ボタンを押すと即立ち読みできます!
2010年刊。
一冊読み終えた後は萌えと残念さが入り混じった感覚だなってのが率直な感想だった。
まず、裏表紙のあらすじに載っている"最悪な第一印象"よりも、受け・啓(さとる)の壊滅的な家事能力の無さと、攻め・羽島の世話焼きぶりに目がいった。
ここから二人のやり取りで共通している性格は、独自のこだわりの強さなのかな?と伺えたのだけど…
"合わない性格のようでいて噛み合っている二人"ってのを読み進めていけるかと思ったが、その後の展開がちょっと残念だった。
羽島とサエコさんって女性とのスキンシップは啓に誤解されるのも無理がない。
実は啓は一見人に丸め込まれそうに見えるが、真っ当な事をきちんと主張できる性格だ。
そんな一端を羽島を敵視しているマサミチや、啓を陥れた元同僚の女性に見せているのに、肝心の羽島がそんな啓を後押ししないでどーすんのさ!?
羽島のほうも啓を強引に押し倒してしまい、"誤解した挙げ句にすれ違ってしまう"シチュエーションに突き進んでしまう。
攻めが強引でも許せる場合と、一方的な押しの強さにうんざりする場合とに別れるが、羽島に関しては前者だった。
まぁプライドが高そうだねー、と感じつつもそれが彼なりの良さだったのに、終盤ではそんな小生意気さが薄れてしまった感が惜しい。
でも、"誤解を経て一時別離してからの再会"ってシチュエーションも結構好きだから、まずまずの着地点に落ち着いたかな。
甘々な後日談も楽しめるが、そこは最初の頃のように不器用すぎて料理が散々な啓と、意外なマメな羽島ってのをもう一度見たかった。
ストーリー展開自体は、突っ込みどころも多いと感じましたが、どこが萌えどころかなぁと考えてみると。
ルックス良しでCMで名の売れ始めた20才の芸能人(俳優)、羽島。彼の、若さゆえ?の自分勝手さ、強引さ、つまりは子供っぽさ。同時にイケメンの贅沢な悩みとも言える自意識過剰と、他人の賞賛を馬鹿にして自分を過小評価する態度。
そんなところをズバッと意見してきた哲に、俺様かつ懇願の入り混った複雑な恋心を抱いて一人もがく、というところでしょうか。
受けの哲がなんとも理屈っぽいカタブツで、色恋に全然疎くて羽島の懐き具合にも自分の感情にも気づかない。
ストーリー的に少々強引なレイプ展開があって、ここは哲には酷だと感じましたが、不感症的な哲は、逆に会わなくなってから羽島の記事をスクラップし始めたりの執着心なども見せつつ。(これでもまだ自分の心に気付かない)
1年後、再会の時。羽島はもう俺様でも強引でもなく、たった一人哲だけの愛を乞う恋する男。攻めが受けの愛を乞う姿。コレは好物。
「ささやかなジェラシー」
羽島視点。哲と恋人になって9ヶ月。(誰にも極秘!しのぶ恋)
映画の宣伝?用の共演女優とのゴシップにヤキモチの哲。哲も随分人間ぽくなってきましたね。
内容としては、う~ん・・・悪くはなかったです。突っ込みたい箇所はいくつかあるけれど、話としては一応まとまっています。ただ、インパクトというか、これ!というものは私的にはなかったです。内容よりも椎崎さんらしい素敵な文章表現の方に目が奪われる感じでした。情景描写も感情描写もエロ描写も素敵でした。ほんと、この方の文章って好きです。
それからキャラが良かったです。この攻めと受けは『不器用な策略』と『不器用な告白』のキャラの元祖ともいえる感じです。攻めの羽島雄生は、年下で長身の美形で年齢よりも大人びていてモテモテで遊び慣れていて醒めていて手先が器用で料理が上手で好きな相手には全力で懐くタイプ。受けの中室哲は、真面目で公平で平等で分別があって感情に走らなくて鈍くて抜けたところがあって見た目に気を使わなくて年齢の割に老成しているタイプ。
