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ただひたすら日高さんの醸し出す色っぽさは凄いなと感心するのみでした。
この作品では美山と仁科、過去からずっと続く二人の感情の齟齬や葛藤、そしてやっと気持ちの通い合うまでがとても丁寧に描かれているので、洋服を着ているシーンの方が圧倒的に多いのですが、何と言うかそれでさえ彼らのストイックな色香が滲み出してきて画面を満たすんですよね。
洋服を着ていてそれなものですから、表題作ラストの方と巻末の後日談(『good morning』)での数ページながら愛あるシーンの描写なんかはまさに「愛ある!」といった感じで、ページ数自体は全然多くないのに画面から放たれるエロスがハンパなかったです。
『憂鬱な朝』や『花は咲くか』でもそう思いましたが、あれらの作品も絡みシーンが決して多くはない気がするのに、視線、唇、手指の表現、衣服の描写等々、その時の一コマひとこまから発せられる熱がタダごとじゃないなといつも感心させられてしまって。数十倍に希釈して使う何かの原液のように、少ないページ数の中に人物達の想いがぎゅっと詰まっている感じです。(ヘンな比喩でスミマセン。)
どうもうまく説明できないのですが、ストーリーをしっかり構築出来るという大前提のもと、一見あっさり風ながら、ここぞという時、深いエロスをも醸し出せる日高さんの稀有な魅力を再認識させられた作品でした。
「嵐のあと」は、日高作品の中では、私的に1番印象が薄い作品なんですが、その中ではセフレの美山君のキャラが1番印象深かった私。
あのクールさ・・というか1本筋の通った卑屈さ(笑)は、なかなか良かった。
その美山君のお話。
初めて、発売前に予約までして購入したコミックです。
期待が大きかったせいか、初読みでは、なんとなく消化不良気味。
でも、なんとなく後を引きずって、再読するたびに印象が変化していきました。
読むたびに切なさが増して、美山が愛おしくなって・・・。
これ、高校時代のエピソードを分割して、現在に割り込ませているから、余計に2人の感情の揺れがダイレクトに響いてくる感じ。
やっぱり日高さんは、ストーリー展開が半端なくうまい作家さんだと思います。
補足ですが、美山君の高校時代がめちゃ可愛い。
裏表紙の2人なんてもう・・・。
そして、描き下ろしの「good morning」が最高なんですけど・・・。
最後のページ・・・仁科君に「今夜も泊まるから」と言われ、「うん」と俯くその姿と、その後の「んじゃ、行ってくるね」の「ね」に射抜かれました。
何度読んでも胸がキュウッと締めつけられる。切なくて痛くて、それでいて可愛らしい作品。
「嵐のあと」のスピンオフで、美山と高校時代の同級生である仁科の再会してからの物語。嵐のあとの2年後ということもあって、若干美山が大人っぽくなってるかな?あ、髪型だけか?個人的には嵐のあとの美山のが好きですね。可愛くって。
再会してからの物語の合間に高校時代のエピソードがちょこっとずつ描かれてるんだけど、もう2人とも可愛くってさ。キュンキュンしますよ。
でも、可愛ければ可愛いほど、あんなに素直だった美山が歪んでしまうほど傷ついてしまったんだと思うと苦しくて。
でも仁科は、今の美山を好きだと言い受け止めようとするんですね。すぐには信じられないけれど、お互い一歩踏み出したところで終わるんです。笑顔の2人を見て、幸せになれよと声をかけたくなります。
榊と岡田のその後のお話も収録。これも2年後。そう来たか!って感じです。だいたいその後のストーリーってラブラブイチャイチャが基本だと思うけど、そうなんですよね。くっついて終わりじゃなくて、そっからが始まりなわけで。2年も経てば別れてしまう可能性だってあるわけで。そういうのがリアルで、だから日高ショーコさんって好き!(あ、この2人は別れてないですよ。)
書き下ろしはリバありです。仁科と美山が可愛すぎてもうどうしましょ笑
