ボタンを押すと即立ち読みできます!
◆エンド・ラブ(表題作)
一途な攻め・厳原の粘り勝ちが、読んでいてとても気持ち良かったです。過去に本気で好きだった男性に突然結婚をされたことがトラウマになっている宮野。相手も完全に宮野に興味がなくなっていたならまだしも、彼も彼で葛藤した挙句の結婚で、妻と上手くいかなかったというのがまた未練を刺激しますよね。でも、厳原のブレないアタックのおかげで、宮野は自分が思っている以上に彼に心を開いていて。元彼が入院してきてもそこで迷うことなく、きちんと自分で清算して厳原の手を取ったところが良かったです。
◆また明日朝食にて
学生時代に一緒にボクシングを観に行ったことで、その後の人生が変わった2人。片やプロボクサーに、片や定食屋に。お互い相手のためという想いは同等なのだけれど、ボクシングに付き物の怪我や体重制限に苦しめられてばかりのヤスを、ナツは複雑な気持ちで見守るしかなくて。もどかしく焦れったい2人の長い両片想いに、きゅんきゅんしてしまいました。
行間を読むどころではなく、ページ外まで読んでしまう。
小ネタに妄想を膨らませた結果、本編にない架空の設定で登場人物を嫌悪してしまうことがある。
そんな方にはたまらない作品でした。
【エンド・ラブ】(前後編)【ファースト・ラブ】 萌2
高校時代、付き合っていた恋人がいた。
ある日、「結婚するから」と去っていった恋人への想いを断ち切れない外科医の宮野に、大学からの後輩外科医の厳原(いずはら)は「体だけ下さい」と言ってきて…。
いやー、切なかったです。
何が切ないって、高校時代からの恋人と宮野はキスしかしてないんです。
体が弱くて激しい運動を禁じられていた恋人とのえろすは自殺行為。
というわけでキスだけで何年間も付き合ってきたのに、いきなり「結婚」ですよ。
見合い結婚=家を途絶えさせないためというイメージがあるので、えろすができないのになぜ?という疑問は生じますが、「いつか2人で抱き合える日のために」医療の道へ進んだ恋人を捨てて、親が用意した「ふつうのしあわせ」を受け入れなければならないのもつらい…。
この作品、三者三様の切なさが味わえます。
宮野は待っていても仕方ないかつての恋人への想いをいつまでも断ち切れない。
身体的に綺麗なまま終わった恋って、余計に引きずることってありますよね。
元気になったら一緒にこんなこともあんなこともしようっていう約束もいっぱいあったんだろうな…、叶えられなかった約束が多いほど、これも引きずるんだよな…。
そんな深読みで余計切なくなる。
そして宮野の恋人だった高尾もまた切ない。
結局、結婚生活はうまく行かず、宮野の入る病院を探して手術を受けることになったものの、かつての恋人にはもう別の男の影が…。
高尾は勝手に見えるし、宮野には「怖かった」と言っているけれど、深読みしてしまうと、病気のせいで家族に負担ばかりかけたという気持ちって拭えないと思うんです。
そんな自分が親の期待に少しでも応えられるなら…って思うのは仕方ないことなんじゃないかと。
それでも宮野を忘れられずに、数年越しに約束を叶えに来たと思うと、ただの当て馬とは思えない存在でした。
これ、高尾目線で描かれていても相当切ないなあ、と。
厳原も、ずっと高尾ありきの宮野を想って、何度フラれても諦められなくて。
やっと体だけは自分のものに出来たとは言え、こころはまだ高尾にあるのが分かるから切ない。
そんなときに当の高尾が現れたら、焦るし、自棄にもなるというもの。
というわけで、どの人物の気持ちも分かるだけに、切なさ3倍でした。
【また明日朝食にて】(前後編) 萌
ボクサーと定食屋。
食べ物好きにはたまらない、定食屋設定。
料理を作ることしかできないナツと、食事制限をしなければいけないヤス。
相手に対して自分が役に立てない、と思い知らされたときの無力感ってはんぱない。
宮野が先輩として登場します。予想に反してちょっと軽い。
こちらも切なさが爆発してました。
「また明日」というセリフの使い方がすごく効果的でした。
深読みしすぎたせいか、読み終わったあともなかなかこの世界から出てくることができませんでした。
余韻を楽しめる、良い作品です。
「エンド・ラブ」
俺もずっとセックスしてみたかった
「身体が弱く激しい運動もダメな親友を治してあげたくて医師になりました。」
嘘。親友なんかじゃない、恋人だった。医者にはなったけど別れてしまった。
もう恋なんかしない。そう思っていたのに。
