SS付き電子限定版
はーーーー…すごい作品を読んでしまった…
読み始めて一気に物語世界に引き込まれ、
中盤、まさかの展開に「ええっ!?」と声が出、
最後の最後には「そうくるかーー…」と呟いてしまいました。
時間を忘れて読み耽ってしまった一冊。
変な言い方なのですが、心地よい衝撃に鳥肌が立ちました…!
以下、本編の重要部分に触れてのレビューとなります。
未読の方、ご注意ください。
最底辺クズヒモ男・園山×エリート商社マン・瀬田。
中学時代、憧れており片思い相手だった園山に、
十数年ぶりに偶然再会した瀬田。
家を追い出されたばかりだという園山を自宅へ連れていき、
家政夫として雇うことにしたものの、彼は家の仕事は何もせず、
昼間からだらしない格好でパチンコに出かけてしまう始末。。
それでも、園山が時折見せる優しさに
どうしようもなく惹かれる瀬田だけれどー
と続きます。
もうこれ、中学時代の憧れからの、
受けの一方的な純愛…というか、執着!と思っていたら。
そこはまあ揺るがないんですが、ちょっと自分の想像の上をゆく
執着と愛、でしたよーーーー…!!!
いや、まさかまさかの、仕組まれた再会!?
あのチンピラは、◯◯だったの!?
で、えっ、園山はそこに乗り込んでついて行って
住み込みで働いちゃうの!?
と、思いもしなかった展開にもう、驚きまくり。
20歳の頃の園山が経験した炎上事件、
住んでいたアパートを追い出されることになった時に
現れていた瀬田。
これ、見た時一瞬「瀬田が嫌がらせしてたの…!?」と思ってしまったのですが;
…違うんだね。。
貼られた嫌がらせの紙の数々を、剥がそうとしてたんだね...!
園山のことが好き過ぎるあまり
どこまでも追いかけて執着して、
再会後に「好きなんだ」「理解したい」と自分の気持ちをぶつけながら
告白して、
「オレはずっと お前のことムカついてたよ」
と言われ、すれ違いが生じて。
そこからの瀬田の奮起、巻き返し、一途さ、諦めなさ、覚悟がもう、
すごかった。(語彙力、、)ちょっと泣きそうになりました( ; ; )
こんなにひたすら一途に思われ慕われたら、もう。
落ちてしまうよーー...!
終盤、”なぜキスをしたのか”を知りたがる瀬田に対し、
園山が心の中で呟いたこと。
”誰だってわざわざ言わない 本当のことなんて”
みんな都合の良い相手が欲しいだけだから…
でも、
”瀬田の言うことは(いつも)「本当」” で本音で、嘘偽りもなく、
愚直なまでにまっすぐなんですよね。
そんな人物は、今まで園田の周りにはいなかった。
”なぜだか、オレでいいらしい…”という園田の独白、
ここに、表情や態度にはなかなか現れない彼の喜びが
ぎゅっと凝縮され、現れている気がしました。
どうしようもなくダメダメだなあ…と思う二人が、
どうしようもなく愛おしくなってしまう物語。
しばらく何度も読み返して、噛み締め浸りたいと思います。
最高の一冊を読ませていただきました…!
迷いなく、「神」一択です◎
★修正:なし(濡れ場はありますが露出なし)電子シーモア
上野ポテト先生の新刊✨
charaさんからは初めてですかね?
先生の作品はあまりにも素晴らしいので、いつも期待値100(MAX)からスタートするにも関わらず、がっつり超えてきます。
今作はエリートリーマンとヒモということで、読む前は「どちらかというと積極的には読まないタイプの作品だな」と思っていたんです。
が、流石は上野ポテト先生でした。
ベタな闇系(?)共依存作品が苦手なのですが、そういう風にはならないところに先生の手腕が光っていると感じました。
また、上野ポテト先生といえば圧倒的な心理描写...
今作も主人公たちの気持ちが鮮やかに描かれていました。
あと、カバーのデザインがめちゃめちゃ好きです。
いつも素敵な作品をありがとうございます!
