イラスト入り
学園祭で、男ばっかのバレエ――!?
榎田尤利さんの作品は、萌える萌えない、の差こそあれ、良い作品が多いです。
今回の作品も萌えるか?キュンキュンするか?というと、個人的な萌えポイントとしては、ズレてるのですが、彼らの時の流れというか、映画的なというか、読まされました。良い意味で。
ホントに映画化されてもおかしくない。
青春ですよね、そして青春を超えたところにある青年期にもまた試練があって…その試練を誰と越えるのか?孤独に生きるのか?葛藤の中に差し伸べられた手。
あの体育館で見たものが人生を左右していくような、大きなストーリーを描いているなって思いました。さらなる後日譚を読みたいです。
学園祭でバレエの出し物に向けて個性的な男子学生5人で青春まっしぐら…な話でした。
男子学生でバレエがミソですよ。。しかもスワン。榎田先生らしく、一皮むけています。
いやー、青春瑞々しさにキュンとしつつも、笑ったり泣けたりと隠れた名作でした。
彼らと一緒にもう一度青春時代をなぞらえた気分になりました。
学園祭ものって古今東西の漫画家や小説家が描き尽くした感があるのに、こんなに楽しめるとは…。
もともとは2000年の初頭に出版されたものの新装版で、大幅加加筆され現代版にアレンジされているのか、古臭さがなく、今読んでも新鮮です。 表紙やイラストも新装版の方がイメージ通りで合っているように思います。何気ない日常をまるでポップ絵本の様に、生き生きと楽しく躍動感を持って表現できるのは榎田先生ならではですね!
ヒーローであり、ヒロインでもある櫛形王子はツンデレ度が◎だし、超硬派な原も良い味を出していてとても萌える凸凹カップリングでした。サブキャラも楽しいキャラクターばかりで、彼らの何気ない日常のやり取りが楽しめました。等身大の男子学生感が良かったです。
10年後の書き下ろしがなかなか洒落ていました。読者からすると「アレ?アレ?」とはてなマークで進むのですが、最後は大どんでん返しで鮮やかフィナーレが待っています。読み終えてとても爽快感がありました。 青春キラキラで終わらず、人生の苦味も残るところも良いです。
これからも王子と原には我が道を邁進して欲しいな。
流石に人気作家さんの作品は昔の作品でも、光るものがあるな…と感心しました。榎田先生はどう転んでも小説家になられる方だったんだろうなぁ。。高い文章表現力に加え多作で。ホント天職ですね!あとがきで一般ものでも大活躍されている先生のBLへの想いを再確認できて嬉しかったです。
ああ、高校生・・・可愛い。青春なんて全く遠----い彼方なおばはんだから、余計にそう思うのか?なんて可愛らしい青臭い高校生たち。+そこに先生のバレエ愛をてんこもりに盛り込まれたキレイ系毒舌王子です。おかしい。高校生なんて範疇外なはずなのに。色恋沙汰もきゅんきゅんするし、王子の魂にすり込まれたバレエ愛にも萌えに萌えたので神より萌2です。芸術のお話が好きな方にはオススメしたいー。王子好き。
お話は2003年に小説b-boyに掲載された3編+書き下ろし2編。旧版に書き下ろし1編を追加したという内容です。
舞台はもうすぐ2年になる春休み。友人のタカアキと学校の体育館横を歩いていたハラセンは、体育館内の平均台の上にあったキレイな立ち姿に目が釘付けになります。そのキレイな王子は二人に気付くと、花のような唇で「じろじろみてんじゃねーよっ」と宣って(笑)・・・それがお約束、転校生でした! とお話は始まります。
登場人物は高校生5人に王子の姪っ子ぐらい。皆個性あり役どころをちゃんと果たしていて面白いし読みやすいし、最後の書下ろしで姪っ子ちゃんが効きていて、楽しい。
