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碗さんの魅力、それはこれでもかと繰り出される細かいボケ。
ボクシングの軽めのジャブでじわじわ体力が削られていくように、こころがボケで侵食されて、読み終わる頃には虜に。
この作品はボケが少なめです。
残念です。
しかも他の作品では冒頭から受けが大好きすぎる!という攻めが見当違いに攻めまくる!というパターンが多かったのに、この作品はじわじわと自覚していくという、他の作者さんではよく見られる流れとなっています。
つまりは碗さんの魅力(わたしが勝手に認定してるだけですが)が、半減していると言っても過言ではない作品です。
なのですが、ボケが減った分、胸きゅんというか、胸どきどきが増えたような。
きゅんまでいかないどきどき。
鷲掴みほど決定的じゃないんだけど、ちりっと胸が鳴る感じ。
いじっぱりでちょこざいな由一郎に樋口が絆されていくのと同じ速度で胸が高鳴りました。
のらねこ、てなづけたった!みたいな。
立派に溺愛系攻めになった樋口の可愛がり方と、相変わらずちょこざいだけど、ちょこっとデレる由一郎も良い。
最終的にほのぼのとした気持ちになれる作品でした。
同時収録は、親友から告白された会社員の話。
付き合う or 疎遠状態になったときに、告白されたノンケはどうするか、というストーリーでした。
大事な友達失いたくない!という一心であっけらかんと受け入れてしまうのが、さすが碗さんのキャラという感じがします。
うじうじ悩まず猪突猛進。
さくっと読めます。
描き下ろしに「雨雫」の2人がボケ要員で出てきます。
くすっと笑えます。
メイン2人の掛け合いが、碗先生らしいシュールさが溢れていてすごく面白かったです。ゆいちの生意気さは碗先生作品の中でも群を抜いているんじゃないかな。くっついた後もまったく引っ込むことなく、最後まで変わらず樋口を弄ぶところはさすが。樋口が上に立った!と思っても、すぐにゆいちが優位を取り戻すので、この若さでやるなぁと驚かされます。その反面、自分の居場所を取られてしまった焦燥感から、樋口に当たっていたという年相応な面があるのも、彼にギャップを感じる良いエピソードでした。ゆいちの兄を含め、彼の家族がまた1人ひとり個性があって、そんなところも実に碗先生らしいと感じました。
碗島子先生の作品が…エロくないだと?!となる今作です。
樋口が経営コンサルにきた先、こんの陶房で出会った由一郎。由一郎を生意気な学生だと思っていた樋口だが、会うたび気になる存在に…というストーリー
テンポのいい会話で、ほぼコメディです。中盤まではラブコメですらない。
樋口と由一郎がいい雰囲気になり始めた後の2人の会話が好きでした。「今日は言わないのか ここに居たいって」「あんたが言えよ 居て欲しいって」とか、由一郎が上手に立とうとするけれど、ツン多めの受けこそデレた時が可愛いんだな。
由一郎と兄で一緒に作ったお茶碗、由一郎の茶碗はくみ子さん(兄の婚約者)が使っていて…と悲しいシリアス展開だなと思ったら、兄の茶碗は近所の犬が使ってると笑
飼い犬ですらない。碗島子先生の緩急、ほんと好きです。
惜しむらくは、樋口がゲイの方がスッキリ納得できるストーリー展開でした。
陶房を継いだ陶芸家の兄のもとで働くゆいちと、その陶房を立て直すために訪れている経営コンサルタントの樋口のお話。
まずこの樋口に対する、ゆいちの当たりがきつい(笑)
ツンデレ受けってなってるけど、ほんとにデレるの?と不安になるほどのツンっぷり。
だけど、ゆいちの樋口への態度にはちゃんと理由があるのです。
陶房の経営がうまくいっていないのは、この家族があまりに頼りないから。
ゆいちの兄、陶房の三代目は見事な天然。陶芸を辞めたお父さんはオカマになって、窯でピザを焼いているし、お母さんはなぜかそんな夫を認めているし(?)、妊娠中の兄嫁も危機感がなくて、なんだかぽや~っとしてる。
この家で唯一しっかり者なのは、ゆいちだけです。
そんなゆいちなので、樋口が来ることによって、自分の役割が奪われてしまう、居場所がなくなってしまう、と思ってしまった。樋口に対する反発心は、家族を大切に思う気持ちからだったんです。
そんなゆいちの一面を見せられ、樋口は彼に惹かれていく。
なんだか、このあたりの自然な流れは、すごくまっとうなラブストーリーに思えました(変な言い方ですが、他の椀作品とのギャップがすごい…)。
個性的な脇役が入り乱れ、椀先生らしくギャグも織り交ぜられていて、コメディ要素の強い作品です。
しかし、幼い日に兄と一緒に焼いた茶碗をめぐるエピソードなど、泣かせる場面もあって、きっちり締めるところは締めてくれます(その泣けるエピソードに、ちゃんとオチがあるところも椀先生らしい!)。
ところで、他の方が書いてくださっているように、椀先生の作品にしては珍しく、エッチがノーマルです。
お道具も使用しなければ、おもらしも腸内洗浄も尿道責めもないです。
ですが、経験のないゆいちを気遣うような愛情溢れるシーンに、これはこれでとても萌えました。
お道具もなにもないと、受けはただただ可愛いし、攻めもちゃんと優しい、まともな大人のひとに見える…(椀先生なのに…)。
椀先生の作品を読んだことがない人に勧めるとしたら、まずノーマルなこれを推すだろうな、と思うくらいお気に入りの一作になりました。
これは唸ってしまうほどの面白さでした。
『理解できない彼との事』から島子先生を知り、以降少しずつ他の作品を読んでいるのですが、読み進めるうちにどうしようもなく込み上げてくる萌えと、最初から最後までペースの衰えること無く繰り返されるギャグの緩急とのバランスがここまで気持ちいいのは、現時点の私が読んだ島子先生作品の中ではNO.1かもしれません。
本当にストーリーの流れ方が素晴らしくて、最初のうちはゆいちに対して『何なんだコイツ!?』という感情から入ったのが、展開に沿って樋口さんとずっと同調し続けていって、最後にはたまらなくギュウウウウウンとなりました。
電車のシーンは最高でしたね。あんなにさんざん理不尽なことを繰り返してきた二人に、こんな王道シチュエーションがハマるのかと。
この作品でこんな瞬間見られるのかよ〜〜〜〜と身悶えしました。
土屋さんは本当に悪い人ではなくて、本編ラストカットにも一緒に居たのが嬉しかったです。
あと、本当に島子先生の描くメインキャラの家族って凄いですよね。
今野家のキャラの濃さ最高でした。
島子先生にしては珍しくセックスがノーマルで、あまりにまっすぐ幸せな描写に終始していたのも不意打ちでした。
萌えの後には必ずオチを付けてくれててある意味ほっとしましたけど( ◜ᴗ◝ )
『fRag』vol.1に掲載されている『君とはこれから』の番外編にチラッと登場している二人(樋口さんは声だけ)にもキュンときます(*´ω`*)