大人気作家・凪良ゆう先生の最新作!

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表題作365+1

紺宗之 人気スタイリストのアシスタント 24歳
綾野里久 実家の美容室の美容師 24歳

あらすじ

同級生だった紺と綾野。夢を語り、想いを分かち合って共に歩むはずだった。けれど紺は上京し、綾野は地元に残ることになり……。道を違えたことですれ違い始めるふたり。けれど互いを思う気持ちは持ち続けています。男同士だからこそ譲れないプライド、でも捨てきれない情の深さ――子供から大人になるカップルの成長が描かれています。

作品情報

作品名
365+1
著者
凪良ゆう 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
365+1
発売日
ISBN
9784829625774
3.9

(218)

(78)

萌々

(79)

(44)

中立

(8)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
28
得点
846
評価数
218
平均
3.9 / 5
神率
35.8%

レビュー投稿数28

ハピエンですが

攻めざまぁからの元サヤです。

高校時代に出会い、同じ美容学校に通い、両片思いから両思いへ発展していった紺と綾野。共に就職のため状況しようとしていた矢先、母親が倒れたことで綾野は地元に残り、母の病院で共に働き、紺は東京で働くという遠距離になった2人。

流行の最先端でえる東京で働きながらも自分を見失い、くすぶり続ける紺と、地元に残ったことで紺に遅れを取っている、共に同じ夢を追っていたはずの紺に置いていかれると感じるようになる綾野。お互いに相手にいい所しか見せようとしないから言葉も足りず、どんどんすれ違う2人。紺は東京で満たされない自意識、プライドを無意識のうちに帰省した際に綾野にぶつけることで解消しようとし、綾野もモヤモヤが募っていて、ついに別れを切り出すことに…。でも紺はなぜ別れることになったのはを全く理解出来ずにいて…。

そこに出てくる口と性格が悪い美山靫彦(トップモデル)がいい役割を果たしてくれるんです。もうホントにここで綾野と一緒にモヤっていた読者はスッキリするんです✨

正直、無意識に変化のない(ように見える)綾野を安心材料にしている紺には嫌気がさすのですが、男同士ってこんなんかも…とか、こんな男いるよね…って思える妙なリアルさがあるのかな…と思っています。

結果的には元サヤに収まるんだけど、きちんとお互いを見つめ、理解し、足りないことはしっかり言葉で補えるような関係になってのでとてもいい終わり方だったのかなと思っています。

0

攻め視点がしっかりあるのが嬉しい

先に読んだ「愛しのいばら姫」のスピンオフ元作品でした。
美山の友人カップル、紺と綾野の出会いから一緒に住むようになるまでのお話ですが、2人が遠距離恋愛をしているところから始まっています。

田舎のご近所さん御用達の美容室で働く綾野と、方や東京の第一線スタイリストのアシスタントである紺がすれ違っていくのは必然と言えば必然で…。
お互いが大好きなのに、自分の事でいっぱいいっぱいになってしまうと相手の気持ちを気遣えなくなる、そんなリアルに満ちた描写は胸が痛かったです。
綾野視点では紺の身勝手に少しムカムカしましたが、紺視点の章では相手にカッコいい自分しか見せたくないカッコつけな1人の男の苦悩が垣間見られて、切なくなりました。

そんな2人の間に最強の当て馬居るしさぁ。
当て馬としての美山はかなり嫌なヤツでしたw
確信を突いてくる物言いは気持ちいいんだけどね。

いばら姫を先に読んでいたので、綾野と紺がこんな色々なことを乗り越えて安定を得たんだなぁと感慨深いものがありました。

0

「愛しのいばら姫」を先に読むと印象が変わる内容

凪良先生の描写表現は、読んでいて違和感なく心に落ちてしまう。
不思議な文章を書く作家だと思う。
ストンと心に落ちるので、読後、他の本も読んでみようかと思う。
これも次いでに選んだ本。

「365+1」のスピンオフが「愛しのいばら姫」
「365+1」は、紺x綾野 
「愛しのいばら姫」は、久保田x美山

私は、逆順で読んだので、この作品で登場する主人公二人より、
美山が、不器用で口下手だけど、紺と綾野を繋ごうと頑張る健気さを感じてジンときた。

後書によると、この物語のテーマは、
 長い交際期間
 遠恋
 すれ違い
・・と有ったけど、「愛しのいばら姫」を先に読むと、
美山の苦しい初恋が語られるこの本は「茨姫」前段に感じて、
ちょっとだけの登場の美山がとても印象強く残ってしまう。

風変りな母親に愛情を注がれない環境で、ほぼネグレクトされて育った美山は、
愛情の示し方や愛し方を知らない。そして愛されている自覚も薄い。

そんな美山が、初恋の男と似ているドンくさい紺にお節介をやく。
同級生だった紺と綾野のすれ違いを、折々に修正する言動。
 紺に「見下し感」を指摘したり、
 綾野の前で、誤解を修正したり、
 モデルのピンチヒッターを引き受けたり、
 綾野の提案を受けて、髪を切り、初恋の思い出を捨てる
・・不器用な方法しかとれない、とても心が温かい人。

がむしゃらに頑張っている時ほど、掛買いない存在を当たり前だと勘違いしがちで、親孝行も同じ、
失いかけたときや、失った時に、当たり前に「ずっと居ると思っていた支えてくれている人」から受けた愛に気付く

紺も、綾瀬も、ぎりぎりで気付けて良かった。

2

ストレートに抉られる……

凪良さんは相変わらずど直球に心を抉って来ると思った。上京した人間と田舎に残る人間の変化という、ものすごくよくある話を無駄な装飾なしに描くからこそ、ぐさっと刺さる。

