特典付き
健気攻めが読みたいと思って「健気」にチェック入れて詳細検索したところ、こちらがヒット。
ジム、あまりにも日本語が達者すぎる……という違和感はありましたが、良き攻めでした。
でもこの内容なら上下巻が必要だったと思います。
一巻にまとめてるからどうしてもサラリと描くしかないと思うのだけど、あっさりしすぎというか、心に残る前に通り過ぎていく……。
背景としては
・攻め側:宗教上の問題で同性愛は禁忌とされている。
・戦勝国と敗戦国という立場
・受けを日本人としてまともに扱ってくれるのは攻めのみで、周囲は「ジャップ」扱い。
・受けは戦争で親友が自決&自分だけ生き残ってしまったPTSD持ち。
・受け父は鬼畜米英を地でいく元教官で、受けへの理解ゼロ。
「申し訳ございません、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」とカタカタ震えながら父に謝る姿が被虐待児みたいで闇の深さが……。
なんつー無理ゲー。
それをモノともせず愛を貫いた話ではあるんだけど、まったく愛を貫いた感がない……。
もっとも征四郎は、攻めに好意を抱いたから受け入れたわけではなく、あくまで踏み台利用してやろうという魂胆でOKしただけという打算的な付き合いから始まってるので、それが愛に変化するまでとその愛を貫くという二段階を描かないといけないわけで……
やっぱりどうしても最低2冊は必要だったと思います。
疑問点がいくつか。
メリケン男がNGなだけで、そもそもキャバレーで働いたり不特定多数の女を渡り歩いてる生活そのものは不問なのか?
お給金を実家に入れるシーンがあったが、受け取るんだぁ……と違和感が。
あの親父なら、メリケンとメリケン相手の売女が乳繰り合ってるような店の金なんて汚いとか言ってのけそうなのに。
ジムの友人トーマスとの会話は、何語だったのか?
トーマスが日本語で話すわけがないし、征四郎の英語力はゼロに等しいのに「寮にいる」ってなぜ通じたのかしら?
ジムと出会い流れに身を任せるようにただ生きていた征四郎の顔つきが明るくなり、魅力が増していき美しいです。
2人の筋肉の描き方が違い体格差が艶っぽかったです。
単話の表記がNight.1 となっていて作品のキーワードは「夜」なのかな?
ひとりでは超えられない夜もふたりならきっと大丈夫。
最後、征四郎がこれからの2人のことを決断する経緯がうーん、説明不足?大事なシーンなのにサラッと終わってしまった。
ほんと少しの違和感なんですが、すごく気になりました。
どう描いて欲しかったのではなく、それまでのこの作品の良さ、雰囲気がそこだけちょっと違っている印象でした。
そこ以外は素敵なお話だったので、ちょっと厳しめの評価になってしまいました。
申し訳ないです。
戦後間もない日本が舞台の物語。この時代の雰囲気はとても好きなので、貧しさや米兵との関係性、日本人の米兵に対する様々な感情などがリアルに描かれていた所はとても良かったです。一方、2人の恋愛関係の進展は結構トントン拍子。一度は征四郎の家族によって引き離されますが、お互いの気持ちがすれ違うことはなく、最後は2人で渡米する。若いしさほど長い期間の話でもないでしょうから勢いに乗っているということは理解できるんですが、ジムの周囲は大丈夫なのか、何か起きた時にこの2人は果たして持ち堪える力があるのか、などちょっと気になりました。
戦後間もない日本のキャバレーで店員である征と米軍兵のジムが出会います。
戦争のトラウマで夜寝られない征は女性と夜遊びする日々を送っています。
征が女性とセックスをしているシーンがあるので苦手な方はご注意下さい。
初めはジムを利用して渡米しようとする征ですが、徐々にジムに惹かれ好きになっていく様子が可愛かったです。
征の父に二人の関係が知られ、離れ離れになってしまったところは切なかったですが、クライマックスは最高としか言いようがありません。
まるで映画を見たような読後感です。
これからの征とジムの幸せを祈っています。
シーモアは白抜き修正でした。
我慢しているジムを煽る征が大変えっちでした!
"同性同士の恋"というところだけではなく、越えなければならない壁がたくさんあるふたりの恋。
そもそもは征四郎がジムの真っ直ぐな気持ちを利用したようなところから始まる関係なので、征四郎の打算的な部分が見えていたりもしたけれど。
ジムの優しさとあたたかさに触れて気持ちが傾いていき、やがて本心から求めるようになっていく征四郎の姿が胸に響きました。
舞台となっているのが終戦後の日本なので、"アメリカ人"というものに敏感になってしまっているのがなんとも切なくて。
征四郎の家が特別厳しかったところもあると思いますが、閉鎖的で凝り固まった考えをする征四郎の親を見ているとすごく複雑な気持ちになりました。
でもジムはそんな扱いをされても、征四郎のことを一番に考えて咄嗟に自分を下げることができるような器の大きい人で。
悲しすぎるくらい物分りの良い彼が不憫で仕方がなくてどうにか幸せになってもらいたい…!と願わずにはいられませんでした。
なので、ふたりが本心で向き合ってまた一緒に居ることを決めてくれて嬉しかったです。
切ない場面もたくさんありましたが、最後にはふたりの晴れやかな顔を見ることができて本当に良かったなと思いました。