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原作未読。だからなのか不安が残ったまま終わってしまい、消化不良を起こしてます。大学時代からずっと思い続けている男が、落ちぶれた状態で目の前に現れて…?というお話。
明るい大学時代を描き、大人になった村上への期待を膨らませる宇野の描写は、大きく落とされそうな予感がバシバシです。フリが効いてるのが分かりやすくて怖い。でもそれは思ったより静かにやってきて、宇野は浮浪者のような村上を自宅に住まわせます。
大学時代に深く関わっていたわけでもない村上を、環境が変わり会わなくなってからも思い続ける宇野は、それだけ他の誰も入れない閉じた心で人付き合いをしてきたのかなあと思いました。このままじゃ一生思い続けそう。
村上は宇野のおかげで立ち直っていくのは分かるんですが、あの流れで襲うのは、人としての生命線として縋りついているだけに見えました。ここでエンドマークなので今後に不安しかありません。小説にも納得しかなくて、不安なのは変わりません。
どうやっても宇野が村上のようなタイプと一緒にいて安心できるとは思えないんですが、それでもまだ村上の気持ちが宇野に向いていれば読者としては救われた気がします。なのにそこが曖昧なのが痛い。
この一冊だと表面上はハピエンだけどモヤモヤでした。
攻めが結構珍しいタイプで、ストーリー展開も読めず最後までどうやってくっつくんだろうとワクワクしながら読み進めました。学生時代にあれだけ皆に囲まれて輝いて見えた想い人の、社会人になってからの末路。漫画本編では詳しく描かれていませんが、最後の小説部分でそういうことだったのかと知り、思わず村上に同情しました。これはここまで落ちても仕方ないなぁと。
意図せず彼を拾い込んでしまった宇野の、健気というよりは流れに身を任せるような自棄にも見える寛大っぷり。これ以上惚れたくはない、でも追い出したくもない、複雑な気持ちが渦巻いて自分のとるべき行動に迷った故の言動だったわけですが、村上はそれに救われた。本当、人間何がきっかけで人生が変わるか分からないものですね。最後は村上の方からも宇野に対して募っていった気持ちを見せてくれたので嬉しかったです。もう少し恋人になってからの日常も見たかったですが、全体の流れにはとても満足でした。
大学からの未練を引きずって 彼以外を想えない
粘着質って言えばいいのか 憧れ体質って言えばいいのか
意識した分 抜けられない蟻地獄にでもハマったように沈んでいく自分と 明るく華やか 思ったことをストレートに口にしすぎて 時として高慢に見えちゃうタイプの彼
寄せた想いを殺し卒業 再会したのは6年後
あたしだったら 目の前の転がる無様な男に当時おし殺した想いから 薄ら笑い浮かべて ざまぁ って言っちゃいそう ←性格悪くてすみません
やさぐれた理由はあるにせよ あの魅力的だった男の成れの果て
噂では借金まみれ すえた臭いがした時点で拾いたくもなくなる なのに拾って帰ったのは断ち切りたい想いがあるから
執着って 簡単に断ち切れるもんじゃないのね
そこまでの執着をもって人を好きになったことがないからわからないの こういうの
自傷行為にすら見えてくる 求めてやまなかった男との生活
ちょっとまてッ!
改心したのいつ?
金盗んでるの知って咎めなかったとこ?
死にたいってもらしたとこ?
あたしが薄情過ぎるのかな? ふたりが 愛情過多な人と承認欲求のある人 みたいに見えて 理解しづらい? 飲み込みづらい?
目に見える改心 当時と変わらない会話 嫌いになるどころか上書きされていく想い
手の届きそうなところまで近づいた笑顔 与えられるものに欲がでる 不安になる
ん~ 悪くないんだけど 互いの不安で互いを縛りつけるみたいで 幸せなのか?