三編に別れた話の一編目は、幸せな二人の馴れ初めからすれ違い後の別れまでが描かれる。綾野視点で紺の状況もなんとなく察することができ、紺の言動は虚飾であり若気の至りだと理解できる。それでも、読んでいて綾野より先に気持ちが離れていってしまった。
丁寧な心理描写は共感できるが、早く別離という結論を出して欲しくて、今回に限り長いと感じた。紺を好きだという気持ちはあまり伝わって来ず、ただ縋ろうと必死な人間が悩む様子を見るのは辛い。

二編目は紺視点の話で、その全てが一編目に対する言い訳のように感じられ、下がった好感度が戻ってこなかった。個人的に性格の悪いズバズバ言いまくる美山のようなキャラが好きなので、読むのは楽しかった。
ついでに言うと、紺は美山と何かあった方が人間的に深みが出て良かったんじゃないかと思った。「綾野じゃないと反応しない」、紺のここだけが妙にBLファンタジー。

三編目は導入から驚き。二編目の話を綾野が読んでいたなら分かるが、そんなわけはなく、あれだけのちっぽけな誤解の解け方ですぐに復縁を望むか?という。読者は紺の変化を丁寧に追っているため共感できても、綾野の気持ちの変化として考えると不自然に思えてしまった。
綾野視点で、二編目の紺の仕事を自らの仕事で一つ一つ否定し、潰していく。描写としてとても残酷で、分かりやすく上手すぎるがゆえに作為的にも見えてしまう。コンテストのエピソードは少々ご都合主義だが許容範囲、盛り上がりがとても良かった。

ラストは爽やかハッピーエンド、だが一つ大人になった彼らは一度離れてもいいんじゃないかと思った。ずっと紺の成長を美山のおかげでは、と綾野は疑っていたが、そのモヤモヤを解消させないまま終わらせてしまった理由も分からない。
恋愛より仕事を選び、晴れやかに別々の道を進む選択をしても納得のいく話の流れだった。元サヤがさらにその先にあるといいな、とは思うが。

さすがによくまとまっているし、話としての破綻はない。キャラ立ちはなくても魅力がないわけじゃない。全力で絶賛できないのは、本当にこの人でいいの?他の人を知らないから見えないことがたくさんあるんじゃないの?という汚れた思考が入り込む自分のせいだろうか。
恋愛に関し視野が狭くなっているようで、いろいろと心配になる二人。だからこそ簡単にヨリを戻したという説得力にはなるが、それはBLというファンタジーとは対極にある世界のリアル。萌えとは違う世界の話な気がした。

関係において対等でありたいってのは人間として普通の感情だと思う。綾野と紺に限らず、男同士に限らず。特に男同士ならではのエピソードは無かった。

1

青春だなぁ。

恋愛に終始していないところがいいなって思います。

もちろん恋愛についてもしっかり書かれているけれど、それと同時にスタイリスト志望の紺と美容師志望の綾野とという二人の青年の夢と現実が絡めて描いてあって、10代後半から20代半ばにかけての青春ストーリーとしても楽しめるので好きです。

田舎町で夢を語り合い専学へ進んだ二人が、いよいよ夢を叶えようと上京&二人で同棲生活を始めようとした矢先に、家の事情で綾野だけ田舎に残ることになるんだけど、遠恋を始めて次第に二人の間に見えない溝が少しずつ掘られていく描写が本当にうまい。

地元のおばちゃん達相手の田舎のしがない美容師の綾野と、東京で流行を発信し続ける現場の第一線にいる紺。
そんな紺に対しての羨ましさとか焦燥感とか、引け目とかグルグルしまくってて、そんな感情を恋人に対して抱いてしまう辛さや自己嫌悪。

連絡も少なくなり、会えばひたすらヤるだけで、おまけに浮気疑惑まで出てきて、とどめは「綾野は夢なんか追わずにそのままでいてくれ(超意訳)」発言。
そんな男とは別れちまえ!と思っていただけに、別れを告げたシーンは良くやった!感でいっぱいだったけど、その後の【365】では紺視点に切り替わって、紺は紺で東京でのしんどくて冴えない日々が明かされていくので、なるほどなぁとは思うけど、やっぱり甘えてるというか傲ってると思う。

「いつでもカッコよくありたい」なんて余計なプライドのせいで泣き言も言えず、「でも綾野なら言わなくても自分の気持ちをわかってくれる」という紺の甘えをズバリ指摘する美山はGJです。
美山はヒール役なんだけど、余計な遠慮がないだけにその毒舌がズバズバ小気味良い。
とりわけ「匿名の場所だとやたら攻撃的になるやつもいるし。現実でなにかを動かす力のないやつが仮想空間で、しかも匿名で吠えても意味ないって。それこそ負け犬の遠吠えってやつで」という言葉は容赦なくて好きです。

私がこの話で一番いいなと思うのは、偶然再会して浮気疑惑も晴れ、お互い本音を曝け出してどういう状況だったかわかったのに、元サヤにならないところ。
今の自分のままではまた同じ事になるだろうと思って、復縁を言い出せないんです。
この時の紺の「長く付き合った相手を失うということは、自分の何分の一かを失うことと一緒みたいだ」というモノローグは名言だと思う。

お互いに同じ夢を目指してきたはずなのに、気づいたら一緒に手を携えて走る相手ではお互い無くなっていた……という喪失感をごまかすために、お互いに顔を見合わせて笑うところは何とも切なくほろ苦くて。
誇れる自分でありたい、対等でありたいという拘りが男同士ならではという感じだなと思います。

そして紺と綾野の変化を見届けた後は、あぁツンデレ女王の美山の変化も見届けたいなぁという気持ちになってスピンオフの「愛しのいばら姫」まで読むのがワンセットです。

2

大好きな凪良先生のとても素敵な作品だと思いました

高校の時に出会った紺と綾野
一緒に専門学校に進学して思いを通じ合い結ばれる
しかし、就職で紺は東京へ綾野は地元へで二人は離れ離れになり
遠距離恋愛に突入
凪良先生の「つきあいが長くなった遠距離カップルの閉塞感あふれる恋愛もの」
というテーマ。とてもしびれました
三編に分かれています
一編目 365-1 は綾野視点
二編目 365 は紺視点
三篇目 365 は綾野視点

その中で描かれた焦燥感や葛藤やなんだかとっても共感できました
とても練られていて繊細な構成だと思います


以下もっとネタばれだから苦手な人はスルーしてくださいね!

