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きみがいるなら世界の果てでも

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表題作きみがいるなら世界の果てでも

東海林達彦・ルコの面倒見の良い恋人で美術商の次男
二木了・マニア受けするマンガ家(ルコちゃん)

あらすじ

俺のせいで東海林がダメになっちゃう!? ルコちゃんという愛称で人気上昇中のマンガ家・二木は、恋人同士となった今も変わらず、いっさいの面倒を東海林に見てもらっていた。お互いそれで良いと思っていたはずの関係だったが、次々と東海林にアクシデントが起きる。さらに高校時代、二木の世話を焼いていた男・甘利が現われ……。きみがいなけりゃ息もできない――そんな二人の行き着く先は? マンガ家シリーズ最終巻!! オール書き下ろしv
出版社より

作品情報

作品名
きみがいるなら世界の果てでも
著者
榎田尤利 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
きみがいなけりゃ息もできない
発売日
ISBN
9784862634504
4.2

(89)

(51)

萌々

(17)

(14)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
22
得点
370
評価数
89
平均
4.2 / 5
神率
57.3%

レビュー投稿数22

スパダリがやさぐれたムサいオッサンになってしまうところが好き

「きみがいなけりゃ息もできない」のコミカライズから入り、小説にまで辿り着きました。
てっきり恋人同士になった二人の甘々編を堪能できるかと思いきや前作を上回るくらいの試練が待ち構えていて、この作家さんって一筋縄じゃいかないなーと思ったのが一年前。
(今、何冊か榎田先生の作品を読んでみてわかったのは、そんな生っちょろいラブラブ編を期待するほうが間違ってたという事。)

初読時が今度こそ甘いケーキかと思って食べたら、下手すると前作よりも途中が塩辛くてなんだこれ……という読後感だったにも関わらず、その後も何度か読んでます。
そして初読時は「萌萌」くらいだったのが、一年かけて読み返すうちに「神」に
変化していきました。

だって面白いんだもの。

前作では、東海林から愛されている事に無自覚だったルコちゃんが「きみがいなけりゃ息もできない」と気づくまでが描かれていたけれど、本当の意味で「きみがいなけりゃ息もできない」のは東海林だったんだなぁというところがニヤニヤしちゃいます。

東海林に全てをおんぶに抱っこの愛され人形みたいだったけど、それではいけない、このままでは「自分が東海林をダメにする」という事に気づいたルコちゃん。
そこからルコちゃんなりに何とか頑張ってみようとするも全てが裏目にでて、ボヤは起こすわ、東海林に怪我を負わせてしまうわ……と役に立たないどころか自分が疫病神であると思い知らされる。

東海林のことを愛しているからこそ、自分が東海林を貪りつくしてダメにしてしまう前に別れようと決意するくだりが痛々しい。

そして高校時代に面倒を見てくれていた第二の東海林とも言うべき先輩に拾われてしまうルコちゃん。


あの東海林がまさかのルコちゃんに捨てられてしまい、やさぐれた無精髭のムサいオッサン化してしまうところ、大好き。
いつもスーツをピシッと着こなしているスパダリ東海林が、ルコちゃんに去られたダメージで、仕事をさぼり、髪の毛ぼさぼさ髭ボーボー、風呂も入らず、ゴミ溜めと化した部屋の中で、ただひたすら呑んだくれてやさぐれてる姿のおいしいことよ(笑)
落差が激しすぎて、ほんと好き。

それを一喝し発破をかける茜姐さんがこれまた好きだし、この作品の中で一番心に残るのは彼女の「格好いい失恋なんて、ないもの」という言葉。
そーだよねぇとしみじみ思います……。

個人的には、茜姐さんに発破かけられたように「みっともなく取り縋って泣く」東海林を見たかったなぁ。
それがあったら最高だった。

第二の東海林みたいな甘利という当て馬が登場するんだけど、彼もルコちゃんのお世話に関しては東海林と引けを取らない。
だけど漫画を描く事がそんなに辛いならやめたほうがいいと言う甘利に対して、「どんなに苦しくても、なにがあっても続けろ」と言う東海林。
この時点で勝負は決まったなというか、ルコちゃんよりもルコちゃんのことを理解している感が流石だなぁと思います。

「きみがいるなら世界の果てでも」というタイトルに絡めた着地点も良いし、お互いにどっちが欠けても生きていけないというのを確認しあうのに、この巻は必要だったんだなと思います。
どっからどう見ても立派な共依存カプなんだけど、病みを感じさせないところが好きです。

2

愛ゆえのすれ違い。愛ゆえの驚くべき進化!

