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表題作隣人はチャイムを二度鳴らす

青柳静夏,マンションの隣人,フリージャーナリスト
坂梨智之,中堅商社経理部のサラリーマン,27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

過去の恋からトラウマを持つ坂梨は、人との関わり合いを避けてきた。しかし、隣人である青柳と親しくなるにつれ、心が揺れて……。

作品情報

作品名
隣人はチャイムを二度鳴らす
著者
中原一也 
イラスト
ひたき 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576141565
3.4

(24)

(4)

萌々

(9)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
79
評価数
24
平均
3.4 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数8

辛すぎる過去が今に繋がる

辛かった。途中までは辛くて辛くてこちらも気分が不安定になりました。
坂梨の辛い過去と死んだように生きてきた今までが辛くて切なくて。私も元カレと妹を恨みました。

そんなときに隣人の青柳と出会って。
青柳の過去も辛すぎて凄絶で。

でも坂梨があの過去があったから今がある、このマンションに住んだのも、青柳と出会ったのも、ただの隣人ではなくなったのもあの過去があったから繋がってるんだというところで、泣きそうで喉が苦しくなりました。

一度は青柳から逃げ出した坂梨が今度はちゃんと青柳を捕まえる、元カレの時とは違う求めるだけじゃなく与えたい、何があってもそばにいたい、愛したい気持ちが、暴走した青柳を引き留められましたね。

犯罪の加害者と被害者遺族の問題は本当に辛いです。特に今回のような場合は。

でも青柳は坂梨が枷になってくれるからもう大丈夫ですね。冷静に事件を追えますね。
そして坂梨も醜い自分に怯えることなく全てをさらけ出して一緒に背負って生きていけますね。

途中まで本当に辛かったのですが二人が結ばれてからは一気に読めました。
「好きだぞ」「愛してるぞ」いいですね!

最初は青柳の登場に、きたきた!中原さんの男盛りのオヤジが!と思ったらこんなに辛くて感動するお話だったとは!

2

何かいろいろしっくりこない

中原さんは裏社会で生きる男たち、を描くのがお上手な作家さんだと個人的に思っているのですが、この作品もなかなかに暗く、重いストーリーでした。

深く愛した恋人に酷い裏切り方をされ、以来死んだように生きてきた坂梨(受け)。そんな彼を見かけ、放っておくことができず気にかけ世話を焼くうちにどんどん坂梨に惹かれていった青柳(攻め)。このストーリーはとてもツボなのです。

青柳はすごく大人でカッコいい男でした。中原さんらしい、「オッサン」の魅力にあふれた男。自身も過酷な経験を持ち、それでも身を持ち崩すことなく自身を律して生きてきたけれど、それでも過去を忘れられずにいて。そんな時坂梨に出会い、徐々に自分を取り戻していく。
その過程はすごく良かったのだけれど、彼ってノンケさんなんだよね?なのに坂梨への恋心に全くためらいがないのがちょっと納得いかないっていうか。悪ぶってるけれど大人の男の魅力に溢れていてカッコよかった分、なんとなくしっくりこなかった。

受けの坂梨も。恋い焦がれた恋人の加瀬にあんな風に切り捨てられた彼の悲しみはすごく良く理解できる。が、青柳に惹かれていく過程があっさりし過ぎっていうかよく分からない。

しかし一番納得いかないのは坂梨の元彼・加瀬と、妹の雪菜。
あれだけ求愛しておいて、あっさり他の女に心変わりするって…。たまたま坂梨の妹だった故により修羅場になったわけだけれど、それにしたってあまりのクズっぷりに何とも言えない気持ちになった。
そして雪菜も。兄の恋人と知ってショックだったのはわかるけれど、その後の彼女の行動にもなんだかなあ…、と思ってしまった。いっそのことこの二人は坂梨をぶっちぎって恋人になるなり結婚するなりした方が自然だったと思う。別れたけど、でも…、っていうのが何とも理解しがたく気持ち悪かった。

坂梨の過去の失恋と、元彼と妹の恋。
青柳の過去の事件。
それぞれが重すぎて、ちょっと消化できなかった。坂梨の妹が絡んでいなかったらまだよかったかも。

8

死んだように生きている受けはお好きですか?

