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表題作僕の中の声を殺して

幟屋恭徹,31歳「謎の生命体」を調べる市役所職員
宮澤央,28歳,特殊な能力を持つ引きこもりの青年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人に寄生して体を乗っ取る謎の生命体が出現!! しかも、言語を発するらしい!?
捕獲を試みる市役所職員・幟屋が協力を依頼したのは、引きこもりの青年・宮澤。
動植物の言葉がわかる能力を持つ男だ。こんなに煩いのに、なぜ皆にはこの声が聞こえないの…?
虚言癖を疑われて人間不信に陥っていた彼は、13年間一歩も外に出たことがない。怯える宮澤を、幟屋は必死に口説くけれど!?

作品情報

作品名
僕の中の声を殺して
著者
渡海奈穂 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009020
3.7

(47)

(15)

萌々

(17)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
11
得点
171
評価数
47
平均
3.7 / 5
神率
31.9%

レビュー投稿数11

どうなる事かと思いました。

SFオカルトテイストなお話。
最初の攻め様にはイラつくんだよな、と思いつつも、定期的に読み返してます。

受け様は、動物や虫など、あらゆる生き物の声なき声を聞こえてしまう宮澤。
周囲の理解を得る事無く疲れ果て、引きこもって13年。
攻め様は市役所職員の幟屋。

「ハイノリ」と呼ばれる、人の精神を乗っ取って、最後は死に至らしめる精神体のようなもの。
それを宮澤に見つけて欲しい、と強引に話を進める幟屋。
人の罪悪感や良心に訴える様な言い方や、宮澤の事には頓着してないような様子に、なんだコイツ( º言º)でして。

引きこもりとは言え、私からするとごく普通の考え方を持った宮澤。
初めて人に頼りにされ、ツンツンしつつも真面目に取り組み。
人の世に慣れてない宮澤を手懐けるのは簡単だろうね、人を駒のように扱いやがって、幟屋め。
と、ムカつきまくり。
そう仕向けておいて、宮澤が自分へ執着するようになったら手を離すって、くそーヽ(#`Д´)ノ

なので、倒れてしまった後、目覚めた宮澤が泣き出すのを見て、動揺する幟屋の姿にざまぁキターとにやにや( ̄▽ ̄)
宮澤がハイノリに寄生されてしまい、苦悩する幟屋の後悔が小気味よくって気持ちいいわ~。

てか、この2人、宮澤の方が問題ありかと思いきや、幟屋の方もなかなかだったんですね。
人として当たり前に社会の中で暮らしていく未来を見せてもらえてよかった。


0

ハラハラサスペンス

得体の知れない何かに寄生・浸食されつつある町!!
パラサイトイヴ、リング大好きだったので
この設定にゾワゾワワクワクしまいた!!!

奮闘する市役所職員・幟屋の献身さもある意味恐くて寂しくて、
人間以外の感情を受信できる引きこもり央と
利害を超えて愛しくなってく過程が良かった!

第3者が過去のことペラペラ喋って「そんなことが…」って展開、
そうしないと話が進まないのは分かってても、
え?それ勝手に話す?ってモヤモヤすんだけど、
「それ個人情報じゃない?」って咎めてた初めて見た気がします。
そもそも話した理由も筋が通ってて、
ミステリー部分もスッキリと余韻が絶妙で面白かったです。

0

心理描写と特殊設定にうなる

タイトルでずっと気になってました。あらすじで心配しつつ読み始めたら、すっごく良かったです!読み応えあります!

人の心のあり様と言いますか、自意識との葛藤と言いますか、心の成長による依存やらとにかく心理描写がすごいんです!

央視点で始まりとにかく辛くて可哀想で。そんなところへ訪ねてくる正義感の塊でコミュ力おばけな市役所職員の幟屋に手のひらの上で転がされて。

少しずつ幟屋に心を開いて役に立ちたいと思うようになっていく央が、微笑ましいやら自意識と葛藤してて可愛いやら。
自分の言い分を初めて信じてくれてこんなにしてくれる人が現れたら!そりゃ引きこもり名人級の央は依存しちゃうよね。

しかし幟屋の視点になると、えーーーー!
そんなつもりだったの?そんなふうに考えてたの?ひどい!央が可哀想、傷つくよ、きっともっとひどいことになるよ!

