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表題作愛を食べて生きている 下

イオリ
プロジェクト用受精卵クローン
スズキ カナメ
遺伝子工学研究員

同時収録作品斯くして、心音鳴り止まず。

マナ
不老不死の元研究員(150歳)
リセ
体細胞クローン

その他の収録作品

  • 描き下ろし:extra
  • あとがきまんが㊦

あらすじ

慣れない快感と羞恥、上司からの期待と圧力、
追いつかない気持ちにすれ違いながらもお互いへの理解を深め
プロジェクトを再開したイオリとカナメ。

改めてイオリのことが好きだと自覚し、
疑似ではなく正式なパートナーになりたいと
告白するカナメだが、イオリからは否定も肯定の返事もないまま
なぜかその後連絡が途絶えてしまう。

そんな状況のなか、研究所の所長から呼び出された
カナメはプロジェクトの全貌と所長の真意を聞かされ、
イオリの言葉の端々に感じていた違和感の原因を知ることに。
そして、イオリと連絡が取れなくなってしまったのは
"拒絶"されているからだと気付き――?


"性的な交渉"が根絶した世界で繰り広げられる、
セックスワーカー×遺伝子工学研究員の
"愛"を知ってゆく物語、上下巻同時発売。


リセが主役のアフターストーリー、
『斯くして、心音鳴り止まず。』も収録。

作品情報

作品名
愛を食べて生きている 下
著者
芽玖いろは 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス Qpaコレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784801980839
4.3

(85)

(48)

萌々

(23)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
365
評価数
85
平均
4.3 / 5
神率
56.5%

レビュー投稿数14

深すぎるタイトルが沁みる

性交渉をせず体外受精でリモート繁殖のみとなった近未来。様々な弊害から旧式の生殖に戻すプロジェクトの被検体となった、遺伝子工学研究員のカナメ。
遺伝子データを元に選ばれたパートナーとしてやってきたのは、チャラい見た目と言動のイオリ。最悪な第一印象だったけどそのままセッに持ち込まれ、カナメは初めての快感を知る。
研究のためと割り切ろうとしても心と体が連動しないもどかしさ。イオリを知る程に惹かれていくけれど、実は彼はセックスワーカーとして作られたクローン人間で⋯。

種の保存を第一に効率を優先していく世の中で、忘れられていた最も大切なものに気づいていく2人。「人は愛を食べて生きているのよ。」というカナメの曾祖母の言葉がタイトルなのだけど、これがもう本当に深くて泣ける。
人を愛してはいけないクローンと研究員との恋の行方に、めちゃめちゃ惹き込まれた。
真面目な黒髪メガネ受けなカナメと見た目は遊び人なイケメンだけど一途な攻めのイオリ、相性抜群の2人が最高のパートナーすぎる!

イオリのセックスワーカー仲間だったリセのその後の番外編も、時を超える想いが切なくて愛おしくてまたすごく良かった。上下で対になる表紙も素敵。

0

声を大にして「良き!」と叫びたくなる尊いBL。

セッ〇スワーカーとしてこの世に誕生したクローン人間×そのクローンを秘密裏に作成している研究員の「愛」を知ってゆくお話の下巻。


もう、尊かった!!!!

題材や設定が重いので、途中切なくなるんだけど、最後2人が愛を知って幸せを自らの手で掴んだ結末には、涙しかなかった(ティッシュを箱持ちしながら)

下巻にスピンオフも入っているのですが、そちらのお話もまた幸せでいて欲しいと願い続けたくなるお話でした。

2023年も、上下巻は読みごたえあって良作多すぎ問題発生中…

タイトルの伏線回収の一部、受けのおばあちゃんのセリフ、重いけど温かくて、そうかあ…そうだよねえ…って思った。
攻めのこと、本当に愛してくれてありがとうね、受け!! ってお礼言いたくなった読了後でした。

ハッピーエバーアフターだよ!!!

