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人狼もの。このシリーズは電子含め四冊読んだが、この作品が一番好き。
ゲイに風当たりの強い土地で地位を持つオーブリーが、男のメイトに出会い、生き方を変えられるのか?というお話。
ゲイに冷たいといっても、会話の中で出てくるだけで、実際にゲイがキツイ差別を受けるシーンなどはないため読みやすい。周囲は協力的で雰囲気は温かく、オーブリー自身の心の問題に絞られている点も良かった。
と、内面的な問題は一点に集約されているが、小さな事件はあちこちで起こりまくってしっちゃかめっちゃか。人狼設定もまた新しいものが出て来たり、希少であったはずの能力を普通に持っていたりと何でもアリに。
オーブリーはじっくり悩む暇もないほど常に何かに巻き込まれており、同情を禁じ得ない。一人で抱え込む性格や責任感に好感度が高まる。どんなときも能力のせいで相手の感情を読み取れるのもまた辛いだろうと思った。
どちらかというとマットの方が可哀想だと思うところなのかもしれないが、個人的にはどうしてもオーブリーに肩入れしてしまいたくなった。
転機となったマットが連れ去られた事件は、シリーズの別作品で語られた事件が絡んでくる。そこでオーブリーにモヤっとしていたところも晴らしてくれて、個人的にすっきり。マットとの関係への決断も、直接のきっかけはその事件だが、今までの数々の反省を終えてからになっていたので良かった。
深刻な問題が絡んでいるのに作品の雰囲気は明るさを保ち、登場人物がほぼ全員善い人ということもあり、長さを感じず最後まで楽しく読めた。
すごく好きだったのが、マットと群れの狼とのじゃれ合いシーン。変身後のモフモフ狼姿で絡まり合う様子が生き生きと描写されていて、映像が浮かんできそうでとても良かった。
気になったのは、個々人の能力の違いが様々で、把握が面倒な点。この人狼は相手の感情が読めるが自分は隠すのが上手い、みたいな特性を次々と後出ししてくる。フォロー説明を入れてくるタイミングは最適で分かりやすいが、頻出するので少々疲れてしまった。
全体的に人狼の能力設定を上手く使い、スピード感を持って話を進めてくれた。エピローグは可愛らしく、読後感も良い。面白かった。
シリーズ進むにつれてどんどん好きになります。
◾︎オーブリー(キートンの兄)×マット
相変わらず、前巻と比べてこんなキャラクターだったっけ?となるけど、メイトから見たメイトはほとんど別人なのだと思えばそれもまた。
コードにアドバイスをしてオーブリーの怒りに触れた後、月明かりの下のマットの描写が美しくて好きです。絵画のようだ。
マットがとにかく可愛いから、オーブリーの振る舞いにずっとソワソワしてました。反省したふりをしてみても、反省しているポイントが的外れでヤキモキ。カーソンにタラの同伴を指摘されたときもそう。
「マット以上の相手を見つけるのは、この先、難しいだろう」なんて発想をまだしてるのか、オーブリー!マットと他を比べるなんて愚かなことを!と憤ったり笑
マットが「抱いてくれる?」と言って、その後のオーブリーのセリフに受け入れられなかったと勘違いするところなど、可愛すぎる…抱きしめたい。
イラストではオーブリーもシュッとした男性に見えるけど、もっとガッシリした男らしい雰囲気なのでは…と思い始めて、脳内で体重を増やしました。
オーブリーが挿入される側になるセックスもありましたが、年齢も上で社会的地位もあるオーブリーが主導権を握ってます。結局手綱をマットがうまく握れたかというとそうでもない気がしてならない。
マットのくすくす笑いで終わるところはとても愛しいです。オーブリーも大好きなマットのくすくす笑い。
一方で、無理矢理人狼にされてしまったカーソンや、ボスキーの行く末など、まだまだ気になるところが沢山あるんだけど!という終わり方でした。特に禁止されていと「狼を狩る法則」で言われていたはずの"相手の合意なしの人狼化"毎度毎度してるんだけど大丈夫なのか?命を救うため、みたいな大義名分がないところ、ボスキーはどうなってしまうのでしょうか。
今回、メイトを失って破滅した人物をオーブリーに見せつける展開で、オーブリーは幸いにも破滅の道を進みませんでしたが、なんとも苦しい。
友人の頭が目の前で爆散したのにすぐに落ち着いた日常を取り戻すマットは大丈夫か?狼で狩りなどしてるから落ち着いていられるの…か?
