あらすじ
ヤクザの水島は少年時代に見た弥勒菩薩像に心を奪われて以来、人外のものにしか欲情できない。
ある夜、港で男を始末していた水島は、暗い海で人魚を見つけた。
月明かりを浴びた妖しくうつくしい姿、死んだ男の肉を喰らう無邪気な笑顔――焦がれていた存在をようやく見つけた水島は、恐ろしい怪物だと知りながら人魚を飼い始める。
人魚にプール付きの豪奢な部屋を与えた。
欲望のままに抱き、無垢な体に快楽を教え込んだ。
「ミロク」という名を付けた。
水島がもたらす全てに喜んでみせながら、他の人間をも気まぐれに魅了するミロク。
こいつを誰にも触れさせたくない、見せたくない。募る独占欲と執着は、水島を狂わせていく――