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ドラマCDを聴いて原作に興味を持って探したら、小説は未読でしたが、漫画は持っていました。
年齢のせいか読んだ記憶がなく、ドラマCDを新鮮な気持ちで聴けて、漫画を読むことができました。
個人的なことをずらずら列挙した理由は、ドラマCDと、漫画と、同じ物語であり、同じように深みがあるお話でありながら、雰囲気が違う演出がされていたことに気づき、どちらもいいと感じたからです。
3冊で1つの物語となっている作品の1冊目が今作。
事故で記憶をなくした男、高久透を、バイト先の友達だったという年上の男、藤島が引き取り、生活の面倒を見て、一緒に暮らしだします。
記憶喪失で過去がない高久透、過去を含め自分のことをほぼ一切、見せない藤島。
傍から見れば、友情以上の深い情によるつながりを持つ2人なのに、ぎくしゃくぎくしゃくする2人の生活がとても不思議です。
息苦しい日々から脱するために自分の過去を探しつつ、今の生活も前身しようと努力する高久透の様子、必死さが切ないです。
高久透のことをすごく大事にしているのがわかるのに、三歩も四歩も下がっているような距離感を持ち続けつつ、時には異常な踏み込み方をする藤島の不器用な言動も切ないです。
記憶喪失のままだし、将来のことも決め切らないまま、でも、それなりにうまく生き始めた2人の前に、突如、現れ、高久透を殺そうとした謎の女。
高久透をかばって一時は死んでしまう可能性もあるほどの大けがを負う藤島。
過去がない高久透と過去にとらわれた藤島が、お互いに向ける愛を確認しあうとことで今作は終わります。
多くの謎は明かされないまま、両想いはわかっても、重く苦しい雰囲気のままの終わりでした。
ほの暗い、重さのある物語が、麻生ミツ晃先生の絵柄、作風によく似合っていました。
麻生ミツ晃先生の作品が好きで色々探していたところ、こちらの作品に辿り着きました。
…読み終わって、これはぜひ続刊&原作も読まなければ…!と燃えています。
記憶を失った状態で病室で目覚めた透。親族や友人などは誰も訪ねて来ず、唯一来てくれたのはバイト先の友人だったという藤島。藤島の好意で家に居候することになっり、必要なものはなんでも与えてくれる藤島だったけれど、透が自分の過去を探ろうとすることは嫌がりー
という内容で、透と藤島は本当に「友達」だったのか?
なぜ、藤島はただの「友達」であるはずの透に住まいを与え、お金も与え、尽くしてくれるのか?
なぜ、透の過去については嘘をつく&何も教えてくれないのか?
と、主人公の透と一緒に読者も疑問の渦に投げ込まれ、物語に惹き込まれていきます。
この巻で一応の顛末は明かされるのですが、二人の新しい関係は始まったばかり…
ということで、早速続刊を読んでこようと思います。
透が買ってきたケーキを美味しそうに頬張る藤島。口の端についたケーキをとろうと手を伸ばした透に、ビクッと反応する藤島のシーンが映画のコマのように繊細で美しくて、うっとりしました。
おもしろかったです。
ミステリー仕立てで、高久の過去が徐々に明らかになっていくにつれ、2人の心情の揺れが描かれていて、その流れがよかったです。
さすが元は小説なだけあって、プロットが緻密ですね。
それに相まって麻生先生の描写がいい。
藤島が何も言わないけど、高久のことを大事に思っていることがわかってくるし。
高久も混乱しながらも、藤島の気持ちがわかってきたり、藤島への思いが高まってくるところがドキドキしました。
特に、高久が藤島に好きだと言いたい、触りたいと思う場面は最高潮でしたが、同時に、あ、これはうまくいかんやつや、とわかってしまいましたw
ま、ドラマチックではありますよね。
細かいところで
藤島「すみません」
高久「すいません」
のキャラに合った言葉の使い分けもさすがですし、こういうところ好きです。
まだ明らかにされていない過去については続編で描かれるのでしょうか。
すぐに続編読みます。楽しみです。
あと、これは完全に余談ですが、シリアスな場面なのに
「私の弟を殺したのよ」の後の、高久が絵に描いたような(絵なんだけど)ガビーン顔で、暗闇で懐中電灯を下から灯らせた時のようでちょっと笑ってしまいましたw
追記
本作を読んだ段階では萌2でしたが、続編を読みシリーズ作品として神評価にさせて頂きました。
記憶喪失の青年×サラリーマン。
記憶喪失ものなのであんまり内容に触れるとネタバレになってしまうのがもどかしいです。暗い話、切ない話がどうしても駄目な人以外は全員読んでほしい作品です。
木原音瀬先生の原作の小説を読んで感動したので、コミカライズ版も買いました。世界観のイメージを壊さず漫画で再現されてて素晴らしいです。ただ小説で読むのが辛かった暴力シーンは、絵で見るのはさらに辛すぎました。内容を知ってたのにショックで一旦ページを閉じてしまいました。
続編のCOLD HEARTも大好きなのですが、さらに辛い話なのでコミカライズは難しそう。