だけど幟屋も葛藤してたんですね。
そもそもこうなったのにも原因があって…。彼も色々あったんですねえ。

多分このレビューを読んでも何のこっちゃで役に立たないと思うんですが、「寂しさ」を思い出す、誰かを必要とする愛することを知る純粋なお話なのかな?そういう自然な感情が生まれたり思い出す。

ただ、特殊な設定なのでそこに意識を持っていかれますが、二人の成長も見どころです。

0

ゼイリブ?ボディスナッチャーズ?

本作は、特殊設定というかSFというか、オカルトやホラー的要素もある作品です。

主人公は、引きこもりの28才・宮澤。
幼少期からひとには聞こえない/感じない様々な音のような声のような「何か」を聞いてしまう宮澤。
親や医者に訴えても訴えても理解してもらえない。
一人だけの苦しみの中でどうやらその声は動物の「感情」なのかも、と気づき…

一方、市内で人知れず動物の死骸が増えている事に気づいた市職員・幟屋。調べていくうちにそれらの細胞が全て他のものに変わっていることがわかり、未知の病原体/ウイルスのようなものが人間にも広がり始めていることを知る。
そして、その解明のカギを宮澤が握っている、と強引に接触をはかるのだが…

未知の病原体がなんとも不気味で、宮澤の力でどう対抗していくんだろうというホラー/パニック映画を見るような気持ちで読み進めました。
実際ほぼ終盤までBLな感じが無いんですよね。
なのにここから急にセックスまでいくのか〜?なんだか無理展開だなぁ…もうBLじゃなくていいんじゃないかぁ?と思いながら読んでしまった。
案の定…
結局はBLなわけで。
一つの小さな市の中で極秘で研究されている、とか、宮澤の不思議な能力は本当のところ何なのか、とかそのあたりイマイチ。BLなんだからそこはいいじゃんとは思わんよ。
また。
挿絵は巨匠・笠井あゆみさま。
しかしながら幟屋はちょっと怖すぎ。宮澤を殺すのか?みたいな顔してます。

0

攻め受け交互視点

初読み作家さんです。
まだまだ読んだことなくても好みの方は沢山いるんだな~!とホクホクしています。

状況描写より心理描写が多めに感じました。
何を思って行動しているのか、それが変化していく様子、さらにそれに伴った関係性の変化が読み取りやすいですし、感情移入がしやすいですね。

そして攻め受け交互タイプ!
統計があるか分からないですが、攻め視点のお話は大分少ないのではと思います。
受け視点のものがかなり多い印象でしょうか。では交互タイプの割合はいかほどなんでしょうね。
自分は交互タイプ好きだわ!と改めて認識したお話でした。
なんかこう、すぐに答え合わせしながら進められる感じで、気持ち良く読み進められるんですよね。

3

聞こえてくるのは生き物の感情なのか、それとも自分は病気なのか

久しぶりに頭が冴えるようなお話でした。

渡海先生の作品は「運命かもしれない恋」で目覚めました。

前作「狼は闇夜に潜む」がとても良かったし、新刊「空はちゃんと晴れてる」も注文済みなんですが、こちらの作品はあらすじからSFちっくな印象を受けてたので、何となく手が伸びてませんでした。

しかしこれがとても面白かったんです!

SFちっくというより、精神的な恐怖をメインに置いたお話で私の大好きな分野でした。

幼い頃からの央を取り巻く環境を知ると心底辛く怖かっただろうな。

そしてそれは大人になっても変わらない。
完全引き籠りを実現して静寂な生活を築くことが出来るようになった今も「それ」は聞こえる。
央にとって家から一歩出ることは耐え難い苦痛なんです。

そこへ「ハイノリ」の解明に協力して欲しいと、市役所勤務の男・幟屋がしつこく訪問して来ます。

初めて正面から自分を受け入れてくれる幟屋に、央は自分自身と戦いながらも協力を受け入れていくのですがー。

ハイノリの世界観が面白ろ怖くて、なかなか尻尾を出さない展開にイライラじゃなくワクワクして大変面白かったです。


そして孤独を抱えてきた二人が「ハイノリ」によって引き合わされ、少しずつ距離を詰め心を通わせていく過程がとても自然に描かれていてこちらの展開もとても良かったです。

「寂しい」という感情は誰のものなのか、どこからくるのか、ラストでわかった時この作品の面白さにやられました。

タイトルがまたいいですね。


それにしても、幟屋(のぼりや)が読みにくかった…。
最後まですんなり読めませんでした ^^;

