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「花降桜」シリーズ・第2作目です。
さて今回の美妓は二人、片や宝塚の男役もかくやと思う西洋美人!
気風が良くて気取らず姉御肌、天衣無縫の傾き者、
そうかと思えば純情一途な…綺蝶にございます☆
そしてもう一方は、典雅艶麗な絶世の佳人!
矜持の高さも並々ならぬ、気難しい美姫で、
真珠のようで不器用な…蜻蛉にございます☆
妓楼にて、美の双璧とうたわれるこの二人は、
親友でライバルで、10年越しの片思いの相手で、すべてでした。
「年季があけたらさ、一緒にあの門を出て行こう!」
そんな約束をしてから10年…体を売る苦界で、
抜きつ抜かれつ、お職を争い…それでも客に、心だけは売らずに!
とちゅう…いろいろありました。
娼妓同士の色恋はご法度…なのに、嫉妬あり、すれ違いあり、
ついでに…想いあまってのSEXもありで…波乱万丈www
水揚げに泣いて、泣かれて、犬猿の仲と呼ばれて、
それからまた仲直りして、昔の続きのように恋を思い知らされて…
こんな風に恋を育てていると、10年なんて、けっこう短いんでしょうねぇ!
そう、この二人の場合、恋が積もって淵になってしまったんですよ☆
その先は、お約束のハッピーエンドでしたけれど。
ええ、実に男前な娼妓たちです、有言実行を地でゆきましたから(笑)
彼らがここまで出来た理由は? それはやっぱり…友情です!
恋愛感情を99パーセントくらい含んだ友情に、
1パーセントくらい混ぜたライバル意識…この配分がポイントです(たぶん…)
こういう感情はホントに不思議で…お互いに、
相手が幸せじゃないのは(絶対に!)許せなかったりするんです。
(俺がなんとかしてやるっ…て感じでね。)
でも、相手だけが幸せになったりするのも(それはそれで)許せないから、
グルグルグルグル悩み抜くんです。
(自分のそんな気持ちに罪悪感持ったり、身を引こうとしたり…)
そこに矜持なんか混じると、結果として…
相手のためだけに頑張っちゃうんですよねぇ。
(↑そんなこんなで双璧と化したのね、ああなるほど。)
いかがです? 恋が積もって淵になる過程は?
なんだか…美を競って切磋琢磨する…女同士の友情に近いものがあります。
それでも褥では…綺蝶はとーっても男らしいんです、その心意気が!
最初に読んだのは漫画のほうなんですが、凄く切ないお話です。
何が切ないって、お互いが想いあう気持ちっていうかさ。
綺蝶が蜻蛉を、大事に大事に想う気持ちっていうかさ。
思い出したら泣けてきた。゚(゚´Д`゚)゚。
良家の息子として生まれた蜻蛉。婆さんの言いつけで、淫らなことには一切汚らわしいものとして教えられ、キビシク育てられてきた。しかし、家が傾くと、これまで淫らとキビシク言われてきた遊廓に、売り飛ばされてしまったのです。
そこで、蜻蛉は、1年先輩の綺蝶と出会います。
誰よりも、美しく、女の子みたいな綺蝶は、見た目に反して、すごく奇策で面倒見のイイ男の子だった。
蜻蛉は、どこに行くのにも綺蝶の後をついていき、なにをするのも一緒だった。
そんな中、月日は流れ、綺蝶が水揚げされる日がやってきて・・・・。
もうね。
綺蝶が水揚げされるって言うのに、泣きじゃくる蜻蛉が切なくてですね。
逆に、蜻蛉が水揚げされるとしって、最後の最後、思い余って~なくだり。
あらぬ誤解から、犬猿の仲と呼ばれ、二人がお職を争うようになり。
と、どんどん展開していきます。
基本的に、好きな人意外に抱かれなければならないという、こぉ・・複雑な心理状態を読むのは好きです。
好きなんだけど、実際よむと胸がいたみますね。
精神ダメージがorz
一作目が、わりと甘かったので油断していたのも有りますが、この2作目。蜻蛉編はすばらいと想いますです。
最後の終わり方も、上手にまとまっていて嬉しかったです。
一つ贅沢をいえば、綺蝶受な話が読んでみたかったこと。
かな
花降楼シリーズといえば蜻蛉と綺蝶なのではないでしょうか。
近未来設定というかアナザーワールド設定
現代日本のような世界で、売春防止法が廃止され
かつての一等赤線地区が復活した吉原のお話。
受けも攻めも二人とも色子同士。
表紙を見てのとおり二人とも髪を伸ばし簪を挿し
赤い襦袢を着て女装しています。
でも、身体をいじったわけじゃないので中身はしっかり男。
ふたりとも大見世の二大看板という売れっ子。
毎夜、客に身体を開く者同士のカップリングというのが
すごく異色だと思うんですよね。
花降楼の楼主の趣向で、徹底した懐古趣味で作られた建物や
しきたりにより読者は、すっかり時代錯誤してしまう不思議な感覚。
美しいけど親しみやすさや客あしらいの良さが売りの綺蝶と
お姫様のように気位が高くわがままな蜻蛉。
あどけなさが残る頃にふたりは花降楼で出会い
それぞれ客に水揚げされ、お職を張れるほど客に身体を売り続ける
それだけで相当悲恋で辛いお話になってしまうところを
要所、要所、王道の轍を踏むことによって
全体的な印象はすごく甘いのが素晴らしい。
百合カップルのような出で立ちではあるけれど
ふたりとも身体を売る生活の中、心は売らない強さや気高さがある。
すごく男前なんですよねぇ・・・。
私は先にドラマCDを聴いていたので、この艶やかな姿の二人の絡みも
しっかりと♂×♂で読めたので非常に萌えました。
大好きなシリーズです。
実は先にCDを聞いててすごく良くて。やっと本を手に入れて読めました。
もう脳内では平川さんと緑川さんの声で再生されるし、再現率の高さ?あのままだ!と感動しました。
とても読みやすいですね。余計な比喩や情景描写とか省かれていて、知りたいことがすぐ読める!
