとついていけないところもあったので、萌にしました。タイトル通り冷酷な王様が恋に落っこちてしまうお話、本編230Pほど+あとがき。

人と少し感性が異なるが故に愚鈍だと軽んじられ、不可侵条約を結んだ隣国へ差し出されることになった第二王子のレオナ。その隣国の若く冷酷な皇帝タールグは、レオナが手土産だと言って持ってきた砂糖大根の種を植えることを許可。レオナはつけられた二人の付き人と共に朝から晩まで畑で世話をして過ごし・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
イーサン、ケイジ(付き人)、ガーフ(通訳)、ハルイ(受けの弟、第三王子)、キリヤ(受けの昔の付き人)、ラディ卿(受けの大叔父)、アッバス(攻めの国の大臣)などなど。ちょっと色々いて役割がさくっと見えてこなくって、最後までドキドキ。

++攻め受けについて

受けは、文字を読むのが苦手(おそらく何らかのディスクレシア)、片づけが苦手、鮮やかな色合いなども苦手で、畑などの自然の中で農作業しているのが落ち着くらしい方。あまり大切にされてこなかったので自己卑下多く、ハムスターという印象。裏表なんてなく、人のことはまっすぐ信じちゃう。中盤より後ろぐらいからちゃんとものを言うようになったので、そんなにど健気というようには感じませんでしたが、いわゆる健気さんなんだろうと思います。

攻めがねえ。個人的には某国民的アニメのジャイ〇ンの賢い版?という印象。色々大変な道のりを経て国を統一したし、いつも裏を探り人の先に手をうちと頑張ってきた方なので、人を信じるということがまず無い。そういう方なんですけど、だんだんハムスター受けに落っこちていくんです。好きな子を構わずにはいられない?そこがなんか面白かったなあ。自分のことが好きであるべきだなんて独り言ちているところは「あんさんが先にすきになっとんが」とめっちゃ突っ込みました。

お話としては最後まであれやこれや両国間でどったんばったんしていて、二人の恋話にちょっと集中できなかった感じなのが、個人的には残念だったんです。もうちょっとだけ、そのあたりのエピが少なくて、二人のラブい様子を楽しめるページが多ければ嬉しかった・・・と思った一冊でした。(そのラブい部分、ペーパーでちょっと補充できるので、ペーパーおススメなんだけどなあ)

7

読み応えたっぷり、冷酷から溺愛へ

冷酷な覇王の頭脳戦?
とても長く感じました。濃かった〜。

愛されたことがないからわからない皇帝タールグが、人質の王子レオナにセルフ振り回され攻めか?難義な皇帝ですねえ。

レオナがとっても良い子で。なのに勝手にハメられ汚名を着せられ挙げ句に人質にと追放されて。

タールグはちゃんとレオナのあるがまま、本質を見てくれて。なんか勝手に策を巡らせ勝手に怒って何だこの人は?と思ったけど…。
レオナの世界を整理して安定してくれた、レオナを愛してくれた不器用な男、タールグ。

色んな人物の思惑や裏切りや密通やら凝ってますね。相関図を書きたくなりました。
タールグの人心掌握術や外交にもレオナによって変化がありましたね。

孤独で冷酷な覇王と優しい王子は国を導き幸せになったようですね。最後のプロポーズ的なタールグの台詞にグッときました。

8

皇帝陛下の恋愛成長物語

はーー…めっちゃ楽しかったです。
ストーリーも良いんですけど、特に笑いのエッセンスが最高でした。途中手足をジタバタさせて笑い転がってしまって、家読みしてて良かったです。


このお話は、ユクステール国王子のレオナが、政情問題による交換人質としてカリアプト国にやってくることから始まります。カリアプト国皇帝のタールグと出会い、お互いに惹かれ合っていく…という展開です。

このタールグとレオナの恋愛過程が、はっきり言うと焦ったくてモダモダです。ジレモダだけど、めちゃ面白い。
何事にも完璧にみえる皇帝タールグの恋の言動ですね……これが良い。

レオナは王子だけど苦労人です。健気で素直な性格で、畑いじりが大好き。タールグは最初はレオナが何が企みがあって人質として来たんじゃないかと疑って接していくけど、次第にレオナを好きになっていきます。


この作品はタールグの恋愛思考と言動を楽しむものなんじゃないかなって思いました。とにかくタールグの心の声が多く、それがどう見ても恋愛童貞思考。そして不器用。
タールグは「レオナは俺のこと好きだな」フフンって感じでしたが、予想と違うレオナの反応に疑問→気になる→不安→好きかも→レオナに愛されたい…こう願うようになっていくわけです。

タールグとレオナの噛み合わない会話、タールグの心の声(ツッコミ)、レオナと親しい者への嫉妬。……ここでは説明が難しいほどに笑っちゃいます。タールグは特に心の声の才能がすごいです。
私のお気に入りを1つ紹介しましょう^ ^

レオナの弟に面会したときの場面。レオナを守るように行動する弟くんを見て、
「兄(レオナ)と昨夜も寝床で剣の稽古(エッチな抜きあいっこ)をしたと知ったらどんな顔をするだろうか」

比喩〜!(笑)心でこんなことを考えながら笑みを浮かべるタールグに、腹抱えて笑ってしまいました。

タールグのレオナ大好きダダ漏れが面白い。だけど、本人には好きって言えないチキンな面もあり…これがジレモダの要因です。
それは彼の生い立ちに関係していて、ある意味可哀想ではあるんですよね。タールグは誰かに愛されたことがないから愛し方が分からなくて、レオナに期待するばかりで自分からは何もアクションを起こさない。だから気持ちが伝わらない。タールグの騒がしい心の声を聞けば一発解決なんですけどねー…。

こんなにもレオナのことが大好きなのに、レオナに誤解されてすれ違って…何をやってるんだか。そんなタールグを応援しながら読んでいたので、やっと気持ちを伝えたときはめちゃくちゃ嬉しかったです(≧∀≦)


タールグの恋愛成長の一方で、ユクステール国とカリアプト国とのあれこれがあり、ピリつくシーンもちょこちょこありますが、その合間に2人の甘めのエピソードが挟まっているという構成です。それが作品の緊張と緩和を生んでいて、グイーッと引き込まれました。最後まで一気読みです。


タールグのキャラ崩壊溺愛ぷりは、電子限定おまけS Sで最強になっていました。電子S S…めちゃくちゃ面白かった。
紙版と迷ったけど、電子にして良かったです。

8

不憫受けっていいよね…

作家様買い。

ユクステール王国の第二王子であるレオナ。
王子でありながら蔑まれすごく不憫なんです。
そんなレオナはカリアプト帝国に人質として送られます。
そのカリアプト帝国の帝王のタールグがレオナを疑い、色々と試してくるのですが
レオナはとにかく健気で読んでいて切なくなりました。
健気なレオナに少しずつ心を開くタールグですがー…。

タールグも孤独な人間で、最終的にはレオナと出会えてよかったね!って思えるのですが
途中の試し行動は私はなんだかなぁ…と思っちゃいました。

二人の恋愛模様が書かれているのではなく
戦のお話も書かれているので、そういった意味でもハラハラしました。



不憫受けが好きだから読んでよかったなぁと思いました(*´▽`*)
ただ、登場人物が多くてちょっと頭が混乱しちゃったので
今からまた読み返そうと思います♪

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