人狼シリーズ第3弾。
第2弾の「狼の遠き目覚め」のラストからの流れでレミの弟・スターリングの話になると思いきや、1作目「狼を狩る法則」のキートンの兄・オーブリーが主人公でした。
つまり内容としては1作目の後日譚的な展開。というのも、「〜狩る法則」で起きた事件が本作で大きな意味を持ってくるため。
作品のページ数でも一番長く、登場人物たちの立場と葛藤、サスペンス的な部分もあり読み応えは充分。
特に、オーブリーが弟・キートンと同じくゲイで、しかも先にキートンがカミングアウトしたために自分は言えなくなってしまった姿。
名家の重圧、アメリカ南部のマチズモ文化に抑圧されて、前2作よりもオーブリーとメイトの絆の間に大きな障害が横たわっている…とオーブリーは考えている。
メイトを公言できず、当然隠す存在、近い将来別れる予定まで…でもメイトにそんな事はできはしない。2人は欲情の匂いに抗えず結ばれ、離れる事はできない。
それでも、オーブリーはこの事は今すぐに解決しなくても…と家族やメイトへの説明などせず、黙っているのですね。メイトには誰にも言うな、と命令までして。
そして、その事がメイトを危険にさらし、オーブリーに大きな決断を迫る展開となる…
最終盤、メイトの命の危機があり、物語は緊迫したクライマックスになだれ込み大変な読み応えとなります。最後に悲劇の側面もある大きな盛り上がりがくるので、全体が「面白かった」という印象で読み終える事ができます。
さて、辛口意見も。
オーブリーのメイトは、2作目のジェイクの仲間「ガジェット」の長男・マットでした。
この人狼シリーズ、元々の設定は、人狼は男性でメイトは一般に人間女性、そしてメイトに一生会えない人狼もいる、でしたね。
なのにこのシリーズでは、狭い狭い人間関係の中であの人もこの人も実はゲイで、そのメイトもその人間関係の構成メンバーの男性で。
スピンオフ形式の悪い面が出ている。つまりご都合。
「人狼」がそもそもファンタジーなんだから、ゲイが多い事もメイトが同性である事もごく一般的なのだ、という設定にしとけばよかったのに。
最後に一つ賞賛を。
イラストの麻々原絵里依さんのシリーズ起用はとても良かったと思う。
本来このシリーズの人物イメージはもっとガチムチなんだと思う。しかし、すっきりとした美形イラストになった事で日本のBLファンの読みやすさが格段に上がったと思います。
あと、リバ描写が一回あり。これは私にはご褒美。
第1作の主役のカップル(受け)のお兄さんオーブリーが主役
ややブラコン気味なところがありながらも間違った方向に行ってすれ違ってしまったけれど誤解が解けて弟とも義弟とも仲直り…と思ったけれどこのお兄さんには何やらまだ隠し事がいろいろあるらしいのです。
弟の友人が大学に通う間下宿させることになった
やってきて初日でメイトであることが判明!
またもや同性カップル誕生
家も事業も継ぐ身のオーブリーにとってその思いは密かに封印してなかったことにすべきなのに、そうできるほど自分は強くないと言い切り、卒表までの秘密の関係を決意するのでした。
マークにもその事情は伝え同意の元とはいえ切ないです。
けど兄の女友達もご両親もとっても物分かり良くいい人です。
後半いろんなことが全てわかった時キートンはすごく怒りました。
カムアウトで家を追い出され兄に嫌われどんなにショックだったか。
兄と仲違いしたのが一番悲しかったからちゃんと言って欲しかったと。
兄が言えなかった胸の内も、知らず傷ついたキートンの気持ちもよーくわかりました。
数年後、の話はありませんが、
大学を出たマークがオーブリーの隣で仕事をしつつ、小さな子供がまとわり付くのを抱きしめてじゃあ一緒にご飯作ろうんかって抱き上げる、なんていう風景が浮かんできました。
物足りないと思った1作目から、だんだんこのシリーズに慣れてきたのか、今作は思いの外BL的に楽しめました。
どの作品もカップルは独立。カメオ出演はありますが。
今作は、キートンの兄、御曹司のオーブリーと、前作でやや笑いどころのキャラだったマットがかわいい受けに昇格してカップルに。
マットがどこまでも純粋なキャラで気持ちが良いです。大企業を率いる立場として、ゲイであることを隠さねばならないオープリーですが、二人がメイトであることに気づいたオープリーの父が、マットに対して、”オーブリーに負けてはいけない”と言うところが最大の良いポイントでした。オーブリーを攻めあるいは男性の象徴として、すべてのカップルに対して言える真実ですね。
脇役達が二人の応援団なので、安心して読める良作だと思います。