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表題作サミア

田舎住まいの高校生・松井友則
外見は美形外国人のエイリアン・サミア(別名俵米蔵)

その他の収録作品

  • いつか地球が海になる日
  • ミルク
  • ミルクの後で

あらすじ

「好きだよ、私の特別な人・・・・・・」
ごく普通の高校生・友則が出会った謎の美形外国人は、なんと宇宙からやってきたエイリアン。しかも、友則に「殺してくれ」と頼んできて・・・・・・。
困惑しつつも彼に “サミア”と名付けて一緒に暮らすうちに、サミアを好きになってしまう友則だが・・・。
『サミア』『いつか地球が海になる日』『ミルク』ほか、書き下ろし『ミルクの後で』を収録。
出版社より

作品情報

作品名
サミア
著者
須和雪里 
イラスト
門地かおり 
媒体
小説
出版社
宙出版
レーベル
シトラスノベルズ
発売日
ISBN
9784776795148
4.2

(48)

(28)

萌々

(10)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
16
得点
203
評価数
48
平均
4.2 / 5
神率
58.3%

レビュー投稿数16

怪作

おすすめいただいて読んだ作品です。エイリアンものだという事は知っていたので興味津々でした。
読んでみると、表題作「サミア」は全くキワモノではなく、ど田舎の山の中に住んでる普通の中学生が夏休みに経験する出会いと別れの物語。
よくある青春物語の型をなぞりながら、その相手がエイリアンであり、同性(というより男性型?)だった。その上、永劫の時を生きる残酷さ、生と死の哲学。それらが長くもない話の中にギッシリと詰め込まれております。

「いつか地球が海になる日」
この作品には心底驚いた…
二枚目なのに変態と自覚している七宮。そのオブセッションは『男が泣き喚いている姿を見たい』。
そして、七宮のいる美術部に入部してきた同じクラスの仁科にロックオン!それに気付いたクラスの女子武藤がまた輪をかけたぶっ飛び女子で…面白すぎる!
ネタバレ無しで書くのは難しいですが、ここからの展開はまるで絶叫ポイントもりもりのジェットコースターみたいで、え?攻め受けこっち?から七宮何考えてるの?から、七宮の子供時代の強烈エピソードから、と畳み掛ける。
ついていくのがやっとです。怪作!(この作品は「神」)

「ミルク」「ミルクの後で」
カフカの「変身」をBLで。と言っても虫より断然可愛いペットのハムスターになるので、気持ち悪さはありません。その上こちらのザムザはポジティブ野郎で、人間に戻った後は両想いを満喫する幸せな奴です。

4

男気。

タイトルと門地かおりさんのカバーや口絵イラストから、甘くてロマンティックなお話をイメージさせます。でもクスリと笑えるんですよ。小説道場ご出身の作家さまで初出も古い作品ですが、古臭さを全く感じません。JUNE作品ですから、作風に色んなロマンを求めたとしてもあながちズレた要求でもないのかもしれないけれど、どんなテイストであれ、BLのルーツ的JUNE作品にはハズレがなさそうな予感がいたしまして…。

短編が三作収録されており、主人公は全て男子高校生。とにかく全員、メンタルがオトコマエです。たとえ不条理な状況に陥っても怯まない。作家さまが笑いに変えて読者もろとも流れに乗っからせてくれます。表題作「サミア」は、ど田舎の山奥に住む友則が、幼馴染の貴志と一緒に学校からの帰宅途中で謎の美しい男と遭遇。その男は宇宙人だった、というストーリー。B級コメディ映画のような設定ゆえか、笑っていいのか戸惑いつつも切ない異(人)種間の心の交流(エッチ付き)にキュンとします。