モードフェスに参加したことで再び心を通わせることができた
紺と綾野です。これをきっかけに東京の有名美容院にスカウトされて
健康に不安のある母を残して東京へ行ってもいいのか?
と、お母さんに相談すると気持ちよく行きなさいって

BLで描かれる母って結構酷い人多いんだけれど
このお母さんは夫を早くに亡くして女で一つで綾野を育てて
簡単でも手作りの食事を作って食べさせて、運動会やイベントの時は
日頃の埋め合わせのような凝ったお弁当を作って

とても心温まりました。

友人は凪良先生のことを「泣かせの女王」と言ったけれで
私は「BLの語り部」だと確信しています❤

3

美容室

今思うとエロとかSEXとかより、普通にモードショーの方が気になるお話でしたw

田舎で、親の美容室を継いでいる綾野からしたら、地元にはヤりにだけ帰ってくる紺は嫌気がさしても仕方がないように思った。
凪良先生の本は、程よくエロもあって、筋の入ったストーリー性もあってblとしてじゃなくてもとても面白いです

1

もどかしい

うんうん。
良かった!
すれ違いなシーンは思わず泣いてしまったわけですが、
お互いにな部分が、すごく好き。
女々しいばかりの受じゃないんやで!
そんな後半がすごく良い。
皮肉屋の美山も最終可愛く見えるというな。
何だかんだ可愛いやつだと思うわけだ(ノ´∀`*)
スピンオフ読んでから思い起こすとこれまたいとおかし。

出会いから、二人が付き合い始めるまでの焦らし。
付き合い始めてからの甘い期間。
遠距離恋愛になって、お互いがお互いをわかってる
つもりになりすぎていたことからのすれ違い。
視点を変えて読むことで、お互いにどう思ってるのか
わかってしまうとどちらも否定できないというもどかしさが
また沁みました。
だからこそ新しいスタートがすがすがしくて良かった。

よし、頑張ろう

2

どっちの気持ちも覚えがあるよ。

またも凪良先生にやられたなー…!という感じ。自分にとってはもうすっかり忘れかけていたような、もしくは慣れきって麻痺してしまっているような焦燥感を思い出しました。

都会で自分の限界を感じ、でも虚勢を張ってしまう気持ち、そして如何ともしがたい理由はあったとは言え地元で燻りつつも、諦めることに慣れてしまうような気持ち。どちらも分かりすぎる。

自分が登場人物たちと同じ年代でこれを読んだとしたら、客観視できなくて「紺、ムカつく」とか「綾野、グジグジするな」とか思うばかりだったかもな……。

盛大なすれ違いや遠回りをしつつも、それらを乗り超えた彼等に拍手。これからもまだまだ一山も二山もあるのは間違いないけど、遠くから応援してるよ!という気持ちになる一冊です。

青春小説、だな。

2

おばさんは紺に怒った!

うーん。いばら姫がすんごく好きで(そっちを先に読んでしまった)
こっちも読もう!と手にとったら最後、止めることができず、
あれよあれよと二時間ほどで読了。だって気になるんだもん。
相変わらず、読者を引き込む力恐るべし、凪良先生。
今日眠かったじゃん。。。。私が悪いんだが。

なんだけど、評価は萌。
紺 嫌いなんで。(きっぱり)
萌は、大好きな 毒姫ユキちゃんと人たらし久保田が出てきたからの評価(笑)
あの若さだとしょうがないのかもしれないけど、
でもあまりに自分でいっぱい過ぎて 周り見えなさ過ぎてる紺が、やだ。
綾野もそーんなに惹かれなかったんだけど、最後のユキちゃんと
一騎打ちんところで、俄然見直した!

おばさん、狭量すぎるかしら。
うーん、自分が若くないからかもなあ。
わかるわかるー と言える歳に戻りたいかも(笑)

2

にゃは

"お前ら、恋人同士だからちゃんと話しろよっ"
て感じでした !
この本は現実でもありがちな話だと思います
受けの立場も攻めの立場も理解できる>_<;;

さすがなぎらさん、今回も大当たりでしたぁぁぁ♡

1

勉強になりました~

距離ができればなおのこと、細かさが必要なんだなぁと、
教えられました。

0

スタイリッシュ初恋

凪良さんの作品といえば、私的には初恋モノです!!
『365+1』は高校からの同級生で、同じ専門学校に通っているときにお付き合いが始まり、卒業後やがて離れてしまうわけですよ。
紺に関しては、さほどひどいとは思わなかったです。
東京で、理想とは違う世界に戸惑いながら綾野に愚痴ることもせず、一人で頑張ってたんだなー、と。
信頼と甘えを履き違えて、綾野を誤解させた部分はあるんでしょうけど、浮気をしたわけでも気持ちが冷めたわけでもなかったから最後は安心しました。
タクシーで帰ろうとする綾野の腕を掴んで、街中を走り抜け、ビルに壁ドンからのキスは男前でしたわ〜(≧∇≦)
綾野は親孝行ですねー。理想の嫁ですよね。恋人より母親をとって、田舎に残りひたすら旦那を待ち続けてたんですもん。帰ってきてもセックスしかしないと知りつつ、拒むことができなかった綾野は健気だなぁ。

恋が順調なら仕事も頑張れるでしょうから、これからの二人はもう大丈夫ですね!はー、良かった!

