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王子と狼殿下のフェアリーテイル

ouji to ookami denka no fearīteiru

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表題作王子と狼殿下のフェアリーテイル

ウルヴァー,狼に変えられてしまった謎の毒舌男
フラン,18歳,ダートシー王国王子

その他の収録作品

  • Happy Wedding & Ending

あらすじ

姉の駆け落ちで突然王太子となったフラン。花嫁探しの舞踏会の夜、育ての魔女ラフェルテ相手に愚痴を零していたところ突然謎の男に暴言を吐かれ、激怒したラフェルテが男を仔狼の姿に変えてしまう。その直後ラフェルテが昏倒。彼女を救うには魔女の里にある秘薬が必要らしい。フランは仔狼姿の正体不明の男と騎士妖精のデューとともに魔女の里目指して旅に出ることになるが……? のんびり王子ともふもふ殿下の恋の道中記!!

作品情報

作品名
王子と狼殿下のフェアリーテイル
著者
小林典雅 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525780
4.2

(67)

(29)

萌々

(24)

(13)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
14
得点
281
評価数
67
平均
4.2 / 5
神率
43.3%

レビュー投稿数14

「のび太受け」と毒舌仔狼たちの珍道中!

いや〜、めっちゃくちゃ面白かった〜!!
小林典雅先生のファンタジーを読むのは、初めて。

実はこちらの作品、一度読み始めた時10ページぐらいで脱落していたものでして、、
多分初読時はファンタジーの気分じゃなかったんだろうな、と。

今回意を決してもう一度読み始めてみて、本当に良かった◎

受け君の「面倒くさいことはなるべく回避!」な思考には笑っちゃうし、仔狼は可愛いし(小山田あみ先生の挿絵、最高…✨)で夢中になって最後まで読んじゃいました。

挿絵全て最高of最高なんですけれど、個人的に一番のお気に入りは、仔狼くんがフランからの離れまいと必死にフランの足にしがみついてるシーン!かかか可愛すぎだよーう!……とひとり内心大興奮でした。

のび太みたいに面倒ごとを避け、できるだけ楽して生きていこうとする純情受けフランと仔狼に姿を変えられた毒舌男、そして美貌の妖精男子…この3人の珍道中が面白すぎて、終始にやけながら読書。

仔狼だから人間みたいに話せないんですが、狼の言いたいことをことごとく勘違いして明後日の方向に捉えるフランが本当おかしくて。

倒れてしまった魔女のばあやを救う薬を求めて、3日間の短い旅。
しかし短いながらも様々な出会いと出来事を通して成長していくフランの姿が可愛く頼もしく、一気に最後まで読んでしまいました。

欲を言えば、2人がくっ付いたところで終わっているのでその後のお話も読みたかった!
そちらは頑張って妄想で補おうと思います( ̄∀ ̄)

1

元気をもらえるラブコメ

二人の姉の駆け落ちで、繰り上げ次期国王候補になってしまった王子フラン。
優秀な姉たち比べて、のんびり毎日のお昼寝を楽しみに生きてきたフランは、なんとか自分が国王になるのを阻止できないかあの手この手で説得しようとしますが失敗。
花嫁探しの舞踏会が開催されることになり─。


舞踏会の最中、対応に疲れてバルコニーで魔女のラフェルテ(ばあや)とともに休憩することになったフラン。
思い出すのは姉の婚約者のフェリウス殿下のこと。
姉の誕生日に年一回しか会ったことはないけれど、物腰柔らかく、文武両道で誰に対しても紳士的なフェリウスはフランの憧れでした。

自分が姉の立場だったら、絶対フェリウス殿下を選ぶのに、と納得がいってなかったフランはばあやとともに「実は殿下にとんでもない悪癖があるのでは?」と考えます。
完璧すぎるフェリウス殿下を袖にするなんて、どう考えてもおかしいから。

そんな話をしていたところ、バルコニーの下に謎の男が現れて、フランとばあやは罵詈雑言を浴びせられます。
やれボンクラだとか、やれババアだとか。
フランが穏便に済ませようとしても、謎の男の暴言が止まらず、男はばあやの魔法で子狼にされてしまいます。
フランの手の届かない場所に逃げたりすると、死にそうになるぐらいの頭痛がするというおまけ付。

