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◆蝶尾(表題作)
短かったですが、一番印象に残った作品でした。日本の夏が好きなので、夏の風情が至る所で感じられたのも良かったです。金魚に詳しくないので蝶尾という種類がいるのは初めて知りましたが、確かに上から見た時の形がとても美しいですね。蝶尾と呼ばれる彼がファンタジーなキャラクターなのか、実在するキャラクターなのか、これは読者が好きなように受け取れば良いと思います。幻想的で儚い物語でした。
◆ロザリオス
ロザリオで繋がる2人の男の子の関係性が、成長と共に少しずつ変化していく切なさが、短編でありながら綺麗にまとまっていました。片方が学校から遠ざかってしまっても、ヤクザとの繋がりができてしまっても、教会はそんな彼でも受け入れてくれる。お互いの気持ちもなんとなく察していながら、別々の道を進む2人に大人になることの残酷さを感じました。
レビュータイトルは収録作のエジソンの言葉w
蝶尾
和装はあまりお上手ではなさそう。
ですが、金魚鉢の作画が良いです。
初めは水が描かれていたのにお話が終わる頃には水面が消えている。
ただの省略だろうけど、金魚鉢の中と外が反転しているような感覚に。
ストーリーも相まって好きな人は好きだろうな。
ロザリオス
扉絵が先生らしい。
ちょいダサのCDのジャケみたいなw
雷ちゃんのビジュアルの変遷が語ってくれてます。
アトリエ
筆を折った画家と本物の若い才能。
絵のモデルに興味を持つって意外とあると思います。
好きなページは「爆音で...」のページ。
地味な絵だけど、セリフがよくてアトリエの匂いまで伝わります。
The day was not fine
クレイジーセクシーに一目惚れ。
冒頭のラップ?は元ネタがあるのかしら?
ストーリーは恋の相対性理論w
大質量の太陽みたいな獅子倉の引力に捕まったトエ。恋は落ちるものって言葉を思い出しますw
ウサマン
ペットエッセイ
ひたすら可愛いw
バリエーションに富んだ1冊でかなり好き。
トジツキ先生の作品によくあるあの世の誰かとか、説明されないオカルトは出てこないのでトジツキ先生初めの1冊としても読みやすいと思います。
◾️蝶尾
オカルトとも違う不思議な雰囲気で好み。それぞれの職業がまたいい。作家の社会との接点て少なくしようと思えば極端に少なくすることも可能ですから。造園屋のセリフもビジュアル共々いい味を出している。
◾️ロザリオス
◾️笹野雷火 秋津大貴(ひろき)
二人の姿勢の違い、雷火が猫背で下から伺うように大貴の顔を覗くのが印象的
◾️アトリエ
◾️征矢青吾 駒澤
おっさんて若い子を見出したがってるところあるよな。見出した人になりたいというか。
◾️ The day was not fine
誰も捕まえたことのない美坊主にエロスを感じられるとは、有望な若者だ
◾️ウサマン
非BLエッセイ。ただただ飼いうさぎ自慢。鳥にストーキングされる話など御人柄が伺えて面白い。スマホで見るにはやや厳しい細かさ。
短編集。
「蝶尾」
表題作はBボーイズ好きのトジツキ先生にしては珍しい感じの和の趣き。
そして、非常に幻想的な作品です。
主人公は、中年の作家。
一緒に住んでいるのは、「蝶尾」という品種の金魚の…化身?
作家の幻影ではなく(なぜなら第三者にも見えている!)、逆に蝶尾が作家を閉じ込めているかのよう。
「ロザリオス」
お互い教会に通っていた幼馴染。1人は信心を続けて、1人は…
もはや交わらない道なのか。お互いのロザリオを交換して、愛の言葉は言わせない。
でも訣別の寂しさは感じないんだな。幼い日、一緒に洗礼を受けた事実は多分死の日まで2人を結んでいる。
「アトリエ」
自身は描かなくなって今は美術講師をしている画家の征矢と才能ある生徒の駒澤。
2人には、征矢の師の左橋遠二にまつわる縁があった…
めぐる年月と芸術。美は普遍?見る側の変化は芸術をどう読み解く?