4

遠距離恋愛はやっぱり難しいものらしい。

高校生のときから好き合って、恋人同士になった紺と綾野。
二人で一緒に東京に出て夢を叶えようとしていたのに、綾野は家の事情から地元に残ることを決めます。
電車で三時間の距離だし、休みの度に帰ってくるし、東京にも行くし、携帯もメールもある、愛してるから、信じてるから・・・そう言いあって遠距離恋愛を始めた二人。
最初は上手くいっていたはずなのに、徐々に会話のネタが合わなくなり、休みも合わなくなり、連絡の間隔が開き始めます。

凪良さんの作品は、心情描写がすばらしいと思います。
東京に出てモデルや芸能人を相手に華やかな世界で生きている紺と、地元に残って普通の日々を送っている綾野。綾野が紺に対して抱く憧れと卑屈が混じったような感情、自分とは住む世界が違ってしまったことに焦り、何とかしたいと足掻いて、でもやっぱり駄目だと結論を出す過程は、読んでいてすごく引き込まれました。
さらに、紺の綾野に対するものの言い方!!もう、読んでいて腹が立って、腹が立って!!
綾野が紺に別れを告げたところは拍手したい気持ちでした。
さぁこれでフリーになった綾野が恋の痛手を乗り越えて幸せになる・・・と思ったら、次に紺の視点で語られることが、またどこか覚えのある心情で。
社会に出て、自分が思っていたようには全然上手くいかなくて、持っていた自信なんて根拠の無いもので、あっという間にペシャンコにされて・・・だからって、紺の綾野に対する発言も甘えも許せないけれど。
でも、紺も大変で辛くていっぱいいっぱいだったんだな、っていうのは伝わってきました。

別れても綾野は紺のことがずっと好き。紺もずっと綾野のことが好きなまま。
読みながらずっと私イライラしてしまいました。私自身が捻くれているからなんでしょうが、惚気た恋愛相談をされている気がしました・・・
なので、美山に一番共感出来たのが正直なところです。紺の別れた報告に、ご愁傷様です(合掌)、っていう美山さんの気持ち、分かる分かる(笑)

モードフェスも上手くいき、紺と綾野も復縁します。
でもこんなふうには上手くいかず、積もり積もった些細な不満のせいで別れていくことがほとんどだよなぁと思ったりしました。
恋人じゃなくても、人と人との関係って難しいな・・・という現実を突きつけられたような気がします。相手への気遣いと、腹を割って話すことの勇気・・・なんがだ教訓っぽい(汗)
そんな小難しいことを考えずに、凪良さんの書かれる小説を楽しむのが一番だと思います。

4

夢を描いた二人の別れと恋の再生

『365ー1』 綾野視点

母親が倒れ決まっていた一流サロンへの就職をやめ田舎の母親の美容院を手伝うことにした綾野。
親孝行ないい子だけど、有望な将来も恋人と描いていた夢も捨てても守りたいものには思えず遠恋を強いてやがて心が離れていくという状況から、親が子供を解放してあげないから幸せになれないのでは?と思ってしまいました。
けれど読んでいてそれが本当の理由ではなく、仕事にも紺への想いも将来についても自信のなさから逃げたのだと思ったら綾野のその後の焦りや足掻きがわかる気がしました。

紺が都会で華やかな世界で浮かれてバカみたいに踊らされ地味な恋人のことなど日々忘却の彼方なのは仕方ないです。連絡も間遠くなりやがて他の人に気持ちが移り…
浮気を知りつつ未練タラタラで抱かれて喜び蔭で泣いてと言うのが耐え忍ぶオンナっぽくて湿っぽい。(適度な湿っぽさは嫌いじゃないです)
久しぶりの帰省で会った紺との間に埋められない隔たりができ最後の一本のつながりが切れたと感じた綾野が分別れると言った時にはすっきりしました。

『365』 紺視点
忙しくて連絡も滞りがちな紺がそれだけではなく、将来性が見えなかったり夢と乖離していく現実の中でもがているのがよくわかります。
けど、そんな毎日の中で綾野を逃げ場にして安らぐために抱くのはどうかと思う。
そんなことを感じ取った綾野も都会の喧騒から逃れて一時の癒しに使われることが嫌になっていく気持ちがよくわかりました。
その上田舎の小さな店で変わらず地味に働いていると思った綾野が腕を磨きますます輝いていると知って超凹んでました。自分をわかってくれてると甘え、相手を下に見て支配してると思って安心していたのにそうじゃなかったんだから。
憐れです。

美山の「見下してる相手から癒しを求めるなんて、イカしてもらった後説教かますオヤジと一緒」と言う例えが辛辣で的を射ていた。
美山が二人を見ていてイラついたり怒る気持ちが登場人物の中で一番共感できた。

『365+1』 綾野視点
コンテスト当日に急なモデル変更とかスタイリスト追加とか可能なのかとは思いましやが結果は順当なところで結末に向けて迫力と緊迫感もありいい展開だったと思います。
そして、二人の仲も将来設計も修正でき夢に向かって進んで行こうとする終わり方がとてもよかった。

4

遠恋のお話

凪良さん、矢張り好きです(しみじみ)
内容は系統的には「恋愛前夜」ですが、あれほどつらくなかった。あれは大好きですが、本当に辛い。私はずっとどん底な「天涯行き」よりも、「恋愛前夜」がつらかったです。
それはさておき、話の筋はありがちですがそれでここまで読ませるのはさすがとしか云いようがないです。好みなあらすじの凪良作品はあらかた読んだかなあ?という感じで、あまり面白くなさそうという印象で読み始めたのですが、そんなことなかった!
読むのが止まらず、合わせて買っていた「いばら姫」まで一気に読んでしまいました。
ああ、矢張り私は凪良さんの小説が好きだ!!