そんな彼らが人口密度の低い別荘地で出会って、人を上辺だけで判断しない誠実で真面目な人柄の哲に、他人を信用せず自分を安売りしていた雄生が惹かれていき、毎日のように哲の別荘に通って懐いて何とか自分だけを見てもらおうと必死になって2人が楽しい時間を過ごせるようになった頃に、雄生が役者仲間の集まりに哲を連れて行ったために2人の仲がこじれることになって、その後お互いの気持ちがすれ違ったまま哲が叔父さんの別荘を離れてしまい、2人が離れること1年。哲が会社の同僚と雄生の舞台を見に行ったことで再会して、その日のうちに互いの気持ちを伝え合うことができました、という話です。
タイトルの「壁際のキス」というのは、気持ちが通じ合うまでの2人は、いつも哲が背中を壁で押さえられている形で一方的に雄生のキスを受けいれていたことからきています。
なんだか、ぼや~っとしたお話だった気がします。
う~ん、上手くいえない。皆さん上手にレビューされるなぁ……。
ホント、「ぼや~」で「まったり」で「もったり」な印象なんです。
互いにすれ違ったり戸惑ったりはあるんだけど、取り立てて波乱も無く、ビックリな展開も無く、ドンデン返しも無く……、人様の恋愛をぼーっと眺めてた感じです。
ツッコミどころは色々とあるんですよ。
「生垣で怪我したら手当てしろ」と脅して自宅にまで上がりこんじゃうなんて、攻めは隠れるように田舎に引っ込んでるくせに、そのヤクザみたいな絡み方は目立って仕方ないでしょうよ、って思ったり。
知り合いと切り離されたくて雲隠れしている割には、散歩中にバッタリ知り合いにあったりするし…。
まあ会わなきゃ話が次に進まないわけで、なんだか設定と展開がかみ合ってなくて、裏切りあってる感じがしました。
受けも、裏切りにあって世捨て人みたいに引きこもってる割には、警戒心は薄いしこれといって傷ついてる風でもないし。
「誰も知らない遠い土地の温泉宿」とかじゃなくて「おじさんの別荘」ってあたり、受けもまた逃げ方が中途半端っつうか…、逃げ切れてないじゃん?って気もするんですが。
実際いつまでもぼんやりしてちゃ金が底をつく!ってあたり、妙に現実味や生活感があって、逃避行ってよりもリフレッシュ休暇みたいな感じだったのかな?
けど、その分ドタバタ感はなく、ほんのりぼーっとしたいときに読めば、色んなツッコミどころも気にならなくて、雰囲気を楽しめそうです。
少なくとも、「俗世の垢を落としたい」って雰囲気は伝わりました。田舎って良いね~☆
私は実際ぼけーっと読んだので、概ね楽しみました。
攻めは「やんちゃでちょっと強気なワンコ」を狙ってるのかな?
「罪の無い自己中」にしか見えなかったので、ちょっと残念でした。
けど、このくらいじゃなきゃ、受けの関心を引くことは出来なかったかな?
信じていた人間に裏切られた哲は療養のため、叔父の別荘で一人暮らしている。
そんな彼の前に突然現われた青年、羽島は不遜な態度で哲の静かな生活をぶちこわした。
初めただただ迷惑に思っていた哲は、いつの間にかこの青年と過ごす時間を楽しみに思うようになる。
しかし、羽島が売り出し中の俳優であることがわかり、すれ違い始める二人だったが……
芸能人×若隠居(笑)
不器用な二人がお互いちょっとずつ変わっていく過程や、攻に惹かれながらぐるぐるする受は切なくてさすがの椎崎さんだと思った。
ただ最初、羽島が出会ったばかりの哲に執着する理由が最後まで明かされなくて、そこだけ消化不良な感じがしました。
ある程度近づいてからの、自分をごく普通に扱ってくれたから好きになったっていうのはわからなくもないんだけど、出発点がね。
哲の家の生け垣で怪我をしたから治療しろと上がり込んできたのが始まりです。だけど、羽島はそこまでの俺様キャラじゃないしなあ。
この出会い自体にちょっと違和感があるのかもしれません。