たまたま隣人として暮らすようになった青柳と坂梨が、ゆっくり、ゆっくり近づいて、それぞれの囚われていた過去を乗り越えるお話。
あとがきに、何度も何度も没られたプロットとありましたが、確かに「中原一也の本」としては、過去を秘めワイルド系フェロモンオヤジを攻めに据えてようやくプロットが通ったっていうのは納得。
元々描きたくて、当初通り描ききったのは坂梨の方なら「中原一也の本」としてなかなかプロットが通らなかったのも納得。
BL小説を書いていくなら、一度はちゃんと書きたかったっていうのも納得。
「中原一也のワイルド系おっさん」だけを楽しみに読むなら、ちょっと坂梨サイドのストーリーはきつく感じる方もいるかも。

0

内容は面白かったんですが

本の内容としては面白かったです。
青柳(攻)が坂梨(受)に対して見せる、見かけとは違った細やかな気使い。
やっぱり、色々経験してきた大人ですよね。
過去の事件から自分自身もふっ切れてない故に坂梨の抱えている苦悩が気になり関わってしまいます。

過去に自分が罵倒した言葉や行動、醜かった過去の自分をどう消化したらいいのかわからない坂梨。
そんな坂梨を見て、青柳自身も過去に捕らわれ人生を無駄に過ごす事を止めなければと思い出します。

ゆっくりと坂梨の心に青柳は近づいていきます。
無理矢理聞き出そうとはしません。
でもいつも絶妙なタイミングで坂梨に手を差し伸べます。

二人で支え合う関係になっていく過程が、すごく丁寧に書かれて引き込まれていきました。

わかってるんですよ?坂梨の抱えている苦悩を考えたら、そのくらいダメージを受けるような出来事として書かれる内容だとして仕方ないのは(笑)

ただどうしても坂梨の元カレ加瀬が気に入らない‼︎
初めは加瀬はゲイだと思ってたんです。
だって、高校からの顔見知りで大学の同級生でノンケだった坂梨をいきなり好き好き言って押しまくって交際に持って行ったくせに
坂梨の妹が同じサークルに入って来たら加瀬は坂梨との関係をキチンと終わらせる事無く妹と付き合い、半年も二股⁉︎
兄妹だって事がわかっていながら、あーもう絶対無理!
妹とも、仲の良かった兄妹だったのに兄と身体の関係があった事もわかっていながら、いくら兄が許してもヨリ戻す?いつまでも想い続けていられる?考えられませんよね。

坂梨が許しても私的には許せません(笑)

8

社会派ヒューマンドラマBL

筆者があとがきで、
プロットに何度も没を喰らったエピソードを書かれていたが
それはそうかもしれない。
とても面白かった、が、
どちらかというとヒューマンドラマとして読んでしまった感じなので……。


大学時代の親友がやがて恋人になり、幸せに過ごしていた矢先の別れ、
その手痛い傷を5年経っても未だ引きずって、
日々死んだように生きる会社員・坂梨。

その隣の部屋に越して来た、年上の男・青柳。
いい加減に見える彼もまた、辛い過去を持っているのだが
だからこそ惹かれ放って置けなかったのか、
頑なな坂梨の心に何度もチャイムを鳴らし、
少しずつその扉が開いて行く中で、青柳自身も変わっていく。
じわじわと互いの心が近づき、癒し合っていく過程、
そして最後は、それぞれが自分の過去と和解し新たに生き直していくまで。


中原さんのオヤジとしては小綺麗め(比較の問題)な青柳も
自身の言動を悔やみ続けていた坂梨も、キャラクターは魅力がある。
話の展開も悪くないし、そんな二人のエロは心にしみる。
が、最後のクライマックスはいささかやりすぎだったのでは?

青柳の凄惨な過去については、深く心を揺さぶられる。
それに対する怨念と執念はよくわかるが、
ポケットに入れていた使おうとした道具が、どうなのだろう?
地に足のついた感じの読みでのある物語が
ちょっと一般の感覚と離れてしまって、絵空事になってしまった感じ。
そこが☆マイナス一つ。

3

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