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月満ちる第四皇子の婚礼

tsuki michiru dai4ouji no konrei

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表題作月満ちる第四皇子の婚礼

ダムディスレン・カル・ハドゥマサル
24歳,小国ハドゥマサルの王弟で騎馬隊長
ナランツェツェギ・カル・アスタイダルガ
18→19歳,大国アスタイダルガの第四皇子

その他の収録作品

  • あとがき
  • 掌篇:草原の星

あらすじ

大国アスタイダルガの第四皇子ナランは、隣の小国の王弟・ダムディスレンと夫婦となった。初めて姿を見た時から惹かれていたのに、ダムディを目の前にするとうまく話もできなくて……?

作品情報

作品名
月満ちる第四皇子の婚礼
著者
安西リカ 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403526220

ちるちる評価ランキング

37

4.5

(46)

(31)

萌々

(9)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
207
評価数
46
平均
4.5 / 5
神率
67.4%

レビュー投稿数8

自虐妄想癖、お団子結い皇子のナランが、とにかくかわいい❤︎

アスタイダルガの第四皇子のナラン。
このナランが終始とてもかわいくて、魅力的でした。

人見知りで意地っ張り。自分を卑下し、自信が持てずに、墓穴を掘るナラン。
でも政略結婚の相手ダムディとの婚姻には、兄の情に報いるため、ナランなりの決意があった。
最初はヘタレに見えたナランが、ダムディの返事に一喜一憂している様子は、健気。

少し自信をつけたナランは、ダムディの育ってきた文化、環境などにも思い巡らせる。読書により蓄積した知識が役にたつ。ここからナランの魅力が花開く。

ダムディが祖国に愛人100人は置いてきているはず!と、あらぬ妄想で自分の首を絞めるナランがかわいい。

自分の書物コレクションに興味を持ってくれたことはナランの自信に繋がり、素直に口下手であることを詫びるナランに対して、優しいダムディ。
ダムディは最初からナランの仏頂面すら、かわいいと思っていたなんて。

密書をナランが解読してからのナランの腹の括り方には、驚いた。皇子としての決断、互いの自国を守ることを第一に、自分のことは省みず、ダムディを送り出す。

終盤、ナランを愛するあまり、囲いこんでお守りしようとするダムディも、とても可愛かったです。

互いの祖国を守り、繁栄と発展に導く目的を見失わず、前進する2人は素晴らしかった。

最初は政略結婚だった2人が、心から愛し合い手を取り合って、後世に名を残す偉業を成し遂げ、幸せに過ごしたことを知り、心がじわじわと温かくなりました。

1

大国の皇子としての矜恃と劣勢感

今回はハドゥマサル王弟と
アスタイダルガの第四皇子のお話です。

受視点で攻様との婚姻で受様が変わり攻様の唯一となるまでと
攻視点で本編裏事情を含む夫夫となった2人の続編と
あとがき後にSSを収録。

受様は大国アスタイダルガの第4皇子ですが
兄達に比べ貧相な身体つきで顔貌も百人並みです。

アスタイダルガは北のソランガと緊張状態にあり
両国の緩衝地にあるハドゥマサラに金銭援助する見返りに
受様は王弟の攻様と婚姻を結ぶことになります。

同性同士の婚姻は互いの利を満たせば
円満離婚する事がほとんどで
受様はこの婚姻話を一もにもなく承諾します。

攻様は戦に明け暮れて妻を持つ機会がなかったと言われ
受様は攻様が不承不承でも誠心誠意尽くそうと思いますが
側付き1人だけを伴って現れた攻様は優雅な物腰で
振る舞いや受け答えに堂々とした品格がある男でした。

受様は皇子として誇り高くあろうとして緊張し
公の場では立場の上の人間からしか会話ができないのに
たどたどしくつっけんどんな物言いになってしまい
受様に長年使える従者も苦言を呈すほどですが

自身の態度に落ち込む受様は素直に従う事もできず
初夜も攻様と過ごす勇気が持てず誘えません。

はてさてこんな受様に
攻様との親睦を深める術はあるのか?!