最後のファッションショーはちょっと出来過ぎでしたけど、それでも矢張りやり遂げた感はたまりませんね。こういうガイアの夜明け的展開に弱いです。

時代物も好きですが、BLは矢張りこういう日常ものが好きです。それで途中に何があっても必ずハッピーエンドなのがいいですねえ。(しみじみ)

6

初恋のみずみずしさは、永遠に。

受けと攻めの視点が2回変わります。
【365-1】では、綾野(受け)視点、
【365】では、紺(攻め)視点、
【365+1】では、再び綾野(受け)視点へと変化していきます。

時代は綾野(受け)と紺(攻め)が高校2年生~25歳までを
描いています。

まあ、とりあえず感想などを…

-------------------
【365-1】

綾野(受け)視点です。

一番印象に残ったのは
「若々しいみずみずしさ」。
高校生の二人がまだ見ぬ将来を夢見て、初恋の想い人と
笑いながら語らい合う……。
そんなことを誰も通らない河原なんかでされたら、
もう胸キュンものです。
あー、若いっていいなぁ…。

そして、ツンデレの綾野(受け)は、紺からの告白シーンも
ツンで返してしまいます。あー、もうカワイイ!

初エッチシーン。
どっちが上か、譲らない綾野と紺。
なかなか流されないところが綾野のツンですね。
紺はかなり強引でした。
紺の「一生のお願い。させて」は、
かなり笑ってしまいました。
でも、綾野にメロメロの紺が見れて、すごく満足な
初めてのエッチシーンでした。


そして綾野と紺は東京に行って二人で暮らす約束をしますが
綾野の母親の病気で、綾野は地元に残ることを決心します。

そして、遠距離恋愛。
1ヶ月に2回会おうという約束がだんだんと開き始め
二人の距離がどんどん遠のき、疎遠になっていきます。
焦りと怒りと紺への冷ややかな気持ちを綯い交ぜに、
綾野は紺と会い、それでもセックスして、
殆どそれだけで紺はいつも東京へ帰っていきます。

なんかやっぱりここは紺への怒りしかなかったです。
郷里に変えれば必ず綾野が待っていてくれる。
それを疑いもせず、疎遠になっているのに帰ってくる。
綾野の気持ちがどんどん冷めていくのにも気づかず…
そういう紺が許せずにいました。

紺への気持ちが冷淡になる綾野。
ついに紺へ別れると一方的に言い捨て、
綾野は紺と別れます。

-------------------
【365】

紺(攻め)視点。

紺がどれほど忙しい状況下に置かれていたかが
描かれています。
それ故に、どうして綾野と別れてしまう状況下まで
追い込まれたのかも描かれています。

しかし!
だからと言って綾野をあんなにも放置するなんて
やっぱり許せませんでした。
どんなに忙しくても、やっぱり遠距離恋愛で相手を
不安にさせるような態度は、不信を招きますし、
ヒビが入りだしたら、もう修復はなかなか難しいです。

綾野は郷里じゃない。
綾野は紺の癒し係でもないし、世話係でもない。
都合のいい時だけ、頼っていいなんて、
思い上がりもいいところだ!と思ってしまいましたね…。

紺視点でも、紺に肩入れできるところは
ちょっと少なかったかな?みたいな感じでした。

-------------------
【365+1】

再び綾野(受け)視点。

【365-1】【365】が過ぎ去った後の話。
全てが総合された話だと思います。

コンテストに向けて、
綾野(受け)と紺(攻め)が一時的に仲間になることになります。
コンテストはハプニングがありつつも
総合2位という驚異的な順位を取ることが出来、終了。
あー、私、こういうの弱いんです。
「頑張って勝ち取ったー」みたいなの。
萌と全然関係ないところで、すごく感動してました(笑)


綾野(受け)と紺(攻め)がよりを戻すシーン。
良かったです。
まるで、高校生の時代が戻ってきたかのような直球告白。

紺「……死ぬほど綾野が好きだ。
  俺にはおまえだけだ。おまえは?」
綾野「俺だって紺しかいない」

くあー、直球!そして、クサイ!
でも、あまりに心にズドンときました。


そして、半年ぶりのエッチシーン。
濃厚でした。
紺、挿れてすぐイッちゃうとか、高校生じゃあるまいに(笑)
あー、でも絶倫攻め、最高です。大好物!

綾野も東京に出てきて紺との距離も
縮まって大団円でした。

-------------------

「最初の視点が綾野だから」
「綾野視点の方が多いから」
という理由だけでなく、やはり綾野の方に
入れ込んでしまいます。

周囲の状況を見ながら的確に判断し、
「良い」「悪い」を正確にとらえているのも一因かな、
とも思います。
それに紺への愛情もたくさん感じることが出来たのは、
綾野の方でした。

紺は……うーん、多忙なのは分かるけど、
もっと綾野を気にかける時間を作って欲しかったかな。


表紙やタイトルを見て
期待しすぎてしまったところもあるのですが、
今回は「萌」の評価でお願いします。

4

若者の特権

作家買いです。凪良さんてリアルな描写がとてもお上手な作家さまだと常々思っているのですが、この作品もすごくリアリティにあふれてるなと感じました。

お互い自分の夢に向かって頑張る二人。まだ若い二人にはその先の挫折やしんどさは想像もできなくて。でもそれらを知らないからこそ走っていける部分もある。若者の特権だなと思い、また若者らしい二人の高揚感に懐かしさを覚えました。