ずっとデートしてみたかった
「身体だけで良いわけない あなたが心もくれるんじゃないかって…」
身体だけ俺に下さい、と自分を抱いた男。あなたの恋を終わらせる、と言った男。
言葉足らずで不器用な2人の、新しい恋のはじまり。
短い話ながら、過去の失恋とその相手との思いがけない再会、今のセフレとの付き合い方の変化と心の揺れ、そして止まったままの心が動き出していく、そんな流れが十分に描かれた佳作だと思いました。
「ファースト・ラブ」
恋人になって2週間の巌原と宮野。なのにセフレだった時より遠い。
思い余って巌原の研修先まで追いかけて…「身体も心も寂しい」と告げる。
恋愛下手の巌原は怖がってただけ。2人裸で抱き合って、これからちゃんとはじまる2人。
「また明日朝食にて」
高校の同級生同士。
プロボクサーのヤスを支えてあげたい食堂屋さんのナツ。
試合の前は減量があるから、ナツはヤスに何もしてあげられない。
ヤスはヤスで、ナツの喜ぶ顔が見たくてボクサーになった、という。あゝすれ違い…
結局ケンカ腰のお互いの吐露があって、両想いが判明。そしてHしました。展開は早し。
あ、ヤスのかかっているドクターが「エンド・ラブ」の宮野です。(2人の高校の先輩設定)
「高尾満の入院記。」
宮野の因縁の恋人、高尾満。手術後の宮野の回診を、真っ黒なオーラだだ漏れで覗き見る巌原。
さて、退院日。
高尾「悠希は巌原先生の何がいいわけ?」
宮野「…いちいち重くてめんどくさいとこ……かなぁ」と赤面の図。
表題作の「エンド・ラブ」
後輩医者×先輩医者
受けの宮野悠季は昔体の弱い男性と付き合っていて、彼の病気を治すために医者になると決めるのですが、彼が様々なことで不安を抱き、二人は別れることになる。
そのせいで悠季は傷つき、もう本気の恋愛はしない、と決めるのですが、後輩の厳原(攻め)から体の関係を言い寄られて、セフレの関係になる二人。
しかし、その昔の恋愛の加害者(高尾満)が入院して来て・・・
ファーストラブ
「エンド・ラブ」の続き。
また明日朝食にて 前・後編
「エンド・ラブ」の悠季の高校の時の後輩二人の話(スピンオフ)
プロボクサー×元同級生で親友 両片思い
昔二人で一緒にボクサーを試合を見て、ヤスはナツが試合にすごく興味があるのに気づいてプロボクサーになる。
ナツはそれを知らずにプロボクサーになったヤスのために、ご飯を作ってあげる。
二人はお互いに相手を喜ばせようと頑張っているのに、
ナツはヤスがけがをしているのを見て傷つく。
そして、ヤスは自分がけがをしていることよりも、ナツの元気をなくなっていくのを見て悲しむ。
そんなすれ違う二人の話です。
番外編の「高尾満の入院記 」すごく好きです。
悠季の昔の恋人、高尾が入院中で、彼目線の、悠季と厳原のほのぼのとしたお話です。
お医者さんごっこが可愛くて・・・
どっちの話も最初はすれ違いますが、最終的にはあまあまになるので、良かったです。
タイトルと出だしを見て、ちょっと暗めなお話なのかと思いましたが、内容はわりと見かけるような、安心できる恋愛ものでした。
すごく好きだった人にフラれてもう恋なんてしないと決めている医者の宮野。後輩・厳原と体だけの関係を結んでいますが、体だけと言いつついつのまにか…という展開です。先のわかる、いい意味で安心感はあります。
しかし、前後編のお話しだったのであまり意外性もなく終ってしまった気もして、ちょっと盛り上がりに欠ける気もしました。
昔宮野を振った彼氏が再びあらわれ、ヨリを戻そうといってくるのですが、彼が身体にハンデがあるなど大変なことがあるのはわかるけど結婚するからと一度宮野を捨てたのに今さら「やっぱりお前だけだ」みたいな感じで近づいてくるのは勝手すぎて少々腹が立ちます。
一体彼のどこがそんなによかったのかが伝わりにくかったのが難点だったかもしれません。
辛い恋をした分、この先厳原に散々甘やかされて欲しいと思います。
年上の恋人に甘い年下攻めが好きな方にオススメです。
「また明日朝食にて」
こちらの方が個人的には面白かった。
ボクサーのヤスと食堂で働くナツの二人の腐れ縁なお話です。
ナツは頑張るにヤスご飯を作るのが楽しみで、ヤスは頑張って試合に勝ってナツの作ったご飯を食べるのが楽しみ。
お互い相手がいてしてもらいたいこと、したいことが一致している関係は幸せだと感じました。
すれ違いもありますが可愛いらしいお話です。
初めて読んだ作家さんだったのですが、全体的に可愛らしいほっこりした印象でした。