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……伊瀬君、今日は優しいね……
おじさま受けはそんなに好きじゃない読者です。
こちら、タイトルと草間先生に惹かれて購入したのですが、
な!な!めちゃくちゃいいお話じゃないですか~~!!
これは、ジャンルを超えて小説好きに推したい逸品でした。
秀才(理系)×秀才(理系)のとことん感情を落とし込んで言語化するコミュニケーションが面白かったです。”恋”という抽象的な感情が、彼らにかかるとこんなにも曖昧さのないw具体的なイメージになるのか~と感心しまくり。文系の私にとって理系への憧れもあるんですけど、うらやましい理路整然…。さらに、理系の研究室で恋文の添削っていう設定がいいっ!!お手紙ってやっぱりいいですね。三段論法と対偶を駆使したラブレター…理系ふたりが”恋”について数学的に論じているエモさがたまりませんでした。印象的だった、”やらせてください”論議。”ふれる”と”さわる”…確かに、”さわる”のほうがいやらしい…!ただ、そんなこと考えたことなかったw 恋を知らない48歳が恋文を添削するっていうなんとも面白くて切ないシチュにほのぼのしちゃいました。
おじさんの一人称小説なのです。これがちょっと古風な情緒を醸し出していて、とてもよいです。エンタメっていうより文芸味が強い印象でした。相手の才能や研究へのリスペクトが思慕へと変わり…、純愛でしたね~。もう、プラトニックでも全然いいんだけど~ってうっかり思ってしまったくらい…後半がなかったら完全に師弟愛の文芸では!?って思いました。(先生、無自覚に伊瀬君頼りすぎで可愛い…”伊瀬君”言い過ぎw)
アラフィフはいろんな意味で厳しいかも…とか腐った脳みそが考えてしまったのですが、30や40のおじさんでなくて、むしろ50近いおじさまが主人公っていうのが、この設定に深みというか説得力をもたせている気がしました。海野先生、お見事です。
受けの40代という設定と攻めとの年齢差に興味を持ち読んだ一冊。
語りは受けの一人称で、ほぼオッサン感はなく、文章だけなら箱入り無垢な清楚系少女のようだった。挿絵のおかげでどうにか“枯れ”に変換できるレベルの乙女思考。なんかずっと「伊勢君伊勢君」言ってたような……。言葉が上手くなくコミュ障気味で、いい年をして要領の悪すぎる生き方をしている。
対する攻めは全然デレないツン9割くらいの才能あふれる大学生。人の感情の機微に疎いのが欠点らしい。
とあるきっかけから伊勢の恋文を添削することになる春井。この序盤で繰り広げられる二人の会話がすごく好きだった。専門分野を理解した人同士だと当たり前のように通じる比喩や専門用語を交えた冗談を言い合うシーンにすごく萌えるので。後半は全然そうした会話がなくなってしまって残念だった。もっとたくさん聞きたかったな。
恋愛部分は特に伊勢が口説いたり何かをすることもなく、春井が一人でぐるぐるしていたように思う。ただ、春井が自覚していなくても少しずつ伊勢の魅力が伝わってくるし、執着攻めの片鱗を見せてくれたりして十分萌えられた。
特に良かったのが、研究内容と絡めて伊勢の段階的な変化を見せてくれたところ。春井視点では分からない春井が与えた伊勢への影響を、こうした形で見せてくるところに小説としての巧さを感じた。
ラストの恋文はベタだがやっぱり涙を誘う、良かった。
春井は最初は50近いならもっとしっかりしてくれと思っていたが、5年前の出来事を綺麗さっぱり忘れているキャラクターでなければならないということで、この年・このキャラ設定になったのかな?と勝手に思った。……違うかな。
BL的な萌えより、人を描き出すエピソードの組み立ての巧さに感心させられた印象が強い。他と比べると詰めの甘い恋文エピソードは最後に力技で締めて隙が無い。
文章も読みやすかったし、海野作品を追ってみたくなった。
あらすじは皆さん、書いて下さっているので省略。
オジサン受けどうかな~とずっと迷っていました。
表紙の絵も容赦のないオジサンで(ごめんなさい。。。)
ずっと避けていましたが、試しに読んでみました。
恋愛が進むのが遅いのでじれじれしていますが、どちらのキャラも魅力的で最後までサクッと読めました。
ある意味、予定調和、驚きも何もない展開ですが、それがまたよかったり。
オジサンはちゃんとオジサンで(笑)でも、可愛らしいところのある素敵な男性でした。
内面からにじみ出る可愛さっていいですよね。
オジサン受け、苦手な方にもお勧めします。
海野幸さんの作品は初読みです。BLニュース記事の紹介や粗筋を知り、「オヤジ受け」であることははっきり判っていて読み始めました。
ですから、冒頭、気弱でくたびれている春井先生と長身で綺麗で頭脳明晰優秀な伊瀬君が登場しただけで「キタキタ〜!」
そして伊瀬君がパソコンで書いているラブレター!
