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表題作獣の月隠り

月貴
銀色の人狼のアルファ
睦月
月貴のパートナーの人狼

同時収録作品獣の伽人

高位種の人狼
甲斐
猟獣研究施設の研究員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「獣」シリーズ続編登場!! 同じ人狼の月貴を一途に想い続けている睦月。その月貴に「俺を好きになって」と睦月は告げられ…。
(出版社より)

作品情報

作品名
獣の月隠り
著者
沙野風結子 
イラスト
実相寺紫子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
獣の妻乞い
発売日
ISBN
9784344820357
4.1

(55)

(27)

萌々

(14)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
221
評価数
55
平均
4.1 / 5
神率
49.1%

レビュー投稿数11

切なくも美しい

二段組でがっつり世界観を堪能しました。
人狼同士カップルと、研究者と人狼カップルの2作収録されてます。
自分は人狼同士の月貴と睦月との話の方が好み。

人狼といっても、この作品の彼等は人工的に作り出されたキメラでその存在はあまりにも過酷で厳しくて悲しい生き物。
研究所の中で人狼達は時に闘わされ、レベルを付けられて規格外の人狼は処分されてしまう。
睦月[受]は小柄で気も弱く、本来ならレベル外になりそうな少年なのですがそんな彼に月貴[攻]は目をかけてやり自分を好きになる事で生き延びる気力と目的を持たせます。
睦月がむっちゃかわいくて、月貴と一緒に出掛けた先で思わず狼の姿で本能的に魚を捕って月貴に捧げちゃうんですよ、か、可愛いくて健気!
そしてその努力の甲斐あって、睦月は何とか生き延び外で月貴と組んで任務を行う事となります。
そしてまた人狼達には悲しいルールがあって、彼等は人狼同士でセックスしてはいけない。
それは狼の番関係の強さが原因なのですが、ともかくそのルールで愛し合っているのだけれどセックスする事は出来ない。
もう人間酷いよーー!!と読んでて身勝手な人間側にムカついてました。
「落ちる」状態が近いのか店先で肉をガツガツ食べたり、コップの水を上手く飲めなくなる睦月と、それを見ている月貴とのシーンは切なくて心がぎゅっとなります。
彼等のラストは切なさを含んで終るのですが、何とあとがき後にオマケ小説があるんですよーーありがとう!沙野さん!!
これがあってどんなに嬉しかったか!やっと2人は幸せに生きていく事が出来るのかもって思いました。ホント嬉しい補足小説でした!

「獣の伽人」
高位種でタカビーで嫌なヤツとして登場してた朋[攻]と研究者甲斐[受]との下克上。
朋はタカビーなのは相変わらずだけどこちらの話の方では精神年齢が子供っぽいイメージでそこはちょっと可愛げが出てました。
セックスしてる途中で獣化するシーンで登場する瘤はやはり人狼モノならでは!ペニスに瘤ってエロいなあ。

ともかく月貴と睦月が救われて良かった!感情移入度はダントツにこのカップルの方ですね。睦月の健気っぷりがたまらんです。

3

スピンオフのこれも読んで物語が完成する

電子書籍版を購入。
文庫版かなとおもったのですが、発行年月日と表紙の文字の配置でこちらと判断して、記載します。
表題作の「獣の隠り」、研究者の甲斐と高位種(ニュータイプ)の朋の話の「獣の伽人」、表題作の2年後の月貴と睦月を描いたSS「獣の魔法」、その少し後の月貴と睦月を描いたSS「獣のおとぎ話」が収録されていました。
あとがき、挿絵なしです。
収録のラインナップ的には、文庫版と同じだと思われます。

「神」評価です。
皆さんとの評価の違いはSSの分かもしれません。
最後の二つのSSがなければ評価は低かったと思います。
これらがあって、ようやくラブの部分が満たされます。