作家買いであり、表紙のロン毛にも惹かれました。
なんかこのキャラはあるんだろうなぁと思いながら読み進めました。
結果、やっぱりあった!!!(ありがとうございます!)
園山がなんか企んでんのか?と思いつつ、瀬田のことを案じてましたが、まさかの瀬田が仕組んでいた。
人によって闇や癖があって、それがたまたま合致?したのがこの2人だったんだなぁと思いました。
それにしても教室で吐くシーンが衝撃的でした笑。
さらっとトイペ渡す園山はたしかにスマートでかっこいい。
最初瀬田が園山を追い、気づけば園山が瀬田を追いかけていて。
複雑な恋愛?を目の当たりにできて満たされました❣️
作家買いです。
人間の「闇」と言ってしまうとあまりに手垢がついた、時に薄っぺらくなる言い方で、上野先生の作品にはふさわしくないのではと感じておりまして。
自分の感情がわからない、何を考えているかよくわからない、心のうちの「わからなさ」がありながら、それでも惹かれ合う、どうしたらわかり合えるか…という関係性が多く描かれていると思っています。
そのためキャラが不気味さを漂わせていることがあり、それがただ怖いのではなく、心の中の「わからなさ」故だというのがたまらなくクセになります(個人的にはちとせくんだけやたらポップに感じました)
それを最小限の説明、巧みな心理描写とストーリー展開で見せられるのが大好きです。
前置きが長くなりましたが
本作では、まず園山の三白眼のアップのコマが繰り返され、何を考えているかわからない不気味さを見せられる。先生の過去作「かつとし」感が蘇ります(ぞくぞくする)(ネーミングセンス、表紙デザイン最高)。
そして瀬田がただの堅物ではないことがわかってくる。
この進め方もおもしろい。
園山は生い立ちから何かや誰かに本気になったりなられたりすることはないと思っているようで。楽になりたかったから=苦しい。
それでも自分に執着し好意を寄せる瀬田が気になる。寝不足になり目の下にクマが出るほどに。
瀬田の、わからないから知りたい、好きというのはそういうことなんじゃないか…という言葉に園山は腑に落ちたんですよね。
だからキスした。ここで園山が三白眼でなくなり黒目にうっすら光が入るのがいい。
「なんでキスしたか知りたい?」←この2ページ背景が真っ白で2人だけの世界なのもいい
ラスト、園山のセリフがいいし、廊下の手前の影のまだらな感じがちょい不気味でたまりません。
園山の「本当」は「瀬田の言うことは本当らしい」につながっていて、それは本気で好きだということ、好きになってほしいということでしょうね。とこんな陳腐な言葉になってしまいすみません。
わからないから知りたい、それが好きだということ
キスの理由を知りたい
この終盤の描き方がすばらしかったです。
先生の作品の一連のテーマに通じる部分だと思いますし。
2人のアンバランスな感じにハラハラしながら読んでいたのですが、
強面の探偵吉見のいきなりの「ソノちん」呼びに爆笑しました。
その後のセンパイ呼びに喜んでいたり、円山もいい人でほっこりしました。
瀬田の上司も含め脇キャラの描写も大好きです。
表紙の帯に隠れる部分の大量の文字が瀬田の変人ぷり炸裂で笑いました。
瀬田の人の気持ちのわからなさは極端だけど誰にでもそういう部分はあるわけで。
だからコミュニケーションや理解したい…ことが普遍的なテーマになる。
瀬田を見て笑いながらも自分にもこういうとこあるーとちょっと冷や汗をかくのも楽しい読書体験でした。
エリート商社マンの瀬田がある日助けたのは、偶然にも同級生の園山。仕事も住む場所もない園山に「オレのこと飼ってみない?」と言われ始まる同居生活。
家政夫として雇ったはずが、仕事もロクにせず酒に煙草にパチンコ…とクズな園山。瀬田は真面目で堅物すぎるけど、実は長年育んできた園山への拗らせ愛が爆発しててかなりヤバい〜。
本当の事って見えないけどだからこそ相手を想って一生懸命考えて、その気持ちが尊いし相手にも伝わるのかなと。園山の優しさを知る瀬田の少しずれてたけど一途な愛が、ちゃんと届いて良かった!