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短編集。
絵がかっこいいですね。
特に扉絵、背景、線、構図、コマ割り…かっこよくてしびれることが何度もありました。
人物も色っぽいし(個人的に、目の描き方がちょっと気になるところはありますが)
短編なのにどのお話も物足りないとか、尻切れトンボ感じが一切ない。とてもまとまっている。
文字量、説明が少ないのに、人物の心情がなんとなく伝わってくる描き方が上手いなぁと思います。
セリフ、アングル、表情の組み合わせ、構成がいいからですね。
それと、人を好きになるのに理屈はいらない、ととても感じました。
好きになったら相手のことで頭がいっぱいになって、好きなものは好き、触りたい触られたい、というのが自然にするっと入ってきて心地よかったです。
クマとインテリは、短編集がゴロゴロ入った作品です。
BLは短編集などでない限り固定カップルが多めなので、固定カップルだけを見ていたい人には物足りない。かつセックスもそんなにしておらずあっさりしているので「どこが面白いんじゃ」と言ってしまう人もいるかもしれません。
またカップルではリバもあるので、リバが苦手な方にはびっくりかもしれません。
個人的には、いろいろなカップルが見れて面白かったのと、bassoさんの感情描写の巧さや設定の作りこみ方、キャラの繋がり方に脱帽です。リバも普段はそんなに読みませんが、リバが自然というかですんなり読んでいました。
多分、男たちってこんな風に自由に恋愛してんだなって(舞台がイタリアなので、愛の国だからこそ、自由が強いかも?)。固定カップルしか見かけない中で、そんな発見をもらいました。
そして、クマとインテリは2話目に収録されています。
表紙のカップルがメインカップルではないので注意です。
特定の2人がイチャイチャするのではなくて、一つの世界の中で生きるカップルたちがつくり上げる世界のような一冊になっています。
【以下、各ストーリーのネタバレ。カップルについても記載】
・1話目…三流政治家とウエイターの話。ウエイターが実は2話目に出てくるインテリこと有名政治家とセックスをしている。三流政治家×ウエイター(最初はウエイター×三流政治家)が本命ですが、有名政治家×ウエイターのシーンが前半にあります。カップル固定派、リバ無理な方は注意。ですが結構ゲイで飄々としているタイプの子は、ポジションが変わったり相手がよく変わったり、こんな感じだろうなと感じることがチラホラ。
・2話目…クマとインテリ、ことパパラッチと有名政治家。有名政治家が受けになっている。有名政治家は、アンチ・ゲイを公表しているゲイ。
クマことパパラッチは、有名政治家のことに片想いしており、旅行先でたまたま会い、たまたま起こったアクシデントで体を重ねる。しかし、このパパラッチがかなり良い人。タイトルにしている通り、この作品はなかなかキャラクターの感情描写や、ストーリーの積み上げ方、隙をつくようにハッとさせられるストーリーがとても素敵な作品でした。
・3話目…ポスターに落書きする青年×秘書の青年。処女キラーに出会って気分だと、体を重ねる秘書くん。そのドキドキする感じと初体験でイクのはBLっぽい。
・ジェラート短編…三人の男たちがジェラートを食べながら、ああでもないこうでもないと喋る短編。最後の、青年が舌でもう一人の顔についたジェラートをベロッと食べる姿にハッと気持ちが持っていかれます。
・sigaro…煙草が吸えなくなったカップルたちの話。スナック感覚でサクッと終わりますが、その軽さが心地いいです。
・金持ちと修理工…修理工に金持ちがお礼にごちそうを振る舞うお話。と言っても、ごちそうを振る舞うシーンが最後にくるだけなのですが、その終わり方が素敵で、また続きが見たい!とうずうずしてしまいました。これ、クマとインテリに次いで好きなお話です。
去年(2019年)ひさびさにbasso名義で新刊が出ましたね!う〜ん好きだわ。