関係ないかもしれないけど…
この2人、『物語は死で終わらない』に収録の「サイエンス オブ ゴーストのロマン」の「教授と幽霊」にそっくりで。意図的⁇
サイエンス〜の時間/空間論とこの「アトリエ」も同じ事を語っているようにも思える。
「The day was not fine」
Bボーイ登場。
ルックスはスケボー片手のボーズ、頭脳は天才的な理系大学生の獅子倉。学内の超有名人。
また、獅子倉は学内で自分のノートを賭けてかくれんぼゲームをしていて、鉄壁の無敗を誇っている。
そんな獅子倉と偶然同じゼミに入った戸枝。獅子倉にトキメき、告白のために「クラブKRB(かくれんぼ)」に参加を決める!
…というトジツキ先生の発想が面白いよね。言葉の使い方も色々と面白い作品。
「ウサマン」
トジツキ先生の飼いウサギちゃんの日常エッセイ。12話+スペシャル。
ウサ飼いの方にはあるあるなのかな?
冒頭の「蝶尾」はしっとり。
しかし、1冊としてはテイストはバラバラな気もするが「蝶尾」みたいなのもB系も観念的な作品も、どれも興味深く面白い。
タイトルと表紙に惹かれて購入したんですが…もう、ますますBLにハマってしまいそうな1冊。
タイトルの「蝶尾(ちょうび)」とは、文字通りアゲハ蝶のような形の尾びれを持つ金魚。語感が魅力的です。
表紙絵の雰囲気も、とてもいいですね。
縁側のすだれの向こうから射し込む夏の陽射し。涼しげな金魚鉢の中を、蝶のような優美な尾をたなびかせて泳ぐ蝶尾と、まるで金魚鉢の中に佇んでいるかのように、蝶尾に重ね合わせて描かれた和服姿の男。
表題作は、小説家の平瀬(表紙左)と、美青年に化身した金魚=蝶尾の、幻想的な恋の物語です。
この1冊に4作の短編+「ウサマン」(日常エッセイ漫画?)が収録されているのですが、短編ながら表題作に大ハマり。こういうの好きだぁ(*´д`)ハアハァ
(「ロザリオス」「アトリエ」も個人的に高評価♪)
蝶尾が化身した青年は、平瀬がひそかに想いを寄せる若い編集者と同じ顔。
そもそも蝶尾は、平瀬の中の幻想なのか? それとも、平瀬を想う蝶尾が、平瀬の求める姿になって現れたのか?
もしも前者であれば、平瀬の白昼夢の物語。後者であれば、ちょっと背筋がひんやりする怪奇もの風。夏向きの作品ですね。
「夏の花は虫が来るから嫌だ」
平瀬はそう言い、庭には夏の花を植えさせないのですが、夏の花に誘われて来る虫と言うと、蝶もその数に入るでしょうか。
なんだか、平瀬を独り占めしたい蝶尾に、心を支配されているような言葉…
ひょっとして、編集者の吉家を結婚させて平瀬から遠ざけたのも、蝶尾だったりして。
平瀬本人の目線でだけ語られているのであれば、蝶尾との情事は白昼夢にも思えるのですが、作品には第三者=庭師が登場するんですよね。
この庭師が、平瀬の家に向かう坂を上りながら「水の中を降りてゆくように錯覚する時がある」と話す場面があって…ここは気になります。
もしや、平瀬の家そのものが、蝶尾の棲む水底の世界に取り込まれているのかも…
ただ、この庭師との会話自体も、平瀬の白昼夢なのかもしれない。
何が真相なのかは、やはり謎のままです。
確かなことは、平瀬が日増しに蝶尾に溺れていくということ…
蝶尾に溺れていく平瀬の姿、エロいですねえ。
濡れ場自体は少ないんですが、笑ってじゃれ合ううちどんどん余裕を失くしていく二人の表情や息遣い、蝶尾を「あの子」と呼び「可愛くて可愛くて堪らない」と庭師に語る平瀬の愛し気な口調やなんかに、ものっそいエロスを感じます。
作品全体に漂う、水底のような静寂感も、エロ気味悪いというのか…
正面切った怪奇ものではないですが、人ならぬものが人を虜にしていく怖さ、エロスととても相性がいいんですね。
自分の新たなエロつぼを発見した気がします。
ただ問題は、この作品、32ページしかないこと。ほんと残念です。無念です。
しかも、1冊まるごとこのテイストの幻想作品であってほしかったのですが、後ろへいくほど雰囲気がガラリと違う作品になっていくという…ゆっくりと余韻に浸っていられない構成が辛い。
「いろんな味が入って650円也!」って、コスパで測ると最強なんですが。
そんなわけで、神と迷いましたが、萌×2で。でも、表題作は本当に魅力ある作品だと思います。
何度でも読み返してしまいそう。