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耽美の女王・山藍紫姫子御大の大作。
主人公はエスドリア国の麗しい聖将軍・シュリル。
そのシュリルを激しい憎悪の眼で見つめる漆黒の男・マクシミリアン。
マクシミリアンは、シュリルの正妻だったのに離縁されて自殺した妹の復讐を誓ってシュリルを拉致するが…
痛めつけようとして初めて知るシュリルの秘密。それは…
…という感じで。
結局シュリルは両性具有者なわけなのですが、そうと知った男の取る拷問法はひとつ。
性的に嬲る。
隠された秘密をこれでもかと暴く、屈辱/恥辱系の嗜虐性。
表現もシュリルの持つ女性器への陵辱の方が主になり、読んでると「BL」を読んでいる気分がどんどん薄らいでしまう。
シュリルの方も、はじめは不感症的なんだけど次第に女性器での快感に目覚めて、女性の感じる快感に翻弄される。
一方勿論後孔も犯されるんだけど、こちらでの快感は得てないようです。
もう一人シュリルに執着して「妻」にと願う将軍からのレイプも延々。
道具、3P、二輪挿し描写もあり。
山藍先生の圧倒的に耽美な単語のチョイスと言い回しで、素晴らしく美しく哀しいロマンスである事は間違いない。
しかし、男女もの官能小説、容赦ないSM系AVの文字版にも読めてしまう。
一読した率直な感想は、シュリルが可哀想。同じ女として。みたいに思ってしまった。
つまりシュリルを「男」として読めなかった。両性具有でも女寄り過ぎたと思う。
しかし、作品としては一流だと思う。言葉の魔術にかかります。
凄い作品だったぜ…。
両性具な子は初めまして…な気がする。
が、正直そんなに萌えませんでした。
自分の中ではやはり、男の体でヤってこそのBLがいいかなぁ。
表紙は性別を有耶無耶にした美しい人形のような人間、受けのシュリルらしさがよく描かれていると思うのですが、長髪がなー…。
長髪好きじゃない自分の好みもあるのですが、余計に女性らしく見えてしまう部分ともなり、もう少しギャップを感じたい気持ちもありました。
凌辱部分はしっかり書かれていたのではないでしょうか。
酷いの好きとしてはそれなりに満たされました。
蝋燭が活躍していた。これはなかなかにドキドキしたぞ。
自殺は禁忌とされているので、どれ程傷付いても自死を選べず、命を奪うよう懇願する様にもゾクゾクしました。
スケッチもいいぞ…!!!
花を模した用語たちに、最中は色々こんがらってました。
後ろだけはピンときたけども。
終着点はそれなりにシリアスなかんじになるかと予想していましたが、そうではなかった…!
瞳の色が変わるっていいですね。
この作者にしか書けないような世界が広がっていたと思います。
すごい世界を見せられた~~~
とにかくすごい世界観、お耽美満載!美しい世界!!
だけど、しんどい、しんどい…
両性具有は地雷な私に、これなら!と薦めてもらって読んだのですが、地雷ですね!!!
BLカテゴリーじゃないからか、男だけど女性器を持つのが醍醐味だからか、エロシーンも女性器中心で、ほぼほぼ男×女。
途中までtnk付いてんのかどうかも分からなかった。花芽=包茎tnkで良いんでしょうか?
本当に可哀想なくらいtnkいじってもらえない。いや、可哀想なのは私なんだけど。分かりやすい射精や前立腺への刺激の描写がないので、たっぷりなエロエロ描写も求めてる方向性が違って…官能小説としてはすごいんですけどね。tnk、女性器、孔と刺激されてんのはどひゃーーーとなりましたけども。
男×男を感じるところは、ストーリーを通しても少ない。
シェリルも両性具有だからこその運命、苦悩はあるけど、女性として扱われてる感が強い。
逆恨みで凌辱されるのがしんどい、しんどい。そこまでする?の連続。心を通わせたかと思ってたのに、なんであっさり別れてしまうんや!国に帰されたら酷い目に合うに決まってるやん!用無しになったと意気消沈なとこにラモンの凌辱シーンが長くてエグくて長くて、いつになったら救われるの…しんどい、でも先を知りたい…マクシミリアンに会うために殻を破るために雪山を駆け抜けるシーンは素晴らしくて、やっとの想いが!!!耽美!!!あーもう、すごいすごいぞ!!!となっての、あれ?終わった??ここで??という結末。
ご褒美的なあれがないのもあってか、ハピエンだけど、清々しさや満たされ感より、登場人物それぞれのキリキリした心の叫びが深く残る作品でした。手酷い凌辱からマクシミリアンを必要と思う経緯が、疎まれ何も感じてこなかった自分に向き合って痛みや感情を与えてくれたからってのも斬新で一筋縄でいかない感や何もかもがなんかすごかったのは確か。
この本の美麗な表紙の作者は、小島文美さん。
実物を見たくて、電子版を讀んだあと古書を買いました。良書なら、紙本も欲しくなります。本文にあるシュリルのイメージとピッタリの表紙絵。
挿絵が無いし、表紙が綺麗、人前でも平気で開いて読める安心装丁。
美しいシュリルが、凌辱されて苦しむ場面の連投ですが、場面や世界感が御伽噺風の綺麗な描写なので、可哀そう・恥ずかしいと思いながら、惹きこまれて読めてしまう。名作として「教えて姐さん」で紹介されるまで、読みたいと思わなかった本ですが、面白くて、瞳の色の変化場面を数えながら、20回くらい読み直しています。感謝!