そして魔法を使いすぎて倒れてしまったばあや。ばあやを助けるには特別な薬が必要になります。
その薬を取りに行くために、フランは初めて一人と一匹と、護衛の妖精付きで旅に出るというお話。


おとぎ話のような設定のファンタジーでしたが、小林典雅先生らしく優しく可愛くえっちなお話でした〜!
途中までずっと狼の謎の男。ウルヴァーと名付けられます。
フランに心からの謝罪をしなければ人間に戻れない魔法がかかっています。
ちょっと反省するとケモミミ付きの二歳児ぐらいの人間になったり、十四才ぐらいの少年になったり…上手いな〜と思いながら読んでいました。

このウルヴァーが攻めなんですけどね、罵詈雑言浴びせたり、始めの方は敵意むき出しだったりするんですけど、なぜか憎めない。
子狼の姿だからなのか、フランがそこまで落ち込んだりしないからなのか、態度が悪いとフランが距離を置いて頭痛というお仕置きをされるからなのか、なんだかちょっと「攻めかわいそう…」になってくるから不思議です笑

攻めの正体、読者はすぐ気付くと思いますがフランは途中まで気付かず、いつになったらラブになるんだろう!?と今か今かと待ち構えてました。

人を疑うということをしないフランは、旅の途中で騙されたり襲われたりします。
その都度、寛大な心で許そうとするフラン。
優しすぎる。

舞踏会に来てた母娘の母親(サキュバス)に無理やりキス(とは言いたくない)されて、その唾液の効能で身体が熱くなってしまいます。
その熱を治めるために、狼姿のウルヴァーに攻めフェされたりア○ルを舐められたりして慰められます。
「消毒のキス」の流れ最高でした…!

正体を明かしたウルヴァーもとい、フェリウス殿下。
あんなつれない態度はどこへやら、実はお互い好きだったと分かるとめちゃくちゃ甘くて優しくなります。
典雅先生らしい溺愛攻めで大好きです!
フランもぽやぽやしてるけど天真爛漫でめちゃくちゃ可愛い。

サキュバスにフランのファーストキスを奪われてなければ文句なしに☆5なのですが、個人的にもやもやしたので☆4.9でお願いします。

2

正に珍道中



王太子になったのんびり王子のはじめての試練

次期国王となるはずの2人の姉姫がそれぞれ駆け落ちしてしまった為、急遽王太子になってしまったフラン。
花嫁探しの舞踏会で疲れ果てついつい、養育係のばあやで魔女のラファルテに愚痴を言っていると、いきなり現れた仮面男に罵詈雑言を浴びせられます。
それを聞いたラファルテが激怒し、魔法を乱発し、真摯にフランに謝罪しないと元に戻らない魔法をかけ仮面男を仔狼に変えた挙句倒れてしまいます。
齢700歳と高齢のラファルテがこのままでは危ないということで、ラファルテの里へと薬をとりに行くことになってしまうのです。
フランの手の届く範囲から離れると頭痛に苦しむ魔法をかけられている仔狼(ウルヴァーとフランが命名)と母の契約する騎士精霊シルヴァリーデューの3人?で箱入り王子は無事辿り着けるのでしょうか。
そして、仮面男は誰なのか(すぐに想像つくのですが)、罵倒してきた原因はなんなのかと、珍道中が始まるのです。




フランは大国の第一王子ですが、長子相続で2人の姉がおり、2人共が優秀で王位継承の可能性は殆どないため、のんびり嫌なことからはうまく逃げ、昼寝が大好きな王子に育ちました。
そんな中、5年ほどの間に相次いで姉が婚約者を差し置き好きな相手と駆け落ちしてしまい、王太子になってしまうのです。
まさに青天の霹靂。特に次姉の婚約者フェリウス(攻め)はフランの憧れで義兄になるのを楽しみにしていたので残念がります。
甘やかされて育った割には素直で、他人を貶めたり蔑ろにしたりはしません。
罵倒してきた仮面男も仔狼の状態ではじめはやさぐれ反抗期わんこだったのが、自分のために宿屋に泊まるのを諦めて納屋で泊まってくれたり、危害を加えようとした相手にも温情を与えたり等々、フランと人柄に接するうちに態度も軟化していき、仔狼が犬耳尻尾つきの幼児になったり少年になったり、また狼になったりとさまざま変化しながら旅を続ける過程がとても楽しいです。