まあ……なんというか、単に「理系男子」の情緒のなさ、なんていうものでは括れないくらいどうしょもない文章なわけです。
そしてその文に驚いた春井に『どう書けばいいのか教えてください』。
そうか、そういう馴れ初めね!と思いながら読むわけですが、伊瀬君はあまりに優秀で、不器用で気弱な春井先生を見下しているような、哀れんでいるような。そしてそれを肌で感じている春井の方も伊瀬君に対してとても萎縮している。要するに全く恋愛的要素が入ってこない。
春井先生のモダモダした、気の弱い、頭のなかだけのグルグルがなんともまどろっこしい。
一方伊瀬君。こちらも何というか…。春井先生の、無機的なプログラムというものに対してヒトの心理を加味していくような人間性、とでも言うのかな、理系人間の中で一種異質とでも言うべき個性に惹かれているのであろうというのは何となくわかります。でも彼の表現もわかりづらい…。
ずれてずれまくる2人の姿に、これどうなんの?と不安を抱く頃、ようやく、ようやく!
伊瀬君の書いた手紙、凄く良かった…こんな手紙書けるじゃないの!やっぱり恋、なんですねー。
ただ!
ただ。Hシーン……………なくてもよかった…かも…禁句、でしょうか、ね。
オヤジのHだからイヤなんじゃないです。なんかこの2人の物語の新たな始まりは、あの手紙でよかったんじゃ…という気がしてならない。
前半、神寄りの「萌x2」でしたが、Hシーンはぼやかしても良かったような気がしますので「萌」にします。
草間さかえさんの描く春井先生は、これ以上ないくらいイメージぴったりです。
大学の研究室、年齢差、恋文、美しく頭脳明晰な学生、薔薇の花
これだけの素材が集まっているから、読む前は純文学的なやつを想像していましたww
冴えないおっさんが受なのは知っていましたが、思わず何度もツッコミを入れちまいましたよ。ストーリーに対してではなく春井にね。
「おっさん、とりあえず落ち着け」とか
「おっさん、失恋で泣き崩れるって・・・乙女か!」とか
「おっさん、急に走ったら心臓止まるで!」とか。
でも、そんな春井が可愛らしく思えてしまうんですよ。
対する伊瀬は、容姿端麗で冷静沈着、おまけにさりげない優しさをみせるイケメンっぷり。ただ、やっぱりちょっとズレてる。冴えないおっさんに憧れるまではともかく、ガッツリ欲情するとは…。
両親や周りへのカミングアウト、相手がそう遠くない未来に先に老いてしまうということ、同性だから子供も作れず自分が介護するしかないということ、同じお墓に入れるかどうかもわからないこと。
頭の良い伊瀬が、これから先のことを考えられないわけじゃなかっただろうに、それでも春井じゃなきゃだめだったんだろうなぁ。一途ですね〜。
伊瀬が書き上げた恋文に泣いてしまいました。
1日でも長く彼らの幸せが続くよう願ってやみません。