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イタリア人貴族×日本人大学生という組み合わせは、日本人同士が多い崎谷作品ではあまり見られないのではないかなと思います。
天涯孤独になってしまった主人公・真次が、ひょんなことから現実ではまず起こり得ない不運に巻き込まれ、金髪碧眼を持つイタリア人の美丈夫と出逢う…
と、約380Pと分厚めの今作ですが、描かれているものは王道のロマンス小説といった雰囲気です。
以下、大きなネタバレはなしのレビューとなります。
ある事情から愛人契約を交わすことになった2人。
攻めのグイードが会社経営にも携わるいわゆるセレブな貴族でして、まあなんとも惜しみなく気持ちの良いお金の使い方をするわけなのですが、相手となる真次が一般庶民の常識的なものの考え方をする人なので、ちょっぴり庶民的で親しみやすくなった派手すぎない王道ロマンスになっています。
分厚めだけれど読みやすいですし、グイード周辺の人々と真次のやり取りも悪くない。
作中の舞台がほぼ入院先の病院や高級ホテルから移動しないというのに最後まで飽きずに読めたのは、ごく普通の日常会話の何気ない描写だったり、真次が言葉の通じないグイードの部下たち相手にも積極的にコミュニケーションを試みる人だったのが良かったからなのではないかなと思います。グイードの妹・パオラとの会話が良いんですよ。
私はボディーガード兼側近のアレッシオがなんだかキュートで好きでした。
一度甘くなったグイードの口や所作から溢れ出る、甘さ耐性のない真次へと送られる糖度の高い愛情表現の数々はこれぞ溺愛イタリア男攻め!という感じ。
己の非をきちんと認められる人なのも良かった。
挿画の穂波先生の絵柄もあいまって、どことなく品があるとってもまろやかな甘さで素敵でした。
真次は初心で真面目な自立心のある良い子という印象で、健気受けとまではいかないかも?
不運続き・天涯孤独+どちらかというと自信がないタイプの慎重派でしたので、もしかしたら苦手な方はいるかもしれません。
ただ、雛鳥のようにグイードからの甘いやり取りを慣れないながらも少しずつついばむ姿は可愛らしかったです。
崎谷作品らしいキャラの立ったモンスター女性絡みもそこまで今回はうるさくはない…と個人的には思いますが、ここに分量を割くのならグイードにどろどろに甘やかされる真次が読みたかったななんて。
テンポは良いけれどさらりと読めてしまい、ページ数はあるのにやや盛り上がりに欠けると感じたので今回はこちらの評価で。
突然、赤ん坊を抱いた金髪美女に呼び止められた大学生の四宮真次は、その美女のボディガードに殴られ、車にはねられてしまう。
目覚めた真次の前にあらわれた美貌の男はイタリア貴族グイード・ランドルフィ。
ここのところ、不幸続きで家族を立て続けに亡くした真次に最後に降りかかった災難がこれか……とうんざりするけれど、実は真次のことを実の兄と間違えての行動だったことがわかる。
そんな真次は、グイードに「愛人にならないか?」と持ちかけられる。
返事を迫られ、思わず愛人になることを受け入れた真次は……?
異国からきた貴族様に天涯孤独の身の上を救われた真次が、「愛人」の意味に悩んだりしながら距離を縮めていく話でした。
穏やかな優しさでちょっとずつ真次の心をほぐしていく大人な貴族の話にほっとします。
少し分厚いので、ゆっくりめに読んでください。
スパダリが健気受けにメロメロ~、な王道ストーリー。
しっかりと読ませる構成、文章はさすがの崎谷さん。しかし、どうも私、この評価の高い先生の作品が苦手なのです。
特に、受け視点で、恋愛に中学生のようにぐるぐる思考する展開が好きじゃない。これはまさにそれ、で、しかし最後まで読めたのはやはり作家さんの力か。
ぽつぽつと登場するイタリア語が面白く、作品に違ったテイストを与えていて好印象。
イソップのギリシャ語読みだそうですが、
浅学の私にはタイトルの意味はようわからんかったです。無念。
突然赤ん坊を抱いた外国人女性に腕を掴まれた大学生の真次は、
黒服の男に殴られ、車にはねられてしまう。
必死で自分を「裕真」と呼ぶ女性に、
「あのね、裕真はね、しんだんだよ」
ここまで読んだとき、「推理サスペンス」??
と思いましたが、謎はあっさり解け、
結果、BL的シンデレラストーリーでした。
だって「ちるちる」さんの「トーン」、「キラキラ」ですよ?
今までも王子キャラの話とか読んだことありますが、
「キラキラ」って書いてあるの初めて見ました。
グイードの計画勝ちって気もしますが、
セレブ×庶民の場合、ハッピーエンドになったはいいけど、
彼以外頼る人がいないってケースもままありますが、
真次にはグイードの他にも理解してくれる人がたくさんいて
よかったなと思いました。
短期間に家族を亡くした大学生の真次(まつぐ)が身辺整理でバタバタしていた時に、イタリアの名門家系の美少女が真次の亡兄と恋仲になり赤ん坊を授かったと知らせに彼女の兄と共に乗り込んできた。
そのドタバタの際に腕を骨折したものの、事実がはっきりした事で真次も身内を亡くした心細さが薄らいでいく。
そこで、美少女の兄・グイードからある女性につきまとわれて困っているので解決の策として愛人契約を依頼される。
この話は些細な誤解、思い込みが重なってもあまり二転三転せず、トーンが明るめでサクサク読めた。
セレブといってもグイード側の身内や関係者が気さくで明るいし、お互いに言葉が通じない中でも前向きな交流に好感が持てる。
あと、崎谷さんの話には大抵当て馬に相当する強烈な女性キャラが出てくると聞いて、どんなスペシャル級な悪女かとワクワクしながら読み進めたが、この話では想像していたよりは幼稚で小粒な印象で終わったかな?
ま、女性特有のドロドロした醜さってのを読まずに済んだのは良かったけれどね。
しかしグイードが真次に、いかに彼女が厄介者かと説いていた割には上手くあしらっていたように見えたが…。
それでもこのピンチですら恋愛のチャンスに替えて、実は一目惚れだった真次に告白するまでの経緯が普通の人よりも壮大なものに感じるのは、さすがセレブってところかな…。
その後のグイードが両想いとなった真次に吹き込む熱~い愛の囁きは、年上攻めならではのお約束に忠実だなぁと感じた締めくくりなのだった。