フランは自分が楽をするためならスルスルと口から出まかせだったり、理論武装したりするのでそれもまたとても楽しいです。
母である王妃にはばれていて、彼のためという前提ではあるけど、楽になる道を潰したり甘やかそうとする父王の舵をきちんととっているのも楽しいです。
そして最後に味方してくれるのも王妃なので、この国の一番の権力者は王妃なのだなあとつくづく思い知らされます。

なんともぽやぽやした王が誕生しそうですが、優秀な婿を迎え、性根の良い王が周りに大いに支えられて良い治世になるのではないでしょうか。
ラファルテには長生きしてもらって、これからもフランのわがままに付き合ってもらいたいものです。

とても楽しい話でした。

4

もふもふシリーズ⁈

既に皆様が素敵なレビューを書かれているので、私はまったくの個人的感想に走らせていただきます。
大好きな小林典雅先生に大好きな小山田あみ先生のタッグなら買うしか無い!と電子で購入しましたが、どうにも我慢出来ず、紙本も購入してしまいました。その結果、honto様と中央書店様とで電子と紙の両方の特典を入手でき、甘々で胸がいっぱいです。電子特典はサプライズプレゼントのお話で、紙特典は文通のお話でした。
これは「王子ですが、お嫁にきました」から続く小林先生の王子シリーズだと勝手に思っていましたが、「王子ですが」のおしゃべりシマリスのピム、本作の仔狼ウルヴァー(二歳のケモミミウルヴァーもたまりませんが)ときて、「小説ディアプラスもふもふ特集アキ号」にも、なんとまたまたシマリスが登場!実はもふもふシリーズなのではないかと思い直しているところです。もちろん、次のもふもふ本が発売になったら、迷わず買わせていただく所存です。
それにしても小山田先生のW王子は本当に眼福ですね。あと、愛すべきポンコツ王子フランの、いかにも育ちの良い、丁寧な話し方も個人的ツボでした。ビタミンBLごちそうさまでした。

2

美麗な挿絵 大人のビタミンBL絵本

ラブコメファンタジー
「王子ですが、お嫁にきました」と内容に絡みあり
大きな山場なく、展開先読みしやすい疲れないラブコメ

ルドヤード:父王
アドミラ:母妃

フラン・ローゼミューレン:18才 ダートシー王国王子 三人姉弟の末っ子 
母似の美貌 父似のぐうたら・・姉達の出奔で王位継承者になる 
乳母の薬の為に魔女の郷へ試練の旅に出る 

リリティア:7才上の姉 侍女と出奔
クローディア:2才上の姉 竜人と駆け落ち 連れ戻し失敗

ラフェルテ:700才 面食いの恋多き魔女 フランの乳母 魔術の後、昏睡 

ダルブレイズ:350才 国王付の魔導士 妻帯歴あり 

シルヴァリーデュー:母妃の騎士妖精 イオルク村出身

黒マントの男/ウルヴァー:素性不明の侵入者 美男
「婆とぼんくらは●して寝てろ」の罵詈雑言でラフォルテを怒らせ狼にされる
 物語中ほどで、素性が分かってくる

3

の●太王子とジャ●アン狼のケモミミ道中膝栗毛

めちゃくちゃ可愛いかった〜〜…!
正にタイトルの〝フェアリーテイル〟の通り、魔法が溢れる優しいお伽話BLでした!

作者曰く、今作は〝の●太くん受〟と言う事で、趣味は昼寝でぐうたら三昧、常に自分が楽になる事を考え、他力本願なのに憎めない…!不思議な魅力のある受け様でした♡
いやー、の●太くん受けイイですね!のんびりおっとり&純粋で優しい心根に癒されます。

確かに、フランを甘やかして何でも魔法で解決してしまう乳母のラフェルテはドラ●もん感があるな!笑
フランの「ドラ●もん、助けてよー」が聞こえてくるw

そして狼に変えられてしまった謎の暴言男・ウルヴァー
一方的に罵詈雑言を浴びせて、口汚く罵る姿はジャ●アンでしたが、本当の姿は努力家な出●杉くんだった訳ですね
血の滲むような努力で、出●杉くんになっていた彼には同情しかない……