3

異色な感じ

謎の寄生生物に人が乗っ取られる事件を軸にお話が進んで行く。なかなか異色の作品では。
受攻どちらも重い傷を抱えていたけど、痛々しくはならず読み進められました。
たまにはこんな不思議な話も面白いですね。

1

人間不信の男と感情を無くした男




動物(人含む)に寄生する未知の生命体・ハイノリにより、死亡する人が何人も出ている都市・綾木市。罹患者の調査でこの生命体は感情をもっているようだということになり、市職員の幟屋(攻め)は動物の感情を読み取ることができるという宮澤(受け)に協力を求めることになります。

宮澤は小さいころから人間以外の動物の感情が無条件に流れてくる体質で、その流れ込んでくる感情を対処しきれず、外の世界には一切出ない引きこもり生活を送っています。この体質が理解されず、小さい時から精神科等への通院で深刻な人間不信になっています。外へ出ることに恐怖を感じる宮澤に対し、幟屋は外へ出てハイノリの気配を探るように依頼してくるのです。はじめは拒否するのですが、あまりのしつこさに根負けし、幟屋の口車に乗せられる形で、外に出る練習も兼ねハイノリ患者との接触を図るようになります。

幟屋は環境部廃棄物処理科に属する市役所職員です。天涯孤独な身の上で市民が安寧に暮らすための滅私奉公をしています。
そのため、皆に頼りにされ関係ない部署からも依頼が絶えません。が、その献身ぶりに同僚からは幟屋自身が壊れてしまうのではと心配されています。ハイノリの気配を探るため、人には聞こえない動物の感情を聞き取れる宮澤を協力させようと宥めすかしながら献身的に世話をし、宮澤を部屋から引っ張り出すことに成功します。

両方の視点で読めるのでその時々の二人の心情がよくわかります。
宮澤はよくもこの年まで心が壊れずに生きてこれたと感心するくらい気の毒な人です。早くから人間不信になり、唯一優しくしてくれた母を早くに亡くし、たった一人で引きこもり生活を13年間も続けていけるなんて、弱いようで実は芯は強い人だと思われます。
逆に、自身を顧みることなく市民のために身を粉にして働く幟屋は強い人なのかと思ったのですが実は感情に蓋をしてしまった、あやういバランスの人でした。

宮澤様々な動物の感情に怯えつつ、受け流す訓練をしながらハイノリの気配を探れるようにゆっくりと調整していくのですが、全面的に協力してくれる幟屋にどんどん依存していくようになってしまいます。

宮澤視点の時も、だいぶん胡散臭いと思いながら読んでいましたが、幟屋視点でははっきりと心情がわかるのでかなりいらつきました。
そんなことも知らず、自分が役に立てばと怖いのをおして頑張り、うまくいかなくて泣く宮澤が気の毒で。
そんな宮澤をみて初めて宮澤のことをいとしいと思う心が芽生えるのですが、自分の心理変化に驚き、宮澤が自分に依存してきていることに怯え、宮澤を放り出したときは、今までずっと強気だったのに実はヘタレだったことに驚き腹が立ちました。

宮澤は人とのコミュニケーションをとってこなかったため、自分の感情がよくわからないし、幟屋は感情を無くしているしであまり萌えという意味ではあまり感じなかったと思います。
そして、はじめからこの展開にする予定だったのか足りなくなったのかはわかりませんが、最後の方はちょっと駆け足に感じました。
完全な解決ではない上、ちょっと都合よすぎな面もあり、これからのまだまだ研究していくというところで終わってしまったのがちょっと残念でした。
宮澤が流れてくる感情を受け流したり対処したりすることができるようになり、幟屋は感情を取り戻し、二人ともが前に進めるようになったことはよかったと思いました。
ぱっと見危ないのは宮澤の方ですが、きっと彼は幟屋が現れなくてもなんとか生きていけたと思うのです。逆に、傍からは普通に生きているように見えて精神的に危なかったのは幟屋。人のために動くことを止めるられなくなってしまっていた幟屋が止まることを再び思い出すことができたことは本当に良かったと思います。
願わくばもう少し甘い雰囲気になったらもっと良かったと思いました。


