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表題作愛とは美味なるものである

マオ(魔王)
伶に淫魔と勘違いして招喚された魔王
神子田伶
神社で暮らす青年,18歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

異能を持つため幼いころ神社に預けられ俗世に疎いまま成長した伶。養父亡き後、宝物庫で、数代前の主が外遊先から持ち帰ったらしい壺と手記、呪術書を見つけ、好奇心に駆られて壺から淫魔を招喚した。
手記によるとめくるめく官能が体験できるはずだが、現れた美丈夫はやたら傍若無人。
淫魔ではなく魔王を招喚してしまったことに気づかない伶は!?

作品情報

作品名
愛とは美味なるものである
著者
野原滋 
イラスト
花小蒔朔衣 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344840812
3.9

(47)

(17)

萌々

(19)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
8
得点
178
評価数
47
平均
3.9 / 5
神率
36.2%

レビュー投稿数8

電子限定SSがとても良かった

俗世間から隔絶された廃寺の主が、うっかり魔王様を呼び出すお話。メイン二人のやりとりはコミカルだが、ヒトの悪意がうっすら漂い続けている雰囲気で、ちょっと怖い。ラストはほのぼの幸せな二人が長く描写されていて良かった。

マオを呼び出した伶の最初の印象はヤベェ奴。全裸で畑を荒らしまくる淫魔(仮)に対し、めくるめくエロを期待するとは驚き。
いわば寺に閉じ込められた状態で、中卒で社会性が無く、ものを知らず思考力も奪われている。そのわりに反抗心だけはあり、気力は失ってない模様。

両視点なので、魔王様の視点でも読めて、新鮮で楽しい。魔王らしく不遜な物言いを崩さず貫きながら、たまに人間に思いを馳せてはっとしたり。どんな感情もストレートに表し、怖いものなしな感じが良い。

伶を取り巻く環境は明らかに異質だが、馴らされてしまったせいか、そこに疑問を抱くまでが長くもどかしい。マオの影響でやっと変わってきたかと思ったら、悪意のオンパレードとマオの失踪で物語は一気にどん底へ。

その後の展開はちょっと急だったかな。マオの新しい野望が生まれるまでを、マオ視点で匂わせておいて欲しかった気がする。人間になりたいなんて言い出すキャラだったか?とびっくり。埜島の悪事も処分が甘々で不満。

そんな感じで微妙にモヤモヤは残ったが、くっついた二人の新生活まで描かれており、微笑ましさに気分は浮上し、明るく読み終えることができた。

さらに巻末の電子限定SSでは、マオの怒涛のノロケを聞くことができる。一人で延々語り、ふいに本編の裏側のような話に移っていきなり泣かせてくる。これが電子限定なんて、かなりもったいないと思う。マオに惚れるおまけSSだった。

0

笑って笑って…ちょっとほろり

エロは少なめ、体感10%といったところです。
が!ストーリーがおもしろくてスイスイ読めちゃいます。
淫魔と間違って魔王を召喚、弱っちいかと思えば実はすごい力を持っていてその魔王を無意識に呪縛、マオと名付け、手懐け?、一緒に暮らし始めるサトシ(本来は漢字。最後までこの名前が読めずに苦戦しましたw)
ン千年ぶりの人間界で巻き起こすマオの珍道中とサトシとの掛け合いにかなり笑いましたwww
純粋に楽しかった!
このままほのぼのいくのかと思いきや、まさかの別れ……!
からの~~そんな展開⁉️
最後の最後、マオの思ってもみなかった行動をタネ明かしされ、最幸の読後感(≧∇≦)b

0

魔王さま、現代を知る

「我は淫魔である!」
――そんなまさか、である。

なにしろ彼は、人間の手によってそれはそれは長い期間に渡って壺に封印されて眠っていた魔王なのですから。
彼が入った壺の中身を淫魔だと勘違いをしたまま封印をうっかり解いてしまったのは、神社に1人で住まう怜という青年。
魔王なことがバレて再び封印されては敵わないと、マオこと魔王が、人の悪意を食べて魔王としての力を取り戻すために伶と共に神社で奇妙な2人暮らしをすることになります。
なんとも愉快な設定で、てっきりちょっとコミカルでえっちなお話になるのかなーなんて思っていたのです。
ですが、なんでしょうか。前半部分のかわいらしさとコミカルさに笑わされ、中盤で愛おしくなり、後半で切なくなってしまう。
当初予想していたお話とは異なる雰囲気になっていって、それがまたおもしろかったんですよね。