昏睡したラファルテを救うべく魔女の里へ秘薬を貰いに、の●太的な受け様と、ジャ●アンのように吠えまくる仔狼と、ナルシストなイケメン妖精の珍道中をクスクス堪能しました◎
狼なのに表情や吠え方で感情表現豊かなウルヴァーが可愛いく、素直じゃ無い天邪鬼な所もツンデレ好きとしては堪らんです♡

ただ、スパダリを装いつつも本性はウルヴァーのような毒舌粗暴男なんだと思っていたのに、素性が分かった後は単なるスパダリになってしまったのが少し残念
毒舌粗暴なウルヴァー好きだったんですけどね……

ハラハラしたり切なくなる展開も無く、終始リラックスして楽しめる作品でした!
お伽話のように〝めでたしめでたし〟でスッキリ大団円なラストも大満足◎
『王子ですが、お嫁にきました』のスピンオフのようですが、本作単体でも問題なく楽しめました!
スピン元になった『王子ですが〜』も是非とも読みたいです((̵̵́ ̆̂̑͟˚̩̮ ̆̇̑)̵̵̀)

5

可愛い子には旅させろ

作家さん買い。

優秀な姉二人がいるから自分にお鉢が回ってくることはない!とのびのびのんきに育ってきたフラン。
ところが姉二人が駆け落ちしてしまい、まさかの次期国王の座がまわってきてしまい超絶焦るところとか、笑えます。

花嫁候補を集めた舞踏会に侵入してきた謎の男と、ばあやである魔女のラフェルテの聞くに耐えない罵り合いも笑えます。
ち○かす野郎!とかBLで読んだの初かも。

フランがいいですねぇ。
楽をすることに全力で、何とか苦労せずに物事をすませたいといったのんびりぐうたら王子なんだけど、怠惰とか無精といった負のイメージは浮かばないです。
お育ちの良さゆえのおっとり感とか、人を疑ったり相手の足元を見たりしない姿勢や優しさが全開で、かわいい。

魔法を使いすぎて倒れたばあやラフェルテのために、子狼(中身は魔女ラフェルテの逆鱗に触れて変身させられてしまった謎の男)と、お付きの妖精とで無理やり旅立つことになったフランの焦りやら、旅の様子が楽しい一冊。
そして攻め、意外な苦労人だったのね。

4

狼殿下の七変化が楽しい

小林典雅先生の作品は複数、拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
ファンタジー 5
ほっこり 3
可愛い 3
笑い 3
エロ 2
な感じだと思います。

2人の姉がいる3姉弟の末っ子、フラン王子。次期女王になる筈だった姉が駆け落ちしてしまい、繰り上がりで王位継承権2位となるが、まだもう1人の姉が居るからと高を括っていたが、その姉すらも駆け落ちしてしまい、しかも相手は竜人と!その為、突然次期国王に決まってしまった。自分には王は無理だと、英才教育から逃げてのんびり昼寝をしていたいフランは、姉を連れ戻すべきだと両陛下を説得しようとするが、聞き入れてもらえず…。

フラン王子や両陛下達は人間ですが、魔女やドラゴン、妖精など、様々な種族が登場するファンタジー作品です。中でも乳母でもある齢700歳の魔女、ラフェルテの魔法の所為で物語りの展開が大きく動きます。

フランの為にと花嫁候補を一堂に集めた舞踏会が催されたが、疲れてしまいラフェルテの魔法も借りてバルコニーで休憩していたフラン達に、仮面を付けフードを被った謎の男に何故か罵倒される。激怒したラフェルテの魔法で、男は仔狼に変えられて、更にフランから離れると死ぬ程の頭痛に見舞われる魔法までかけてしまう。しかし魔法の使い過ぎでラフェルテは倒れてしまう。男は仔狼のまま、ラフェルテの意識も戻らない為、フランは仔狼(仮名、ウルヴァー)と妖精のデューを連れて、秘薬を求めて魔女の里に駆り出されてしまう。

小林先生のあとがきにも書いていますが、仔狼、ウルヴァーの正体は序盤で分かると思います。因みにウルヴァー×フランのカプとなっております。ウルヴァーの正体が分かった状態で読み進めるとクスッと笑えるのと萌えでニヤニヤ笑ってしまいます。のんびりしたフランのウルヴァーに対する言動が、志○後ろ!後ろ!って感じになってしまいますね。ほんとニヤニヤします。