「いつか地球が海になる日」が個人的に最も心打たれた物語。自称「変態」の主人公、七宮の視点で語られる形式で、ストーリーが進むにつれ彼の生い立ちが明らかになります。男の性癖に理解を示す女の存在感はBLではなかなか難しいけれど(そこはJUNE作品ということで)、このお話では女子クラスメイトの武藤がキーパーソンです。七宮が己の変態的な欲求を仁科という彼の苦手な男子生徒で果たそうとするのですが、事態はあらぬ方向へ。自分はゲイではないと釈明するシーンで、「ストレート」というワードを使っているところに時代を感じます。ま、いくら耳年増とはいえ、今日日ノンケという言葉もノンケ本人は使わないのでしょうけども…。さらっと読めるのに笑いと涙の両方を誘う、実は色々なテーマを取り込んだとても深い作品といった印象を受けました。

「ミルク」&「ミルクの後で」がこれまた、男子高校生が可愛ハムスターに…。というお話で、笑わせてくれつつ、やっぱりホロリとさせられちゃう。飼い主の瀧又を励ますハムスターのミルク。健気というより、父性すら感じます。どの主人公も男に寄せられた思いに受けて立つ!恋情とも微妙に違う、相手を心に懸ける姿が男っぽくて、とってもカッコよかったです。

5

夏の夜に聞かせてほしいおはなし

初出が1993年という話の新装版。
『サミア』『いつか地球が海になる日』『ミルク』『ミルクの後で』の
四篇が収められた短編集。
エイリアン、変態、ハムスターと、ぶっとんだ設定の古きよきBL。
軽妙な筆致で書かれながら、ふっと心の深いところに嵌るような物語達。

個人的にはSFというには抵抗があるが、
淡々とコミカルでありながら、とても優しく誠実な物語は
BLジャンルを外したファンタジー短編集としても悪くないと思う。

逆にBL的な萌えを感じるか?……と言われると、
『ミルク』意外は個人的にはNo。
『ミルク』は、設定を猫でも犬でもなくハムスターにしたところが出色だが
切ない自慰を日々(って3日に1回らしいけれど)を見ているあたりでキュン。

濃いエロを求める向きには合わないかもしれないが、
夏の夜のおとぎ話にお勧めの一冊。


4

ぜひとも夏に

こんなに泣かされたBL小説はありません。
15年以上前に書かれた作品ですが、古さを感じさせないどころか、人物の心の動きは今でも十分に読み手の胸に迫ってきます。

最初は、突飛なサミアの言動に 読みながらも頭がふわふわしていたのが、次第に描写の美しさに引き込まれ、友則の気持ちでサミアを愛しいと感じ始め、そして近づくタイムリミットに、痛いほど胸がしめつけられていきます。
何度も何度も読んでいて、救いのないふたりだとはわかっていても、結局同じところで涙が止まらない。セリフの一つひとつに嗚咽がこぼれる。感動の色褪せない作品とは、本当に「サミア」のようなお話をいうのだと思います。

本のデザインも印象的です。
表紙で 眠るサミアを包む白い花が、扉絵では途端に鮮やかな色に。読了後もう一度扉絵を見ると、まぶたに口づける友則の姿にハッとさせられ、どうしてもまた涙してしまいました。

同時収録の「いつか地球が海になる日」(タイトルが素晴らしいです…)「ミルク」も、文章は読みやすくあっさりしているのに、登場人物の可愛さやエロさがしっかりと伝わってきて、とても好きな作品です。「ミルク」は特に門地先生の絵柄がぴったりなお話。

一冊のうちに泣いて、爆笑して、ときめいて、読み終えた後の充実感がとにかくすごい。
夏が来るたび読み返す名作です。

6

おやすみ またいつか

もう恋とか愛とかでいう言葉では追いつけないほどに―

思わず作中の言葉を借りてしまいましたが、表題作「サミア」を
読んでは、ふつふつと湧きいでる気持ちが上手く言葉になりません。
肉体という殻を取り払って、互いの存在、魂そのものを慈しみ合う
限られたひと時が、夏の日々に書かれています。

想い人がエイリアンという、ややもするとキワモノ設定が、
こうでなければ表現し得なかっただろう物語の核となっています。
気の遠くなる程永い時を、その存在が在る前からただ想ってきた
という果てのなさと深さに、ただ陶然とします。