二人でやっていけると思っていたのに突発的な出来事がおこり一人は都会へ、そしてもう一人は田舎に残る。ただの遠恋というだけではなく、お互いに仕事に関しても認め合う仲だからこそ、また同じような分野で頑張る二人だからこそ距離が出来てしまうというのが非常に良かった。

紺くんはあれはちょっとダメでしょう。綾野くんに甘えたくなる気持ちは分かるけれど綾野くんは君のお母さんじゃないし、故郷でもないんだよ。と言いたくなってしまった。美山くんがキツいながらも本質を捉えていて、紺くんみたいな甘ったれは美山くんみたいな子の方がうまくいくんじゃないのかな、とか思ったり。

綾野くんはひたすら可愛かった。頑張り屋で、周りを見る度量もある。まだ若いのにお母さんを気遣えるし。紺くんのマンションで美山くんと鉢合わせした時は綾野くんが可哀想で、思わず「紺のバカッ!」と思ってしまった。
恋人は仕事もうまくいってるのに、自分は田舎でくすぶるだけなのか、というあの年頃ならではの閉塞感も手に取るように分かり、それでも自分で新しい世界への一歩を踏み出す彼にきゅんとしました。

ただ恋愛という視点だけでなく、お互い仕事に向けてのプライドや想いが絡んでいてどっしりとした内容のストーリーになっていると思います。

この作品のスピンオフである「いとしのいばら姫」を読んで「365+1」を再読したので、美山くんの好感度が上がって仕方なかった。みんな夢に向かってがんばれ~とオバサンは陰ながら応援しています。

9

若さ故の閉塞感

田舎の高校の同級生二人。
専門学校を出て1人は東京に出てスタイリストの卵、1人は地元で美容師。
誰よりも近くにいた二人の友情は、それぞれの中で恋になり
実は両想いだったと確かめあったと思ったら、遠距離恋愛となり
それぞれ忙しさの中、いつしかすれ違いや距離が生まれ……

こうして書くと設定は陳腐なんだけれど、
語り尽くされたような若者達の挫折と成長の物語を、
面白く読ませる作者は、やはり上手いといえるのだろう。

両想いになるまでの初々しい恋心にキュンと来て、
その後長い付き合い故の互いの甘え、プライドやコンプレックスや嫉妬……
そうして一度は別れを選びながら、やはり互いしかいないと気がつく。
それぞれが大人になる中で、自分の力のなさに傷つきもがき
そして生き方を見つけていく。
これも陳腐な展開なのだが、脇役やエピソードが魅力的。

モードフェスの準備の下りは、ありがち出来過ぎと分かっていても
ワクワクと読んでいて楽しかったし、
当て馬の美山が、とても魅力的でピリッと物語を引き締めていた。
毒舌ででも本当は寂しさを秘めた超美形モデルの彼は
美味しいスピンオフ要因という感じか。

面白かったしよくできていると思うのだけれど、
個人的には強い吸引力は感じなかった。
主人公二人も青くて微笑ましくはあるのだけれど、
私にとってはアトラクティブではない。
評価は萌と萌×2で迷ったのだけれど、
タイトルが好きだったことと、小技の上手さに萌×2で。

7

等身大の男の子

高校生で初めて好きになった相手との出会いから7年越しの恋のお話。
恋愛だけじゃなく、自分たちの未来に夢を描きながらキラキラした時間を過ごす綾野と紺がすごくうらやましかったです。読んでいてキュンキュンする場面でした。

一緒に東京に行こうと思いを1つにしていた二人。そこから、とある事情で紺と一緒に東京に行けなくなる綾野。そして別々の場所で違う時間を過ごすことですれ違っていく姿がとてもリアルだと思いました。
社会人になって最初に任される仕事は雑用だったり、誰でもできることから始まるのはよくあることで、それでも慣れないことや学生から社会人になることの変化は意識的にも大きく変わっていく瞬間だと思います。
そうしたなかで、相手にふさわしい自分でありたい、自分をほこれるカッコいい存在でありたいという思いがすれ違いを生んでしまうところは切なかったです。

紺の考えていることがわからないと感じる綾野、綾野は自分のことを理解してくれている、自分たちは言葉で確認しなくてもつながっていると信じ込む紺。
そんな心のすれ違いはとてもリアルでどっちにも共感してしまい、何が悪いとも思えず辛かったです。そんな時もあるよね、と思いながら読んでいた私は自分に甘いのかもしれません。

ただ、2人が積み重ねてきた時間は2人にとってかけがえのないものを築いていてそれが2人の未来への突破口になっていくところには嬉しさがあふれてきました。
そして、すれ違っていても相手が好きという感情にぶれがないところは気持ちよかったです。

高校生から20代半ばの若い青年たちの等身大のドラマは、初々しさとそこからの可能性が見えて読んでいてとても楽しかったです。

3

遠恋のダメな見本

凪良さんの作品で面白くなかったものはあるかなあ。いや、ない。(反語)
地方の高校から専学へ一緒に進み、スタイリストとヘアメイクを目指す二人。
高校時代の淡い恋愛の始まりにはときめかされたし、遠恋になってうまくいかなくなったときはそれぞれの視点から読ませてもらえて、どちらにも感情移入することができた。
しかし綾野のお母さん。母親として違和感は拭えなかったあなあ。
もうちょっと子供のことを考えてやるもんじゃないかなあ。
まあそれがなかったら話は進まないわけですが。