3

攻め受けとも大好き♡

あらすじ買い。なんじゃこのあらすじは、トンデモ話か? と思っていたら、違いました、きゅうきゅう胸が痛くなる、そして最後はその開放感で幸せになれたお話でした。他のレビューア様が書かれてますが、私も自分が今まで読んだ渡海先生の作品の中ではぶっちぎりで大好きです。
書き下ろし280P弱。このままでもとっても好きだけど、でろ甘ショートがあるともっと嬉しいなあ。

舞台は特殊設定(新種の病原体?)入っている分だけ、リアル日本から少しずれています。
綾木市というところで不思議な野生動物の死体が出、イカレタ人間が出始め、環境部廃棄物処理課に所属する幟屋が何とかするべく、引きこもり宮澤の所へしつこくしつこく訪問し・・・とお話は始まります。

攻め受け以外の登場人物は
攻めの職場仲間、受けの母親、謎の病原体に感染した患者など、少々。ほぼ二人で進みます。

この攻め、登場シーンの中の挿絵では、面構えはもろ「その筋の方?」と思わせるんですが、むちゃくちゃ気配りする&面倒見が異常によい。引きこもりの受けが段々懐くのもめっちゃ納得ですが、なんだこの面倒見の良さは?と思っていたら、凄惨な過去に起因していました。ひゃーです。

攻めにも入れ込んじゃいましたが、もっと入れ込んだのが、受け。特殊能力持ちで制御できないが故の苦悩を小さいころからずーーーーーーーーっと持ち続け、引きこもりながらも、よくここまで無事になんとか成長した!と思います。自分の息子に発達障害の疑いがあった時期があり、受けの母にも、もう言葉がないです。苦しかっただろうなあ。受けが「やくにたたなかった・・・」とぼろぼろ病院で泣くシーン(笠井先生の私的神絵あり)は悲しくて無念でこっちもぼろ泣きでした。

そんなぎゅーーーーーーーーーーーーっという緊張感が最後の方まで続くので、やっと一息つけたシーンでは、攻めの余裕のなさにふきだします(笑)強面なんだけど、可愛いんです、あんまりにも必死なんで。
ここまでも素敵なんですが、最後の最後がもっと素敵。受けが男前ー♡せいぜいあんたに寄生してやる なんて可愛げのない言い方して、もうきゅんきゅんです、ここ。

謎の病原体が気になるので萌2かな と思ってましたがレビュー書いてる間にやっぱ神~と思いました。シリアス、せつないものが大丈夫な方は是非ご検討を♡ほんとよかったです。

7

ストーリーに引き込まれる

笠井さんの表紙に釣られて購入しましたが、海渡さんの作品の中でもぶっちぎりで面白かった。内容はすでに書いてくださっていますので感想を。



とにかく設定が面白い。
虫、小動物、そして人間。
生き物が「なにか」に乗っ取られ、性格が変わり、そのうち死を迎えてしまう。

そんな恐ろしい「なにか」を調べているのが市の職員である幟屋。
その「なにか」を追求するうえで存在を知ったのが13年間引きこもり生活を送っている央。彼の力が必要だと判断した幟屋さんは、頑なに外へ出ようとしない央を、何とか口説き落として調査に協力してもらおうとするがー。

央の抱える特殊な能力(本人にとっては弊害でしかない)とは一体何なのか。
生き物を乗っ取る「なにか」(作中では「ハイノリ」と称されている)の正体は。

SFというのかオカルトというのかちょっと特殊な設定なのですが、さすが海渡さんというべきか、ぐっと読ませる文章力はさすが。どうなるのか気になり、ページを捲る手が止められませんでした。

「ハイノリ」=警察用語の「背乗り」という事で、ややオカルト風味でホラー的な怖さはあるものの、この作品が描いているのは「人の孤独」。
過酷な過去を持つ幟屋さんと央、そして人々が抱える寂しいという感情。
そういったものが根底にあるために、怖いというよりは切ない、という感想が先に立ちます。

そして、BLという観点で読んでも、孤独な魂を抱えた幟屋さんと央が少しずつ寄り添っていく過程に激萌えしました…。

「ハイノリ」が幟屋さんに寄生しなかった理由が哀しく、けれどそこまで孤独だった幟屋さんが、央という存在を得て孤独を昇華していく。あとがきで海渡さんも書かれていらっしゃいますが、より救われたのは、央ではなく、幟屋さんの方だったのだと思います。

SFものとして読んでも、BLとして読んでも面白かった。

あと特筆すべきは笠井さんの挿絵。
今作品の表紙はリアル書店でも手に取りやすいマイルドな絵柄で、中身も濡れ場は終盤に一回あるだけと、エロ度はかなり低い。
なのに、イラストにほのかににじみ出る色香がヤバい…。
カッコいいし、彼らの孤独も読み取れる。
そして二人の表情が、ストーリーの進展とともに変化してく様は圧巻。彼らの気持ちの変遷を見事に描き切っています。

表紙をめくってすぐの口絵ですが、表裏共にカラーのイラストが描かれていて、これが悶絶ものです。マジで悶えます。

絵師さん買いした作品でしたが、めちゃめちゃ面白かったです。

5

萌えるーーー!!