直接的な描写もない言葉での交歓は神聖さすら感じました。
また、主人公の心を地に留めた、幼馴染みの存在と彼の言葉が
とても良かったです。真実の一面を突きつけても、命が巡る希望を
伝えてくれた彼の想いもいつか届くといい。
僅か100pの短編に深い読後感がありました。

同時収録の「いつか地球が海になる日」で、男性の苦しむ姿に執着する主人公の偏愛の底にあった真実。
それがタイトルと結びつく構成が素晴らしいのです。
また、主人公と変態という秘密を共有する少女なくして
このお話の魅力はありません。
彼らが感じてきた孤独、疎外感は大人達のエゴによるものなのに、
実にあっけらかんとした姿がたくましく愛おしいのです。

「叶えて」という大好きな曲が、この作品のイメージに合うなあと
個人的に思いました。叶えて、砕いて下さいその指で、という
空気に溶けるような曲です。

7

愛すればこそ、殺してあげる。

≪サミア≫
悲しいファンタジーです。
ド田舎に住む普通の高校生の、ひと夏だけの忘れ得ぬ恋。
美麗な外国人の姿を模したエイリアン「サミア」の目的は、彼を「不死」から解放できる唯一の存在「智則」。
途方も無く長い時間、寂寞と空虚の宇宙空間を1人ぼっちで智則だけを求めて来ました。
サミアとの交流の中、短い時間でも愛の交換をして、実って、なくてはならない存在になっていきます。
それなのに、相手の唯一の望みは「殺してくれ」なのです。
サミアの望みと失くしたくないと葛藤する智則の悲しみに息が詰まる程です。
サミアを殺して上げられるタイムリミットが近付いたとわかった時、智則がして上げられる事は、優しく幸せに消滅させて上げる事。それと・・・。

その都度、爪の寄生虫が智則の寿命まで生きてくれていたらとか、サミアの形見が1つでも残っていたらとか、智則が茫然自失より精神的に酷くなってしまったらとか、いろいろなIFを考えちゃったけど、やっぱりこのラストが1番良いですね。
ちゃんと殺して上げられて良かった。
短いストーリーですが、とても印象深い作品でした。

他のタイトルも、読み易く心に残る作りでした。
≪地球が海になる日≫
「ウォーターワールド」みたいな近未来な話?ではなくもっと現実的な、自分が変態だと感じている高校生七宮のトラウマの話。
七宮の小学生の頃の詩「地球が海になる日」に落ちます!
≪ミルク≫
ファンタジー。あまり良く思っていない同級生・瀧又に飼われているハムスター「ミルク」になってしまった宮城。彼の日常から、どうやらオレの事が好きらしい、えぇっ!?
≪ミルク、その後で≫
2人が仲良くなってから。瀧又の天然ブリに笑えます。

須和先生って、大分前から発表されているんですね?
どの作品も読み易い文体で作品にすぐ入り込めました。
もっと早く読んでいたかったな。どれもお勧めです。

4

読むなら夏に。

あらすじ見て設定がぶっとんでいたので、わくわくしてどんなもんかと読んでみたらこれが結構泣かせます。
「サミア」「いつか地球が海になる日」「ミルク」「ミルクの後で」の短編詰め合わせの「サミア」が宇宙人の話。
全体的に夏っぽい話。
基本的に私はしっかりした文章の本が好きですが、これは逆に超口語文。だいたいが中心人物の独り言で出来ています。しかし、ストーリーがすっごく個性的というか、さっきも書きましたがすごくぶっとんでおり、読みながらとても笑えます、泣けます。
「サミア」「いつか地球になる日」はクライマックスがすごく泣けます。
本の雰囲気は詩的な印象でした。それぞれのお話にきちんと世界観があって、文章を楽しむというより映像を想像しながら私は楽しんでました。「サミア」とか超夏!!!って季節感を想像させられます。
あと、メインキャラ以外に、「サミア」だと主人公の両親、「いつか地球が海になる日」だと同クラの女子が非常に良い味だしてます。

