薄幸な少年と美しき貴公子の身分違いの恋―――

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表題作一枚の絵

領主 ライオネル
難民孤児 エリヤ

その他の収録作品

  • キスより甘い吐息
  • 想いの距離

あらすじ

流民のエリヤは生活苦から行きずりの男に身を売っている。ひどい扱いをされ、行き倒れたエリヤを救ったのは、美しき貴公子・ライオネルだった。優しいライオネルにひそかな憧れを抱くエリヤ。しかし身を売っていた過去が暴かれ――?
泣かせるせつないBLの名手・六青みつみが花丸に初登場!哀しい運命に翻弄される、健気な純愛。
(出版社より)

作品情報

作品名
一枚の絵
著者
六青みつみ 
イラスト
ヒメミコ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸コミックス・プレミアム
シリーズ
騎士と誓いの花
発売日
ISBN
9784592862727
2.8

(23)

(3)

萌々

(6)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
4
得点
56
評価数
23
平均
2.8 / 5
神率
13%

レビュー投稿数4

「光の螺旋」シリーズ最初なのに忘れられたような作品

光の螺旋シリーズ「ruin」のスピン元。
一番最初に出ているこの作品から読むと、フェルス王国の民が味わう辛酸が理解できるので、シリーズのカレスの評価が変ると思います。
・・というより、この物語が、支配するものと虐げられる者という設定の土台になっているので、これを読まないと著者の意図が汲めないと思う。

シリーズの人気者、カレスは、この作品だと、流民を差別する冷たい奴。制度の改善より、手っ取り早く排除することで解決をしようとする合理主義タイプ。№2に適役でも、トップは無理。国が荒れてしまう。
ruinはカレス視点のカレスの物語で、流民のエリヤを差別なく助けようとするライオネルを「忠告を聞き入れない無神経、片思いに気付かない鈍感」と憎らし気に書かれています。片思いだから仕方ない。
この物語のカレスは、為政者として素養が無い。愛が薄い。
難民問題は、現実社会でも取り扱いが難しい問題だけれど、一度に全部ではなく少しずつ受け入れて、教育を施し国力の底上げに活用したら、お互い繁栄していける筈なんですけどね。

「泣かせるせつないBLの名手・六青みつみ」と謳われるだけあって、定番の「悲惨な状況の中の穢れない魂の持ち主という主人公設定」の通り、むごたらしく悲しい話でした。
マイノリティとしての苦しみを何重にも抱えている主人公エリヤ。美少年が、ぼろ雑巾のように苛められて苦しむ様子が、憐れです。

精霊と暮らす国、フェルス王国が戦に負けて、居住に適さない毒地になり、戦勝国の判断で隣国に強制移動させられ、難民以下の流民となる。
強制移動をさせた戦勝国による、保護制度が無い
保護者が居ない、身寄りのない幼い3人の子供だけの暮らし
普通より低い賃金で不当な重労働しかない、物乞いや身売りで生計を立てている
助けてくれた貴族の家でも、陰でいびられるが、絵の才能を伸ばすことが出来た
領主不在の間、苛め対策として施設に移動を配慮されるが、施設で断りを受ける。
見つけた仕事は、違法採掘現場。重労働で結核になり、病人用の小屋で死を待つだけになる

・・と不幸を書き上げるときりがないくらいの災苦。
文字が読めていたら、いくらか避けることが出来たかもしれませんが、死ぬ日を運命が待っているような災苦が、丈夫じゃない主人公を襲います。

エリスが味わう不幸ほとんどが、マイノリティを差別する(ほぼ人災)。強者が弱者を庇う気持ちがほぼない地域に主人公は、生きている。生きる場所も選べない難民。
・・・なんか、今世でも似た報道を耳にします。いつの時代も、戦争で苦しむのは末端の弱者。

エリスが、天国に片足入れた瀬戸際で救助が入いります。・・・この惨い話が、実話をモデルにしていない創作話でヨカッタ。
弱者の苦しみに目を向ける人が、新しい領主となったので、これから制度改革が行われて、変わっていくという展開。

統治する者の意識次第で国は変わるのは、寓話の世界の話だけじゃないです。久々に読んだ悲しい話でした。ハピエンでなければ、心が壊れてしまいそう。
シリーズ最初の本なのに、情交シーンは2場面だけしかないので、この作品は人気がないのかな?

