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作者名を知らずに読んでも、あぁこれは月村さんのだなとわかると思います。
月村作品を何冊も読んでる人なら。
両親を相次いで亡くし、頼る人もいないから、独りで必死に生きている空。
事故がきっかけで攻めの堤と出会って、堤の店でバイトすることになるんですね。
で、必然的に堤の家族と過ごす機会が多くなるんだけど、元気な小学生の姉弟がかわいい。
姉弟のわちゃわちゃっぷりと、否応なしに巻き込まれる空との絡みが好きです。
堤ファミリーの幸せを願うからこそ‥‥という健気な空だけど、なんせタイトルが「家族になろうよ」ですからね。
いずれは「家族」になるんだろうなぁという保証付きなので安心して読めます。
月村作品に時々登場する毒母みたいなアクの強い人物も登場しません。みんないい人ばかり。
くわぁ〜萌える!!みたいなところはないんだけど、とりたてて特筆すべきことのない日常こそが尊いみたいな感覚と通じるというんですかね、派手さはないけれど楽しく読めました。
身寄りなく将来の夢も希望もない就活中の学生 空が主人公です。
生活するだけでいっぱいいっぱいの余裕のない毎日の中で
奨学金返済のために安定した企業に就職したいのに内定が出ず焦るばかり。
なんで自分ばかりが不幸なのかと心の中で他者を羨んだり、うまくいっている人からの励ましや温かい言葉も皮肉か自慢かと素直に受け取れない自分の汚さに落ち込んでしまうような純粋ないい子なんです。
そんな自分を嫌悪し心根が悪いからうまくいかなくて当たり前だなどと思う空が可哀想で抱きしめてあげたくなりました。
いろいろうまくいかないときに成功した友人に心から祝福できなくてもそんなに自分を責めないでよ、と。
自転車事故をきっかけに知り合った善意の塊のような一家に、冷たく凝った心が温められ幸せを感じながらも束の間の幸せなのだとあきらめたような悲しい思いが切なかったです。
幸せだったと言いながら別れる場面では泣きました。
好きで好きで大好きな人に想いが伝わり同じ想いが返される奇跡。
でもこれは相手の家族の誰も幸せにしないだろうからと
引き裂かれる思いで嫌われるよう仕向ける空の決意が哀しいです。
別れのあと座り込んで泣くイラストの後ろ姿も切なすぎます
でもそれを鵜呑みにせず諦めなかった隼人に感謝です。
末長い幸せを…
月村先生の過去作品遡り中で、これは2014年年末発売作。泣いちゃうハートフルなお話でしたので萌にしました。本編200Pほど+あとがき。月村先生がお好きな方は安心してお読みいただけるのではと思いますが、今就職活動まっただ中な方には前半辛いかも。
頼れる身寄りもなく、バイトと奨学金を頼りになんとか大学に通って3年。大学卒業したら奨学金返済しなければならないし学生限定のアパートを出ないといけないので、何が何でも就職しないと!と、将来不安いっぱいのある日、自転車で男性に接触してしまい・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
攻めの父、姉、姉の子(♂♀)。この家族がほんまにハートフル。ハートフルっていう言葉がぴったり。定食屋を営む方々ってこういう包容力持っているのが当たり前なのかな?すごい。
**以下 より内容に触れる感想
受けは「自らがゲイである」と自覚済み。中学生ごろに淡い恋心の玉砕があったために、家族は持てないと思っている、身寄り無し美人さん。絵に描いたような薄幸美人。生きていくのに必死なもんだから、内定もらえず泣きそうになるのはすっごく良く分かります・・と、シンクロしてしまって、なかなかのどん詰まり気分を味わえました。
攻めは商社勤めを辞めて定食屋を継いだ孝行息子さん。イケメンで包容力あり料理でき優良物件ではありますが、自営で出戻りコブ付き姉と父が同居していてというところがややハードルという方。なんだけど、この家族が良い。父親は血のつながっていない子供を育てたほわわん優しい系。姉ちゃんもサバサバしていて弟の事を大事に思っています。二人のお子様もそれはそれは子供らしい小学生たちで良い・・・そんな攻めの定食屋に癒やされる受けの様子を見ていると、こんな定食屋に食べに行きたくなりました。
なんだかんだあって、家族になるというお話。キャラがみんな温かいので、ほんまに良かったなああと思うばかりです。ただ最初に書いたとおり、就職に苦労している最中の方はすごくシンドイかもしれないので、ご注意ください。
月村奎さんらしい、優しさに満ちた作品でした。例によって物語の緩急…ドキドキハラハラという点では物足りないのですが、そのぶん安心して読めます。主人公の空が就職活動に疲弊し、ネガティブな感情に支配されてしまう様子にとても共感しました。
個人的に月村さんの作品は恋愛より家族愛のほうが印象に残ることが多く、今作も、空と堤家との絆にホロリとしてしまいました。
この本は、空が身を引こうとする描写が印象的でした。両想いだからと言って、素直に自分の幸せだけを考えるのではなく、相手の幸せを考えている彼がひねくれているけれども、素敵な人間だと思いました。
恋愛要素は薄いかもしれませんが、就活生の苦悩が書き綴られていて引き込まれました。自分が苦しいとき、周りの人間の幸せが願えなくなるようなことがいやだというような言葉に共感しました。
また隼人の『泥だらけになって何かを取りにいかないといけないときもある』というような言葉がかっこいいなと思いました。
ネガティブ受けが好きな人にお勧めです。
