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夜明けの星と詰まない初恋について

yoake no hoshi to tsumanai hatsukoi ni tsuite

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表題作夜明けの星と詰まない初恋について

芳田 直幸
板前、ホテルの料亭勤め、25歳
東海林 蛍
天才将棋棋士、26歳

同時収録作品午前零時の紫の上

大須賀敦也
有田焼の絵付け師、雪の恋人、24歳
灰谷雪
期待の新鋭棋士、24歳

その他の収録作品

  • 午前零時の紫の上(キャラ文庫アンソロジーIII「瑠璃」(2021))
  • 桜の咲くころ(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

身の丈にあった場所で長く将棋を指し続けたい──。天才棋士と言われながらタイトル戦とは無縁の蛍。同居人で板前の直幸にも密かな恋心を告げられずにいた。居場所を失うくらいなら、将棋も恋も勝負がつかないままでいい…。ところが直幸にNYへの転勤話が舞い込んだ‼ さらに諦めていたタイトル戦の挑戦者決定戦で、蛍が予想外に勝ち進み…!? 恋に臆病な棋士が盤上で摑んだ勝負と恋‼

作品情報

作品名
夜明けの星と詰まない初恋について
著者
尾上与一 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011931

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4.6

(23)

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萌々

(0)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
106
評価数
23
平均
4.6 / 5
神率
91.3%

レビュー投稿数5

No Title

雨にずぶ濡れになっているナオを拾った蛍。共同生活を続けていくうちに恋心は大きくなり抑えきれなくなってきているがナオにはなにか秘密があるようで…。

蛍がどの程度のレベルなのか将棋がわからない私にはピンとこなかったのですが、もっと将棋を理解していたらさらにさらに解像度が上がったはずなのが残念!

大物の父の愛人の子、しかも母親は外国人ということで保護はされるが目立つことは許されない。檻の中に閉じ込めようとする人達がしんどかったですね。

色々なことを諦めてきた蛍が本気を出す時に眠らせていた才能をフルに使って勝ちにいくのが良かった。

幼なじみ、なんでもわかってくれてる柊一郎がそばにいてくれるの心強いですよね。そんな柊一郎が雪に対しては悪手しか指してないのほんとにダメだった笑

柊一郎はモラハラパパみたいになっていたので改心したスピンオフを期待します

2

No Title

作家さんが好きなので、発売日を心待ちにしていた作品です。

「初恋をやりなおすにあたって」のスピンオフにあたる作品です。この作品単体でも、じゅうぶんに、たのしめるとおもいますが、「初恋をやりなおすにあたって」を読んだほうが、より物語の世界観をたのしめるような気がするので、おすすめします。

今回は、ホテルの料亭勤めの板前さんの芳田 直幸と天才将棋棋士の東海林 蛍とのお話です。

将棋の騎士さんが主人公のお話は、ありそうでなかったような気がするので、新鮮にかんじられ、おもしろいとおもいました。

ストーリー重視のお話で、たのしくよめました。

2

薄い本超絶熱望

すごーーーーーーーーーーーーーーーく楽しみにしていたご本!最高!久しぶりの神です。先生、Charaさん、ご本、出して下さって有難うございます!ファンタジーものが多い近頃ですが、リアル現代日本!大好きだったせっちゃんも出てくれていますーーーーーーーーーーー\(^o^)/「初恋をやりなおすにあたって」(←せっちゃん登場)のキャラは登場してきますが未読でも十分楽しめると思います。もちろん「初恋・・・」を読んだ方がもっともっと楽しいです!本編290Pほど+番外編2編なんと100Pほど+あとがき。自立するご本です!電子でも購入、永久保存決定!

将棋のB級Ⅱ組の順位戦に敗れた蛍。勝てば準決勝・・というところだったので、幼馴染の柊一郎から「もう少し粘れた」等とお小言をくらいます。万が一勝ってB級Ⅰ組等、カメラが入るようなところに行くのは避けなければと考えている蛍は「ほどほどでいい」と言っているのですが・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受け父(くそ最低の半歩手前)、受け兄(微妙)、受け兄の側近(微妙)、攻めの上司(ええ人)、将棋師匠、せっちゃん♡、将棋界の記事書く人、ぐらいか?