そんなフランの言動でウルヴァーの反応も良いですね。謎の男として登場した時の罵倒はなかなかなものでしたが、何故あんな罵倒をしたのか察して読んでいると、ちょっと言い過ぎ感もありますが仕方無いのかなと思いました。なので罵倒の件もあり、なかなか素直になれないウルヴァーも仔狼の姿なので可愛いですね。でも仔狼の姿でフランのちょっとしたお仕置きとして、頭痛に苦しめられるシーンは、動物好きの読者さんにはちょっと心苦しく思われるかもしれません。

仔狼ウルヴァーですが、旅の途中で、狼耳と尻尾が残った2歳児や14歳の姿になったり、仔狼から立派な体格の狼など、ウルヴァー七変化が堪能出来ます。個人的に、中身は大人なのに姿は2歳児なので、舌足らずに毒を吐くウルヴァーが可愛いです。因みに狼の姿では、フランの前も後ろも舐める絡みシーンがあります。

ウルヴァーもですが、ほのぼのフランも可愛いです。これも小林先生のあとがきで書いていましたが、序盤の言動はかなり頼りなくて、ほんとのび○感があってしっかりしろよ!と思ってしまったのですが、心優しいフランの言動に徐々に癒されて、頑張れ!と応援したくなりました。

絡みシーンでのほんのり変態な言動をする狼殿下に尊敬と愛情を素直に伝えるほのぼの王子のラブラブイチャイチャが可愛いので是非とも読んでほしいです。

4

のんきな末っ子王子が王位に就くことになりました

今回は北の小国第二王子と
ダートシー王国の末っ子王子のお話です。

受様が倒れた乳母の薬を求めて旅たち
大切な存在見つけるまでの本編と後日談短編を収録。

受様は父王の第三子の王子として生まれますが
王位継承は長幼の序で決まるため
受様はのんびり&のほほんと暮らしていました。

ところが5年前に長姉が政略結婚を厭って恋仲の侍女と出奔、
幸いにも相手も好いた相手ができて外交問題を拗らすことなく
縁談は白紙、次姉が第一王位継承者となります。

父王は次姉に婚約者のアストラル国第二王子と
手紙のやりとりをさせ、親睦を深めさせますが
次姉は手紙のやりとりをになう伝書ドラゴンと恋仲になり、
式直前に駆落してしまうのです!!

受様は次期王となるため帝王学から教養講義まで再履修させ
受様の花嫁を決めると舞踏会まで開くのですが
受様には何もかもが苦痛でしかありません。

バルコニーに隠れて乳母である魔女に
つい次姉とその婚約者について愚痴っていたら
舞踏会の招待客らしき仮面の男に暴言を吐かれてしまいます。

受様が唖然としますが、
乳母は男に仔狼の呪いをかけて謝罪を迫るものの
あまり激高しすぎて倒れてまうのです!!

長命な魔女とはいえ相応な年の乳母には
それは命の危機となってしまいます。

果たして受様に乳母を救う術はあるのか!?
そして仔狼にされてしまった男の未来とは!?

突然次期王に定められた受様と
受様達への暴言で呪われた攻様との
ファンタスティックな恋物語になります♪

タイトルからも想像できますが
受様の乳母に呪いをかけられた仮面の男こそが
次姉の婚約者だった攻様その人です。

受様は姉の婚約者としてあっていた攻様に憧れており
竜人を選んだ姉の気持ちがわからずに愚痴っていたのですが
悪いタイミングて攻様が受様達の話を耳に入れた為に
話がこじれてしまうのですよ(笑)

そして受様は乳母を救い、仔狼の呪いを解くためにと
魔女に効く万能薬を求めて旅に出る事となるのですが

旅慣れない受様の旅が上手くいくのか
どうやって仔狼な攻様との恋が進展するのか
乳母の薬は手に入るのかとか
そもそも攻様はどうして暴言を吐いたのかとか
気になる項目がテンコ盛りです。