主人公シュリルは、周囲を圧倒する美麗な容姿の聖将軍、国王の守護12将軍。
革命が起きて王や多くの貴族が逃亡先で死亡。シュリルは、マクシミリアンとラモンの計画により隣国のマクシミリアンの城へ追い込まれ、そのまま軟禁されてしまう。シュリルの首は懸賞金をかけられ、本国へ戻れない。
「魔性性の美」シュリルは、男でも女でもない美しさを持つ人。シュリルの不思議な体と瞳を知るにつれ、魅力に惹き込まれていく二人。シュリルは地獄の凌辱を受けるのに、容色の美しさは増していく。シュリルの秘密が暴かれた後の着衣は常に女性用が用意される。・・軟禁中のシュリルは「姫」と呼ぶべきかも。
3章以降から、シュリルのトラウマをマクシミリアンが解消していく・・愛しているのに、上げた拳を下げられないマクシミリアン。
心を動かせないシェリルが人形ではなくなっていく。シュリルが意思を持たない人形のようになったのは、幼少期のトラウマが原因、自発的な意思を持てなくなった。
父に何度か殺害されかけて、「命にかえても両性具有を隠し通すから」と父に助けを懇願したシュリル。
シェリルが怖れるのは「自死しかない状況に自分が追い込まれる事」
国教で自殺は禁止されている。マクシミリアンに「私にはお前が必要だ。自分を殺して救ってくれるから」と言った数日後、シュリルは本国に返還となり、死ぬより辛い日々を送ることになる。
シュリルが蟄居する城はラモンが管理する。
ラモンの監視下で暮らすシュリル。ぞっこん惚れたラモンは、シュリルの秘密を公にして正妻に迎える手続きを始める。
シュリルが怖れる両性具有の公開。「結婚=秘密の公開を死を以って拒否」したいシュリルは、殺して救ってもらうためにマクシミリアンの城へ逃亡する。マクシミリアンに殺されることが、シュリルの甘美な夢。
追ってきたラモンとマクシミリアンの決闘。
シュリルが身を呈して止める。ラモンに斬られたシュリルが意識を戻して目を開けるのか、心配になってしまうけれど、「目を開けたらもうひとりじゃない」で終り。
あっけない耽美風というか、簡素で余韻ない結末でした。
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▶著者からのコメント:Amazonから
「冷たい緑の瞳が、紫色に変わる瞬間、男の中の女が目覚める。(略) 官能小説としてお楽しみいただければ幸いです。ブログでもご紹介しています。」ブログ: https://amba.to/326LpsN
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シュリル/shrill/Surrillとは:鋭い、甲高い
★著者のHP見たら、アレキサンドライトを身に着けて参加する会を主催してた・・あんな高額の石を?・・Σ(゚Д゚)
アレキサンドライトは、ロシアの王子の名前を冠する輝石。緑と紫に瞳の色が変わるので、その輝石の名がtitleになったと分かりました。ダイヤモンドより価格が高い希少な輝石。
BLレーベルではない山藍先生の作品を読むのは初めてだったけど、思った以上に読みやすかった。陵辱シーンなど痛い場面も満載だけど、流麗な文章と決して下品にはならない言葉選びで、どんどん内容に引き込まれてしまう。
ストーリーとしては、復讐心からの陵辱に愛が芽生えていくパターンの王道。なんだけど、そこに革命やら裏切りやら、両性具有であることが原因で起こった悲劇やら、そんなシュリルに異常な執着を見せる将軍ラモンなどが次々絡んできて飽きさせない。官能シーン以外の部分も読みごたえがあって、波瀾万丈の展開で面白かった。
いつ二人の感情が愛に変わったのかというところも丁寧に描かれており、キャラクターの心情の変化にも無理がない。BLを読んでいてたまーにある、いつの間にそんなに好きになったの?というのがまったくなかったので、ずっと耽美な世界観に浸っていられた。
中盤あたりで一度、マクシミリアンとシュリルに、蜜月と言ってもいいようなシーンがあるんだけど、そのあたりの描写が本当にエロティックで素敵。
雪の中、湖への乗馬デート、からの馬上エッチなんだけど、小道具の水晶のディルドを攻め様が懐に入れて温めてくれていたとか、後の回想では攻め様の指を噛んでしまった受け様の頭を攻め様が撫で、噛ませたままにしてくれていたとか……優しさと甘さにうっとり。
前後が痛かったり辛かったりするので、そこの場面の甘さが引き立てられ、余計に心に残る。
ただ、陵辱シーン含め、濡れ場はBL的ではない。そもそもこのお話はちるちるに登録されてはいても、BLではないと思う。シュリル自身の認識としては自分は男性のつもりではあるんだろうけど、二人の攻め様はそうは思っていないんじゃないか。濡れ場での女性的な表現もたくさんあるので、BLとして読むのは個人的にはおすすめはしない。
今回は耽美小説、ロマンス小説としての評価としておく。