++攻め受けについて

攻めは事情あって行くところを見失っていたところを、蛍に拾われた方。実直な控えめなthe職人 という印象な方。控えめと思っていたら最後はえらい熱心にマウント取ってましたので、そこは「ああ蛍ちゃんのことが好きなのね・・・」とほほえましかったです。料理人さんで、謎な内容の冷蔵庫なのに、何かを引っ張り出して魔法のような食事を作ってくれます。嫁に来てくれ。

受けさんは将棋に限定して宇宙人な勢いの天才。異次元。将棋に関するエリアのみ脳味噌が四次元になっていると思われます。父親が外国長期出張している時にオイタをして出来たお子様で母親の血から出てしまう外観部分あり、本妻にはもんのすごく嫌われています。本妻がくず。そら浮気されたん腹立つと思うけど、子どもに罪はないやろーーーーーーーーーーーっこの本妻だけは絶対許せへん心地です。受け入れられる家族を持てず、日本での初等教育をきちんと受ける訳でもなく、目立たずさくっと死んでくれと思われていたのだろうけど、出会っちゃったんですよね、将棋に。その出会ったころのお話が番外編としてありました。頑張って生きてきてエライ。よく頑張った。

攻めさんも受けさんもほんのちょっとしんどいところがあって、でも何も悪いことしてなくて、頑張って生きてきて、出会って、一緒にいることに幸せを感じるようになって。出会いって不思議。出会ってよかったなと。

攻め受けとも入れ込んじゃうし、お話もものごっつ面白いし、ほんま読み止められずに一気に読んでしまった一冊でした。皆様是非読んでください。私は爽真くんのお話も柊一郎のお話も読みたいんだわ。先生、薄い本で、ぎり商業で出せるぐらいのお話出してくださいーっいつか1冊になるかもしれないじゃないですかーっせっちゃんの薄い本もめちゃくちゃ好きだったんですよー何卒よろしくお願いいたします!

3

この難解な恋愛の道すじをどう読むか…詰み寸前からの最高の王手を見逃すことなかれ

元作の「初恋をやりなおすにあたって」は未読です。
購入後にスピンオフだと知り、思わずあちゃーとなったけど、これはこれで全然単品で読めるので問題ナッシングでした^ ^

今や空前の将棋ブーム。六冠のタイトルを保持する若き獅子の存在を筆頭に将棋界はめちゃくちゃアツい時代に突入しております。
因みに、私は将棋のルールが分からないド素人なので、作品中に出てくる駒の動き等は理解出来ないので細かいことはスルー。そんな私でも動きが読めるよう分かりやすい表現で配慮して下さる作者さん、ホント感謝です!
元々この作品の初稿自体は6年半前とのことで、今の将棋事情に合わせて書き換えたとあとがきで仰っていた作者さんのご説明、なるほどでした。対局にAIの評価値が使用されるのは今や当たり前。そうした描写が作品の中にもしっかりと活かされていたのは素晴らしいなと思いました。

そして本題のストーリーですが、天才棋士・蛍の恋愛模様の動きは非常に複雑な盤面です。ワケアリの出自やバックにいる家族の存在に加え、蛍が拾ったナオも蛍以上にワケアリの過去を背負っていて……と、両者とも穏やかな人生を歩んできていない濃厚な諸事情が2人の惹かれ合う気持ちを阻害していきます。
蛍が天才と言われながらも手を抜く姿や、やる気のない態度は目に余るものがあり、最初はあまり好きになれないキャラクターでしたが、彼がそうせざるを得ない環境で生きていることを考えると、今のポジションに甘んじる態度も理解できなくなかったですし、むしろそれが最善の一手であるかのように思えました。将棋で生活でき、実家に戻る理由を与えないギリギリのラインの読み切りは、大好きな将棋と離れない最適解だと言えるでしょう。