受様の旅の行方と恋の行方に一喜一憂しつつ
とっても楽しく読ませて頂きました (^-^)/

典雅作品は既刊作と秘かにコラボしている事があり
今回は『王子ですが、お嫁に着ました』の受様が
本作の受様の長姉の元婚約者設定でした。

本作に絡むわけではないのですが
読了者にはムフフ♡ なサービスでたいへん嬉しいです。
今後も典雅ワールドの広がりを期待いたします。

4

黒わん

典雅先生なのでマストバイ。楽しかったですけど、いつまでもは覚えていないなと思ったので、萌にしました。本編210P+あとがき+掌編。

優秀な姉二人がいるので、ふわふわのんびり生きてきたフラン。姉二人が駆け落ちしてしまったので、急遽王太子に!あれこれ学習させられるわ、大勢の貴族の娘と見合いパーティをさせられるわで、大変。ちょっとパーティ抜け出してぶつくさ言っていたら、庭に黒づくめの怪しげな男が現れ・・・と続きます。

攻め受け以外の主な登場人物は
ダルブレイズ(優秀な魔導士)、ラフェルテ(受けのばあや)、シルヴァリーデュー(母親付の妖精騎士)、国王、王妃(受けの両親)ぐらいかな。

++面白かったところ

典雅先生らしい、長い長い流れるような1文。これが典雅先生の魅力なのでは?と思います。長いんですけど、すらすらっと読めるんですよ。不思議ですよねえ?

今回、ラフェルテを助けるために黒わんとシルヴァリーデューと珍道中となるのですが。攻めが黒わんこならぬ黒狼。なんとも人間くさい黒わんこでして(笑)。一言もしゃべれないのに、「がう」と言って会話に参戦したり片側だけ歯を見せてせせら笑うとか、人間くさい。そして意地が悪そうな印象。それがまた可愛いんですよね、そんなクソわんこみたいなのに、ちっこいから可愛くて許せてしまう。

あとシルヴァリーデュー。つよーい騎士なんだけど、ちっこくなったら肩にちょこんと座れるサイズ。翅からは青い鱗粉(=ほぼ魔法の粉)を出して助けてくれる方なんですが、こいつもストレートじゃないので、ちょっとだけ気を遣う。王子様、あっちこっちに気を遣って大変な珍道中でした。

受けはまっすぐふわふわ良い子だったので、黒わんも妖精騎士を含め周りの人たちにも気を配って国を盛り上げていくんだろうなと思った一冊でした。

4

キャラが秀逸

今作も典雅節が炸裂していて何度クスッとしたか分かりません。www

ヤル気は無いし緩いけど善人であるフランのキャラがとても魅力的でした。そして意外にも苦労人だったフェリウスがひょんな誤解から、ラフェルテによって仔狼に変えられてフランと一緒に珍道中を繰り広げるさまは読んでてとても楽しかったんです。

フランは楽をしようと知恵を張り巡らせたり、また悪人にもちゃんと救いを残してたりと自由で柔軟な頭を持っていました。そんなフランと旅をするうちにどうやら誤解があったと気が付いて、フェリウスが仔狼から狼獣人の子ども姿になり段々と成長して行く様子にワクワクするんです。

読者はとっくに仔狼に変えられた謎の男の正体に気が付いているので、フランがいつ彼の正体に気が付いて仰天するのかをまだかまだかと期待してしまうんです。

もともとフェリウスはフランの姉である第二王女の婚約者だったので、どうやってLOVEが育つのだろうと謎に思ってましたがフランをそんな風に思って居たのねってニヤニヤしてしまいました。

そしてそれ以前にやはり駆け落ちしていた第一王女の婚約者が2021年刊の「王子ですが、お嫁にきました」のアシェルだったと知り、やはりニヤけてしまいました。あのお話の裏側がここに繋がっていたと思うと楽しく思いました。

最後はホッコリとする結末で幸せな気持ちになり読後感の良いお話でした。

9

一旅ですっかり大人に。挿し絵が素晴らしい!

挿し絵が素晴らしい!!
小山田あみさんの描くファンタジーも、狼も妖精も幼児も、あんなシーンもこんな体位も!!キエーありがとうございます!

お話はのび太のような王子さまが突然次期王候補になってしまい…な始まりで。
ところどころ台詞にクスッとなりました。

母上容赦ないです〜。

表紙を見てわかるのに、一体フランとここからどうやってくっつくの?と序盤はハラハラ。
そもそも狼の正体は?

この三人の珍道中で目的達成なるか?なお話かと思ってたら意外な展開で。

ただ、なんかな〜。疲れてるからか長く感じました。もうわかったってば!な?

まさかの正体や結末にもほっこり。
良いお話でした。
フランがとっても良い子ですね。王妃と妖精の関係性はいかに?