3

軽妙な文章で書かれた切ないストーリー

前々から気になっていた本の新装版です。
全体に軽妙な文体で書かれた、でも内容はとてもいい物語でした。

『サミア』
自分だけがサミアを殺せる。今自分が殺せなかったらサミアはもう永遠に死ねないかもしれない。
そんな状況の中で、それまで普通の高校生だった友則は迷います。
ひとりぼっちで宇宙をさまよい、友則が生まれる前からずっと友則のことばかり考え、愛していたというサミア、そういう彼をいつの間にか愛してしまう友則、友則の親友で、密かに友則に惹かれている貴志の三人模様がとても切なかった。
読んだ後ちょっと『星の王子さま』を思い出しました。

『いつか地球が海になる日』
『俺は変態である』という一文から始まったので、最初は「これはなんだ!?」と思いました。
文章もギャグ調だし。
でも読み進めてみたら、これは本当に切ない物語でした。
男を泣かせたいという強い欲望を持った主人公七宮と、彼に近づいてきた同級生仁科のラブストーリー。
七宮は最初は仁科を遠ざけようとするのだけれど、そのうち仁科を泣かせたいという強い願望を持つようになります。
やがて泣かせたいという七宮の望みに反して、ある日事故のように抱かれてしまい、こんなはずではなかったと混乱して、「俺はおまえを好きじゃない」と言ってしまいます。
そして男を泣かせたいという願望の正体が明らかに。
変態な同級生武藤真弓がいいキャラクターでした
小学生の頃の作文は泣けます。

『ミルク』『ミルクの後で』
カフカの『変身』はある日目覚めると虫になってましたが、これは同級生瀧又が飼うハムスターになっていたお話。
ミルクというのは、そのハムスターの名前です。
なんでこんな姿になったのか。
自分は死んでしまって、こんな姿に生まれ変わったのだろうか。
瀧又は何を悩んでいるのだろうか。
小さな姿になってしまった主人公ですが、カッターを手首に当てる瀧又を止め、何とか意思の疎通を図ります。
がんばるハムスターが何ともかわいい、楽しい話でした。

新装版で読めて本当によかったです。
お勧めの一冊。

7

泣きました!

ちるちるのレビューを見て大変に興味を持ち読みましたが、本当良かったです!
エイリアンなんて、とんでも設定とおもいきや"ET”より切ない話に涙があふれてしまいました。

昔住んでいた星で罪を犯した為に最高刑とされる「不死」を与えられたサミア。
唯一死ぬ為に放出されたツールを求めて果てしない旅で、出会った人間が友則。
彼の不思議な色を持つ爪がサミアを、その苦しみから解く為の唯一の存在だった時、「わたしを殺してほしい」と望むその孤独がひしひしと伝わってきます。
友則との生活の中で、封印していた感情が解き放たれ、そして最後に望みがかなう時、もう涙がとまりません。
友則の気持ちも、その友人貴志のとる態度も、どちらも間違いではないのがより切ないです。
しかし、サミアが逝くことで永遠に友則の心に住むことになり、一緒にいられることができるという、この結末をバッドエンドとは決めつけられません。
一見エイリアンという設定にキワモノを連想しがちですが、本当に心を打つお話に心が洗われるようでした。

この悲しい話のあとは、少し愉快な「いつか地球が海になる日」と「ミルク」があって、少し気持ちを落ちつけてくれます。
「いつか~」の中にある主人公が書いた小学2年の時の作文というのが、また泣かせてくれるのですが、クラスメイトの女子の武藤のトラウマも悲しいものがあるのですが、あっけらかんと対応する主人公達がさわやかです。
「ミルク」はハムスターに憑依しちゃうお話ですが、笑わせてくれます。

取り合わせがとてもバラエティに富んでいて、とても印象に残る本です。

10

優しい

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
JUNEに全然詳しくないのに勝手な思い込みでじとっとした重いものを予想してました。全然違いました。
どの話もすごく優しい。

「サミア」
宇宙人との恋愛を描いた表題作。
ひとりぼっちの孤独な宇宙人サミアと、サミアの辛さを自分のことのように苦しむ友則。
下手をすればギャグにもなりかねない荒唐無稽な設定にも関わらず、二人の交流のなんと美しきことよ。と、泣きそうになりました。
サミアと友則の人生にとってほんの一瞬の恋。だけど永遠の恋。

