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あるようでなかった?おとぎ話のBLパロ短編集。
どのお話もおもしろい。
シンデレラと王子がSMの趣味でつながるとか。
赤ずきんちゃんが、かわいいお顔をしていちばんのワルだったとか。
人魚姫が美形男子で、実業家の恋人になりシーサイドリゾート計画を阻止するとか。
美女と野獣では、編集者のベルモントくんがかわいかった。
野獣の小説家がベルモントくんに似合う男になるためダイエットをしたのに、かわいく…ない‼︎と言われたオチは笑いましたw
どのお話も線が細く洗練された美しい絵でしたが、美女と野獣は初期作品のように線が太く味があってこちらも好きだわぁと思いました。
完全に好みですが(5☆満点)
すごい ☆☆☆
面白い ☆☆☆☆
内容が好き ☆☆☆☆
絵が好き ☆☆☆☆☆
キャラが好き ☆☆☆
萌える ☆☆☆
誰もが知っている童話をモチーフに、えすとえむ先生ならではの低温度で新たな物語が展開していくのが面白かったです。といっても、一部だけなぞらえるわけではなく、最初から最後まで結構童話に寄せています。
◆赤ずきん
そういえば元の童話もよく考えると殺伐とした話だよなぁ、というのを思い出させてくれました。狼を老女の遺産目当ての詐欺師に変えたところがなんともユニークで面白い。赤ずきんは狼に喰われてしまうのかな?と思いきや、実は彼の方が一枚上手。最後の最後に罠にかかった詐欺師に、赤ずきんが今後どうアプローチしていくのか気になります。
◆美女と野獣
美女に当たる新人編集者の主人公がとっても可愛かったです。野獣役は気難しそうな作家。冷たくあしらわれても一生懸命仕事に励む健気な主人公。もっさりしていた作家も最後はダイエットで美しく生まれ変わりますが、主人公は前の姿の方が良かったというオチがえすとえむ先生らしいなと思いました。
◆かぐや姫
長身と涼しげな美貌でモデルとして見出されるかぐや。彼を見出したデザイナーの元を、最終的には離れるというところも、竹取翁とかぐや姫の関係性を模していて好きですね。読者に少し解釈の余地が残されているところも、かぐや姫らしく、余韻の残る作品でした。
シンデレラ、赤ずきん、人魚姫、美女と野獣、かぐや姫、カルメンといった話に、えすとえむさんらしいブラックユーモアとエロスを加えて仕立て直したBL流童話パロディです。
シンデレラのガラスの靴は、SMプレイの思い出の品として生まれ変わり…。(クイーンが王子様に授けた名前「プリンスアルバート」は、あそこの先端にするボディピアスのことだったのね。調べてわかった。)
赤ずきんはオオカミさんのあそこをしゃぶりながら「あなたのここはどうしてこんなに…」と…。
美女と野獣は、せっかく華麗に変身したのに相手がまさかのデブ専好きだったため変身前に戻らされてしまったり…。
印象に強く残ったのはカルメン。初コミックの「ショーが跳ねたら逢いましょう」でも、独り舞台でカルメンとホセを演じるダンサーを描いていましたが、えすとえむさんはお好きなのかな。
こういう作品はえすとえむさんしか描けないと思うので、文句なしの神です。
シンデレラ、赤ずきん、人魚姫、かぐや姫、美女と野獣、カルメンが、
漫画家さん独自の解釈で、現代BLに仕上がっています。
ダークジョーク、エロティックな雰囲気に満ちていて、ついひきこまれます。
ストーリーを楽しむというよりは、空気感を楽しむ感じです。
個人的には、人魚姫(男)の濡れた黒髪と瞳がなんともなまめかしくて好きです。
あと、かぐやひめの「オキナ」の解釈がとてもよかった!
最後のシーンでは震えました。
大人な童話BLパロディです。
あ、そういう話!お伽噺なんですね。
シンデレラはうまいことオチがついたな~。赤ずきんはとんだビッチだし、人魚姫も魔女が出てこない分、代償が現実的。
美女と野獣においては、ベルってあの獣姿の王子だから好きになったんじゃないの?と常々思っていたので、ですよねーと共感した。ってこんなこと絶対ディズニーファンの方々の前では言えません。
かぐや姫の変換の仕方もすごくよかったし、カルメンは初期のえすとえむさんを思い出して、懐かしい気持ちに。