5

リアルさが消えたような…

あらすじにも「道を違えたことですれ違い始めるふたり。」とあり、
受けの綾野がいかにも鄙びた美容院で働くシーンから始まるので
「鬱々するのかなー」となかなか読み続ける気にならず、ほうっていました。

最初のウツ進行を乗り越えたら一気に読めました。読みやすかったです。

学生時代は恋愛関係にあった二人が、
一方は東京でスタイリストとして働く自分に見栄を張り、一方(受け)は地方にいてオバサンのヘアをやってる現状に引け目を感じて。距離ができるあたり、心理がリアルと思いました。こと、東京にいる紺(攻め)は「綾野はわかってくれてる(筈)」なんて、男の思考というかんじで…

そこまではリアルなトーンだったのに。
モードフェス(ヘア、ファッション、トータルのコンテストみたいもの)への参加の際に「急なことで モデルが降り、逆境をきっかけに主人公たちが活躍!」
そして(トップではないけどそこそこの)栄冠をつかむ、と。(そしてヨリを戻す)

これって…ガラスの○面以前からあるパターンではないですか。
「舞台やステージで急遽降板!主人公たちが代役を勤め、認められる」っていうヤツ。

よくあるかんじのお話しも筆力で読ませた…と、わたしは残念ながらそのように感じることができなくって;
主役の子が捻挫してってパターンだよね?!リアルさが一気に消えたよ?! ってふうに感じってしまったんです。

エピソードがありふれてる~;と思ってしまった為、評価をかなり下げてしまいました…。
そこが気にならないなら かえって読みやすいかもしれない、とも思います。

5

長い月日

高校生の時から、ずっと好きだった二人が
夢と希望を目指していくラブストーリー。

長い年月の間には、いいことばかりではなく
お互いの気持ちにすれ違いも起き、いろいろな事情から離れ離れになったことで
加速する不信感とそれを打ち消したい気持ち。

あんなに好きだった、夢に向かって一緒に暮らしながら頑張るはずだった二人が
まさかの遠距離恋愛となり、最初の約束はなかなか果たせなくなる現実。
毎日の生活と、すれ違う想い。
綾野の気持ちにも紺の気持ちにも、どちらにも共感できました。
離れているからこそ、不安になりちょっとしたことを疑ってしまう綾野に対し
田舎で待つ綾野が心のよりどころである紺との微妙な心のズレが
ちょっとづつ大きくなって、最終的に大きな溝になって崩れてしまう。
でも、そこからその溝を埋めて、また一人で前に歩きだそうとする綾野と
やっぱり綾野を忘れられない紺の気持ちが、一緒になるまで時間はかかっても
納得できる結末でした。
綾野目線での気持ちの章365-1と紺目線での気持ちの章365
そして最後にお互いの気持ちが重なる章365+1
同じ内容なのに、綾野目線と紺目線でこんなに違うとは。
こういう描写、なかなかいいと思いました。

お互いが大人になったことや今までとは違う環境、人、仕事・・・
すべては時間が流れたことで、変わっていく何か・・・
「何度手を離しても、自分の戻る場所はここしかない」
回り道はたくさんしたけど、やっぱり自分の愛する人はこの人・・・と
辛いこと苦しいことを乗り越えた二人が、自分たちの居場所を確認できた瞬間。
大好きだった人を、もっと愛してると再認識した二人が燃え上がる夜は最高でした。
何年もの間離れていた心と体が、久しぶりに水をもらった植木のように
与えられても与えられても足りなくて、貪欲にむさぼりあうようなSEXがリアルで
長年の付き合いなのに初めてみたいな初々しさ、すごく良かったです。

当馬の美山も憎めないですね。
最初、紺のマンションで鉢合わせした時はなんの嫌がらせか・・・と思いましたが
最終的にはやっぱりいいやつ。
それを見抜いた綾野もその時はもう大人だったんですね。
美山の悲しくて辛い部分をちゃんと理解していた。
美山にも素敵な人と幸せになって欲しいと思えました。


10

素敵な作品でした

買う前にこちらのサイトで情報を得てから買いました。

レビューは読まずに買ったので、
他の方が読んでどのように感じたという前情報は得ずに読みました。


高校時代の爽やかな青春時代からお互いに意識し合い、付き合い出す2人。
その頃は、お互いにやりたいことが決まっており未来は明るかった。だが、綾野に事件が起こり、2人が描いていた未来通りに行かない。

何が起こってもこの人となら大丈夫だと思っていても、少しの不信感から相手が信じられなくなり、うまく行かなくなることは、本の世界だけではなく現実世界にも起こること。

切ないシーンもあり、にやにや出来るようなシーンもあったりと、とても素敵な作品でした。

2

その先へと続く物語

高校時代に知り合って、
恋しているのに気付いて、
でもそれを隠しながら友人として付き合って、
共に将来の夢に向かって進んでいるうちに、
ようやくお互いに好きだと告白して、
幸せの絶頂にいたのも束の間、
一緒に東京へ行くはずが、一人は地元に、一人は東京へと離れてしまい、
時が経つにつれ、心の隙間がどんどん開き、
一度は別れるけど、
最終的には、より強く結ばれる話。

お互いを意識し始めてから10年近くの時の流れ。
この先も紆余曲折、右往左往しながら、二人は付き合っていくのだろうな。
その先へと続く物語が確かにあると思わせてくれる。
神です。

後書きの、キャラクターの年齢の話に激しく同意。
色々読んでて、作品に違和感を感じる時って、この年齢のキャラだったらこれはないんじゃないって思う時。
この作品、作者様がわざわざ後書きで言及する程だから、ちゃんとその年頃なりの悩みが表現されていてよかったわ。