市役所職員に、引きこもり青年と言う、一風変わった組み合わせでのオカルトものです。
男らしく整った容貌の攻めに、美人受け。それを笠井先生の美しいイラストでと言う事で、ビジュアルが素晴らしいです!

そして萌える!声を大にして言いたい!!萌えるーーー!!!
包容力がある攻めと意地っぱりな受けが、協力して事件を解決するんでしょ、となめてかかると、意外な展開で驚愕するんですね。でもそれがめちゃくちゃ萌える!!!
ややありがちで単調な印象でストーリーが進み、こちらが油断しきったぐらいで意外な展開、・・・からの萌え爆発です!緩急の付け方が素晴らしい。
ベテラン作家さんだけあって、このへんがホントお上手だと思います。


内容です。
人に寄生して体を乗っ取る謎の生命体、通称「ハイノリ」。ハイノリの被害拡大を防ぐ為、市役所職員・幟屋は、動物の「声」が分かるとされる引きこもりの青年・宮澤に協力を要請しますが-・・・。


こちら、多分オカルト系になると思うのですが。
幼少期から動物の声なき声が聞こえてしまい、そのせいで引きこもっている青年・宮澤と、市役所職員・幟屋の変則的なバディものでもあります。

人の体を乗っ取ってしまう「ハイノリ」の正体とは一体何なのか-。
小動物から始まり、中型、大型と徐々にその対象を大きくし、最終的には人間を乗っ取り始めるハイノリが、なかなか不気味な印象です。この推理サスペンスと言うか、謎解き部分も興味深く読ませてくれるのですが、何と言っても萌えるのが、二人の関係!!

引きこもり青年・宮澤の方は、まぁ意地っぱりでツンデレ。
最初は幟屋に対して警戒心バリバリなのに、彼に気を許してからの言動が可愛いったらありゃしない!スネて甘えて独占欲を見せ、役に立とうと懸命に頑張る・・・。

対して幟屋ですが、こちらは包容力があり誠実。ーに見せ掛けて・・・と、一筋縄ではいかない男。表紙をご覧になれば分かると思いますが、悪い顔をしております!!
しかし、最も萌えたのがその部分。
普通に包容力のある攻めが、その特殊な能力故に社会に適応出来ない青年の心を開き、共に「ハイノリ」に立ち向かう・・・。
そんな、最初は誰でも先の読める、ちょい退屈な展開でしかないのです。

しかし、中盤で攻めの意外な本心なんかが分かり、驚愕する。間をおかず、受けの健気さに毒気を抜かれ、絆される攻め。ここがホント上手い!!
幟屋の本心なんかがが分かった時点で、わりとイラッとくるのです。しかしそんな彼が、宮澤の涙なんかを見てオロオロする。愛しく感じて、自分のそんな感情の動きに動揺する。そして、猛烈な後悔に浸る・・・。
個人的に鼻持ちならない攻めが、受けによって改心すると言うか、愛を知ってペースを崩されたり、オロオロしたりするのがめちゃくちゃ好みで萌えるのです!!
その後の幟屋による、宮澤の甘やかしっぷりにも大変萌えるんですね~。

ここから幟屋の「ズルイ大人」発動で、すれ違いなんかがあって若干イライラもあります。
しかし、彼も覚悟を決めた後は、なりふり構わない行動や、リミッター振り切っちゃった素直すぎる言動で萌えまくるので、まぁ良しと言う事で!

あと、結局「ハイノリ」の正体ですが、これも都合良すぎない感じで締めくくられていて、納得の解決でした。
一回りも二回りも強くなった宮澤と、逆にちょい尻に敷かれそうな勢いの幟屋。めちゃくちゃ甘いラストにニヤニヤしっぱなしでした。

8

この作品が収納されている本棚

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