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不器用で純粋、もどかしくて甘い
短編集。どのお話もおもしろかったです。
イルミナシオンに続きヤマシタ先生のすごさを感じています。
イルミナシオンでも出てきましたが「人を好きになることが悪いことなわけないじゃない」とか「わたしはあんまり恋というものに興味を持たなくなってしまった」というセリフが印象深いです。
あと「ピュアいのって笑われるような悪いことですか⁉︎」も残るセリフでした。
表題作。
美成がおネガで独りよがりなのは自分は恋愛できないと決めつけていたからで、それが恋によって変わり普通になり、覚えたことはたぶんもう忘れない…この変化がよかったです。
恋愛によって自分と世界と人生が変わり、日常になった恋の話がしたいというお話。
「Re:hello」
叔父さんの未送信メールが切なかった。
夏美を嫌な子に描かないのが好き。
夏美が送ってしまったメールが「まだすきだ。」ではなく「元気ですか?」なのがとても好き。
「フェブラリー・メッセンジャー」
かわいらしくておもしろくてすごく好きなお話でした。
「聖ヴァレンティヌスの使者」なのにサンタ帽がかわいいし(照れ隠しよね)
「乗れ」「とばすぜ」とメット被せてママチャリなのコントだし(照れ隠しよね)
ラストの「…なんとかの使者は?」「…辞職しました!」は笑いました。オチが効いている。
告白の流れなのにずっと照れてごまかしているのがかわおもろ〜です。
「スパンク・スワンク!」
こちらもおもしろくて好きでした。
カミングアウト、性癖の暴露の表現がおもしろい。
自覚ある人の言い分って興味深いんですよね。
特にできる営業マンがどⓂ︎でそれを客観的に人に話すのが最高です。
緊縛の練習をポットや人形でやるのもツボ。
開き直ってキレながら告白して歩み寄る流れがおもしろすぎました。
「昔の話はしたくない」の邑崎はやっぱりそうだったのね、遅かったね、気の毒ね、くらいの感想だったんですが。
世の中的には悲恋好きや不憫萌えが結構多いのかな〜と言う印象です。「Re:hello」の叔父さんについても同じく。
あとがき、今回もおもしろかったです。
先生のどこか冷めた視点が好きです。
「イベントごとが苦手」「記念日とか言い出すやつ、めんどくせえよ」に激しく同意でうれしくなりました。
こういうことあんまり書かない方がいいのかもだけど(未だにマナー的なことがわからなくてすみません)絵、特に切れ長な目元が吉田○生先生に似た印象を受け、吉田先生作品と読んでいた頃を思い出して切なくなることが結構ありました。
邑崎が独占欲があったとか告白したり、本を返す中にメモ入れてたり、終電逃したとか言って泊まろうとしたり、遠回しに何をやっても真川が真っ直ぐにそれを超えて行って美成には真川のしか見えないのが恋の話読んでるなってとても思えて面白い
電話のときは頑張ってたように見えるけど、やっぱり恋心はいいタイミングでズバリ言うのしかダメなのかも知れんね
やっぱり初めのリアクションからして邑崎はもう付き合ってるようなもんだと思ってたんだろうから、可哀想ではあるんだけど…やっぱ好きって言ってないのは難しいよね
美成と真川は付き合い始めの楽しいとこをすごく楽しんでて可愛くって良かった
この作品、むかーし読んだときには全っ然良さが分かんなくて、話題の作者さんだけどハマれないな~と思ってました。でも何年か寝かせて再読したら、謎にすごく好きになっちゃって。なんだこれ神ですよ!
今見てもキャラの行動が唐突で、うん???ってなるところはあるんです。始まり方も1話飛ばした?ってとこからで。でも気付いたらこの空気がクセになってる感じ。メインキャラ3人が皆愛しい…。
年下彼氏のキラキラした勢いとか、臆病ゲイのもだもだとか、セフレの昔の泣ける話とか。この世界でキャラがしっかり生きてることに感動しそうになったり。
何気ないセリフとモノローグの重なり方がすんごく良くってじんわりキます。
同時収録の「Re:hello」は泣きました。
キャラが好きとかストーリーが好きとか、そういうのはもちろんあるけど神要素はそこじゃなくって、作品そのもの?空気?雰囲気?みたいな。上手く言葉にできませんけど、なんかすごく好き!ってなるやつです!
dialogue
ただ恋をする日常を描いた作品だけど、その普通の恋をすることのときめきや切なさをぎゅっと凝縮したような幸福感溢れる作品。読むと頭の中でスピッツの歌が鳴り響きます。
割と低音な登場人物が多いけど、その低音動物の心が動く瞬間を描くのが上手いなあって。
まっ正面からまっさらな恋愛がしたくなるような佳作。大好きです。
Re:hello
短編なのだけど、ものすごく心に残る作品。
主人公の叔父にはいつまでも忘れられない男がいて、そんな彼とのデータが残っている古びた携帯を捨てられずにいて…という。
終わった恋愛は、でも他方にとっては終わってないことの切なさ。続きを望んでしまうけど、怖くて一歩が踏み出せない辛さ。
でももしかしたら…という。
これもたまらなく好き。
少ないページ数でこれだけ凝縮した物語って凄いです。
フェブラリー・メッセンジャーはお馬鹿な2人のコミカルで前向きな一編。
スパンク・スワンク!は、アブノーマル扱いされがちな性癖の人が普通に生きて普通に恋する話。この二編は作者の作品によく見る作風な気がします。
これらにプラスして、ボーナストラック的な書き下ろし超短編が3本入ってます。
その中では、
dialogueの裏話的な「昔の話はしたくない」がとても印象的。
結ばれる二人がいるということは時には結ばれなかった人間を生み出すんですよね。
その側の切なさを描くことで、作品が複層的になっている気がします。
ヤマシタトモコ先生の作品の中で、おそらく一番好きな1冊です。
会話のテンポがヤマシタトモコ節バリバリで、BL漫画でこんなに特徴ある人も珍しいってぐらいヤマシタトモコ。流れでレビュー書くと影響されちゃう。
◾︎表題
◾︎真川(ノンケ 年下)×美成(インテリアショップ店員)
久々に読み返したのですが、邑崎(美成の友人)のことがとにかく記憶に残っていまして、記憶ではラストシーン泣いていたと思っていたらそうではありませんでした。でも、私の解釈では彼は泣いていたんだな〜あるいは泣きたいけど、泣けないんだな。大人だから。大人の恋って辛い。
真川と美成の恋愛も非常に好きなのですが、邑崎のことばかり考えてしまうんだよ私は。この叶わなかった恋のことをさ!
同時収録作も珠玉の作品ばかりです。
「Re : hello」好きなんですけど、カバー下のあとがきに書かれてる情報は知りたくなかった。そういう解釈で読むのと全然違ってきちゃうよ。ご自身で仰ってますが、本編で出すか最後まで秘密にして欲しかった、そのレベルの設定は。
※電子書籍ひかり
カバー下有り、裏表紙無し