もう二人が純情で純情過ぎて泣けて泣けて。
お姫様は王子様の大きな愛情に10年も包まれ、でも素直になれず純情過ぎてそれが恋心だとわからなくて。
いっぱいすれ違って辛い目にあって。
王子様も泣かせます。お姫様を救い出そうと幼い知恵を絞って。
王子様がお姫様を攫って幸せにいつまでも一緒にいてね。
俺のこと好きって言え。行かないで一緒にいたいって言え。攻め立てるのがまたいいんですよ。
お姫様がやっと素直になって。
はぁ、この感動を表現出来ない。
出会いから一緒に仔猫のようにじゃれ合って育って、回り道したりすれ違ったりしながら最後には最高の結末が!
鼻水が止まりません。
花降楼シリーズ第二弾は、色子×色子のカップリングになります。
花降楼シリーズは第五弾と第八弾以外は一冊ごとに主役カップルが変わる独立した話ので、わりとどこから読んでも大丈夫だとは思うのですが、この第二弾の二人は10年以上花降楼に居た上になにかと目立つ存在でもあり、シリーズの他の話にもよく登場するので、花降楼シリーズを読むならばこの第二弾を押さえておいた方がスムーズに読み進められるのではと思います。
人気のある二人なので番外編も多いですしね。
ただ最初に書いた通り色子×色子なので、攻めである綺蝶も受けである蜻蛉も不特定多数の客を相手にしています。
それがどうしても受け付けない、という人は避けた方がいいのかもしれません。
綺蝶も客の相手ではもちろん受けなので、受けは受け攻めは攻めでいてほしい、という人にも楽しみづらいかも。
個人的には、蜻蛉は客にどんな風に責められたか、みたいな描写も少しはあるのですが、綺蝶についてはほとんどなく、客との会話とかからもあまり受けっぽさは感じられないように書いてある感じがするので、受けは受け攻めは攻めじゃないと絶対ダメ!というわけではなく、少し苦手…くらいならば読んでみてもいいのかもとは思います。
まあ、私はリバも平気なタイプなので、あまり参考にならないかもしれませんが…
話としては、10年間の両片思いものになるのでしょうか。
想い合っているのに、色子という立場、意地の張り合い、タイミングの悪さ等々のためにすれ違って仲違いみたいなこともして、色々とこじれながらも想いあっていく…みたいなのが切なくって。
最終的にどんでん返しでハッピーエンドになって、本当に良かったねという感じでした。
キャラクターも、正反対なんですがバランスがいいです。
綺蝶は「俺と一緒に居ても、いい暮らしさせてやれない」って思っていて、蜻蛉は「綺蝶と一緒ならいい暮らしなんてできなくてもいい」と思っているところとか、お互いの育ってきた環境の違い、それによる価値観の違い、そして人を好きになる時の好きになり方の違いがよく出ていてとても好きなエピソード。
基本的に蜻蛉は鈍感で、綺蝶はよく気がつくタイプなんですが、恋については綺蝶も鈍感なところがある感じですよね。
この二人のすれ違いも、綺蝶が思っているよりも蜻蛉は綺蝶のことが好きだということに綺蝶が気づけていなかったというのも、こじれた原因のひとつな気もします。
まあこの二人については、すれ違っていたからこそ遊廓で働かなければならない状況に耐えられていたのかなとも思うので、なんとも言いがたいのですが…
あと、相手を想うあまり無理矢理…という展開は個人的には好きではないんですが「このまま他の男にやられてしまうんなら」という気持ちにはすごく納得がいって、遊廓ものとその展開は相性がいいなぁなんて思いました。
最後に、ここからはちょっと電子書籍についての話です。
この作品を私はebookjapanで購入しましたが、やたらと誤字脱字が多いんですよね。
花降楼シリーズの他の作品にも多少の誤字脱字はありましたが、この作品だけ明らかに多い。
数年前に紙書籍でも読んでいて、その時はそんなに気にならなかったんですが…
調べてみると、他の電子書籍サイトの購入済みマークが付いたレビューにも「誤字脱字が…」という書き込みがあったので、もしかすると出版社側が配布しているデータがおかしいのかも?とも思います。
問い合わせしてみるつもりですが対応してもらえるか分からないので、電子書籍での購入を考えている方はご注意ください。