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少しずつ読み進めてきたパラスティック・ソウルもついに本編の区切りとなる3巻目…と、早く読みたい気持ちと、もう少しあたためておきたいような気持ちの間でぐらぐら揺れながら、読みたい誘惑に負けて一気読みしました。
非常に読み応えのある作品で、どうやったらこんなお話が思いつくのだろうかと不思議でなりません。
願い事が叶う薬・ビルアとハイビルア・ブロイルス老の謎。
これらのワードが複雑に入り組んだ、一筋縄ではいかない群像劇を追いかけるのがここ数日の楽しみでした。
それぞれ主人公が異なるというのに、まとめとなる今作を読めば綺麗に繋がってくるんですよね。本当に上手いです。
読み進めていく内に謎が解けていく気持ち良さもありつつ、息つく暇もない展開にはらはらしたり、生きている数だけある人間の心の複雑さの表現に唸ります。
シンプルな一言で言うのなら、ものすごく面白かったです。
一見まとまりのない人々の人生の1シーンを切り取ったお話なのだけれど、そこには微妙に交わる部分が確かにあって、蓋を開けてみれば意味合いや関係性が異なる愛がテーマになっている。
謎めいたライヴァンとブロイルスはどう登場するのか?と疑問だったので、なるほどこう来たかと。
個人的には1巻から追ってきた芭亜斗の変化が見応えありでした。そこまでおいしくはないレストランのただのアルバイトからどんどん人としての魅力が増していきましたね。
おしゃれなタイトルだなあなんて思っていた1巻初読時。
読み終えた後にタイトルを見るとなんだか味わいが変わったような気がして、そこも含めて良いなと思っています。
すべての謎と物語の結末まで見届けた結果、私が1番好きだったのは区切りの3巻ではなく、文庫版1巻の中編2作目と2巻だったかなと。
今作であれば「next age」が好みです。木原先生の、読み手によってあと味が変わるお話が好きなのかもしれません。
今作のみなら4または4.5かな…と悩みましたが、シリーズを通しての伏線回収が見事で読み応えありだったので、トータルでこちらの評価になりました。
一区切りの後の続刊では一体どんな人たちのどんな生き様が見られるのかと、今からわくわくしています。
ハイビルア側はより複雑なのではないかなあ…楽しみです。
シリーズ3冊目、本編の最終巻です。
今回のお話は、「dear brother」の芭亜斗と、なんでも願いが叶う薬を形見分けで配付したライヴァン、1巻で死んだはずのブロイルスの三者の愛憎を描いたお話。章こそ「god child」「parasitic soul」の2つに分かれていますが、時は経ってはいるものの一連です。
(「parasitic soul」はシリーズの後日談的役割も果たしていて興味深いです)
読み応えがありました。
ハイビルアの生態にまつわる特性、謎も解明され、永遠の命にこだわる俗物の登場やら、マッドサイエンティストのブロイルスの偏執やらが混ざり、芭亜斗とライヴァンの恋愛も描かれていてすごく楽しかった。
ただこの二人の恋愛については、ハイビルアの特性上、好みが分かれるところかもしれないです。
途中、BLということを完全に忘れる、手に汗握る展開には、読む手を止められませんでした。
これで長いお話も終わるのか、と思うと感慨深いです。
ちゃんとタイトルの「パラスティック」も回収されました。
一番好きなお話は、2巻の「eternal friend」ですが、あとがきを読む限り、木原先生が一番書きたかったお話と言う事でしょうか。(第3話、となっていましたが)
このお話だけ、「むかし研究所に知能の高い犬がいた」くらいしか他のお話と絡んで来ないので、ジョンとニコラスがどうなったのかは分からないのですが(おそらくあの薬の効能のために、現実と夢とがまざっていて、ジョンは人間にはなっていないのだろうと推察)願わくば二人の魂が安らかな時を迎えているといいなと思います。
巻末に2本SSがあり、こちらは更なる後日談です。(この辺りは好みが分かれるポイントかと思います)
表紙も口絵も本文イラストも美しいですが、3巻の表紙が一番好きです。「god child」の挿絵ですね。二人の表情がたまらないです。
「願いの叶う薬」を配ったライヴァンと、第2話「deer brother」の芭亜斗のお話がメインの3巻。
第5話「god child」
亡くなった兄と過ごした夢のような時間を忘れられず、ライヴァンを監禁して「願いの叶う薬」を奪おうとする芭亜斗。
命を狙われているライヴァンの抱えていた秘密や、奇妙な少年の出現など、もうどうなるのか、ドキドキハラハラがとまりません。
「願いの叶う薬」の真実やパラスティック・ソウルの意味。
スケールが大きくて、ものすごく面白い!
そして芭亜斗とライヴァンとの間に芽生える執着とか絆とかも。
芭亜斗は、本当に愛情深くて寂しがり屋なんだなぁ。
ライヴァンの為に人工体を作るまでに至っちゃう芭亜斗の必死さや執着心、凄いわ。
芭亜斗が学んでいる大学には、八尋がいて、パートナーとしてジョエルも出てきていて、彼らのその後が見れて嬉しい。
ジョエルが八尋にベタ惚れなのが公認だっていうのに、にまにましちゃいました。
やっぱり私はこの2人が好き"(ノ*>∀<)ノ
芭亜斗とライヴァンは、結果的には幸せな人生の終わり方だったんだろうな。
最悪な始まりだった2人が、こんなにも情熱的に愛し合うだなんて。
そしてまた書き下ろしの「next age」短いお話だけど、めっちゃ切ない。
愛の痛みを知ったクリス。
どんなに望んでも愛する人を残してい去らなければならない絶望。
もぅ~めちゃめちゃ刺さりました(っω<`。)
イラストはカズアキ先生。
ケモミミはいいですね(*^^*)
バート大学院生編が始まって、やっと諸々解決してエピローグ的なお話をやさしい気持ちで読めるのかと思いきや、どんどこ怪しい方向に話が進んでいってゲッソリ。胡散臭いシェペレン、まさかの性豪となったライヴァン、不穏なことに首っつこみそうなバート…八尋は尻尾も復活して教授になって甥っ子も沢山いてよかったね〜なお話ではなかった…辛い。辛いな〜と思いながら読んでいたら存外足速に話は収束していきました。もっと地獄を見せられるかと思ったのに、"地獄の手前"にもいかず…自分は木原先生をなんだと思ってるのか笑
あのライヴァンに「あなたの子供を育ててみたいのです」なんてこの口調で言われたら…滾る。
萌2〜神
気になっていた謎が全て明らかになります。
スッキリです。
奥深いのにとても読みやすいのが魅力でもありますよね。
火傷のシーンなど痛々しい部分はあるのですが、退屈させずドキドキさせてくれます。
個人的には祁壜の死体までもなくなってしまったことが悲しいです。
いや悪人枠だとは思いますが、なんだか彼の纏う空気感が気に入ってたし、1巻の兄弟話がどちゃくそ好みだったので。
でも弟にとってはこれで良かったんだなと思います。
最後まで読み応えあるお話で一気に楽しみました。