『獣の妻乞い』のスピンオフ。
『獣の妻乞い』に収録されているSSの「いつか来る約束の日」が途中で含まれます。
つまり、表題作の途中のあるシーンを切り取ったのが上記のSSです。
なので、このSSを先に読まなくても全くOK!
※『獣の妻乞い』も読まなくても大丈夫ですが、読んでからの方が世界観はわかりやすいかもしれません。

『獣の妻乞い』と同時に購入。
せつなさで言えば、『獣の妻乞い』より、こちらの方が上かな。
『獣の妻乞い』のメインカップルが好きで、睦月のツンツン具合も、月貴の世渡り上手なキャラも苦手で、こちらのカップルには正直萌えませんでした。
購入したし、ついでに読むか……ってのりで読みはじめたのですが………
いやいや、なかなかいいじゃないですか!!

月貴と睦月。
『獣の妻乞い』での印象と全然違います。
特に睦月は、別人物。
あのツンツンでやさぐれている子が、こちらでは健気で一途な可愛い子。
『獣の妻乞い』での睦月は、尚季目線なので印象の違いがあるのでしょうね。

『獣の妻乞い』では触れられなかった研究者の葛藤や、猟獣の過酷な環境、そして彼らの人間に対する感情や自分達の境遇に対する戸惑いがこれでもかってくらいに描かれています。
読むのが辛いほどに。
それだけに最後のSSで、救いがあって良かった!と心から思えました。
『獣の妻乞い』だけで終わらせないで、こちらも読んでほしい。
両方読んでようやく、物語が完成するのだと思います。

2

ァオオーーーーン! 遠吠えも切なく

「獣の妻乞い」のスピンオフ、脇役だった(&SS)月貴と睦月のお話。

もう一話、睦月と同期の新種の猟獣と猟獣施設の研究員の話も入っている。
どちらも猟獣の研究施設が主な舞台となっており、
前作ではあまり触れられなかった、猟獣の育つ過程や飼育施設内の様子が詳しく描写される。

身体が小さく、施設内の過酷な競争に勝ち残れないと思われていた睦月。
そんな彼が生き残って現場に出るまでになった原動力は、ただ月貴の近くにいたいという
一途な想いだった。

施設内にいた頃から、月貴と睦月は性的な関係があったが、
狼の番の結びつきの強さ危惧する組織によって、肛門性交は固く禁じられているので
(って、挿れさえしなければ結びつきは生まれないのか~?と疑問ありw)
一線を越えて本当に交尾することができない。

現場に出られるようになった睦月と相棒になっても、外で頻繁に人間の女と関係を持つ月貴。
そのアリバイ工作を引き受けける睦月。
嫉妬に心を引き裂かれながらも耐える睦月も、そうせずにはいられない月貴の想いも切ない。

そして月貴より一日でも長く生きて、彼を殺してやりたいと願う睦月のけなげさ。
しかし彼の願いも虚しく、何者かによってばらまかれたウイルスによって
人型に戻ることが難しくなった睦月は廃棄寸前に追い込まれる。
月貴が睦月を救出し逃亡、やっと本当の番になることができるのだが…

後半は、新型の猟獣・朋と、朋を生みだした研究者・甲斐が主人公。
ウイルスがばらまかれた後の日々が描かれる。
旧型の猟獣よりも変身が容易で、身体能力に優れ、殺人に対する良心の呵責を持たない朋。
好きにはなれないキャラであったが、むしろこういう方が狼らしいと思う。

読みながら結構不思議だったのは、良心というものの描かれ方。
人間であれば自ずと備わる良心と、狼としての本能がせめぎ合うように書かれているが
いや、こんな妙な育てられ方したら、オール人間だって良心に問題が起きるでしょうに(苦笑)。

それはともかく、朋の「睦月を人間に戻すって傲慢。彼らは獣同志でも幸せ」
という台詞は含蓄がある。
あとがき後のSSは、多少蛇足の感があるその睦月達の話。


ところで。
狼ちゃんとはいえ、そしてお相手も人間で言えばせいぜいティーンエイジャーとはいえ
最初の方の睦月は、どう考えてもロリでしょう?
私は基本ロリはNGなんですが、これは切なさ健気さが立って嫌悪感がなかったなぁ。
獣ちゃんだと思うせいかしら~w?
森の中の湖のほとり、まだ幼かった狼姿の睦月と人の姿の月貴の扉絵が、とても美しい。