「いつか地球が海になる日」
男を泣かせたい願望がとまらない変態主人公・七宮。
主人公による自己変態宣言から始まる冒頭に笑わされました。
明るい変態一人称が面白いのですが、読み進めていくと結構シリアスに、そして意外な着地点にほろり。
『それぞれの変態には、それぞれの事情があるのだ』

「ミルク」&「ミルクの後で」
人間だったのに何故かハムスターに!
このお話かなり好きです。最初っから最後までプスプス笑いが込み上げました。
主人公・宮城が突然ハムスターとして覚醒するのですが、飼い主は元同級生の男・瀧又。
ほんの十数日間不本意ながらハムスターとして過ごすうちに、嫌いだった瀧又への印象もどんどん変わり、しまいには恋愛感情まで生まれます。
これもずいぶん非現実的な設定ですが、面白い。オチの付け方もすごく巧い。
漫画化にしたの読んでみたいなあ。買います。

短編ながらどのお話も面白かったです。
軽妙な一人称が読みやすくて、最初にもいいましたが優しい。
誰かが誰かを思い遣ってる、そんな優しい空気がありました。
「サミア」に至っては16年前なんですね。今より縛りが少ないからこその粒揃いなのかな。

6

今読んでもイイ!!

読んだこと無いのが文庫未収録だった「ミルク」「ミルクの後で」だけ
だったから買うのをためらっていたけど、結果から先に言うと
買ってよかった!!須和さんやっぱり好き。

さすが私のBL初期を支えてくれたお人です。今読んでもイイ!!

「サミア」泣いた――――――――!
最後に本当の姿を見せてくれたサミアの気持ちがっっ
言葉にはならない声で友則を呼ぼううとするサミアが・・・っっっ!!
サミアが居なくなって泣くしかない友則と一緒に最後まで涙が。

ふたりが距離を縮めていって触れ合うシーンの
まぶたにキスをする幸福なシーンが印象に残っているだけに
このラストに涙せずにはいられませんでした。

「いつか地球が海になる日」大好きなお話です。
軽快な語り口のちょっと変態な主人公くん。
お気に入りの部活仲間を自分の側に引き込もうとします。

まずはこの主人公の語り口が好き。
しょっぱなから「俺は変態である。」だからね。(笑)
ぶっちゃけすぎだよ、君!みたいな。

そんな明るい主人公くんにも背負っている影があるわけですよ。
乗り越えるために部活仲間くんにぶつかっていきます。
泣きながら一生懸命に。その姿がすんごく痛々しくて切なくて可愛いの。
君はその明るさできっと幸せになれるよ。なってくれよ。

「ミルク」「ミルクの後で」
ハムスターになっちゃった主人公!!な話。
しかも飼われているのがクラスの嫌なやつのところだったり。
嫌っていたやつだったはずなのに
飼い主の暴走を一生懸命に止めたりして可愛いの。(しかも空回り)
元タイトルの「やばいでCHU!!」の方が作品の雰囲気を
上手く表せている気がします。(笑)
言ってしまえばおバカなコメディです。
やっぱりタイトルだけでもサミアの雰囲気に合わせたのかなぁ?

ちょっとだけ変なキャラを書かせたら右に出るものは居ないと思っています。
かといって「変なキャラだった」だけでは終わらせない
切なさを物語に孕ませるのもお上手でいつも踊らされてしまいます。

そしてその切なさを全面に出した作品もやっぱりお上手で
もっともたる「サミア」では何度読み返して泣いたことか。
旧版持ってるし、何回も読んでるから今回は大丈夫と思っていた
私が甘かった。泣かされてしまいました。


今回新装版を購入したきっかけになったのは
門地さんイラスト!という理由もありました。
本編にイラストがないのもポイント高いです。
表紙のイラストだけで十分想像力を刺激させていただきました。