過去作も関わってきておお!と嬉しい発見もあります。

5

グータラ王子の成長物語

フフッと思わず笑ってしまうファンタジーストーリーです。
作者さんの、セリフをおもしろ楽しく操る大技・小技がパンチ効いてました。ブラックジョークがキラリと光る楽しい一冊です^ ^

ストーリーはおとぎ話調で親しみやすく、そして読みやすい。登場人物たちは人間だったり狼だったり、竜人や妖精だったりとファンタジー要素満載です。
色んな種族が登場しますが、一番目を引くのは主人公・フラン。のんびり気質のグータラ王子が、本作品の愛すべき主人公です。

この王子さまときたら、王位継承権が低いことを良いことに自由きままに勉強もせず気楽に生きてきた超マイペースな性格で、趣味は昼寝。作者さんもあとがきで仰っていましたが、あの国民的人気マンガの"のび◯び太"の王子版です。
彼の側には齢700歳の魔女がいて、困った時には魔女の力でちょこちょこ助けてもらっていたようす。本当にドラ◯もんとの◯太の関係まんまです。

さて、このグータラ王子様の身に降りかかってしまった恐ろしい案件というのが、自身に王位継承権が回ってきたことです。優秀な姉2人が駆け落ちしてしまった今、フランが次期国王となることが決まりました。もちろん、自由を最大限に謳歌し帝王学も学ばぬまま生きてきたので拒否りますが、それも無駄な話。次期国王ルートからは抗えないフランのトホホ…な落ち込みは王子らしからぬ態度でめちゃ面白いです。


そんなフランに起きた大きな問題が、彼を支えてきた魔女のばあやが昏睡状態に陥ったこと。フランに失礼な言動をしたある男に魔法を使ったためなんですが、この男は仔狼の姿に変身してしまいました。
フランはばあやを目覚めさせるため、仔狼とイケメン妖精と共に魔女を助ける薬を得るため旅に出ます。


ここからは1人と1匹と1妖精の珍道中が始まっていきます。3人の旅は非常にコミカルで騒がしく楽しい一方、当然トラブルにも見舞われます。

この旅で注目すべきは、仔狼が何者か?っていうところ。普段は仔狼ですが、耳付きの子どもになったり少年になったり、時には大人の狼になったりと容姿変化が実に様々です。しかも人間姿のときは、フランの知る誰かに似てるような……。
この仔狼の正体はまさかのあの人で、この旅は2人を結びつける大事な時間となったことは言うまでもありません^ ^

仔狼の正体が分からなかったからこそ知ることが出来たフランのありのままの姿。仲が悪かった仔狼とフランの間に少しの変化が生まれます。トラブル続きの旅という場面で起こりやすい"吊り橋効果"もあってか、旅での生活が密やかな恋心をぐんぐん芽生えさせたって感じです。

旅で得たのは恋だけではありません。最初はグズグズと頼りなかったフランも精神的に一回り大きくなりましたし、この旅の意味は大きかったと思います。彼はきっと素敵な国王になることでしょう。
国民としては賢くキッチリした王様より、国民の気持ちに寄り添い手を差し伸べる王様の方が愛されるんじゃないかな。フランには愛する者と共に国を良い方向に導いていって欲しいですね。


この作品ですが、イラストがストーリーにマッチしていて、美しくて可愛いくてすんごい良かったです。特に仔狼が獣人化した2歳児バージョンの耳付きチビっ子ちゃんの姿が、激かわわわ〜…でした。

おもしろ楽しいホッコリほのぼのなファンタジーストーリーがお好きな方にオススメです♪

6

小林先生×ファンタジーもの。

作家買い。
作家買いですが、小山田さんが挿絵を描かれているとか…!嬉しすぎて発売日を心待ちにしていました。小林先生の新刊はファンタジーもの。小林先生作品でファンタジーモノってちょっと珍しいな、と思いつつ手に取りました。

ネタバレ含んだレビューです。苦手な方はご注意ください。




主人公はダートシー王国の王子・フラン。
フランには姉が二人おり、三番目の子にして唯一の男子だが、ダートシー国では長子制度を取っているため長女が次期国王になる。長女も次女も賢く聡明で、フランは自分が次期国王になることはないと高をくくりのんびり過ごしてきた王子だ。

