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表題作殿とつばめ 七十二候拾遺譚

坊ちゃん,端獣の末裔
乙鳥,元お世話係の執事

その他の収録作品

  • あとがき/カバー下:イラスト

あらすじ

瑞獣の末裔である坊ちゃんのお世話をするため、執事として戻ってきた乙鳥(つばくら)。
お別れをした5年前とくらべ、落ちぶれてしまった様子のこの家にいったい何が起こったのか……。
しかし、そんな状況でも坊ちゃんは困った人がいると放っておけずすぐに自分の身を削って与えてしまう。
乙鳥は、坊ちゃんが傷つくことが許せず、それらを取り戻そうと心に誓うが……。
大ボリュームでお届けする、主従の切ない和風ファンタジー!

作品情報

作品名
殿とつばめ 七十二候拾遺譚
著者
小石川あお 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス エストロコレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784344852518
4.4

(64)

(42)

萌々

(15)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
282
評価数
64
平均
4.4 / 5
神率
65.6%

レビュー投稿数11

幸福な王子も読んでほしい

本作は、『幸福な王子』をモチーフにしているだろう。
無理を強いて手伝いを頼んだツバメを、自己犠牲の末に死なせてしまった王子の像の話。

このお話を、身を削って恵まれない人々に恵みを与える心優しい王子の話だと思っている人も多いと思います。
でも、私はずっとそうは思えなかった。

優しさも過ぎれば誰かを巻き込み犠牲にする。
失って初めて自分のしたことの重大さに気付いても、もう取り返しがつかない。
この物語は教訓だと私は思う。

多分だけど、あお先生もそう考えたのではないだろうか?
たがらこそ、そこを正そうというストーリー展開にしたのではないのだろうかと思う。


見返りを求めず、身を削って人々に施しをする麒麟の坊ちゃん。
しかしその根っこにあるのは、愛するツバメ・乙鳥への執着と独占欲。

自分勝手な欲が乙鳥を追い詰め、その目を曇らせる。
とうに愛されていたのだということすら気付かず、愛ゆえの自己犠牲が乙鳥の命を脅かす。

しかし童話と違うのは、乙鳥が生きているうちに坊ちゃんがそのことに気付くこと。
そして、自分がしてきた親切が巡り巡って二人を助けること。

こうあって欲しい、こうあって欲しかったと思うことが全て描かれていた。
愛する人の幸せを願うだけでなく、自分が幸せでなければ相手も幸せであるはずがないのだ。

さらに、この作品が面白いのは坊ちゃんが瑞獣であるというところ。
これが作品のキモであり、落とし所に繋がっていく。
そして、時代背景と完全和風テイストなところも良い。

電子の描き下ろしは、「ハッピーバアスデイ」。
坊ちゃんのお母さま、ちゃんと子供を愛していたのではないかと思う。
胸が温かくなる、とても良い描き下ろしでした。

19

素敵なお話なので読んで欲しい

作者買いです。今作も大ボリュームな上にとても読み応えがありました。

実は読んでて子どもの為にと購入した「幸福の王子」を読んで号泣したことを思い出しました。www

坊ちゃんの乙鳥に対する執着と実は策士だった事に凄く萌えました。この2人のお互いを想うが故のすれ違いに悲劇を予感するんですよ。
ですが最後の最後で人間たちが瑞獣の大切さに気が付いて2人が救われて良かったです。

このお話の素敵なところは幕間に他の人外のエピが挟まれている事でしょうか?それが本筋にちゃんと絡んで来てお話に奥行きを与えていました。

童話を題材としているだけでなくオリジナリティを入れて、ちゃんとBLとして昇華できてるところが凄いと思いました。
号泣はしませんでしたがウルッと来ました。

3

300ページが一瞬 絵の魅力やばい

絵がうますぎる…絵に魅力ありすぎる…よくこんなに丁寧に丁寧に300ページ以上描いたなって思います。素晴らしかった。長いから飽きちゃう?って思ってたら一瞬だった。
殿が美しくてかっこいいのにどこか昔のままで頼りなくて、でもつばくらと一緒にいたいってのが伝わってきてとても良かった。
つばくらはTHE受けのようでありながらそうじゃなくてちゃんと越冬するために海も越えるし悪いやつは殴るし、ちゃんとした執事。越冬するために冬は殿と一緒にいられないつばくらの苦悩とか最後の決断とか、え?って感じで話も面白かった。というか絵が良すぎて普通のエピソードも一つひとつ息を呑むように美しい。殿はボロボロになっても美しい…今回は受けが攻めの世話をする感じでそれも新鮮だった。

じっくり読まないと話の真髄を理解できないと思うけどサラッと読んでもめちゃくちゃ楽しめる。お布団シーンも夢のように美しい…いつもに比べてもかなり描いておられてやった〜って感じでした。
良質な絵本のようであり、二人の執着と愛が織りなすBLであり、買って読んで損はなかった。いいお金の使い方でした。

3

すごく良かった~涙が止まりません

小石川あお先生の人外物3冊目ですね。幸福の王子がモチーフの作品でしょうか?
可憐でかわいらしい乙鳥と見目麗しい宝石のような聖獣麒麟のぼっちゃまの美しくも切ないお話です。書きたいこと一杯あるのに、なんて書いていいかわかりません汗
とにかくとても好きな作品になりました。
両片思いでしょうか?いやもっと尊い無償の愛ですね。
2人が想い合う姿はほんとに美しい!
どうにかしたいでもどうにもならない想いにハラハラ
絵が繊細でとても美しいです。特に乙鳥ちゃんの羽がとても好き
蛍のなかで、2人が見つめ合うシーンは綺麗でとても好きなシーンです。
なんだか小石川先生の最初の頃の作品鳩教授と小鹿くん思い出しました。教授にも可愛い羽がついてたなと

2人は永遠に2人だけの旅を続けているのでしょうね。

2

胸が苦しくなるほどの素敵な愛のお話。

麒麟と燕のお話。

なんと言ったらいいんだろう。

最初から胸が苦しかった。

あと麒麟が美しすぎて、またその身を削っていく姿がより苦しかった。
お互いが、お互いのことを思いすぎて自己犠牲的な優しさがつまった切ないお話なのかなあ、、、

一瞬メリバを予感してしまったけれど、最後は違ったのでよかったです。というか個人的には、あの写真の幸せそうな2人にも泣きそうになったんだけどね。

とにかく、めちゃくちゃ好きなお話だった。そして物語の情景とか、言葉とか、設定とかが美しかった。先生の頭の中はどうなってるんだろうという感嘆してしまう作品でした。

カラーイラストも綺麗すぎて、かえって切なさを誘われました。

こういうお話、大好きです。



1

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