イラスト収録
自分がまだこの作品をレビューしてないことに、今更ながらビックリした。
この『ディール』の二人が、シリーズが何作出ようとも一番好きで、CDも買いこちらも何度聴いても飽きることはない。
私は割れ鍋に綴じ蓋カップルが大好きなのだが、この二人はまさにそれを体現しているのではないかと思う。
律にとって延清は何者にも代えがたい物凄く大切な存在なのだが、延清にとって律は言葉に出来ないような恋人であり、たった一人の家族であり、まるで自身の半身の様な存在なのである。
二人は共に家族に恵まれない。
律は母親の再婚相手の義兄にひどい扱いを受けている。
延清と初めて会った時も、義兄の尻拭いに公園で男数人に輪姦されそうになっていたところを、通りかかった延清が律を気に入り取り引きを持ちかけたのだ。
男数人に輪姦されるのと自分一人に犯られるのとどっちがいいのかと。
延清も幼少期より親より虐待を受けており、愛を知らずに育ち成長して、フランスの外人部隊にいたところを志岐にスカウトされ現在は『エスコート』でガードとして働いている。
その働き方が如何にも延清らしく刹那的で見ていて苦しいのだが、徐々にこの話の同時収録作では変わっていく様が何とも見所で心が暖かくなる。
二人はまるでお互いの傷を舐めあうようにして寄り添い、言葉数は他のカプより少ないものの話が進むにつれて誰にも入り込めない強い絆が見えてくる。
この二人にハマッたが為に同人誌・小冊子もろともコンプすることになるとは、人の情熱はまったく果てしないものである。
ちなみに挿絵もすごく合っていて綺麗と言うか、魅せるなあという仕上がりだ。
佐々木さんの絵はこの頃が一番好きかもしれない。
水壬さんでいちばん好きな作品です。
延清(攻)×律(受)。律はともかく延清は、本来の私の好みとはもうまったく違うはずのキャラクターなんですが、なぜだかとっても好きです。というよりも、あくまでも『延清×律』のCPが好きと言った方が正しいですね。延清単体ではあんまり考えたくないですから、正直なところ。
私にとって、これは決して『痛い作品』ではありません。もちろん、『痛さ』がないわけではないんですよ。そういう意味では、痛い・辛いシーンもエピソードも山盛りなんですが。それ以前に、キャラクターからして結構『痛い』んですよね・・・
加えて、私がBLに何より求める『相思相愛』なんです。はっきり目に見える形での『愛(律から延清へはともかく、延清から律への)』は目立たないかもしれないけど、行間には確かに漂ってるんですよ!とくに続編『ステップ』は。
そう、延清自身はまだ気づいてないみたいですが、律への『愛』はしっかり生まれてるんですよね。
自分に芽生えた『何か』を消化しきれない延清に、『お前はなんだ?』と訊かれた律が『いつか教えてあげる。僕をそばに置いてくれるなら』と答えます。それを受けて延清が『それがわかるまで、律は自分の傍にいる』『だったら、ずっとわからなくてもいい気がした』
愛を知らずに育った(愛そのものを知らない・理解できない)延清は自覚できていませんが、それこそが『愛』だよ!って教えてあげたくなりました。
とことん不器用な2人ですが、その不器用さがよかったんです。この作品は『痛い』より『純愛』なんですよ、私にとっては。
わたしのイメージで水壬作品は『痛い』なのです。
最初に読んだのが『ラブシーン』だったせいでしょうか。
こちらはエスコートシリーズの二作目です。
が、毎巻メインカップルが違うとお聞きして、一番好みなカップル(年上で飄々とした攻と健気受)であるこちらをチョイス。
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受けの律は落ち着いて見えてもまだ19歳の青年。
現在は秘書として働いています。
攻めの延清は優秀なボディガードで、28歳。
表向きの愛想は良いが、危険な仕事のみ請け負う質。
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シリーズの舞台は人材派遣会社『エスコート』のボディガード部門で働く者たち。
今回のお話自体は律の過去への回想で遡り、律が大学入学直後の延清との出会いやその後の関係が書かれています。
その際の痛々しい律の過去はBLではたまにある設定ではありますが、律と延清の出会いや成り行きはなかなかなのです。
どちらかがトラウマを抱えていたり、過去に悲惨な経験をしていたというようなものならよくあります。
が、この二人にはお互い辛いヘビーな過去があって、しかもその拗らせたトラウマによって歪な関係しか築けずにいます。
ただ、恋人とは呼べない関係であっても、その呼び名よりも深く結びついているふたりが堪能できすごく満足です。
お互いがお互いしかいないと気づいていく様子が本当良かったです。
延清には必ず戻ってくれると確信できる律が必要で、律には世界に延清だけばいれば良いという…なんでしょうこのカップル、出来上がってしまったら最強ですね!
内容的にはハードなのですが読んでいて心地よく入ってくるのは、律の性格にもよるのかなと思いました。
視点主(本編の方。同時収録の方は延清視点もあります)が合わないとどうにも苦痛なものですが、律のどこか諦めたような体温の低い、低くするようにつとめてきたような思考がひじょうに良いのです。
痛いシーンは回想されるだけで事細かくは書かれていないので、個人的には大丈夫な範囲でしたので、シリーズの他の作品も読んでみたいと思います。
公園の片隅で男たちに襲われかけていた律は、トップ・ガードの延清に気まぐれで救われる。
延清が律を助ける代わりに要求したのは彼の身体だった。
それが縁で人材派遣会社「エスコート」の秘書として働き始める律。
何度も身体をつなぎながらも延清との関係は「飼い主」とペットのままで……
恐らくシリーズ中で一番好きなのがこの2巻。
義兄に売られかけた律はエスコートのトップガード、延清に助けられる。
表面は付き合いやすそうだけど人としてどっか壊れてる延清と、自分もトラウマを抱えながらも丸ごと彼を受け入れちゃう大物な律。
傷ついてきた二人の話だけに色々切ないです。
律の大物っぷりに救われているような二人の関係ですが、書き下ろしが延清が律を追いかける展開なのもよかった。
最終的には飼い主とペットから始まった二人ですが気づけば、猛獣(延清)と猛獣使い(律)になっていておもしろい。
底意地の悪い榎本さんが今回も良いキャラ出してます。
CDから入って原作が読みたくてずーっと探してて、
やっと見つけた本作。
るんるんで読了して、さぁて「ちるちる」さんにレビューっと
思ったら、文庫化されてたんですね。知らんかった。
義理の父親と兄に虐待され、実の母にはそれを見て見ぬふりされ、
全てをあきらめていた律が、自分から掴んだのは
ボディガードを生業にする延清という男で。
延清にとっては一夜の相手だったはずが、
オーナー榎本の計らい(?)で
怪我が治るまで延清と同居することに。
愛されたことがない延清は「愛」がわからない。
律に対する気持ちが何なのか理解できないまま、
律に執着する様に引き込まれます。
ちるちるさん「あらすじ」に「ビタースイートラブ」
とあるだけあって、本編の甘さは控えめですが、
掃除収録の「ステップ」は思わずにんまりしてしまいます。
でも、延清はめんどくさいな。律はたいへんだ。