前作の『吸血鬼には……』を読んだ後にこれを読むと、
そのギャップにやられる。
なんかもう愛があまりにも溢れまくってて、
始終にやにや、きゅんきゅんしつつ読破しました。

最初から最後まで、
東海林もルコちゃんも
ぞっこんのベロベロに惚れ合ってて、
想い合ってて、ラブラブなのです。

心底惚れ合ってらぶらぶゆえの、
大きな大きなすれ違い。

ホント、ルコちゃんってばバカだよね。
バカだけど、一生懸命に愛して、考えて、行動して、
そして踏み外す!
いつもなら、絶対に私は苦手なキャラなのに、
もうこの人は愛おしくて仕方ない。
邪心が全くないからなのかな。

そして東海林もバカだった!(笑)
意外と小さい男だなと。
でも、そこがまた、人間らしくていい。
(今は)完璧なスパダリじゃないところがいい。
きっとこの後、
東海林は無敵のスパダリに成長するでしょう!

お互いに欠けたところを補い合うように、
凸と凹が重なるような二人が、
紆余曲折をへて、互いにまた一回りも二回りも進化する物語。
ルコちゃんも東海林も。

そんな東海林とルコちゃんの心情が交互に描かれていて、
それがまた切なさ倍増!

なにより今回も、(あえて「今回も」と言わせてもらおう!)
茜さんがイイ所持ってったね!

そして意外だったのが、
甘利先輩が思いのほかいい人だったこと。
ホント、最後まで読んだら可哀相になってきた……
甘利先輩が幸せになる番外編とか、SSとか、
書いて頂けませんかね、榎田せんせい……

とにかく最初から最後まで、べたべたに愛に溢れていて、
評価は文句なく、「神」!

1

成長したルコちゃん

漫画家シリーズ最終巻。

漫画の仕事量が増えてきた二木ですが、相変わらず生活能力は低く東海林に世話を焼いてもらっています。
恋人兼マネージャーのような東海林は、本業の美術商の仕事も忙しくなり生活に追われはじめます。

自分のせいで東海林がダメになることを恐れ、少しでも自立しようと掃除や料理にチャレンジする二木が健気でよかった。(ルコちゃん成長したな~)
でも度重なる失敗に心が折れた二木は、東海林から離れ甘利先輩の元へ。
ほんと二木は生き方まで不器用で可哀想になってしまいます。
相手を第一に考えるあまりすれ違ってしまった二人に胸が痛みました。

でも最後はブルックリンで笑ってしまい、楽しく完読でした。
また読み返したいと思える作品です。

2

守る愛から育てる愛へ

漫画家シリーズ最終巻です。
割と軽めでエンタメ色の強いシリーズだと思ってましたが、ルコちゃんたちに予想外に大きな波乱が起きてしまいます。

前回は無事にくっつくまでのお話。なぜ惹かれあうのかの部分はあまり掘り下げられていなかったのを、今回しっかり掘り下げてありました。それぞれがラブコメ的な好きではなく、もっとしっかりと自分の気持ちに向き合っているのです。
榎田さんお得意の愛のムチをぴしりと効かせ、東海林もルコもキッチリ追いつめられています。ぼんやりしたルコちゃんから本音を絞るとるにはここまでしないとダメなんですね。
そして優等生である東海林も然り。とことん追い詰められないと本音に気づかないという点で似た者同士だったんですね。だからこそ、恋人からパートナーへと昇格するためにはこんな試練が必要だったんでしょう。こういうことでもないと何年でもそのままの関係を続けそうですもんね(笑)

ルコちゃんを叱咤激励するかのようにシリーズの他カップルたちがゲスト出演しているのも最終話ならでは。それぞれのカップルの日々が窺えました。
大波を乗り越えてルコちゃんもこれから成長していくんじゃないかな。東海林も甘やかすだけでなく、ゆっくり温かく育てていくんじゃないかな。甘ったれは変わらなさそうだけど、そのうちいつか東海林が困った時にはルコちゃんがお世話をしてあげられるくらいになっているのかもしれない。そんな期待が持てるラストで安心できました。

1

茜姉さんと呼ばせて下さい

漫画家シリーズ最終巻ということで、他の作品の主役たちもちょこっと脇役で登場しています。
ただ、このカプでの前作「きみがいなけりゃ息もできない」さえ読んでいれば、他の3冊は読んでいなくてもストーリーは理解できるようになっています。

相変わらず生活能力ゼロのルコちゃんなんですが、今回はちょっと無理をしてしまいましたね^^;
そのせいで自分も東海林も苦しめる結果になってしまいます。
詳しいお話は他の方もレビューされているので書きませんが、今作もたくさん切ないシーンがありました。
そして切なければ切ない程、2人のラブラブなシーンでは萌え度が上がっちゃうんですよね。^^

そしてこのシリーズの影の立役者、茜さん。
出番は多くないですが、前作に引き続き、非常に重要な役割を果たしてくれてます。
このカプのシリーズの登場人物たちの中で間違いなく一番男前だと思う(笑)。
今回もヘタレた東海林にカツを入れてくれて、茜さんがいないとこのカプはダメなんじゃないかと思う程です。3人で1組にしたい(笑)。
こういう女性キャラならBLで女性キャラが苦手な方も大丈夫だと思います。

3

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