やはりなんといっても今作の魅力はマオの変化でしょう。
現代社会1年目…どころか赤ちゃんです。バブ。
箱の中の者が話しかけて来るTVに驚いたかと思えば飛行機を追いかけようとしたり、トラックの音声に返事をしたり、コンビニに行きたがったりと、魔王さまの反応ひとつひとつが愛らしいことこの上ない。
そんなマオの手綱をうまく引いて引率する伶の図がすごく微笑ましくて笑えてしまうんですよ。
ただ、これがどんどん逆転していくというか、対等になっていうというか…共にスローライフを送る2人が心地良くて。
自らが育てたトマトを手に、もし人間だったらどう感じるのか?と考えるマオが好きでした。

…と、あたたかくて心地の良いストーリーに身を任せていると、だんだん伶の孤独や、合間合間で匂わされていた周囲の人々の違和感に焦点が当たっていく。
前半部分の楽しかった生活との差が効いていて、非常に切ない気持ちにさせられます。
ちょっと消化不良な部分や駆け足に感じる部分もありましたが、落とし所的にはありかなと。
人間の知識を栄養のように蓄えていく魔王さまがかわいらしかったので、今回はこちらの評価で。

2

独りぼっちの切なさが身にしみた

電子書籍で読了。挿絵なし。表紙イラストはとても綺麗なので残念。

前半は、神職(もどき?なのかな)の伶くんが覚悟を決める前に召喚してしまった『淫魔をかたる魔王』との、田舎暮らしほのぼのストーリーなのですが、途中からお話は大展開いたします。
確かにね。「学校にも行かず神社で一人暮らす18歳って、なんか事情があるよね」とは思いましたが、そんな事情があったのか……

この伶くんの孤独に思いを馳せると本当にやるせない。
淫魔を呼び出したのも、お話の冒頭では「まぁ、興味津々な10代ですこと」と片付けていたのですが、そういうことばかりじゃないんじゃないか、彼に優しく触ってくれる人って今まで何人いたんだろうと思うと、切ないのなんの。
この『孤独』があったからこそ魔王=マオが玲くんと共に居ようとしたのではないかと思います。自分も封印されて孤独を感じてきたからこそ、独りぼっちで世を恨んで当然の玲くんが、拗くれていないことに興味を抱いたのでは。
お話の終わりに魔王は一大決心をするわけですけれど、それはまた将来に別の寂しさを作り出すことになります。でも、最初から最後まで一人っきりの孤独とは違うものですから。睦み合った記憶がありますものね。それは幸せなことだろうなどと、いらんことまで考えてしまいました。

2

色々いて色々あるから人間は面白い~

どうしようかなとぐだぐだ悩んでいたら、他のレビューアの方が書かれた
「よかろう」に大爆笑したので購入~ 
傍若無人な魔王様がとっても可愛く嬉しかったです。
書き下ろし250Pほどの本編のみでショートなし。
(ショートほしい・・電子も買おうかな)
地雷はあまり思いつかず、登場人物もとっても少ないです。
ほぼ攻め受け二人のみといっていいのでは。
(一応悪党はいるけど、出番が少ない)

他の方もおっしゃっているように可愛くせつないです、魔王が。とっても。
なんだけど態度は尊大(笑)街デートのシーンは本当に面白いです。
交通系カードのピ をしたいと訴えたり、コンビニのドアを開けるのは我だ!
と言い張ったり(爆)
また、食べるものの味が分からないらしく、
「トマトが大好き!」と喜ぶ受けをみて、「トマトってどんな味なんだろう」
と考えたりしている箇所はきゅーんとなります。

ただ最初読み終わった時は、ひねくれている私が
「け、魔王がこんな都合よく変わるわけないじゃんー」とつぶやき
うーん良かったんだけどなーと悩みました。何が腑に落ちないんだろ と
再読したら、今度は「人間讃歌だ!」と感じてしまって一人納得。
ラブラブ話も楽しいけれど、人間が楽しいという魔王様の気持ちがとても嬉しかったです。

また最初は健気なだけか と感じていた受けも、実は気が強く、
攻めときゃんきゃん言い合うところもあると分かり、より良かったです。

最後に花小蒔先生の挿絵について。
今までの先生の絵も好きでしたが、当作の攻めの「尊大なんだけど艶っぽい」
という感じがとっても素敵でした。長髪ワイルド黒髪が最高です!
他にもあったという「ラフ」見たかったなあ・・・
ラフを特典として付ける っていう案はないのだろうか。

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