5

ありそうな物語

作家買いです。
まず一言目に、今回もリアル感溢れるお話を書いてくださいましたね凪良先生!と言いたいですw

何か大きな問題が起こるわけでもなく、それこそ小さな田舎町に住む少年たちが、自分の夢を叶え都会へと羽ばたいていくを夢を見る。その中に恋愛も含まれているといったお話でした。
ある意味、特別な何かがないからこそ、現実味があって読みやすかったです。
特に、高校生がファッション雑誌を見ながらあれこれ意見したり、専学の卒制の後にベロンベロンになるまで酔っ払っちゃったりってきっと普通にありますよね(笑)

そして、遠距離恋愛ならではの不安や鬱屈とした思い。
綾野の美山に対して抱く嫉妬なんかは可愛いのに、発言や考えは男らしかったり...でもそれがあったからこそ、ラストのシーンで美山の髪を切らせてもらえたんですから結果オーライかもですが、私個人としては綾野の性格は最後まで掴めなかったので、そこが少し残念でした。
紺の気持ちも痛いくらいわかります。私だけでなく、きっと誰もが経験する気持ちなんじゃないでしょうか。一人だけ外の世界に出て、まわりは自分に期待をしている。その期待に応えられるうちはいいですが、それが出来なくなったときの辛さが繊細な文章で綴られており、自分は女なので、男性の考え方や同性愛者がぶつかる壁については同調することはできませんがそれ以外の面であてはまることや思うところが多くて、一つ一つのシーンが心に残ってます。

話としては先の読める展開で何か刺激のあるような物語では決してないのですが、この世の中にあるかもしれない恋愛を描いたような作品です。
時をかけてゆっくりと進んでいく二人の恋愛を見守りたい方にはお勧めします。




6

物理的距離と心の距離

本作は【365-1】受け視点【365】攻め視点【365+1】受け視点
の、3部構成で成り立っていました。
時間軸がリンクして、受け視点で語られた部分の攻めの理不尽さが、攻め視点によって解き明かされ、この2人にとって何が問題だったのか明確にされ
そしてラストの+1にてそれが融合して和解を見る。
とても解りやすい構成であったのですが
何よりも、彼等が夢を持ちながら同じに進む事ができなくて遠距離恋愛となり、そのすれ違いを描いた作品でもありましたので
非常に身近に、多分遠距離でもなくても起こりうるすれ違い。
彼等の持つ夢と現実。
等、テーマに置かれたものは非常に身に覚えのある感覚が描かれていたのではないか?と思われすんなりと胸に響いてくるのです。


お洒落に興味があることから仲良くなった高校時代。
綾野は美容師に、紺はスタイリストに、それぞれの夢を抱いて専学で学んだあと、上京して2人とも東京で働くはずであったのに、女手一つで育ててくれた母親が倒れた事により綾野は地元に残る選択をし2人は遠距離恋愛となってしまうのでした。
紺は有名スタイリストの従兄弟のアシスタントとして華やかな世界で働き、綾野は母親の美容室で変わりばえのない常連を相手にし、
次第にメールや電話も遠のき、綾野はあきらめと焦りを感じ始めるのだが・・・


2人の高校時代のエピソードからの会話、専学に通っている時卒制で紺に綾野が告白された場面。
ちょっぴり甘えたちゃんな雰囲気も魅せる男前外見の紺に、ちょっぴり素直になれなくてツンを見せてしまう綾野。
紺が綾野にじゃれるように寄り添う場面とか、この2人にキュンキュンしちゃうんです。
・・・しかし!4年経過して、この2人のすれ違いぶり!

【ー1】の部分では綾野の気持ちに同調します。
どうして紺はこんなにそっけなくて即物的なのに、綾野が悩んでいるのも気がつかないで自分の都合ばっかりで綾野を扱うんだろう?
こんな嫌な奴だった?何かあるの?

【365】でそれが判明します。

どっちもどっちかもしれないけど、でも幾分か紺のほうが悪いかもな~
2人とも自分で手いっぱいで相手を気遣ってやれなかった。
自分をわかってくれているという思い込みと、聞けない臆病さ。
でも、その心の距離を生んだのが物理的距離かもしれないのです。

やはり恋人は側にいてこそなのかな?いや、側にいないからこそ自分をさらけ出す必要があると。
それを上手く演出していくのが、綾野の嫉妬の対象となり、何かと紺に絡むモデルの美山でした。
ちょっぴり高慢で意地悪で、冗談なのかホンキなのか?
でも彼は憎めないキャラクターですね。とっても良い味を出していました。
彼等はいい友達になれると思うな~

そして【+1】にてすれ違った2人が、昔語った紺のポリシーを実現することで結びつきを復活させるのです。
いいや、切ったつもりが諦めたつもりが、それは2人の生き方の共通のモノとして息づいていたんですね。やはり互いしかないと。

恋愛と生き方、そんなものが同時進行していくストーリーはとても自分にとって魅力を感じます。
いつか、2人で語った夢を本物として実現出来る日がくることを祈って☆

18

リアルな恋愛

リアルです。
凄いリアル恋愛!!
両想いの二人が進路の都合で都会と田舎に分かれて
どちらが悪い訳でもないのにすれ違いが重なって
別れにしか繋がらない・・・・

リアルすぎて読んでて辛かった~~~!!!!!( >Д<)

前半は受け視点、後半は攻め視点になってて
こういうのは凄く好きです!
どっちもそれぞれ考えてることや悩みがあって
でもそれを一番に分かち合えるのは
お互いじゃなくなってしまうのが切ない・・・・

凪良ゆう先生の小説って鋭く心を切りつけてくる所があって
今回は切れ味抜群すぎて凹んだ部分が大きかったです。
そこが好きな部分なんですけどね(`・ω・´)

当て馬も憎めない男で幸せになって欲しい!!

5

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