だが、姉二人が相次いで本当に愛する人と駆け落ちしてしまう。
(ちなみに、長女のリリティアの元婚約者が、小林作品の「王子ですが、お嫁にきました」の受けさん・アシェルという繋がりがあります)
次期国王になることはないと座学を真面目に学んでこなかったフランは今更ながら焦りだし、そしてお妃候補を選ぶためのパーティーにも辟易するが…。

というお話。

フランは次女の元婚約者のフェリウス殿下に憧れを抱いていたこともあり、なぜ姉はフェリウスを振ってしまったのか分からない。優しくイケメンで、物腰の柔らかいフェリウス殿下ではあるが、いや、もしかしたらフェリウス殿下は人に言えないような何かを抱えているのでは?と、そんな雑談を、子どものころから自分の乳母の様に育ててくれた魔女のラフェルテと何の気なしに話ているところに、一人の男が現れ激高されてしまう。

要は、昼寝が大好きでぼんくらな王子(フランのこと)と、フランにかこつけくだらない妄言を話し続けるラフェルテに怒り、暴言を吐かれたのだった。

そのことに激怒したのはラフェルテ。
腹立ちまぎれにその男に子狼になる魔法をかけ、そして、こともあろうに魔力を使いすぎて倒れてしまう。ラフェルテが回復しなければ男にかけられた魔法は解除されることはない。フランはラフェルテのために、子狼は元に戻してもらうために(理由はそれだけではないのですが)、ラフェルテを救う薬を求めてともに旅立つことになるのだけれど。

フランはちょっとすっとこどっこいな王子ではあるのですが、それでも次期国王になるべき人物で、彼を護衛するために一人の妖精・デューを付けてもらい、3人で旅に出てー、と話は続きます。

妖精のデュー、そして子狼(名前がないのは不便なのでウルヴァーと名付けた)
とともに、薬をゲットすべくフランは奮闘していく。もしかしてシリアスベース?とちょっと思ったのですが、いやいや、小林節は健在。ほのぼので、思わず吹き出してしまうようなコミカルなやり取りもあり、フランは薬を手に入れることができるのか、そしてウルヴァーの正体は?というあたりを軸に進むお話です。

フランという男の子はですね、のんびりな男の子でして。
あとがきで先生が「の〇太のような」と書かれていますが、言い得て妙。怠けることが大好きで、何とか苦労せずに事を運びたいと思う男の子なのです。が、この子がめっちゃ可愛い。王子という高貴な身分のためか。とにかく、人を疑うことをせず、そしてどんな相手にも真摯に向かうやさしさと強さがある。

それゆえにトラブルに巻き込まれることもあるのですが、そこをサポートするのがデューとウルヴァーの二人。タイプの違うイケメンさんであること、そして彼らの素性(何しろ一人は妖精でもう一人は子狼だ)という正反対のバックボーンが上手に絡む描き方は素晴らしいの一言です。それを小山田さんの美麗絵柄で拝見できるという眼福さよ。思わず拝んでしまう麗しい挿絵でした。

見た目だけではなくって、ウルヴァーは時々人の形になり、しかも少しずつ成長していきますが、子どもの時のおぼこい話し方がめっちゃ可愛くって悶絶しました。

ほのぼのハートフルなお話なのですが、いや、それゆえに、か?
エロは控えめ。小林作品は好青年に見えてむっつり×純朴なのに快楽にヨワヨワな受けさん、って鉄板なCPですが、今巻はちょっと待って、ちょっとそれ高度なプレイ過ぎない?という描写もあってちょっとびっくりしましたです。

どんなプレイかはぜひとも手に取って読んでいただきたいですが、ヒントは、「子狼」でしょうかね。

とはいえ、小林さんらしい温かさに終始満ちた1冊で、しかもストーリーもめちゃめちゃ面白くて、これ、いったいどうなるんだろう…、とページをめくる手が止められませんでした。

序盤、大丈夫かと心配になってしまうようなポンコツの(褒めてます)フランが、デューとウルヴァーに助けられ、そして彼の持つ優しさでピンチを潜り抜けていくさまがなんとも爽快。人として、王子としての成長物語でもある。

キャラは最高だし、ストーリーは面白いし、お次はデューの話も読んでみたいなと切望中であります。評価でちょびっと悩みましたが、ちょっとオマケして☆5つで。

10

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