"自分がどうしたいか"じゃなくて、"実家がどう思うか"を常に頭に入れながら、メディアに自分の存在を晒すことのないように目立たない生き方を選択する蛍の生き様は、棋界では自由人に見えるようで蛍の精神世界では籠の中の鳥のようにも見えました。
そんな蛍の孤独な世界にナオが入ってきたことにより、それまでの蛍の生き方が大きく変わっていくのは好ましい変化です。ナオの話を拒否したり、ナオから逃げ回ったりと、蛍の態度にモヤったり焦れたりするところもあったけど、自分の気持ちを将棋に向き合う態度で示す…しかもタイトル戦でここぞと決めるカッコ良さは超絶シビれました!( ´∀`)

ナオが蛍の想いにすんなりと応えられる立場でないのも、蛍のお家事情も、全てが負の連鎖のように絡みつく劣勢度99パーセントからの大大大逆転劇は、胸アツ必至のドラマでした。
蛍の幼馴染の弦間(当然のようにハイスペイケメン)がちょいちょい良い働きをしてくれるのですが、こう言っちゃなんだけどここまで心を許している弦間を好きになるフラグは立たなかったのか不思議なところ。弦間をあまりカッコ良く書きすぎないで欲しいな…気持ちが移っちゃうから、というのが率直な感想です(笑)

指し回しや戦術的なものは分からないけど、棋士の世界のイロハや、緊張感ある試合の臨場感含め物語の世界に没入でした。家族との関係や、弦間との幼い頃からの関係、師匠との師弟関係だったりの人間ドラマの濃密さは格別です。

大人たちのほろ苦くて切な甘い初恋の物語をぜひ!
恋愛だけに依らないストーリーを味わい尽くして欲しいなと思います^ ^

4

重いものを抱えた者同士が、見つけ掴んだ星。「初恋をやり直すにあたって」スピンオフ

「詰まない初恋」…将棋に掛けたこのタイトルが、
読後の今、じんわり沁みています。

攻め受けそれぞれが背負い抱えるものの重さにハラハラし、
心押し潰されそうになりながら読んだ夜明けの物語でした。

2019年発行の『初恋をやり直すにあたって』スピンオフ作のこちら。
スピン元と同じ、木下けい子先生のイラストが麗しい…・:*+.

スピン元作品を知らなくても問題なく読めますが、
知っているとよりキャラクターに感情移入でき、
楽しめるのではないかなと思います。
(スピン元カプの受け・雪が今作の受け・蛍の対戦相手となっていたり、
前作にも出てきていた柊一郎が今作でも出てきています)

また本編の合間に、2021年のキャラ文庫アンソロジーとして発表された「午前零時の紫の上」が収録されています。
こちらは、蛍の親友・柊一郎が雪への片想いに破れるお話。

「初恋を〜」→「午前零時の紫の上」を読んだ際は、
実はそこまで柊一郎に対して思い入れはなかったのですが…

今回こちらの「夜明けの〜」を読んで、柊一郎の株が一気に爆上がり!!
彼の人となりへの解像度が上がり、ナイスアシストにグッと拳を握りました。


今作の主人公は、プロ将棋棋士の蛍(受)。
スピン元の受け・雪の兄弟子である柊一郎の、幼馴染みで親友です。

”天才棋士”と一時期持て囃されるもタイトル戦には縁がなく、
まだ粘れるような局面でも、自ら引いて勝負を諦めてしまうきらいのある人物。

そんな蛍が、雨の日に拾った訳あり板前・ナオ(直幸・攻)。
流れで彼を自宅に住まわせ同居生活が始まり、
次第に蛍はナオに心を寄せるようになります。

しかし、ほろりと口から出てしまった告白は曖昧に流され、
さらにナオに突如NYへの転勤話が舞い込んでー

と続く、板前×天才将棋棋士の恋物語。

これ、すごくやきもきするのが、攻めのナオが抱える
何かとんでもない事情の詳細が、割と最後の方まで明かされないこと。

完全に”両片思い”状態だと分かっているのに、
蛍の想いを受け入れられないー

その裏にあった、ナオの背負ったものの重さ。
決して彼自身が悪いわけではないのに不幸にも”背負わされた”もの、
その詳細に憤りと切なさとが押し寄せました( ; ; )

一方の蛍側の事情もまた、ナオとは違う種類の苦しさ・辛さをはらんだものでした。

才能も、将棋を心底好きだという気持ちもあり、努力もできる蛍が、
タイトル戦には縁がなく、まだ戦える局面でも分が悪くなるとあっさり負けを認めて退避してしまうわけ。

なにゆえそこまで、”上の戦い”に進むことを諦め、拒むのか?
写真や動画に姿が映ることを嫌がるのか?

