特典付き
作家買い。シビトさんの新刊はオメガバースもの。αの高校教師×ΩのDKの恋のお話です。
ネタバレ含んでいます、ご注意を。
主人公はDKのミツキ。ごく平凡な日々を送るβ。
ミツキは最近体調不良が続き成績がガタ落ち。そのため現国担当の月ケ瀬先生が夏休み中に補習してくれることに。ところがある日、発情期に入ってしまい自分がΩだと認識し…。
というお話。
Ωであるというだけで「性の対象」となり、粗雑な扱いを受けるようになるミツキ。
月ケ瀬先生に惹かれる気持ちを制御することができない。
Ωであるという絶望と、そして自分を受け入れてくれることのない月ケ瀬先生への叶う事のない恋慕の想いに苦しめられていく。
前半はミツキ視点でストーリーは展開していきますが、後半は月ケ瀬先生視点へと移行する。
そこで、先生自身、過去につらい恋をしていたことが分かってくる。
ミツキに対して抱く愛情とともに、過去の恋の懺悔の想いにとらわれた先生の葛藤が描かれていて、胸がぐっと締め付けられました。若さゆえに全力で突っ走ってしまったことの後悔が今の先生を形成していることが読み取れて、ミツキに対して大人でいようと努める先生の心情に寄り添えるためにストーリーに無理がなく感情移入できる。
ただ、ストーリーの内容が濃い分、長さが足りていないような気がしました。
先生の過去の哀しい恋。
そこからミツキと番になり。
そして新しい家族が増え。
ストーリーとしてはめちゃめちゃツボに入る展開で、だからこそ巻数を増やすなりしてもっと深いところまで描いてほしかったなと思いました。
特に、終盤、ミツキが「好きて言われたことがないから…」と泣くシーンがありますが、先生がミツキに対してどう思っているのかが若干分かりづらかった。オメガバースならではの、番の首を噛むというシーンもなく、そういった点では若干物足りなさも。
またシビトさんらしいブラックさはあまりない作品で、いつものシビトさんらしい作風を求めて手に取られる方には若干物足りなさを感じる作品かもしれません。
が、切なさと、優しさと、お互いが抱く恋心が良い感じにミックスされていて、めっちゃ萌えました。先生×ミツキにも萌えが滾りましたが、個人的には先生の過去の恋人の存在がツボ過ぎて、神評価しかつけられませんでした。
恋煩シビト先生の大ファンです。
本作はシビト先生によるオメガバースもの。
舞台は、βの教師にβの生徒が集う学校のようです。そこに勤める教師の月ヶ瀬は、αを公言はしていない?、そしてβであったはずの生徒・日浦にΩの兆候があり…
という冒頭。本作のカップリングはα教師xΩ生徒です。
本作でのΩ設定は、風俗でしか働けないと周りも見ているように差別された存在。
Ωである事に絶望しつつ、匂いに引き寄せられ月ヶ瀬にすがる日浦。
しかし、月ヶ瀬には辛く悲しい過去がありました。
月ヶ瀬は伴侶・番であったΩ男性と死別していたのです。この設定は斬新!
今でもその彼が忘れられず、彼の死に責任を感じ、今目の前の日浦を受け入れることができない。
強烈なフェロモンの誘惑に抗って…
この感情は、この欲望は、勘違いだ。そう諭す月ヶ瀬。それでも抱かれに行く日浦とやっぱり抱いてしまう月ヶ瀬の姿は切ない。
今までのシビト先生のイメージだと、月ヶ瀬は少し冷淡で、日浦はひねくれた妖艶系で描かれたかもしれませんね、でも本作の月ヶ瀬は、αの尊大さを手放して一種の弱さを見せる等身大の男だし、日浦はΩの現実に打ちひしがれ、それでもなんとか受け入れようとする健気な姿を見せます。
ラストはハッピーエンドです。周囲も祝福してるらしい幸せの結末。
わー良かったー!…なんだけど。
やっと手に入れた小さい幸せ、ハッピーエンドなのに少しさびしくてなぜか哀しい…そんな雰囲気があります。それはきっと月ヶ瀬のはじめの番・純の印象なのかな…でも、純もきっと幸せだったはず。ですよね?