まず絵が好きです。これって自分の好みの問題なのでアレなんですけど、ホンット日高先生の絵が好きです。また絵柄がリーマン系に合うこと合うこと。
内容はドラマティック・激情系ではないのに、いつも胸がキュンキュンするのです。
こんな感じの男性いそうだな、っていう。
本当に日高先生の絵に悶えております。
さて内容なんですが、最初からよーく読み返すと色んな伏線が仕掛けてあったりするのですね。
最初と終わりの「初恋の相手はだれ?」というやり取りとか。さりげないものが色々散りばめられていて、それもまたすごいな~と感動するのです。
美山は自分の気持ちをストレートに伝えてくる性格で、仁科はそれを疑う性格。
でも二人は大人になって、美山は忘れようとしていた恋心を思いだし、仁科は今の美山を好きになろうと努力する。
すれ違いながらもやがて思いを通じ合わす、その過程が好きでした。
人は過去に起こした事にとらわれて前に進めないことがあります。
美山の恋愛を本気でしないスタンスは過去に仁科に酷い仕打ちを受けたからだし、
それが引っかかって、大人になってから仁科に出会っても、上手く立ち回れないでいます。
でも感情を整理するには、やり直すためには過去をほじくり返すより、仁科のように「今」の相手を見ることでしかやり直しは効かないと思いました。
なぜなら、美山が過去の酷い仕打ちを「許さない」であろうが「許す」であろうが、
過去の仁科とやり直せるわけではないからです。結局今の仁科を見るしかないから。
もちろん美山は過去に酷く傷つけられたから、
これからもわだかまりは消えないでしょうけれど、覚悟を決めた仁科の愛に包まれて、
きっと幸せに暮らしていけるんではないかな、と思いました。
結構厚めなコミックスですね~。
高校時代の同級生・美山と仁科の再会ラブものなのですが、仁科の眼鏡を取った顔が
どストライクでした。なんてお綺麗な…。
仁科は基本ノンケで、大手企業で働いているものの、仕事に特に熱意があるわけでも、
夢中になれる趣味があるわけでもなく、結婚も失敗し、なんとなくで生きてきた。
美山はおいしいコーヒーのカフェのオーナー(夢を叶えた)で、ゲイで、選ぶ相手は自分のことを好きにならない・割り切った関係のみで『本気の恋愛』をしない。
そんな2人は高校時代に出会い、仁科の祖父の珈琲店をきっかけに仲良くなります。
周りから怪しまれるほど一緒にいて、体の関係もちょっぴり持っていて、美山は
仁科に一途に恋していました。
派手で明るくて人気者の美山が自分に夢中になっていくのに優越感を感じていた仁科でしたが、この関係はいつまで続くんだと、どんどん美山の本気さに重い・怖いと感じてしまい、最後に酷い言葉を放ち、美山を傷つけ、その後2人の関係は途絶えてしまいます。
若気の至りというか、仁科がずるい男なんですよ!
しかし、美山も美山で、好き一直線というか、好きだけで突っ走り気味なのです。
そんな若い2人なので、うまくいくはずはなく…
そして10年後に再会し…
というお話なのですが、これぞBL!という切なさでございます。
美山は仁科を忘れられずに未練タラタラで、仁科は美山がまだ自分の存在を気にしている
ことに幸せを感じ、紆余曲折を経ながらも彼らの『初恋の続き』が始まり、きっとこれからまたぶつかりながらも恋していくであろう綺麗な終わり方に、そして『初恋の相手は覚えてるか?』という仁科の問いに『そんなの…お前に決まってんじゃん』と言ってのけた(その後お風呂で1人で赤面してる!)美山に、「うおー!まだ続き読みたいわー!」と
悶えました。(笑)
切なさと同時にときめきが味わえる、丁寧ないい作品でした。
相変わらずお美しいショーコ先生の絵に惚れ惚れし、2人のもどかしい恋に
うずうずし、「あぁもうこれ以上美山を傷つけないでー!」「いけいけ仁科ー!」とか
思いつつも、どうか幸せになってくれ2人とも!と最後に思えた作品でした。