雑誌掲載作のタイトル作に書き下ろし短編をつけての文庫化で
小国の騎馬隊長を務めた攻様と兄達のように
兄弟で唯一戦力外の書庫の主の受様の恋物語になります♪

攻様の生国ハドゥマサラは
騎馬民族で元は遊牧民という設定なので現代の
中央アジアからモンゴル辺りを思わせる世界感です。

受様は末子の皇子として生まれるも
武人の兄達のように体格や武術の才に恵まれません。

読み書きを教えた高名な師に才を認められたことで
時期王の長兄に書物に詳しい行商人達に価値ある書物を
集めさせた書庫の管理を任されています。

攻様に向ける態度はなかなか向上しませんが
ハドゥマサラに関する記述のある書物を読み込み
攻様が少しでも良い環境をと慮るなど

大国の皇子の矜恃を保とうと素直になれない
不器用者な受様が攻様との距離を縮めていく様子が
ほのぼのしくてニマニマしていると

2人が婚姻を結ぶことになった原因のソランガ帝国が
アスタイダルガへ攻めいろうとしている事が発覚
その突破口がハドゥマサラに危機が迫り
ハラハラもドキドキもMAXに!!

受様の知略と攻様の武功で危機を乗り越え
2人が夫夫として生きること選ぶ幕引きまで
とても楽しく読ませて頂きました。

書き下ろし続編も本編とは逆視点となる事で
本編では見えなかった攻様の本心が明らかになり
大満足な1冊となりました (^-^)/

4

おだやか

先生買い。雑誌掲載時から面白いと思ってましたが、一冊になってもう一度読んでもやっぱり面白い。国の興亡戦なお話が好きな方でしたら是非是非。攻め受けとも苛烈の真逆なタイプに感じて、芯があって好き。ただ、ずっと覚えている自信が無かったので萌にしました。雑誌掲載分140Pほど+その続き110Pほど+あとがき。穏やかさんがお好きな方にもおススメしたいです。

歴史ある大国の第四皇子であるナランツェツェギ(通称ナラン)。容姿は百人並み、武芸に秀でた訳でもなく、優秀な兄たちと比較すると軽んじて見られていましたが、事情あり小国ハドゥマサルの王弟と結婚することになり・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ワジム(受けの従者)、トヤー(攻めの側近)、エニデル(国王、受け兄)、軍司、後半に受けの元師匠、他部族の指導者の位置づけにある方々等。悪党がいなんですよ。みんな自分の役割をきちんと果たしていて清々しい★

++攻め受けについて

攻めは小国の王弟。兄王のため国を守るため、自らのことはあまり顧みず戦ってきたつよーい武人。結婚前にナランの肖像画を見て「愛らしい」という気持ちを抱いていたらしいです。最初、コミュニケーション上手くいってなかったのですが(主に受けがよろしくなかった)、心がだんだん通い始めると、ほわほわ恋愛モードになっていくんですよねえ・・・良い~♡戦場以外の、言葉数多くなく穏やかな武人、最高。

受けはねえ・・・百人並みかもしれないけど、多分全部可愛い。誇り高くあるべしと思っているのと、コミュニケーションスキルがちょっと低くて「貧しい国にしては・・・」等と言っちゃう。自分でも失敗したーと思っているんだけどカバーもできず。言葉でてこず「む」という一音だけ発する様子なんかもめちゃ可愛い。絶対口が横一文字状態。可愛い。

受けのコミュニケーション下手っぴさからギクシャクしかねない二人を、側仕えがフォローしながら少しずつ進む恋物語、そこに国同士の争いが絡んできて、受けがりりしくカッコよいし、攻めも「きゃあ♡」という一途さがあって盛り上がったお話でした。