7

人狼同士の切ない物語

読み終えてから結構日にちが経ってしまったのですが、何とか思い出しながらレビューします。

「獣の月隠り」…前作「獣の妻乞い」にも登場していた月貴と睦月の物語です。前作ほど大号泣することはなかったのですが、精神的にきついのは本作でしたね。
同じ施設で育った仲間同士で戦わされ弱い者は廃棄処分。日に何度も注射を打たれ、激痛を伴う人体実験の被験体にされる子供たち。最初の数ページでゾッとしましたよ。
そんな過酷な生活の中で、月貴の存在を唯一の生きる希望とする睦月。睦月の健気な姿に何度も涙が出そうになりました。

そして更に辛いことに、人狼同士では性交することが禁じられています。その為、月貴はアルファになっても睦月とすることが出来ないのです。
愛し合っているのに性交することが出来ず、なおかつ女の元へ出かける月貴を見送る事しか出来ない睦月。その時の睦月の心情がまた切なくて!胸が締め付けられます。
ただ、辛いシーンばかりじゃありません。月貴が睦月を溺愛してるのは一目瞭然ですからね。
本編では先の見えないラストになっていますが、これはこれでハッピーエンド。でも本当のラストは「獣の伽人」の後の「獣の魔法」へ繋がります。

「獣の伽人」…まず、このお話が好きな方には申し訳ないのですが、実は私はこの話はあまり好きではありません。どうしても研究員の甲斐が好きになれませんでした。
この男は自分の兄を正当化し尊敬しているようですが、兄もこの人体実験を行っていたんですよね。堕ちた人狼に噛み殺された?自業自得ではないかと思ってしまいました。

甲斐には朋を大事に想う心もあり、人狼全てを憎む与野とは違う事も分かっています。それでも、月貴と睦月の話を読んだ後だと、どうしてもこの研究員である甲斐が許せないのです。
それでもラストの部分では、少しだけ好きになれたかもしれないです。朋とのやり取りが良かった。「傲慢」という言葉は大分効いたんじゃないかな。

「獣の魔法」…月貴と睦月を幸せにしてくれた沙野さんに感謝の気持ちでいっぱいです。この数ページで気持ちが救われました。

そして今回も素敵なイラストに悶えました。中でもやはり口絵は最高。というか本編のこのシーンが大好きなんです。睦月の愛らしさに萌えまくりでした。

前作より評価は下がっていますが、それでもかなりイチ押しの作品です。動物ものが好きな方はハマること間違いなし!

3

獣の妻乞いのスピンアウト

前作が大好きだったのでうきうきしながら手に取ったスピンアウト。
月貴×睦月編と朋×甲斐編。

月貴編。
王子様×ツン少年だと思っていた彼らにこんな辛い過去があったとは。
重い運命の中での純愛が本当に切ない。
前半の月貴の色気が半端なくて、そりゃ睦月もメロメロになるわと思っていたらあの後半。
余裕がなくなっていく月貴にはやられました。
扉絵のシーンのちっちゃい睦月(オオカミ姿)から月貴(人間)にお魚を捕って求愛するっていうエピソードが大好きです。

中盤以降に出てくる飛月カップルがややバカップル状態ですが、二人が幸せそうなのでまあいっか。前回とのギャップにはびっくりですが。

朋編――高位種猟獣の朋×研究員の甲斐。ある意味で子×父。相変わらず朋は無茶苦茶ですが、その感情のほとんどが甲斐に向けられているのを見ると、他の話であれだけ憎まれ役の朋が意外とかわいく見えてきてびっくりした。
ちょっと壊れ系お子様、か?甲斐は苦労しそうですが、責任取って面倒をみてください。

あとがき後の書き下ろし(後日談)はうれしいけれど、物語的にはやっぱりなくてもいいのかなという気はします。


2

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