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ミステリ・サスペンス成分に"癖"を感じませんでした。
この手のML好きの方(特に海外作品が好きな方)は期待値低めで読むと楽しめると思います。
大きな流れとなる事件については正直ある程度分かりやすいので、どちらかというとミステリではなくサスペンスなのかな?と思います。
とにかく振り回されていてタイミングがよかっただけという印象です。
謎に対しては特に誰の何のスキルが発揮されるでもなく...でした。
この手の題材は恋愛、謎への挑戦、犯人との対決という要素があると思いますが、後ろ2個がいまいち盛り上がりに欠けました。
盛り上がりに欠けるな!?というのが気になりすぎて恋愛の感想がどこかへ行きました。
アメリカが舞台で攻めも受けも脇役も全部アメリカ人。ファンタジーと違い、実在する地名や組織が出てくるのであまり適当にも書けないので大変だと思いますが、読む方としては色々検索して「クワンティコって所にFBIアカデミーがあるのかあ」とか「ニューオーリンズってこのへんにあるのかあ」とか妄想するにもリアリティが増して楽しさ倍増です。大好きなジョシュラニヨンさん作品とか柏枝真郷さんのホーリーアップルシリーズを思い起こさせます。
金髪碧眼の美少年7人が変態カルト教団に数年間監禁されていた事件があり、その14年後から物語は始まります。BL以外のミステリー部分もなかなか骨太で読み応えがありました。BL部分は試練ばかりの辛い人生を送ってきた受けが初恋を貫くというロマンチックストーリー。犯人は割と早くわかったのですが、吉田先生はメリバもたくさん書かれているし死人もたくさん出るような過激な作風でもあるベテラン作家なのでそういう意味でも最後までドキドキが止まらず楽しめました。
こういう海外が舞台で登場人物が欧米人という作品がもっともっと増えるといいな。洋画を見ているようなワクワク気分が味わえるので。
2017/07/24発刊の作品で、冒頭に「亡き父に捧ぐ」と入っていました。
著者の初の海外もので、ミステリー。
「神官シリーズ」を読了したので、気になっていたこの作品を購読。
「堕ちた天使は死なねばならない」という妄執を持つ連続殺人鬼による、或る宗教団体に拉致された被害者「天使」と呼ばれた7人の美少年達が、事件解決後も幸せになれず被害に遭う事件。「小さな天使」を庇って。
余りにも美しいと、人を虜にする魔性を発揮するものなのかもしれない。
人の心を制御する知恵が無いと、無自覚無意識のうちに自分も他人も不幸にしていく、美しければ幸せになれると限らない、というお話。
墓場で殺されるシーンから始まり、FBI勤務の従弟を持つジェフリーが登場、
なんとなく臭う説明が付記されているので、結末が読み取れてしまうのが少し残念。読み進むと、あーやっぱり、と思ってしまった。
「小さな天使」の過去に受けた虐待経験のトラウマの発現が、ジェフには違っていた。
それはどうしてなのか?という部分をもっと仔細に書いて欲しかった。この作品で物足りないのは、そこだけ。
作品の中の架空の人物だけど、解決後の幸せを願いたくなる、凄惨な事件。
吉田珠姫さんらしい、愛を軸にしたミステリー、
作中に何度か出てくる「世界は美しい」という一節が印象深かった。
吉田珠姫さんのお名前はもちろん存じ上げていましたが、今回初めて作品を読みました。
吉田さんの紡がれる物語の内容やカップリングが私の求めるものと異なる気がして今まで手に取ることを躊躇していたのですが、今回「好きかも!」と惹き付けられるものがあり初購入。
まるで翻訳小説のサスペンスやミステリーを読んでいるかのような読書時間を過ごし、いわゆるBL小説の読み心地とは若干違いました。
読んでいて沸き起こる感情や感想もどちらかというと一般小説を読んでいるときに喚起される種類のもので、個人的に萌え的なものはありませんでした。
けれど、とても読み応えがあり強く印象に残る一冊となっています。
舞台はニューオーリンズ。
カルト教団(金髪碧眼の美しい男の子を誘拐して「天使」として育てる。監禁虐待)、連続殺人鬼、FBI、親による暴力、トラウマ等々。
内容は上記のように陰惨で辛く悲しいものであり、神の救いなどどこにもない!と叫びたくなるような状況なのですが、そこに挟み込まれるジェフリー(攻め)の親身で優しい心や真っ直ぐな正義感、レイモンド(受け)の無垢な魂の輝き、またはジェフリーの警察仲間の賑やかな明るさが物語に光を与えていました。
ちなみに、わりと早い段階で真犯人のあたりはつきますが、登場人物たちは気付かないまま物語が進行していくので読み手としてはその緊迫感やスリルも十分味わい楽しめました。
とはいえ、犯人当てがこの小説の本筋ではなく、あくまでジェフリーとレイモンドの愛情の話。
子どもの頃に出会った二人が大人になって再会する。
その点だけをみればとてもロマンティックな運命の相手とのラブストーリーだけれど、もちろんそうした甘い話ではなく・・・。
読了後に最も心を占めたのは「犯罪被害者が犯罪者になってしまう負のスパイラルをどこかで断てなかったのだろうか」という思いです。
真犯人はもちろん憎むべき悪なのだけど、彼もまた被害者で・・・。
そう考えると、最期にレイモンドが赦しを与えたのは作者の思う「救い」の形なのかもしれません。
ジェフリーとレイモンドの二人に関しては、最後は幸せな場面で終われたのでBL的には安堵して本を閉じられます。
どうか幸せに。
萌えを感じなかったのに「萌×2」評価としましたが、これは五つ星評価の星四つ相当として押しました。
ちるちるユーザーの方のオススメに上がっていたので手に取りましたが、やはり間違いないですね〜。
この作家さんは海外ものは初めてだそうですが、流石ベテラン作家さんだけに安心して読めます。
モノクローム・ロマンス文庫を読んでいるかのように違和感のない翻訳風小説で、文章も躍動感があり、スリルを持って読み進めました。登場人物も個性があり、会話のやり取りもテンポ良く面白かったです。
猟奇事件をテーマに取り扱っていますが、サスペンスもので、犯人や真相はある程度読者に読める展開になっています。その上で最後に真相等が明かされて、結末が予想外・・では無いんですが、そこが作家さんの力量で、真相もなかなかに魅せられ、心に残るものとなっていました。
表紙を開けた次のページの何気ないイラストに全てが詰まっているので、一冊読んで振り返ると、なかなか切ないものがあります。
BL面は受が女性的な容姿であったり、最初からお互い惹かれあっている設定等にBLものとして物足りないパターンだなーと思っていると、意外に受が誰よりも言葉使いが男っぽかったりして、ツボにハマりました。恋愛も事件に並行してナチュラルに発展していく感じで、そちらも楽しめました。
ストーリー自体は痛ましい部分もありますが、設定等は作り込まれているので、海外風サスペンスとしては充分楽しめると思います。作家さんの総合力で読ませる作品だなーと感じました。