5

ほど良いむずがゆさ

意地っ張りと感じが悪いって紙一重だと思うのです。
本当はこんなことを言うつもりではなかったのに!と、その場にそぐわない発言をしては脳内反省会をするナランを読み手は見守っていられるものの、婚姻のお相手となるダムディ側の気持ちはわからないわけで。
人見知りで不器用なのはわかるけれど、はたしてこの皇子さまのことを好ましく思えるのだろうかと少々ハラハラしました。

ところがですよ。
作中でナランが思い切ってえいっと一歩前に踏み出せば、どんどん彼のことを好きになってしまっているのだからおもしろいです。
この子はとことん不器用でかわいらしい頭の良い子なのだなあと思えるというのかな。
基本が健気な頑張り屋なのが伝わってきて、なんだか自然と応援したくなるんですよね。
そこもダムディにはきちんと伝わっていたようで安心しました。
当初は書しかなかったナランが、武術ではなく書と文の才に長けていたからこその膨大な知識量と冴える頭脳で活躍し始める展開もシンデレラストーリーのようで胸が躍ります。
序盤〜表題作終わりにかけてのナランの成長っぷりは気持ちが良かったです。

元々ほんのりと好意を持っていたとはいえ、恋心が育つまでが早いように感じるところもありましたが…
ダムディとの交流も、ほど良いむずむず加減の初々しいもので微笑ましかったです。
ナランの「初めて」発言を聞いて目をギュッとつぶってなにかを堪えようとしているダムディの姿がツボにハマり、きっとこの時の彼の脳内はさぞ大変なことになっていたのだろうなと覗き見てみたくなりました。

ダムディ視点となる後半では、国のために生きていた男が初めて愛を知りぐるぐると葛藤し…と、包容力と落ち着きがあると思っていた攻めが、受けの前ではただの男になる図にじわじわ萌えが募ります。
旅先でのとある再会も良かったですし、2人きりになると敬語がとれる瞬間も普段とは異なる2人だけの特別な時間なことが感じられる素敵な演出でしたね。

…と、全体的に楽しんで読めたのだけれど、本音を言えばやはりもうちょっとこの2人の仲睦まじい姿を追いかけたかったかなと。
ダムディ視点と巻末の未来を読んでしまうと、彼らが新たなお城に住むまでと住んでからダムディ視点冒頭になるまでの間にもっと萌えが詰まっていたように思えてならず、今回は4.5寄りのこちらの評価になりました。
(177Pに校正ミスあり。人名のチェックはしてほしかったです)

6

前半と後半の対比がさすが!

ナランー、ダムディー!

前半はナラン視点、後半はダムディ視点です。
お見事でした。
前半は大国の第四皇子のナランが隣国の小国の王弟ダムディと伴侶になるところから…。

もうナランの自己評価や口下手不器用プライドは高いなところが、読んでてなぜか泣けて泣けて。共感してしまって読むのに声が出そうでした。やめろーって。
お慕いしてるんでしょ?お話したいんでしょ?なのに口が喧嘩を売るようなことしか言わなくて。

救いはダムディがナランを嫌ってはいなそうで大人なところでした。

強くなられましたな、ナラン。
持てる力を総動員して頑張りましたね。

後半は戦の後。
前半よりは打ち解けている二人。
後半ではナランがどのように扱われていたのかがわかり、そうだったの〜?ですよ。
それにナランが愛らしいと思われてたなんて〜。前半と全然ナランの見方が変わりました。

今度はダムディの葛藤がしっかり書かれながら、伴侶になって自然体でしっかりしてきたナランの変化も読めて。

もうダムディが自分で自分を追い詰めて。
ナランに何かあったら生きていけない!でもこんな自分を知られたくない!って暴走しましたね。
いいんだよ、しっかり話し合って落ち着けば。今まで国と戦しかなかったもんね。人を愛したら臆病になるよね。

とっても良いお話でした。
もう少し長くてもいいからナランとダムディの日常や、ここまで愛し合い打ち解けるまでをしっかり読みたかったです。

二人とも偉人でした。

5

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