ボタンを押すと即立ち読みできます!
遙々アルク改め、ARUKUが贈る純潔と官能が交差する短編集。
6年ぐらい前に読破。以下7つの物語が収録されている短編集です。
果てしなく長い顔の絵柄が苦手だったのと、④⑤が理由でこの評価としました。
再読してみると 評価自体は変わらないものの、当時はそこまで印象に残らなかった⑦の部分が今すっごいハマったりと 新しい発見がありますね。
①表題作:
もともと読み進める気はなかったんですが、レビュワーさんが絡み絵が浮世絵っぽいみたいなことを書かれていて「ほんまや…」となり、本作を全部読むことができました。
(レビュワーさんに感謝)
今思えばホオズキのシーン怖い!でもARUKUさんだからスッと読めてしまう不思議さがありますw
②「台風13号」シリーズ:
特に観測日記がサイコーだった!痛快!しかも田村を舎弟にしとるしw 強くなってて嬉しいw
本短編集に台風や大雪にまつわる話が多いのも面白いですね。
③「昨日の今日で」:
無精ひげはそこまで好みじゃないんですが、ARUKUさん著作だと許せてしまう不思議w
④「琥珀の月」シリーズ:
ストーカーが完全に犯罪行為いろいろで無理すぎました…
⑤「SNOW BLIND」:
刺すの意味わからんかったとです…てかそのナイフはどっから出てきた…?
悲恋?というか不明エンドなのもモヤる。
でもこの後 実は助かってて、ちゃんと付き合ってたりする未来がありそう。
⑥「凍える海の底にあるもの」:
これはなかなか良い!
短編集全体的に男らしい受けが多めなのも嬉しい!
⑦「僕はあなたの夜になりたい」:
作中小説「スターマン」がすごい!
まさに「昨日、君が死んだ。」などのARUKUさんファンタジー道に通ずるものがありますね。
よくこんな話思いつくなぁ…ホントすごすぎます。
結論:①の黒猫が可愛い
<注意点>
①攻めはバツイチです
【もくじ】
黒猫亭雑記帳
台風13号
土屋観測日記
昨日の今日で
琥珀の月
SNOW BLIND
ストーカーをストーキング
ウェザー・ニュース
凍える海の底にあるもの
僕はあなたの夜になりたい
黒猫の言い分
《続き物》
1. 黒猫亭雑記帳 → 黒猫の言い分
2. 台風13号 → 土屋観測日記 → ウェザー・ニュース
3. 琥珀の月 → ストーカーをストーキング
《読み切り》
4. 昨日の今日で
5. SNOW BLIND
6. 凍える海の底にあるもの
7. 僕はあなたの夜になりたい
とっても短い短編集です。でもそれぞれのお話がとても印象的で不思議な後味が残る濃いというか刺さる一冊です。
表題作はこれはBLになるのかな?と思っていたらなんと!という展開で。
孤独な受けが攻めの猫になりたいというのも叶うといいのにと思っていたら、ネコになりました。
受けの育ちや境遇、職場での扱いなど辛いのに明るく真っ直ぐ生きて、でも自分を恥じて、でもそういう言い方をするなと言ってくれて。
居場所ができて良かったです。
台風のお話も意外な展開で。井戸に落ちたらお前が体験もないまま死ぬのは可哀想だとエッチされそうになり。でもこの件のおかげで変われましたね。
他のお話で再会したのですがどうなるのでしょうか。
ストーカーのお話も意外な展開でした。
ストーカーが強すぎる!怯えきった受け。どうなるの?と思ったらなんだか可愛いカップルになっちゃって。
どのお話も意外な展開で、胸にぐっとくる印象的なお話でした。目次を見たときはみんな短すぎ!と思ったのにのめり込みました。
久々にARUKUさんの作品を読みました。
改名されてからの作品を読むのはこの作品が初となりました。
独特の絵柄は以前から変わらず。この作家さんを初めて読んだ時にはこの絵柄が苦手だったのですが、今ではARUKUさんはこの絵柄でないとちょっと物足りない気さえします(笑)。
とても短い作品も収録されている本作ですが、ARUKUさんが描かれるちょっと不幸な境遇で控えめな受け様とか、目に見えてそうは感じさせないのですが受け様に結構執着している攻め様が好きだな~と改めて思った作品集でした。
画面には描かれていない背景とか、物語の後や間の2人をとっても妄想してしまうストーリーの作りも秀逸です。
表題作も好きでしたが、一番妄想を掻き立てられたのは、雑誌掲載作と描き下ろしが収録されている『台風13号』のシリーズ。
主人公達が高校生、そして社会人になってからのエピソードが描かれているのですが、各お話の間にどんなことが起こったんだろう?と色々想像してしまいました。
切ない雰囲気も漂っているのに、コミカルな所もあるのも好き。
ああ~、この後の2人がとっても気になります!(笑)
『猿喰山疑獄事件』についてはおよそレビューともいえない、ただの「作家さんLOVE!」的なものを投稿し、激しく後悔しています。新作『恋に落ちる花』を読む前に押さえておきたくて、読みました。また、新作も読みました。その上で思ったことを。
表題作を読んでいて「…うちの母は瞽女だったんですよ」っていつの時代だよ!と思わずツッコミを入れてしまったのですが、例え現代の日本が舞台であってもなんとなくノスタルジアを感じさせる、時代不詳の色が出ています。SFファンタジーや昏睡している男の夢の中など、設定舞台もリアルと距離をとっている感じがフィクション好きとしては思いっきり楽しめる要素の一つです。
『ビター・スイート』などで笑いの要素は感じていましたが、『ハスネサイコロジー』以降の作品から軽妙さが明らかに増えている点を比べると、『黒猫亭雑記帳』は圧倒的に暗い作品が多い。「台風13号」の、危機的状況に陥った時に突然発情する、若い男の性欲が怖い。「琥珀の月」も「SNOW BLIND」も人物の極端さが怖い。『猿喰山』のエンディングを彷彿とさせる「僕はあなたの夜になりたい」も、主人公の若さゆえの純粋さが怖すぎる。何が一番怖いって、この笑いと恐怖の境界線を一つの作品の中で自由に行き来している作家さんの技量でしょうか。
もし今よりもっと人生経験に乏しくて、視野が狭くて、独りよがりだった頃にこの作品集を読んでいたら、これこそ唯一自分をわかってくれる人が描く世界観に違いない、と厨二病を発動して熱狂的に心酔していたかもしれない。それくらい心を鷲掴みにし、読了後に脱魂状態に陥れる魔力みたいなものが、この方の描く作品には潜んでいると思います。
『ほんとは好きだ』みたいなキュン系とは遥か遠ーくかけ離れていますので、ちょっとゾッとするようなお話、ビザールなお話が好きな方向きかと思います。