ベータだと信じていた日浦が実はオメガだったという作品です。
シビト先生だし月ヶ瀬には亡くなった今でも愛している番がいるしで、読み終わるまでハラハラしました。
明るい日浦がだんだんと悲しげな表情が多くなって来るのが物悲しかったです。
純を好きなままで良いから、自分を受け入れて欲しいと言う日浦が切なかったです。また拒絶しながらも日浦に惹かれて行く月ヶ瀬の苦悩も。
若さだけで突っ走って純を亡くした月ヶ瀬だからこそ、日浦を大切な出来ると思えました。出産した日浦の元に必死に走って行った月ヶ瀬に、ようやく未来に向けて歩き出したんだと安堵しました。
オメガバースのストーリー展開としては王道をなぞっていた感じでしたが、教師と生徒という組み合わせはあまりなかった気がして斬新だったのと、恋煩先生の憂いを含んだタッチにオメガバースの世界観がとても合っていて楽しめました。なんせ教師の月ヶ瀬の顔がイイ(笑)。黒髪でスペックは高いけれど周りを見下している感じはなく、マンツーマンで補習を行うほど教育熱心で生真面目。さらに、今より人生を舐めていた若い頃にはΩと悲恋の経験ありという、見た目も性格も経歴も非常に興味深いキャラなのです。
昔でいう遊郭のようなところで働いていたΩの純。彼に心底惚れた若き日の月ヶ瀬は、家から勘当され継ぐはずだった会社を捨ててまで、彼を身請けする。でも、体の弱っていた純には薬も治療も必要で、それらを満足に与えられなかった月ヶ瀬はとうとう純を亡くしてしまいます。それをずっと後悔してきた彼だけど、純は幸せだったはずだと日浦は言ってあげるんです。
好きでもない数多の男達に脚を開き体を酷使されながら長生きするよりも、たとえ人生が短くなっても、最期を迎えるまで好きな人に愛されて穏やかな日々を送る方が、ずっと幸福なんじゃないでしょうか。月ヶ瀬は純を精一杯大事にして、最期まで愛し抜いた。純にとって、これ以上幸せなことなんてなかったと思います。純は自らの意思でついてきたのですから。そんな風に好きな人が未練を感じている相手に優しく想いを馳せられる日浦も、温かい人間だなぁと。根気良く月ヶ瀬に想いを伝えて、自分を見てもらった日浦。赤ちゃんを抱いた日浦を見つめる月ヶ瀬の表情が本当に幸せそうで、満ち足りた気分で読み終えられました。
『月影楼で逢いましょう』のスピン元
絵がとっても綺麗、内容は素直で拗れてない。
昔、助けることが出来なかった、運命の番のΩの純を忘れられない月ヶ瀬は、教師になっていた。
月ヶ瀬先生から補習を受けて居る日浦ミツキ君は、
満月の夜、匂いを辿って教わっていないのに月ヶ瀬の自宅にたどり着いていた。
発情前で無自覚なミツキ君は、遺伝子が共鳴する運命の番だったみたい。
βだと思っていたのに、いきなりヒートが始まったミツキ君
月ヶ瀬先生は15年前のジュンを思い出す。
純を身請けをした後、貧乏で十分な治療をしてあげられなかった
「純は幸せだったのか?」と悶々。
「本能を恋愛と勘違いしている」とミツキへの想いを絶とうと煮え切らない月ヶ瀬に、
「独りで生きていくの?」と寄り切るミツキ・・グッジョブ!
・寄り切る押しが強いのは、若さのせいも有ったと思うけど、
何時までも自分が悪いと自虐的に生きる月ヶ瀬先生が幸せになれて良かった。
これで純も安心して成仏できる?
要望できるなら、結末が急展開で頁不足だと思う。
幸せになるまでをもっとじっくり書いて欲しかった。