6

JUNE

友達にJUNEとはなんぞやと聞いたらそっと手渡された本。
な、なんでもありですね!!
エイリアンと恋をしたりヘンタイだったりハムスターになったり。

表題作の切なさもすさまじいですが残りの二本もすごかった。
「いつか地球が海になる日」
変態性欲をもてあました高校生がクラスメイトの女の子と画策してターゲットを落とそうとするが……
「ミルク」
気がついたら宮城はハムスターになっていた。
しかもその飼い主はクラスメイトの瀧又で、彼の話によると自分は死んでしまったらしい。
彼の部屋で飼われるうちに、瀧又が自分のことをスキだったと知るが……

ぶっちゃけギャグだと思って読み進めていたら途中からものすごく重くなって、最後は泣かせるという超アクロバット技。

須和さん初読みでしたが、これはちょっとはまりそうな予感。
他の作品もチェックせねば。

8

しみじみと、JUNE

前編通して読了した後深い息を吐きました。
この混沌こそがあの当時のJUNEだったんだなぁ、と。
それでいて古びた感じを受けないと言うのは、
今だ文章にそれだけの力があると言う事なのでしょう。

世紀が変わってから書かれた筈の『ミルク』でさえも
またJUNEである事に軽く驚き、そして深く安堵しました。
ボーイズラブの進化の過程でこういう世界も展開して
いたのだよ、と言う事の証左として読み継がれて欲しい
ものです。

8

心臓が止まるかと思うほど胸が痛んだ。

表題作サミアはどこまでも切ないお話でした。
エイリアンと人間の恋。
数千年の時を死ぬことも叶わずに生きてきたエイリアンはずっと自分を殺してくれる存在に思いを馳せ生きてきた。恋とか愛という言葉では追いつかないほどに。
最初にちょっとだけ本当の姿を見たときには気絶してしまった友則も、サミアを殺すときは自分も後を追おうとまで考えるほどにサミアを好きになり、最後お別れの時には彼の本当の姿をみて彼の星での愛情表現をしてお別れする。
幸福の中でサミアを殺してあげられたことを悟りサミアとの別れを受け入れるラストは何かこみ上げるものがある。
「いつか地球が海になる日」は、ギャグだと思っていました。
変態でわがままで変態で変態な主人公のギャグ話でどんな展開になるのやらと思っていたら、まさかの大号泣。
完全にしてやられた!
ラストはハッピーエンドでよかった。
「ミルク」これは笑いこけながら読みました。こっくりさんって・・・爆笑。
サミアの日本名が俵米三(たわらよねぞう)だったり、この作者さんのセンスに惚れ惚れしてしまいました。

12

切ない作品

初見の作家さんでした。
15年前位にルビー文庫で出ていた復刻版の短編集みたいです。

あらすじだけ読むとエイリアンが出てきたり、トンデモ系?な香りがプンプンしますが、中身は切ないお話です。
お恥ずかしい話ですが、ホロリ…となりました。
表題作も良いのですが、他の短編集の
俺は変態である…から始まる「いつか地球が海になる日」
目を覚ますとハムスターになっていた…の「ミルク」
その書き下ろしの「ミルクの後で」もおもしろかったです。

久々に面白い作品に出会いました!!
おススメします☆

6

泣いた!

私も「サミア」で泣かせていただきました!
切ないっ、本当に切なかった!
エイリアン、て設定に「え~?」とナンセンスを感じたのですが、とんでもない!
とても純粋な生き方と恋でした。
サミアに訪れた急な展開に、こっちまでが「ちょっと待って!」と言いたくなる。
「もう少し心の準備を…」と思う間もなく、サミアが逝ってしまう。
本当に泣けました。

ハムスターになってしまう「ミルク…」は、反対に笑いました。
一人ツッコミ一人ボケの連発!
ハムスター目線が面白いのなんのって!
サミアといい、ミルクといい、変わったキャラクター設定だなぁと感じました。

表紙がキレイだったので、挿絵も期待していたのですが…
挿絵はありませんでした、残念!

6

ぐるぐる

このイラストすごくいいですね!
表情がたまりません

この作品が収納されている本棚

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