先生にしか出せない空気、絵柄、世界観、最高ですよ。一般紙でも活躍している作家さんがBLも描いてくれる、ありがたい。軽くBLとジャンル分けするのもちょっと違う気がしますけどね。もちろんBL的萌えもあるので、ご本人がどう思って描いてらっしゃるか次第なのかもしれない。
オムニバスの連作です。「amato amaro」「Gad Sfortunato」「アルとネーリ〜」も続けて読みましょう。どっぷり浸れます。
連作の良さが詰まってるんですよ!あっちの話とそっちの話が繋がっていて、でも直接に説明的に繋がっているわけなはない。じんわり広がる多幸感。
人生うまくやってるフリをしてる大人が、年下に振り回されて、年下との触れ合いに充実感を感じたりして、疑って、信じたくなって…大好きな展開。
それがイタリアの政治の世界の中で繰り広げられるもんだから、ひたすらお洒落です。
basso先生の線が太めで濃い絵のタッチが、イタリアの風景とインテリ男達によく合いますね。短い作品が何本も収録されていて、どれも淡々と描かれているのだけど、1人ひとりのキャラクターを丁寧に練ってあるなぁという印象でした。草臥れたおじさんのふとした時の色気、お人好しな青年の正直過ぎる気持ちの吐露、ベッドでは気怠そうな雰囲気だった受けが涙を見せる瞬間。日常に近いようで、結構ドラマチックな展開があったように思います。どんなにクールに見える人でも、掘り下げていけばどこかに必ず情熱を持っている。こういう描き方、好きだなぁと思いました。
イタリア男、スーツ、眼鏡がテーマの短編集。
何と言っても、個性的な絵柄が素敵で素晴らしい。
「con te コンテ」
客の誘いに乗るリストランテの給仕・ネーリ。相手が誰か知らないまま寝るが、実は大物政治家・前首相のファウスト・カッラーロ。
ネーリのセフレは野党極小党の熱血政治家・アルビーノ。だけどネーリは政治に全く無関心でその上無神経で…
このお話の極私的ポイントは、アルとネーリがさらりとリバな所ですね!
「orso e intellettuale クマとインテリ」
このインテリっていうのは、「コンテ」に出てきた前首相のファウストさん。ファウストは実は隠れゲイで、若くて華奢な仔猫ちゃんを拾っておつまみするのがお好み。
そんなファウストの今回のバカンスは南方の島々。
そこで全く好みとは違うヒゲ面の男(カメラマン)にゲイを見破られ、島の奥に一緒についていくが…
一夜の激情とカメラマン・ブルーノの真実は…?
ファウストさん、いつもは攻めなんだけどブルーノに攻め込まれて初受け!…そして初恋⁇
「Manifesto マニフェスト」
この話も政治家絡み。(多分)ファウストの下っ端秘書さんが主人公。
ある晩、家の前に貼ってある政治ポスターに落書きしてた男。また別の晩に落書きを。怒ってマジックを取り上げ顔に大きくバッテンして…
そんな出会い方。遊ばれたと思ったら純情。
「ジェラートにまつわる三つの短編」
①イタリア男はジェラートにはうるさい。マルチェッロのジェラートが一番なのになんで休んでるんだ?息子が男と結婚するっていうんで親父さんが寝込んじまったらしいぜ…
②「マニフェスト」の2人?政治家がゲイだとまずいからと別れ話。でもしつこく追ってきたのは美味しいジェラートを買ってきたから。お前が行きたがっていたマルチェッロのジェラテリーアが久々に店を開けたから。
③事後にジェラート。やっぱりお前んちのが美味いな。親父が持ってきたまだ店に出してない新フレーバー。親父がお前にって持ってきたんだ…
「sigaro シーガロ」
どこもかしこも禁煙で、葉巻が吸えずにイライラするオリヴィエーロ。
やっと1日が終わり、葉巻の味のないキッスをマルコと。
「ricco e riparatore 金持ちと修理工」
水漏れ修理に行った修理工。他の菅も全部見てくれと言われ…
終わったら家の主人がシャンパン?でおもてなし。お礼?道楽?下心?
「黒山さんのニオイ」
これだけ日本人の話。
冴えなくて、すぐ酔っ払う黒山さん。部下の雲井に泊めろと言う。
雲井がおととい襲ったのにね…!
(この黒山さんはもしや魔性の受けおじか⁈)
bassoワールドに引き込まれる!
イタリア男の、中高年になってもどこか艶っぽさのある現役感!くたびれオヤジとは違うスーツ姿の艶もいい。