「想いの距離」
主人公二人ではなく、ライオネルの弟の話題で〆、謎の終り方ですが、エリヤの不治の病が二人を別つ場面を著者は書きたくなかったのかもしれません。

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▶関連本(著者HPで確認)https://bit.ly/3q2pSg1
★一枚の絵 2010/09/17
同人誌でこれが最初。商品化では、切り離されて発刊。
(初’01年8月 )「胸に埋めた小さな棘(一枚の絵)ライオネル×エリヤ」
剣も魔法も英雄も出てこない『世界名作劇場』風JUNE。
ハッピーエンド

★ruin -傷- 2008/10/31
『光の螺旋』シリーズ第三弾。
前作『一枚の絵』に出てきたカレス=ライアズ君が主人公。異国風ファンタジーJUNE。
ハッピーエンド(←ここ重要)

★ruin -緑の日々- 2009/11/30
『光の螺旋』シリーズ第四弾。
前作『ruin-傷-』のフォロー続編。甘々ラブラブ目指してがんばった。ハッピーエンド♪

4

ハッピーエンドだけど終わり方が良くない

六青先生おなじみの超切ない話。 エリアの境遇が悲惨だけど、他の同先生の作品の受けはもっとひどい目にあった受けもいたので、それ程読んでいて痛くはないです。中立と辛口なのは、最後がライオネルの弟と侍女の恋のお話しで終わっているから。 六青先生は読みやすいし、泣き所もあってさすがだなと思ったけど、最後は主人公二人のシーンで終わってほしかった。やっと一緒になれたのに、その後二人が一緒に生活している場面が少な過ぎ。一応ハピエンだけどね、終わり方って読後感の為にも凄く大事。

2

全く感情移入が出来ない

辛口注意。

【ruin-傷-】に出てきたライオネルの話です。
先にこちらの話を読んでいたら、評価はかなり上がってた思う、というのを前提に。
ruinの方では散々ライオネルにイライラすると豪語してますが、やっぱり主役になってもイライラ満載。むしろ私のイラつき最高潮でした。
それどころかエリヤに土下座して あ や ま れ ☆ という気分です。

カレスが完全に蚊帳の外感ばりばりなのも、ruinカップルが大好きな私としましては寂しいところ。
こればかりはカレスが片思いをしていた、という設定上、仕方がないことではありますが、まるでたちの悪い姑のような書かれ方で、どうしても切なかった。
今作の受・エリヤは、滅亡したフェルス聖王国から逃げてきたフェルス難民です。
国を追われ、ドブを這いずるような生活をしてたエリヤを、裕福でなーんの苦労も知らないライオネル坊ちゃま(皮肉ってます)が拾ってくるって話なんですが、エリヤがひたすら健気。

悪い子ではないんですが、ruinの方を先に読んでしまうと、このエリヤがあざとく見えてしまっていけなかったです。
カレス視点を知らなければ、きっとティッシュ箱かかえて鼻すすってると思うんですが、カレスの想いを知ってしまってるから、このカップルに全然感情移入できなくて参った。
エリヤは多分、凄く良い子なんですけども、ちょっと卑屈すぎてイラっとします。
境遇がそうさせたのも分かるし、病弱なのでどうしてもマイナス思考になってしまうのは仕方がないことだとは分かってるんですが、なんでしょう……。
同じ健気なら、悲惨な奴隷生活を送っていたリィトの方が断然好きです。

庇護されるだけの病弱受け子ちゃんが、あまり得意ではないのかもしれません。
しかもこの子、どうやったら自分が可哀想に見えるのか、セルフプロデュースできるタイプ。
合わない攻と合わない受を最後まで読んでみても、やっぱり合わなかった。
そんなわけで、どうぞライオネル様と末永くおしあわせに……。

7

六青先生お得意の切ない話でした。

私は先に【ruin―傷―】を読んでいたので、あの鈍感坊ちゃんのリオはどんな奴なんだ!カレスはどうしてあんな傷を心に負うようなかかわり方をしたの?などと偏見たっぷりに読み始めました。
しかしエリヤの不幸な人生を読み進めるにつれ、あまりの理不尽さ、差別、貧困、もう苦・苦・苦・苦・苦しかなくそんなエリヤを救い上げたリオを見直し、助けられてリオの城で休んでいたエリヤに「臭いますね」だの「あの子は売春婦ですよ」だのさんざん辛く当たり、不幸な境遇のまたさらに不幸を上乗りさせたような状況に追い込んだカレスに自業自得だよと思ったりもしました。
今となっては、カレスの思いに気付かないくらいエリヤに盲目的に思ってないと、あの苦境からエリヤを救い出すことはできなかったのかなと思っています。
しかし六青先生のいつもの怖いくらいの受けの落としっぷり、この作品にもご健在でした。

6

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