0

やっぱり愛って尊いものだ

カナメの気持ちを受け取りながらも、なかなか前に進むことができずにいるイオリ。
どう見ても両想いなのになぜ?という思いが拭えなかったのですが、育ってきた環境と受けてきた教育が大きく関係していたのを知ってとても切なくなりました。

クローンと人間の恋愛という問題以外に、心の在り方も変える必要のあるふたりがパートナーになることは簡単なことではなかったけれど。
それでもカナメの温かな言葉たちがイオリを救って、ふたりが愛しあうところに辿り着いたのがすごく嬉しかったです。

生まれた理由はどうであれ、クローンだって感情を持っている以上人間と変わりはないのだから、イオリと一緒にいることで感じる「愛」を制限されることなく素直に表に出せる結末になってくれて本当に良かったなと思いました。
クローン仲間のリセのお話もとても感動的で、短編で終わらせるにはもったいないくらいでした。

イオリとカナメ、そしてリセも。
これまでは自由な暮らしの中で"縛られて"生きてきたようなところがありましたが、最後にはみんなそれぞれに生きる道を選択できるラストになっていたのが素敵でした。

3

愛を食べて生きている 下

芽玖いろは先生の上下巻
下巻は物語の核心が明かされていきます

イオリの性格が健気で一途で切ないです
だからこそ運命の相手を大切にしたいと思うのに、自分の存在はそれが許されないことを知っているのは、どれほど辛いんだろう

愛を食べて生きている、というワードが終始重たくも心地よく響くお話でした

リセのお話も良かった
運命に翻弄された2つのカップル
どちらも、それぞれの形におさまってよかった

壮大な世界観のお話で、個人的にはすごくでした
優しくて、とても強く人間らしいお話でした

2

時が進んでいく

芽玖いろは先生初の上下巻。
新型ウイルスが流行した結果、すべてがリモート化され性的な接触もなくなり繁殖さえリモートになった世界。
多くのことがコントロールされて命や愛が気軽であるが故に軽く見られているようになっています。
もしかしたらそんな未来になってもおかしくないかも…と思えるのはコロナ禍ならではなのかもしれません。
そんな中、新式の繁殖方法=人工授精の弊害で寿命が短くなり赤ん坊が多く亡くなって、遺伝子工学研究院のカナメは旧式の繁殖方法=セックスを学ぶことに。
遺伝子的データをもとに家にやってきたパートナーはセックスワーカーのイオリ。しかも男でチャラ男。そんなふたりの物語です。

【下巻についてのお話です】
男と男でどうセックスをするのかと躊躇していたカナメもイオリと過ごしているうちに好きになり、研究のためではない愛し合うセックスをしました。
でもイオリは・・・

下巻ではイオリとリセの過去の話から始まります。まるでキリスト教の孤児院のような施設でふたりは暮らしていたようです。でもそこは善意の場所ではなく、大人の望む秩序を守らせ競わせる場所であり、大人の言葉に矛盾のある場所でした。ただ外から遮断された「デタラメな純血主義」を学ぶ施設でした。
そのため性欲と愛情の違いがわからず、仕事であるセックスの先にある愛がわかりません。カナメと研究を終えてパートナーになりたいと言われても否定も肯定もできませんでした。
自分たちは「人間」ではないから。

もちろんイオリは人間なんです。ちゃんと愛を知っているし、人に寄り添い思い遣れるんです。
クリスマスをカナメやカナメの同僚家族とイベントに行きます。穏やかなふたりの表情に読んでいるこちらもほっこりします。一緒にクリスマスイベントを過ごし、カナメはイオリの新たな一面を知ったり、自分の子ども時代の話をしたり、今の想いを伝えます。
「みんな人の愛を食べて人になる」というカナメの言葉はとてもよかったです。

その後、ふたりは身体を重ねます。愛を語り合いながら、今までにない幸せに満ちたセックスを。


下巻の後半にはスピンオフ、リセのその後のお話になります。
セックスワーカーの仕事から解放されて「人間」として暮らすことになったリセは、数年旅をしていました。
とある宿へ向かう途中で偶然、向かう予定だった宿の主マナに出会います。すぐリセがクローンであることを知り、自分は不老不死の元研究者だったと伝えてきます。
今までの価値観から抜け出せないと言うマナに親近感がわき、そばにいたいと感じます。でも近づいたらマナはリセを拒絶して離れて行ってしまいます。そしてマナの過去を見つけてしまったリセは、そのことにショックを受けます。

ずっと誰かのコピーだと思っていたリセとずっと寂しくひとりで生き続けなくてはいけないマナ。後半ではそんな寂しいふたりが愛し合い、セックスをします。ちょっとあっけないと感じますが、ふたりの設定を考えるとそれもありかな?とも思えます。
リセが愛を見つけて幸せになれたのでとてもよかったです。マナもリセもやっと進んでいけます。

3

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