その理由は、彼の生い立ちにあったのですね。。

じっくりと綴られる彼の半生、境遇があまりに寂しく孤独で、
読んでいる間、胸が痛くて苦しくてたまらなかった。

自分の力ではどうにもならない”生まれ”というものが、
生まれ落ちてからずっとずっと、成人した現在までも追いかけてくるー

お金には困らないけれど、必要な愛や安定のない暮らし。

母親と引き離されて一つの場所にも定住できず、
フィンランド語・マレー語・日本語のどれもしっかり確立できず、
自分の思いを正しく詳細に語ることができない。

名が広まるとその生い立ち・父親の醜聞が知られてしまうため、
子ども将棋の大会でも、勝ち進むことを許されなかった…
と書き下ろしの幼小期の描写で知り、保身に走る父親の身勝手さに、大きな憤りを覚えました。

伸びようとする芽を、ことごとく押さえつけられてきた蛍。

そんな彼の支えとなった二人の人物が、幼馴染みで親友の柊一郎と、
初めての恋の相手であるナオなのですね。

…実は正直なところ、個人的には、攻めのナオよりも柊一郎の方が自分の中で印象が強く、あわよくばこの二人がくっつかないかな、、なんて一瞬考えてしまったのです。

幼馴染みで、互いに「家」を背負った身であることも同じで(立場の違いはあれど)、同じ棋士であることから、仕事上の悩みもそれ以外のことも共有できる。

これ以上なく分かり合えて、恋仲になれたら楽なんじゃないか…という思いが互いによぎったりするけれど、でも恋焦がれる相手は柊一郎/蛍ではない。

…ううう、恋って、どうしてこんなに上手くいかないものなんだろう、、

でも今、落ち着いて物語を振り返ってみると。
ナオが将棋を全く知らないからこそ、蛍は彼に惹かれたんだな、と理解できます。

その生い立ちから、幼い頃に触れたどの言語も完全に習得することができなかった蛍。
そんな彼が唯一自信を持って「語る」こと、「伝える」ことのできる言語が将棋なのですよね。

そこへふっと現れた、”共通言語”を持たない存在であるナオ。
ナオが作る料理を通して会話が、コミュニケーションが生まれ、
蛍の前に、新たな景色が見えてくる。

尾上先生の文章から伝わってくる蛍の心のときめき、
不器用すぎて自分の中に生まれた恋心も”何かの病気かも…”と
本気で思ってしまい柊一郎に相談するところ、もう全てが愛おしかったー…

ナオにNYへの転勤の話が出、二人の同居生活と恋心にも終止符が…?
というところで、自信を持って伝えられる唯一の言語である「将棋」によって想いをぶつけたナオの姿に涙、涙でした。

何かが吹っ切れ、解き放たれた実力を見せる蛍の対局シーンは、大きな見どころ。
一本ピンと糸が張り詰めたような緊張感を感じ、固唾を呑んで見守ったシーンでした。

あと何度も言うけれど、柊一郎のナイスアシスト!!(๑•̀ㅂ•́)و✧
(柊一郎贔屓ですみません)
これがなければ、二人の恋は絶対に叶ってなかったから!!
蛍もナオも私も、柊一郎には頭が上がりません。

種類は違えど、重いものを背負った者同士が出会い、
もがいた末に”星”を掴む物語。

400ページ超えのボリュームにも納得の、読み応えある一冊でした。

…初めての情事の際、”上下”問題で動揺する蛍、可愛かったな(*´艸`)

3

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