おまけの書き下ろし部分でなおさら どこまでいっても不安が襲う未来しか見えないんだよな…… 正に不毛
またあたし 読み方間違ってるんだろうな…
内容はもちろんだけど 人の気持ちって読み取るの ほんとに難しい
つらい…。
恋のつらい部分だけを搾り取ったような、そんな作品でした。
大学の同期で、いつも人の輪の中心にいた村上。
憧れて、焦がれて、この気持ちは恋だと気付いても、伝える術もなくて…。
宇野は地味でおとなしくて、自分の意見を言うことすらも清水の舞台から飛び降りるような決意がないと出来ないような人です。
そんな彼が恋い焦がれたのは、太陽のように明るくて、ひとを惹きつける村上。
キャンプが好きで、みんなでわいわい騒ぐのが好きで、彼女を大切にする。
漢気溢れる村上に言えるはずのない恋をして過ごした大学時代も遠くなって、すっかりリーマン生活も体に染み付いた頃、大学の同期の結婚式に呼ばれた宇野は村上の惨状を知ることになるのですが…。
もう、痛いし、つらい。
以前読んだときの衝撃がそのまま、読み返しても戻ってきました。
気持ちを伝えられなかったから忘れられない、と思っていた相手が、どん底まで転落している姿を見たら。
かつて恋した相手に幻滅することで、気持ちの整理をしたい宇野と、彼女や友人、近しいひと全てに見捨てられた今、たったひとり、手を差し伸べてくれた宇野に、立ち直るきっかけをもらった村上と、2人きりの生活が何ともつらい。
減っていく引っ越し用の手付金に、「これで嫌いになれる」と安心する宇野の気持ちは、分かるけど分かりたくない。
本当に断ち切りたいなら、手を差し伸べなければいいだけのこと。
それでも差し伸べたのは、繋がっていたい気持ちが勝ったからだと思うのです。
すえた生ゴミのような村上が自堕落に暮らして、宇野の姿なんか目に入っていないかのように振る舞っているうちに、追い出すこともできたのに、手付金がなくなるまで待ったのは宇野。
予想に反して新しいシャツを買って、風呂を借りて、少しずつ人間らしい生活を取り戻していく村上に、また別の人のもとへ行かれる恐怖に怯える前に、離れることをしなかったのも宇野。
何も言わずにいるのは、全部許して受け入れたのと同じなんですよね。
村上の気持ちは分かりません。
前回、初読のときに読み飛ばした巻末の小説も、今回はちゃんと読んでみました。
未だに元カノの面影を追ってしまう。
それでも宇野と抱き合うと満たされる。
「宇野と未来だけあれば」という一言に、愛を読み取っていいのか迷う。
差し伸べられた手が他にもあったら、宇野のところに居続けなかったであろう村上を、信用しきれないまま、読み終わってしまいました。
難しい。
情や恩義は愛と同義ではないと思う。
だけど、宇野のために愛であってほしいと思うんだなあ。
宇野は面倒くさい人間だし、村上は信用できないし。
2人とも人間のひとには見せたくない部分をさらけ出しているから、読むのがつらくて痛いんだと思うし、なぜかこの2人の行先が気になって仕方ない。
思いを重ねることなく、体だけが重なったあとの宇野の一言が重いです。
村上ー、わたしには君が分からんよー。
木原音瀬先生の小説をコミカライズした作品です。
糸井のぞ先生の細い線が、作風に良く合っていると思います。
大学の時に好きだった村上には可愛い恋人がいました。
好きな気持ちを伝えられないまま、恋心を昇華できないまま社会人になった宇野。
卒業後、疎遠になったあとも村上を探し続けるような宇野の執着ともいえる一途な恋心が印象的な作品です。
村上のことが好きで好きで仕方ない宇野が、落ちぶれた村上と再会しても嫌いになれないところが切ない。
たとえ、お風呂に入らなくて臭くても、お金を取られても、何をされても黙って見守ります。
でも、それは優しさだけじゃない。
村上を手放したくないからなんだよね。
静かに見守ってくれる宇野に癒され、人間らしさを取り戻していく村上は、クズ攻めだと思います。
無自覚に宇野の心をかき乱し、宇野の好意につけ込むところは本当にどうしようもない。
そして、描き下ろしの木原先生の小説を読むと、切なさと不安が増します。
元カノに似た女を追いかけ帰宅後には宇野を抱く村上が、自分の気持ちも人の気持ちも信用できない、とっても危うい男だと再認識させられます。
ハッピーエンドなんだろうけど、手放しに喜べない。
余韻に、なんもと言えない哀愁を漂わせます。
でも、やっぱり唯一無二の素晴らしさがある木原作品。
コミカライズも間違いなく面白く、あっという間に引き込まれました。