そして随所で小技が効いているから、あーいるいるとシンクロしやすいのかもしれません。委員長(タカアキ)が花粉症で「ぶえっくちょ」(漫画のくしゃみシーンが脳内に湧き上がる(笑))とくしゃみしたり、父親と仲悪くて殴り合いするのに父親は母親に諭されてすごすご引き下がったり、タトゥー入れたがるような双子なのに「ママに目覚まし買ってもらおう」って言ったり・・・。なんてことのない普通な人の普通な日常を書き込まれているから、皆の側を制服着て歩いているように感じられました。一日だけでいいから高校生に戻りたいわー
もう一つ大好きなのが、王子のバレエ魂。ある理由によりお休みしていたバレエを踊る羽目になるのですが、曲を聴いたら内面からバレエ愛があふれるあふれる。このシーンは何回読んでも、うっとりです。バレエの神様に魂持ってかれたんだよ、王子。あきらめて一生踊ってて、たまにでいいから地上に降りてきてハラセンに甘やかされようね(笑)
高校生らしい笑う箇所もあり、バレエ愛にうっとりするところもあり、二人の青臭い、でもお互いを大切に思う気持ちなど、素敵な本でした。読んでよかった。
最後に忘れてはいけない、必読★★カバー下!!!旧版は2000年代のため多分ないのでは。ハラセン、王子、委員長のLI〇Eです、爆笑ものなので絶対チェック!です!
旧版未読です。
元は2004年刊行との事で、初期の榎田尤利さんの読みやすさだなぁというのが第一印象。(今が読みにくいという意味ではないですよ!)
題材が高校生、というのも関係あると思いますが、何しろクリーンで甘酸っぱい。
彼らはそれぞれ怪我で夢が断たれていたり、母親が深刻な病気を抱えてたり、父親とうまくいかない息子であったり、と問題はあるのですが、決して暗くない。年相応の明るさと未来と刹那性・今あるべき楽しさがちゃんとある。
あと、ハラセンが櫛形に初めてキスしそうになるファーストシーン。多分ここはハラセンの内面やらその場の情景やら、ハラセンの目に映る櫛形の魅力をあれこれ書く部分だと思うんです。でも、本作では余りくどくどと描写せず、逆に唐突気味に描いてる。そこに頭で考えるより衝動が勝る感じとか、大人がそうあるように求める高校生の性の感じ(ドロドロしない性欲)が読み取れるのかな。
2人の初体験が朝チュン気味なのもいいし。
ただ、新装版の書き下ろし「Happy ending?」が……
長い恋愛期間、色々あるよという事なんだろうけど、このミスリード的描写はあざとさを感じる。
Hで解決というのも安易なような。
どうせ良かったねで終わるなら「春を待つジゼル」でそのまま終わっても良かったかな、というのが私の感想です。
あと、イラストでハラセンと櫛形のフィッシュのポーズ場面がページの真ん中になっちゃってて残念!でした。
今度アニメ化される榎田さんの人気作「カブキブ!」がBLだったら? といった趣の青春小説(&LOVE)です。少し前の作品を今の時代に合うように修正しての復刊だそうです。(旧版は未読)
1冊で終わるみたいだし、まぁ試しに…とあまり期待せずに読んでみたのですが、面白かったです。さすが、榎田さんはキャラ造形が上手いですよね。みんなとっても魅力的なんです。文章からフワッとビジュアルもイメージ出来るし、今すぐにでもアニメ化出来そう!って思うようなキャッチーさがありますね。
この作品では、高校生BLものならではのキュンキュンドキドキと、青春小説ならではのワクワクが同時に味わせます。ほんと楽しかったなー。
カブキブ!で榎田さんを知った若い人が、「BLも…」とドキドキしながら最初に手を出してみるには、ちょうど良い一冊だと思います。Hシーンはありますが、控えめ描写になっておりますので。
ラストの描き下ろしエピは、途中どうなることかと心配させつつ、きちんとハッピーエンドに着地しました。よかった!
気負わず読んでみてください。